TSゲーマー、Vtuberになる(旧題:逆行ゲーマー、Vtuberになる)   作:模芋

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顔合わせ(バーチャルファンタジー編)

 コラボ当日朝の控室。

 スタッフさんに呼ばれるまでライバー達で軽い打ち合わせをする時間。

 と言ってもすることが少ないのでほぼ交流の時間と言って良い。

 

 キメラキャスト所属組は少し遅れるらしい。

 ということでバーチャルファンタジー組に挨拶に行くことにする。

 

 ……やっぱり何か差し入れ用意した方が良かったかな。

 でもパッと思いつくの食べ物だし。

 今食べ物はちょっと都合悪いし。

 うーん、なるようになってくれ。

 


 

 スロディ・アケスさんと言えば寝落ちと遅刻。

 これは視聴者の多くが思っている。

 だが経歴をきちんと確認した人なら見え方が少し変わる。

 

 まず最初、デビュー時の話。

 一期生デビューから一週間ちょっとやっていた疑似リレー配信。

 彼女はリスナーが少なくなるような時間の配信を積極的にしていた。

 その中には寝落ちもあったが他の人の配信時間までは持たせてある。

 

 次にコラボなどでの姿勢。

 一人の配信の時はそこそこ話すが積極的という程でもない。

 二人の配信の時に振られた話題はどんなものでもきちんと拾う。

 三人以上なら他の話題が途切れそうになった時にフォローする。

 

 加えてコラボだけでなく案件なども含めて他者が絡む配信。

 実は突発でない限り遅刻や寝落ちをしていない。

 その代わり前日の配信は休み。

 多分体調の調整しているのだろう。

 

 要するに面倒見や責任感という意味では十分大人な人。

 そんな彼女は見た目が中学生で通るレベルだった。

 

「先に言うけど私アラサーだから」

 

 なんとなく哀愁を感じたのは多分気のせいじゃない。

 


 

「それ挨拶直後に言うことかなぁ」

 

 まともなツッコミを入れてくれたのはグラーラ・グトンさん。

 LiveWorld(ナルリオ)組もだが本名は基本的に聞いていない。

 うっかり本名で呼ばない為には知らないのが一番だからだ。

 

「では改めまして、この間ははありがとうございました」

「いえいえ、助けられたのはこちらの方で――」

 

 グラーラさんと冷雪(江島)さんの真っ当なやりとり。

 そうだよ大人ってこういうのだよ。

 最近地味に精神年齢が幼い人を見る機会が多過ぎて感覚麻痺してたわ。

 

 にしても、BF(バーチャルファンタジー)組は並ぶと大分齢が離れているように見える。

 具体的には干支が一周違うとか言われても納得できるぐらい。

 この二人、これで同い年かぁ……

 


 

「そういえばお二人はアルプス一万尺ってできます?」

 

 話してて思い出したので経緯を含めて説明。

 年齢的に縁が薄い範囲と思うが一応聞いてみた。

 先に答えたのはスロディさん。

 

「ぼくなつのなら最速でもいける」

 

 つまりできない、と。

 一方グラーラさんは確認するように軽く手を動かしていた。

 

「一部怪しいけど覚えてる、かも?」

 

 ということで、冷雪(江島)さんと席を隣り合わせにして挑戦。

 最初は確認も兼ねてゆっくり。

 一周終わる毎にちょっとずつ速度を上げ始めた。

 ところで見て覚えるつもりがきつい速度になってきたんですけど。

 いや、速度はともかくその聞き慣れない歌詞は何なの。

 

 この私の疑問はスロディさんが解決してくれた。

 

「確か歌詞は29番まであったはず」

 

 なるほど知らんわ。

 問題なく歌える二人は何なんだ。

 片方が知ってるぐらいならまだ分かるけど何できっちり揃ってる。

 

「ゴムとびの歌ってどんなだっけ」

「『ぼくなつ』から離れましょうか」

 

 スロディさんは何でその歌を出したんですか。




「29番まで~」は何か調べてたら出てきました
調べた経緯は忘れた

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