TSゲーマー、Vtuberになる(旧題:逆行ゲーマー、Vtuberになる) 作:模芋
「ということがありまして」
上位チャット
:ホラーやん
:重大発表これか
:肝試しの時期過ぎてるぞ
いや実際ホラーなんですよ。
電話で念押し確認したんですよ。
やっぱりというか駄目でした。
あと重大発表は違います。
上位チャット
ママシウル:20年ぐらい前から推しです
「……後で確認して本人ならスパナ付けます」
こういうときどんな顔すればいいかわからないの。
「では体力のある内に重大発表済ませましょうか」
発言に合わせスタジオの端へ移動。
遅れて画面上のスタジオが変化。
私の移動した先が丁度カウンターの奥側になった。
「定期配信『ハソちゃんの月一カラオケ喫茶』が決定しました」
上位チャット
:お歌助かる
:何気にセット凝ってる
:ゲームじゃないのか
なおこの舞台セット、やはり過去に作った物の使いまわしである。
過去にどれだけ作ったんですか。
ライバーのアバターも過去の遺物を調整した物とか言ってたし。
助けられてるし文句を言うつもりもないが気になる。
今回
この発行対象には私も含まれる。
で、折角だし何か企画の手伝いをしてもらおうと
提案時点ではゲーム関係だったのだが――
『これ先駆者が強すぎるから駄目だ』
相談の詳細は省くが言いたい内容はこれに尽きる。
そういうわけでゲーム方面は没。
他に何をできるだろうか、で考えた末に歌に行き着いた。
正直、私では歌を主力にしている方々には勝てないだろう。
だが今回のネリスさんの歌を聞いてはっきりした。
必ずしも自力勝負をする必要はないのだと。
ネリスさんは作曲速度が注目されがちだが多分本質ではない。
歌が限りなく好きで感情を歌で表したりする。
丁度良い歌が出てこなくて代わりに自分で作曲をする。
今の感情をぶつけた歌を即行で用意できる。
多分その辺りが魅力の本質に近い。
私もこれに倣うならゲーム配信にするべきだろう。
好きなゲームを好きだと表現する配信の方が多分正しい。
だがきっとそれは相応しくない。
RTAを始めた理由は経験による飽きから逃げる為なのだから。
それでまあ改めて私の諸々を考え直してみた。
その結果、歌が残った。
記憶というのはそれ単体で残るものではない。
他の情報と結びつくことでよりはっきりと頭に残るものだ。
その中でも歌はかなり分かり易い部類になる。
実際『俺』が『私』になるだけの年月が経っても覚えていた。
小学生時代必死に覚えた校歌を。
昔熱中して見ていたアニメのオープニングやエンディングを。
暗記科目の語呂合わせに音程を付けそれっぽくしたこともあった。
あの頃の自分はあんな風に感じた。
今の自分ならこう感じる。
正しいかは確認できないが、そんなことすら想像できる。
だからきっとこれが良い。
これが『俺』と『私』の両方に相応しい答え。
相応しい答えを『私』は表現したい――
――というのが『私』に対する言い訳。
本音はもっとシンプル。
趣味や中身の年代の差で欲望のまま歌う機会が無さ過ぎるんだよ!
「スタジオですし歌の前振りもあったので歌いながらゲームします」
上位チャット
:セイバー振り回すやつ
:歌いながらとか死ぬわあいつ
:まず音ゲーやったことあるの?
うるせぇこっちはやりたくて準備してきたんだよ。
これで本章は終わりです
追加資料が間に合ったので隔日更新で続きます