TSゲーマー、Vtuberになる(旧題:逆行ゲーマー、Vtuberになる)   作:模芋

42 / 61
一話一日ペース進行だといつから錯覚していた?
筆者は初期プロットから


[6日目(水)]あの騒ぎは今

 今日は同棲コラボ六日目。

 予定ではコラボとして社長(西月ノゾミ)が来る日である。

 七日目は総括なのでその前に、という感じだ。

 

 向こうの騒ぎはとりあえず落ち着いてきた。

 駄目そうなら別案を用意したそうだがそうならなくてよかった。

 別案のことを聞いても説明して貰えなくて不安しかなかったし。

 

 

 落ち着いた理由の一つには『明確な被害者がいない』ことがあると思う。

 強いて言うならガチ恋勢は被害者だがこれは置いておく。

 

 社長曰く、違法性などは当事者以外にはそこまで大きな問題ではない。

 面白ければある程度は気にしない。

 面白くなければ問題として広がる。

 炎上の根本は『被害者周辺にとって面白くない』ことに由来する。

 そんな感じのことを言っていた。

 

『実際、ハソシウルとしては覚えがあるでしょ?』

 

 ……社長が付け加えた一言に覚えがありすぎて耳が痛い。

 なにせ私のRTA動画の大半は権利問題にひっかかる。

 当然、公式で明言されているならばそれに従っている。

 しかしほとんどは動画投稿について明言されていないグレーの状態。

 被害者である公式から見逃されているだけの状況だ。

 

 これは私が過去の投稿とVtuberのアカウントを分けた理由にも繋がる。

 だからまあ、社長の判断を否定はできなかった。

 


 

 とりあえず向こう側の流れを確認。

 

 まずは予定通り、見当はずれな誹謗中傷の類に対応。

 悪質な相手には法的措置の催告をした、らしい。

 らしいというのは『脅迫じゃね?』と言う主張が出てきたてから。

 要は勧告された側が騒いだからだ。

 そしてこれには西月ノゾミ側でツッコミが入っていた。

 

『別に威嚇射撃無しで脳天ぶち抜いても良いならやりますけど』

 

 あの人なら本当にやる気がする。

 経営者のはずなのに挙動が無敵の人寄りだもん。

 やらない理由は手続き上の問題か相手の多さからか……

 

 この話もあってか炎上屋の擁護を続けている人は少ない。

 私が確認した限りだとやられる側関係者っぽいのしか見当たらなかった。

 

 

 法的な対応方針が固まったところでノイト様側で謝罪配信。

 謝罪内容は『事情説明の遅れ』と『キャラにそぐわない煽り』のこと。

 

 重要なのは『掛け持ちそのものについて謝っていない点』だろう。

 何故なら向こうの運営関係者は掛け持ちを知った上で続けさせていた。

 つまりこれが問題なら運営そのものに問題があることになる。

 だから別の問題を挙げて落としどころを見出したわけだ。

 契約上問題が無くても全く何もなしだと心情的に受け入れ辛いし。

 

 そして謝罪配信に合わせて配信に関する三つの連絡をした。

 

 

 連絡の一つ目は罰ゲーム配信。

 

 謝罪に合わせてバランスを取るつもりらしい。

 内容は苦行と名高い壺に入ったおじさんで上に進むゲームのRTA。

 これが終わるまで一部の定期配信以外禁止となった。

 

 普通は一周クリアで十分な苦行なのだが幸か不幸かクリア経験有り。

 なので単純なクリアでなく、10分以内という条件が付いた。

 時間の根拠はショートカット無しRTAで検索をして出てきた記録。

 ショートカットできる分で追い抜く計算だとか。

 

 次点として1時間半以内に5回クリアでも可としている。

 1時間半というのは普段ゲーム配信をしている時間に由来する。

 10分を超えても気軽にリセットしない、という意味では良い調整だろう。

 一つ目の条件だけだとリタマラが始まりそうだし。

 なおこちらの条件を達成するには単純計算で一周18分程度。

 緩い条件に見えて一つのミスが他の周回にも負担になる鬼畜仕様。

 少なくとも私だったら10分が難しそうな時点でリセットする方が楽そう。

 

 

 連絡の二つ目はコラボの全面解禁。

 

 今までは掛け持ちバレを考慮してコラボが制限されていた。

 この制限を全面撤廃するとか。

 制限認めて良いのかよ、と思ったが今更である。

 

 勿論これは誰とでもするというわけではない。

 それでも今まで門前払いだった人に可能性ができたというのは大きい。

 でもやるとしても諸々が落ち着いてからになるだろう。

 コラボ相手にしてみると今手出しするのはリスクが重すぎる。

 少なくとも私は嫌だ。

 

 なおこの解禁は西月ノゾミ側でも告知された。

 こっちは『そりゃそうだよなぁ』という感じ。

 

 

 連絡の三つ目はボイス販売。

 

 実はノイト・クーテスは過去にボイス販売を行ったことが無い。

 他のグッズだ何だには参加していたのだがボイスだけは売らなかった。

 なので通常のボイス販売だけでもかなり需要があったりする。

 加えて今回は『特注』の枠がある。

 

 ここで言う特注ボイスとはLiveWorldのボイスの売り方の一つ。

 簡単に言うと『ボイスの内容をライバーに指定できる』というもの。

 通常では期待できない『自分の名前を呼んでもらう』なども可能になる。

 そしてこのボイスは文章量が制限内なら幾ら増やしても良い。

 例えば本命を終えた余りに『●●君大好き』とか入れられる。

 

 この特注ボイスは手間や収録時間の都合から滅多にできない。

 そんな代物が出てきたことがお祭り騒ぎと言って良い状態になった。

 抽選の当選数や文章量が過去の例より多いから尚更。

 試しに逆算したら時間どうやって作ってるのかちょっと聞きたくなった。

 

 

 この情報で一部でまた荒れそうな気もしたが私の想定よりは小さかった。

 多分先に積極的に炎上させる人を牽制した影響だと思う。

 勿論これで騒動が完全に消し飛んだかと言えばそうでもない。

 でも配信の低評価やアンチが少し増えた件を除けばほぼ以前同様の状態。

 言い換えると、対応でこれ以上の良好な変化は望めない程度に回復した。

 なのでまあ、余程のことが無い限りはスルーが正解だろう。

 結果がこれなら実質ボヤの内に消火できたと言っても良い。

 

 ……詐欺師とかの手法ってこんな感じなのかなぁ。

 話題を話題で上書きするやり方を見て、ちょっとだけそう思った。

 


 

 騒動も落ち着いて社長(西月ノゾミ)とのコラボは問題なくできる。

 そんな状態だったが、私は江島さんからの連絡で頭を抱えることになる。

 

「急用が入ったからプランBで行こうとか言われたけどプランBって何?」

 

 あ? (聞いて)ねぇよそんなもん。

 この後普通に連絡した。




この回が長すぎて複数話使うことになりました


ライバー掛け持ちの合法性について
 ・ライバー掛け持ちについても相手側は間違いなく了承済み
 ・一部では『後付けでそう言ってるだけ』と主張しているが無理筋

 掛け持ちが後付けでないと判断された理由
 ・ニシツキシキとLiveWorldのライバーはコラボ経験有り
 ・ニシツキシキについてきちんと調べれば社長の情報が出てくる
 ・LiveWorldの運営側にライバーの情報はあって当然
 ・ここまで揃って把握していないならLiveWorld運営にこそ問題がある

 大体そんな感じ


LiveWorldの特注ボイスについて
 ファンの『こんなボイス欲しいなぁ』を間違いなく満たしてくれるもの
 そこそこ高いことが気にならない程度の価値はある
 特注をするのは基本人気ライバーなのでまず応募者から抽選
 当選者数は多くても3桁乗る程度
 内容によっては弾かれるがこれは大体弾かれる側が悪いので略
 多く収録する都合からほぼ一発録りでクオリティやや低めの配布遅め

 今後のボイス販売と系統が被った時の救済有り
 系統がかぶったという連絡を入れれば被ったボイスを無償で貰える
 これを狙って様々なシチュの短い台詞を注文する人もいる
 値段から逆算した感じでは運営もこの抜け道を多少狙っている節有り

 購入手順
 1、期日までに公式の購入ページに各種情報を入力して送信
   ボイスの中身についてもここで指定(転売対策)
 2、締め切り後に抽選を行い入力した連絡先に当落通知が届く
   内容に問題があると運営で判断された場合は落選扱いになる
 3、ボイス収録後、指定の手段で音声データが送られてくる
   収録が送れた場合などは代わりに進捗状況の連絡が来る
 4、データ受け取りから一ヶ月以内に指定の口座に振り込みをする
   振込は当選通知後から可能

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。