ダンガンロンパPRISON 〜Episode of Winner〜 作:M.T.
『【超中学生級の資産家】財原天理(12)またもや大成功』
『投資界のスーパールーキー現る』
『大手製菓メーカー『Phantom』1年で売り上げ3倍に 若き天才実業家財原天理社長が語る経営術とは』
「ねえ、母さん。見てみ。僕の事、またニュースになってるよ。」
「興味が無い。自慢している暇があるなら1円でも多く稼ぐ方法を編み出したらどうだ。」
「ちぇっ、愛想がねーな。自分の息子の活躍だよ?」
「そもそも実子ではなかろう。…あ、いかん。話すのを忘れていた。」
「何?」
「仕事の都合で引っ越す事になった。」
「えっ、また?まだ中学入学して2ヶ月だよ?」
「うるさい。文句を言うな。転校先のリストだ。どの学校がいいか明日までに選んでおけ。」
「はーい。」
あーあ、人使いが粗いね、全く。
しょーがねーな、選んでおくか。
どうせまた転校するし、適当でいっか。
◇
ー1ヶ月後ー
ここが聖ベーメンブルク学園か。
しっかし、典型的なエリート校だな。
デキる奴と金持ちだけが優遇され、それ以外は迫害される…ホント、漫画にありがちな設定だよな。
おかげで僕は理事長に気持ち悪いくらい優遇を受けたよ。
この学校の取り柄と言えば、屋上からの見晴らしがいい事くらいかなー。
ん?んだよ、先客がいたのか。
って、待って。アイツ、飛び降りようとしてね?
うっわー、マジか。ワンチャン僕のせいだと思われるからやめてほしいんだけど。
「ねえ、キミ。バンジーでもしようとしてんの?面白そうじゃん。でも、僕が突き落としたと思われるからやめてくれないかなぁ?」
「…え、あ…あの…その制服、A組の制服…ですよね…なんでここに…ここ、F組の校舎ですけど…」
ん?あ、そっか。
僕、会見とかインタビューとかは全部ウチの社員にやってもらってるから、僕の顔知ってる人ってそんなにいないんだった。
「ここの方が見晴らし良くってさ。僕、今日転校してきたばっかであんまりここの事詳しくないんだよね。ねえ、ここの事、キミに教えてもらいたいんだけど。」
「あの…実はこの学校には、絶対に逆らっちゃいけない人がいて…」
「逆らっちゃいけない人?」
「1年A組の
「ふーん。ソイツらに逆らったらどうなるの?」
「…早い話、下のクラスに落とされるんです。僕も、テストのカンニングの手伝いを断ったらクラスを落とされたんです。そして、下のクラスに落ちてもまだいじめられて…」
「学校辞めればいいじゃん。」
「いじめられた時に、写真を撮られてて…辞めたらばら撒くって脅されて…リーダー格の鯉津君は、ここの校長の息子だから誰も逆らえなくて…」
まあ僕はここの理事長を買収したからそんなの痛くも痒くもないんだけどね。
「へー、それは災難だね。」
「他人事じゃないですよ…あなたはA組なんですよね…?だったら…」
「ねえ、ソイツら、僕が辞めさせてあげるって言ったらどうする?」
「…え?」
「僕も、そういうクズがいる環境なんて正直嫌だからさ。僕がソイツら全員辞めさせてあげるよ。」
「おい、何をしている愚息よ。こんな所で道草を食いおって…」
「あ、ごめん母さん。今行く。…じゃーね。」
「行っちゃった…」
◇
ー1年A組ー
「ねえ。先週転校してきた星野先輩、超カッコいいんだけど!頭も良いしイケメンだし、メッチャタイプ!」
「なあ、春美。お前、月本先輩と付き合ってたんじゃねーのかよw」
「ああ、あの人もういいわ。最初ノリが良くてイケてると思ってたけど、センスが古くてもう飽きた。」
「ひっでーw」
「ってか1限目理科じゃん。うわー最悪。あの先生嫌いなんだよな。辞めさせちゃおっかな。」
「さすがにそれはマズいでしょw」
「いいんだよ、俺がここのルールなんだからよ。」
ガラガラガラッ
「うわっ、澤村じゃん。」
「センセーどしたの?そんな慌てて。」
「おい!!お前ら!!早く席着け!!」
「え、何?」
「すごい転校生が来た!!」
「は?すごいって何が?」
「てか男?女?」
「…入ってきなさい。」
「ちっす。今日から聖ベーメンブルク学園の1年A組に入る事になりました、財原天理っす。3月12日生まれ、うお座のAB型だよー。僕の事、知ってる子も知らない子よろしく〜。」
「財原天理!!?え、ウソ!?本人!?」
「あの、Phantomの社長の!?」
「そうだよー。えへへ、思ったよりイケメンでしょー?」
「うわ、マジかよ…」
「僕、ここの事よく知らないからみんなに教えてもらえると嬉しいなー、なーんちって!」
「…。」
◇
うっほー。
休み時間になった途端、まあ寄るわ寄るわw
特に女子。まあ僕ってイケメンだからしゃーないか。
これって、やっぱ転校生の特権だよねー。
「財原君って社長さんなんでしょ!?」
「すごーい!!」
「まあ、僕はお金出して土地買ったり工場建てたりするだけなんだけどね。」
「新発売のお菓子買ったよ!アレ、メッチャ美味しいよね!」
「ありがとー。お礼に現ナマあげちゃおっかな。」
「うわっ、10万も!?いいの!?」
「いいっていいって。」
「財原さんマジ神!!」
「いきなりさん付けかよw」
「てか、さっき財原のお母さん見たけど、メッチャ美人だったよな。」
「それで豪邸に住んでるとか、羨ましいよなー。」
「でしょ?ウチ来る?」
「なあ、財原。」
「ん?キミは?」
「俺は鯉津。で、こっちは葛見。よろしくな。」
「よろしく。」
へー、コイツらが。
いかにもクズみたいなオーラ醸し出してんな。
ってか、僕に声かけたのだって絶対金目当てでしょ。
「鯉津君に葛見君ね。二人ともよろしくー。」
「あの、財原君…」
「キミは?」
「えっと…私、芥原春美っていうの。財原君、カッコいいね。私、ヤバいかも…」
「えっと、芥原サンだっけ?キミ可愛いね。今度一緒にお茶でもどう?」
「いいの!?やった、ありがと!」
「うわマジか!」
「学校一の美少女とイケメンで金持ちの転校生か。お似合いじゃんw」
「えへへ、みんなありがとー♡」
キモっ。
何この女。
オマエみたいなブスが僕に話しかけんじゃねーよ。
こんなのが学校一とか、この学校終わってんな。
でもまあ、洗脳するまでもなくわざわざ僕に寄ってくれるんなら好都合だよね。
この機会に仲良くなっておこっと。
◇
「いやー、ホント楽しかったな!まさか天理と一緒だとこんなに遊べるとはな!」
「ここ、普段は2時間待ちとかなのにねー。」
「天理がプレミアムチケット買っててくれたおかげだな。夏休みのプラン立ててくれたのも天理だし、メシとホテル代まで奢ってもらっちゃって…ありがとな!」
「いいって。それより嫌太、キミが行きたいって言ってたアトラクションは楽しめた?」
「おう、お前のおかげでな!」
「やっぱ天理は最高の親友だよな!」
人をいじめて自殺に追いやった奴がよく言うね。
「そんな事ないよ、亜来斗。」
「天理君、今日同じ部屋に泊まってもいいかな?」
「もちろん。春美となら大歓迎だよ。」
「わーい♡」
まさか、1ヶ月でここまで仲良くなれるとはね。
僕、リア充の素質あんじゃねーのかな。
なーんっつって。
「あ。ごめん、ちょっとトイレ行ってくる。」
「一人で大丈夫か?」
「いやガキじゃねーんだから。すぐ戻るから。」
「おう。気をつけろよ。」
「何にだよw」
「天理は顔可愛いからそっち系のオッサンに掘られないか心配w」
「うっせ。じゃ、行ってくるわ。」
「ああ。」
さてと。
少し距離置いたところで盗み聞きしよーっと。
「…あーあ、ホンット疲れるな。なんなの、アイツ。頭湧いてんじゃねえの?」
「ホントそれw馴れ馴れしいし、グイグイ色々聞いてきてよ…ホンットキモいわ。」
「二人ともひどーい。アイツにおこぼれ貰ってるのにそんな事言っていいの?」
「そういう春美はどうなんだよ。」
「んー。アイツ、大富豪だし成績トップだしルックスもいいから付き合ってみたけど…正直、全然タイプじゃないんだよね。私、本当は星野先輩が好きなんだけど、アイツと一緒にいたらお金いっぱい貰えるからアイツもキープしとこう、的な?」
「お前の方がひでーじゃねえかw」
「だって、アイツ嫌いなんだもーん。ちょっと相手してあげればお金くれる所以外、いい要素なんてないし。」
「天理のヤツかわいそーw」
「でもアイツ、今まで色んな女食いまくってたらしいよ。春美の事も遊びなんじゃねーの?」
「嘘でしょ?不潔ー。」
「どっちもどっちだなw」
ふーん。アイツら、僕の事陰でそんな風に思ってたんだ。
まあ、こんなの全然想定内だけどね。
「ごめん、待った?」
「ううん、全然。」
「そっか、良かった。ねえ、そろそろ遅いしホテル戻らない?」
「だな。」
「もう日が傾いてるね。」
「ねえ、こっちの道から行こうよ。」
「え?でも、そっち人いないし暗くない?」
「こっちの方が近道なんだよ。常連客しか知らないんだけどね。」
「そうなんだ。天理君は物知りだね。」
うまく人気のないところに誘導できた。
…そろそろかな。
僕は、影に隠れている黒服に合図を送った。
ガバッ
「ッ!!?」
黒服は、僕達4人を目にも止まらぬ速さで袋に詰め込むと、車の中に押し込んだ。
◇
「…う。」
「…え?何!?どこここ!?」
「うわぁあああああっ!!?」
目を覚ますと、僕達は廃墟の中にいた。
もう着いたのか。
おっと、慌てふためいた演技をしないと。
「…え!?ど、どこなんだここは…!?」
『やあ、はじめまして。聖ベーメンブルク学園のみんな。』
「なっ…!?なんだこの声!?どこからだ!?」
部屋の正面に取り付けられたモニターの電源が付く。
そこには、仮面を被った僕の姿が写っていた。
『突然だけど、キミ達4人をここに閉じ込めさせてもらったよ。おっと、警察に連絡しようとしても無駄だよ。ここら一帯に妨害電波を流してあるからね。それから、キミ達の様子は監視カメラでバッチリ見てるからね。』
もちろん、これは僕の声じゃない。
黒服の声を当てているだけだ。
「なっ、なんなんだテメェは!!」
『うるさいよ。人の話は最後まで聞こうよ。僕は、この館の主人だよ。そうだなぁ、マスターとでも呼んでくれ。』
「な、何のために僕達を閉じ込めたりなんか…」
『僕はね、人の友情は極限状態にどれだけ耐えられるのか見てみたいのさ。ああ、安心してよ。別に僕はキミ達に何の恨みもない。むしろ、キミ達はみんな仲が良くて羨ましいと思ってるんだ。だから、僕の実験に付き合ってもらう事にした。』
「なんだそのムチャクチャな理由は!!」
「実験!?ふざけんじゃねえよ!!」
「早く家に帰りたいよ…」
「そ、そうだ!テメェ!!ここにいる天理は、超金持ちなんだぞ!!」
「そうよ!こんな事をすれば、天理君の会社の人達が黙ってないわ!」
何言ってんだコイツら。
「コイツがいればテメェなんか…」
『財原クンがとても優秀な実業家だって事は知ってるよ。もちろん、その対策もしてあるから諦めるんだね。』
「そんな…お金の力が通用しないなんて…」
「私達、これからどうなるの!?」
『安心して。キミ達の友情が証明されたら、僕はキミ達を解放してあげる。でも、もしキミ達の友情が証明されなかったら…その時は、全員死んでもらう。』
「なっ…く、狂ってるよこんなの!」
「ふざけんじゃねえ!!なんで俺達が死ななきゃいけないんだ!!このクソ野郎!!早く俺達を解放しやがれ!!」
『うるさいって言ってるでしょ。…それとも。』
僕が合図を送ると、天井に取り付けられたガトリングガンが火を吹いた。
「ひっ…!」
『…今すぐ死ぬ?』
「い、言う通りにするから…撃たないで…!」
『財原クンはものわかりが良くて助かるよ。キミ達は、僕が今から用意するゲームをクリアするんだ。それだけだよ。じゃあ、そこにある扉から中に入ってね。』
「は、入るしかないよね…」
「おう…」
「て、天理君が言うなら…」
◇
『やあ、よく来たね。それじゃあ、早速ゲームを始めよっか!』
「ゲーム…!?一体何をすればいいのよ!」
『早速だけど、4人ともそこにあるボックスに入って。あ、逆らったら殺すから。』
「ひっ…!」
「わ、わかったよ…入ればいいんだろ!?」
ちょっと脅しただけですぐ言う事聞くんだな。なっさけな。
全員がボックスの中に入った。
『それじゃあ始めようか。題して『不人気投票』ー!!』
「は…?ふ、不人気投票…?」
『ルールは簡単。そこにあるタブレットで、自分が嫌いな人の名前を入力すればいいだけだよ。見事得票数1位になった人には、硫酸ミストをお見舞いしちゃうぞー☆あ、5分以内に投票しなかったら全員殺すから。』
「も、もし1位が一人じゃなかったら?み、皆殺しなんて事はないよね…?」
『もし1位が複数人いたら、その時は誰も死なずに次のゲームに行ってもらうよ。』
「じゃ、じゃあみんな、自分の名前に投票すれば解決だよね…?」
「あ、その手があったか!頭良いな、天理!」
「じゃあ、みんな投票して…」
なーんてね。
全員を生かして帰すわけねーだろ。
ちょっと細工をしてっと。
「えっと…自分の名前を…え?ちょっと待って。何これ…」
『葛見嫌太は芥原春美をストーカーしている。葛見は、自分が芥原と付き合うために財原に関するデマを流し、別れさせようとしていた。また、彼女の盗撮写真を数百枚所持し、彼女の私物をいくつか盗んでいる。』
「は!?何よコイツ!!こんな事してたの!?信じられない!キモい、最悪!!…許せない。コイツ、殺してやる!」
◇
「と、とりあえず天理の言う通りにしとけば大丈夫だよな…?ん?なんだこれ…」
『葛見嫌太は鯉津亜来斗を見下している。表面では彼を慕う親友のように振る舞っているが、SNSの裏アカウントでは鯉津とその友人である財原の陰口を連打している。また、ストレス発散のために鯉津の私物を隠したり壊したりした事もある。』
「はぁ!?なんだこれ!!ふざけんじゃねえぞ!!アイツ、俺の事を陰ではこんな風に思ってたのか!!クソ、あんなヤツ殺してやる!!」
◇
『それじゃあ、結果が出たから発表するよ。今回3票を獲得して見事得票数1位になったのは…葛見嫌太クン!あ、ちなみに葛見クンは、鯉津クンに投票していたよ。』
「…は!!?おい、ふざけんなよお前ら!!なんで俺が1位なんだよ!!なんで俺が死ななきゃなんねーんだ!!」
「黙れクズが!!テメェこそ俺に入れてんじゃねえか!!テメェ、今までよくも裏で俺の事をコケにしてくれたな!!テメェみたいな奴、とっとと死んじまえ!!」
「そうよ!!よくも私につきまとってくれたわね!!ホンットに気持ち悪い!!早く死んで!!」
「け、嫌太がそんな奴だと思わなかったよ。二人に謝って。」
「はぁあああああ!!?ふざけんな!!テメェらが死ね!!クソッタレ共がぁあああ!!!」
『あーあ、葛見クンって人望が無いんだね。じゃあ、約束通り硫酸ミストをプレゼントしまーす。』
「は!?おい、ちょっと待て!!こんなの不正だ!!なんで俺が死ななきゃいけねえんだ!!ふざけんな、クソ!!」
『うるさいなー、じゃあもうとっととやっちゃうよ!さあ、3、2、1!』
「いやだぁああああああああああ!!!死にたくなぁああああああああい!!!」
ブシュウウウウウゥゥゥゥゥ…
「ぎゃああああぁああぁぁあああああぁああ!!!あっ、あ゛あああぁああぁあ…!!」
葛見クンは、硫酸を浴びて顔が融け、叫び声を上げながらのたうち回って息絶えた。
その様子が、ボックスのタブレットに映し出される。
「は…!?おい、嘘だろ…!?本当に、死んだ…!?」
「いや!!もうこんなの耐えられない!!家に帰して!!」
「ひっ…ひどい…!なんでこんな事を…!」
『あーあ、死んじゃったね。キミ達が葛見クンを選ぶからだよ。…まあでも、こんな投票で選ばれるヤツなんて、所詮はその程度の価値だったって事だね。はっはっは。じゃあ、クリアした3人は次のゲームに挑戦してもらうよ。…あ、今からちょっとゲームの準備するから次の部屋で待っててね。』
◇
「…またゲームか。」
「もういや!!こんな、こんな事になるなんて…」
「だ、大丈夫だよ。春美の事は僕が守るから。」
「天理君…」
ンなわけねーだろ。
「…あっ。」
「どうしたの、天理君。」
「この通気口…外に抜けられないかな。」
「えっ…?」
「ほら、大きさ的にも人が入れると思うんだけど。」
「え、でもこんな汚そうな所通んのかよ?」
「嘘でしょ!?絶対いや!!」
「じゃあ、僕ひとりで行こうか?」
「いや、お前ひとりだと向こうに何かあった時どうするんだ。俺も行く。春美は?」
「いや!!そんな汚い所通れるわけないでしょ!!私は絶対に行かないから!!」
「じゃあ、春美はそこに残ってて。僕達はここから外に出られないか調べるから。」
…よし。これであの女を分離できた。
あとは、罠が発動するのを待つだけだな。
「ふざけんじゃないわよ…!なんで私がこんな目に…」
ガチンッ
「え?」
ガコンッ
「いやぁっ!!ちょっと待って!!何これ!?」
「春美!?」
「春美!」
僕達は、引き返して元の場所に戻った。
さっきまでの部屋の床が開いて下からはマグマが沸き、天井からは春美が入った檻が吊るされていた。
「いやああぁあああ!!なんなのよこれ!!熱いよ、誰か助けて!!」
「春美!!クッソ、なんで春美を一人にしちまったんだ…!!」
『おっ、二人ともちゃんと戻ってきて偉いね!てっきり逃げたかと思ってたよ。』
「テメェ…春美に何をした!!」
『見ての通りだよ。彼女は、このままだとマグマの中に落ちちゃうよ。』
「そんな…そんなの嫌!!誰か助けて!!」
『そこで、キミ達二人には彼女を助けてもらうよ。』
「春美を助けるためならなんでもする!!何をすればいいんだ!?」
『簡単だよ。二人はそこのボックスに入って、5分間何もしなければOKだよ。』
「そ、それだけか?」
『うん。本当に何もしなければ、全員クリアだよ。…あ、ただし、一個言っておくね。』
「…?」
『ボックスの中にボタンがあるんだけど、それを制限時間以内に押したら、ボタンを押した人以外が全員死ぬよ。』
「なっ…!なんだそれ!!」
「ちょっと待って、それって私は…!?」
『うん。死ぬね。』
「そんな…あ、あんた達!!絶対押すんじゃないわよ!!」
「あ、ああ…」
『あ、言っておくけど、二人がボックスに入った時点でゲームスタートだからね。入らないとかナシだから。』
「じゃあ、僕はこっちに…亜来斗も…」
「わ、わかってるよ…入るよ。」
『うんうん、キミ達は本当に素直でえらいね。じゃあ、ゲームスタート!』
◇
「本当に、何もしなかったら全員助かるんだよな…?で、でも…もし天理が裏切ったら…?俺は、死…い、いやだ!!そんなのダメだ!!じゃあ、やっぱりボタンを押すしか…いや、でもそうしたら春美が……ん?なんだこれ。」
『芥原春美は、自分より立場が上の男に対してなら誰にでも媚びを売る尻軽女である。財原天理と付き合っておきながら、彼の友人の鯉津にも色目を使っている。しかし、彼女の本命は3年A組の星野秀一である。芥原は財原と鯉津の両方を内心では見下しており、キープ程度にしか考えていない。事実、彼女は鯉津に黙って他の複数人の男と肉体関係にある。』
「は!?アイツ、俺の事が一番好きって言ってたくせに…嘘ついてたのかよ!?…あのクソビッチが!!」
◇
『はい、5分経ちましたー。それじゃあ。結果を発表するよ。…なななんと!二人ともボタンを押していました!特に鯉津クン!キミはわずか開始1分でボタンを押したんだね。いやー、薄情なこった。』
「はぁあああああああ!!?ちょっ、あんた達!!どういう事!?なんで…なんで二人ともボタンを押してんのよ!!」
「うるせェクソビッチが!!俺の事を騙しやがって!!」
「は…!?なにそれ、どういう事!?私、亜来斗に何かした?」
「とぼけんじゃねえ!!テメェが他の男とヤりまくってる事、バレてないとでも思ってんのか!?このアバズレがぁああ!!」
「ひどいよ春美。僕と付き合ってるのにそんな事するなんて。」
「ふざけんなぁあ!!クソッ、なんでこうなるの!?なんで私があんた達なんかに…!」
『嘘ばっかついてるからそうなるんだよ。あ、そうだ。一個教えてあげるよ。…キミが気になってる星野クンに、この前キミの事聞いてきたんだよ。キミの秘密もセットでね。そしたら彼、なんて言ってたと思う?』
「…え?」
『『気持ち悪い』だ。…わかったか?『き・も・ち・わ・る・い』。』
「…あ、ああああ…」
『さてと、じゃあ二人から見限られちゃった芥原サンには、死んでいただきましょう!』
「いやっ!!いやぁああああああ!!死にたくない、死にたくないぃいいいいいいい!!!」
『あポチッとな。』
芥原サンの檻の鎖が外れて、檻がマグマの中に落ちる。
「ぎゃあああああぁぁああああぁああああああああ、あ゛ぁあああああああぁああああああ…!!!」
『あーあ、芥原サンも死んじゃったね。キミ達のせいだよ。』
「うるせェ!!とっとと俺達を解放しろ!!」
『焦んない焦んない。次が最後のゲームだからさぁ。』
「んなっ…ホ、ホントか!?」
『キミ達の友情が本物だと証明できれば、解放してあげる。さ、入って入って。ここが次のゲーム会場だよ。』
「…行こうか、亜来斗。」
「天理…」
「大丈夫だよ。何があっても亜来斗の事は僕が守るから。」
「頼もしいな、天理は。」
僕達は、扉の中に入った。
◇
『やあやあ、よく来たね!』
「うるせェ!!」
『まあまあ、じゃあ、とりあえずそこの椅子座ってよ。』
「亜来斗、逆らったらガトリングガンだ。早く座ろう。」
「お、おう…」
『二人とも席についたね?じゃあ始めよっか。最後のゲームをね!』
僕達の椅子に拘束具が取り付けられる。
「なっ…!?おい、外れねェぞ!!クソ!!」
『外すわけないじゃーん!それは特別製で、猛獣が暴れても外れないように作られてるんだから!』
「は!?」
「僕達は何をすればいいの?」
『キミ達には、クイズに答えてもらうよ。クイズは一人5問ずつ、計10問だよ。正解したらそのまま相手のターンに、逆に不正解だったら、相手側の拘束具に仕掛けられた毒針から毒が注入されるから。』
「は!!?」
「じゃあ、自分が間違えたら相手が毒を喰らうって事!?」
『そういう事。あ、ちなみに一回間違えただけじゃ死なないから。5回分でちょうど致死量になるように計算してあるから安心しな。全部で10問、クリア出来たらキミ達を解放してあげる。』
「ク、クイズって…何を答えるんだよ?」
『簡単ななぞなぞだよ。それじゃあ、第一問!答えてもらうのは…鯉津クン!』
「えっ、俺…?」
『空から降ってくる甘いお菓子ってなーんだ?』
「えっ、あ、え…?」
『さっさと答えないと不正解になるよ。10、9、8…』
「あっ、飴!!」
『ピンポンピンポーン!お見事大正解!』
「…ふぅ。」
「ありがと亜来斗。」
「いいって事よ。俺、小学校の時はなぞなぞばっかやってたからなぞなぞは得意なんだ。任せろ。」
『じゃあ次は天理クンが答えてね。続いて第二問!通る時は閉じていて通らない時は開いているものってなーんだ?』
「えっと、ふ、踏み切り!!」
『ピンポンピンポーン!お見事大正解!』
「助かった…ありがとな、天理。」
「いいよ。僕達親友だもんね。」
『じゃあ第三問!ウサギが勝ってライオンが負ける遊びってなーんだ?』
「えーっと…」
『10、9、8、7…』
「あっ、し、しりとり!」
『ピンポンピンポーン!お見事大正解!』
「…あぶねぇ。」
『続いて第四問!焼いても焼いても食べられないパンってなーんだ?』
「…え?あっ、えっと…」
「あっ…!」
『おっと、鯉津クン。ヒントになるような事を言っちゃダメだよ。』
「そんな…」
「はーい、タイムアップ!罰として毒針が発射されまーす!」
「ぐっ!ち、チクショウ…痛てェ…!」
「ごめん、亜来斗…僕、動揺しちゃって答えられなかった。」
「き、気にすんな…まだ一本だけだろ?」
『それじゃあ第五問!切ってもさしても痛くないけど、詰めたら痛いものってなーんだ?』
「えっと…ゆ、指?」
『ピンポンピンポーン!お見事大正解!』
「ありがと、亜来斗。さっきはごめんね。」
「いいって。次はちゃんと答えろよ。」
『じゃあ第六問!『るちつてと』ってなーんだ?』
「…え?な、何それ!わかんないよ!」
『さっさと答えないと鯉津クンがおしおきだよ?』
「あっ…えっ…?」
『残念、タイムアップ。それじゃあ毒針発射ー。』
「がっ、あぁああああっ!!」
「あっ、ごっ、ごめん亜来斗…!」
「くっ…チクショウ、痛てェよ…!」
『あれれ?なんかちょっと雲行きが怪しくなってきたかな?まあいいや。第七問!上は洪水下は大火事、これってなーんだ?』
「ぐっ…ふ、風呂…!」
『ピンポンピンポーン!お見事大正解!』
「ぐっ、うぅう…」
「亜来斗…」
「ッ…!!」
「や、やめてよ…そんな目で睨まないでよ…!僕達、親友でしょ?」
『それじゃあ第八問!トラックの中に、りんご、みかん、いちごがあります。さて、カーブを曲がるときに落としたものはなーんだ?』
「えっと…」
「おい、天理!!今度は絶対答えろよ!!」
「うるさい、ちょっと黙ってて!えっと、えっと…いちご?」
『ブッブー、不正解ー。それじゃあ、毒針発射ー。』
「あっ、あああぁああ…!!」
「ごめんねー?間違えちゃった。」
「テメェ…マジでふざけんな…!!」
『はい次行くよ。第九問!簡単に動かせるけど持ち上げられないものってなーんだ?』
「あっ、ああっ…」
『あれ?どうしたの?毒が体に回って頭が回らなくなっちゃったかな?…っと、タイムアーップ。それじゃあ財原クンに毒針注入しちゃうね。』
「痛っ…!あ、亜来斗…!痛いよ…助け…」
「ふざけんなクソがぁあああ!!!こっちはもう3本も針喰らってんだぞ!!テメェなんかまだ1本だろ!?俺はちゃんと真面目に答えたのに、なんで俺ばっかりこんな目に遭わなきゃなんねェんだ!!テメェのせいだぞ天理!!テメェが間違えたんだからテメェが死ねよクソッタレがぁあああ!!!」
「ひどいなぁ、僕は、キミを親友だと思って…」
「何が親友だ!!テメェ、後で絶対ブッ殺してやる…!!」
『それじゃあ第十問!これが最後の問題だよ。朝には4本足、昼には2本足、夜には3本足の生き物ってなーんだ?』
「えっ、あっ、そ、そんな生き物、いるわけ…」
「おい天理!!次間違えたら殺すぞ!!」
「で、でもどうしてもわかんないんだよ…!」
『はいタイムアーップ。毒針4本目発射ね。』
「あっ、あぁあああっ…!ブッ殺してやる、ブッ殺してやる、ブッ殺してやる…!」
『おっ。二人とも生きてるね。お見事、ゲームクリアー!』
「ほ、ホントか…!?これが最後のゲームなんだよな、じゃあ、今すぐ俺を解放…」
『何言ってんの?』
「…え?」
『僕、言ったよね?キミ達の友情が本物だと証明できたら解放してあげるって。でもキミ、さっきまで財原クンの事散々罵ってたよね。これって親友って言えるのかなぁ?』
「そんな…俺達は命がけでゲームをクリアしたんだぞ!!」
『確かに僕はゲームをクリアしろとは言ったけど、クリアしたら解放するなんて一言も言ってないよ?』
「なっ…ふ、ふざけんな!!じゃあ、俺は一体何のために…」
『あーあ、もううるさいね。冥土の土産にネタバラシしてあげるよ。』
「…え?」
「…よいしょっと。」
僕の拘束具だけが外れて、僕は立ち上がった。
そして、椅子の裏に用意してあった黒いローブと仮面を被った。
「…え?」
「やあ、この姿でははじめましてだね、鯉津クン。」
「て、天理…?」
「僕の実験に付き合ってくれてありがとう。まあ予想はしていたけど、ここまでキミ達の友情が脆いとはね。』
「え…?あ、え?」
「あらら、イマイチ状況が飲み込めてない?僕はね、このゲームの黒幕なんだよ。ははっ、一回デスゲームのGMとかやってみたかったんだ。」
「そんな…テメェがこんなふざけた事計画したってのか?」
「そうだよ。僕ってお金持ちだから、こういう設備とか簡単に用意できたんだよね。それに、お金の力があればキミ達の友情なんていとも簡単に買えたしね。」
「嘘だろ…?全部、嘘だったのか…?」
「うん、全部演技だよ。キミの事を尊敬してるって言ったのも嘘、芥原サンの事を愛してるって言ったのも嘘、葛見クンの事を一緒にいて楽しい奴だって言ったのも全部嘘だったんだよ。でも、許してくれるよね?だって僕って気まぐれで嘘つきだから♥︎」
僕は、ローブの懐の拳銃を取り出して向けた。
「おい、待て…!それをどうする気だ…!?」
「決まってんじゃん。キミを殺すんだよ。だって、キミは僕の親友じゃないもんね。親友じゃないなら、もう実験は済んだからキミは要らない。下手に解放してベラベラ喋られたら面倒だし、口封じも兼ねてここで殺しちゃうね。」
「い、いやだ…!!そ、そんなの…た、頼む!天理、俺達親友だろ…?この事は誰にも言わない!!だから頼む!!撃たないで!!」
「ふーん、キミって僕の親友だったんだね。」
「ああ、だから…」
「じゃあ問題。僕の誕生日と星座と血液型は?」
「…え?」
「キミは僕の親友なんだろ?だったらそれくらい答えられるよね?あ、30秒以内に答えないと撃つから。」
「そ、そんなの答えられるわけ…」
「なんで?」
「え?」
「なんで答えられないの?僕、自己紹介で言ったはずなんだけどなぁ。それに僕、SNSとかブログとかにもプロフィール書き込んでるんだけど。もしかして、親友のくせに確認してないの?」
「…ッ!!」
「はいタイムアーップ。それじゃあ、キミには罰を与えないとね。」
「い、いやだ…!死にたくない!!やめてくれ!!」
「やーだ。…バイバイ、亜来斗。」
「いやだぁああああああああああああああ!!!」
パシュッ
「はっ、ははは…あーっはははははははははははははははは!!!」
いやあ、まさか友情がここまで脆いとはね。
でも、これでハッキリした。
やっぱり、この腐った世界で信用できるのは自分だけだ。
口では親友だとほざいておきながら、土壇場では誰しも裏切り裏切られる。
ははっ、なんて面白いんだろう。
決めた。
僕は…いや、俺は、支配する側になる。
誰も信用できないなら、一方的に利用して搾取すれば良い。
俺はそれが許された人間だ。
だって俺は、この世界の勝者なのだから。
ー数年後ー
「今日は、世界屈指の実業家であり、世界的製菓メーカー『Phantom』を起業した【超高校級の資産家】財原天理社長にお話を伺いたいと思います。社長、ではまず投資や起業の成功において、何かアドバイスをいただけますか?」
「そうですね…アドバイスとは少し違いますが、テレビの前の皆さんにもひとつ伝えておきたい事が。」
「伝えておきたい事?」
「『世の中、金で買えないものはない』…以上です。まあ、これはあくまで俺の自論なんですがね。」
「つまり、ありとあらゆるものをお金で買い、自分の利益に変えろと…そういう事ですか?」
「まあ、そうですかね。」
「では、目標や意気込みをお聞かせいただけたら…」
「…とにかく勝ち続ける。それだけですよ。」
ーーーこれは、【超高校級の資産家】かつ【超高校級の勝者】である俺が、才監学園に収監される少し前までの物語である。
END