リコリス・ラジアータ   作:暇を司りし神

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どうも、やっと日常(?)回です。
ちなみに後これ含めて3話で書きだめが無くなります。
無くなったら不定期投稿になりますね。
それではどうぞ。


美しき黄色のスミレ
彼岸花を挿した幼女


霊夢side

 

 

 

 

 さっきまで目の前の吸血鬼に対してなんの感情も……強いて言うなら、殺されると恐怖を抱いた相手に対して、いきなり懐かしいと感じるのは、おかしなことだろうか?

 いや、明らかにおかしい。おかしいのだが、そのおかしさも、泣き出したくなるほどの懐かしさと嬉しさで、押しつぶされてしまった。

 どうやら隣の魔理沙もそう感じたようで、気づけば私と魔理沙は目の前の吸血鬼……いや、愛杉・アッサッスィーノ・スカーレットに抱きついていた。

 

「愛杉!」

「アッサ!」

「霊夢! 魔理沙!」

 

 抱き合っているうちに、様々な愛杉と過ごした記憶が蘇ってくる。その中に、愛杉の能力が暴走して倒そうとしていた記憶も混ざっていた。

 ……となると、今の愛杉はまずい状態なのではないか?

 

「ねぇ愛杉。もしかして、まだ能力が暴走してるとか……無いわよね?」

「えっ、うん。大丈夫だよ。暴走してるならとっくに霊夢と魔理沙は死んでるし。そのことについて詳しく話したいから、レミリアお姉様の帰りを待ちたいんだけど……」

「え、ええ。いいわよ」

「そういえば私たち死んだんだよなぁ……実感ってのがないなぁ」

「あ、あはは……魔理沙は相変わらずだね。取り敢えずありがとう」

 

 そう言って、愛杉は彼岸花が挿さっている髪を揺らすことなく突然振り返り、虚空に向かって、

 

「紫さんも出てきてください。あなたにも――いや、幻想郷の皆さんと話がしたいんですよ」

 

 そう告げた。すると、愛杉の後ろから、相も変わらず趣味の悪そうなスキマがすっと開く。そこから普段の不真面目でどこか胡散臭そうな雰囲気を一切消した、警戒した様子の紫がニョキっと生えてきた。

 

「気付いていたのね……まあ、好都合。私も末っ子ちゃんに話があるもの」

 

 紫は警戒を解くことなく、なんなら今にも愛杉を攻撃しそうなくらいの殺意を放っている。が、一切臆することなく、むしろ予測通りであったかのような余裕を見せる愛杉。

 

「とりあえず落ち着いてください、紫さん。カッカしてると、綺麗な顔も台無しですよ?」

 

 もはや挑発すらしている。少々余裕を持ちすぎでは無いかと不安にもなるが、愛杉が余裕を持って相手に接する時というのは、決まって本当に勝算がある時だけだったのを思い出す。

 

「……はぁ、なんだか疲れちゃったわ。いいわ、少しは警戒を解いてあげる。ただし末っ子ちゃんのことはずぅっと見てるわよ」

「いいですよ。それが身の潔白を証明するために必要ならば、喜んで」

 

 現に、あの八雲紫に対して白旗を上げさせたのだから凄い吸血鬼である。

 姉達も姉達で凄いのだが、なんと言うか、凄いの方向性が違う……気がする。

 

「それにしても挨拶抜きとは失礼ね、紫。いきなり出てきたと思ったら、愛杉とばっかり話してるんだもの」

「あら、霊夢もしかして嫉妬かしら?」

「そういうのじゃないわよ!」

 

 やっぱり紫には調子を狂わされる……が、なんだかその調子が狂わされることにすらひどく懐かしさを感じて、偶にはいいかもしれないと思っている私がいる。

 ……ただ、さすがに毎度の如く調子を狂わせられるのは、やっぱり勘弁願いたいが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アッサside

 

 

 

 

 

 

 こ、怖かったぁ……。紫さんが殺意をマシマシで出てきた時には、もうどうしようかと……。

 能力を使ってある程度殺意を弱らせたら、思ってた以上に話がトントン拍子で進んだのが僥倖だった。

 私のチャームポイントでもある彼岸花も、力なくしおれている。また後で妖力を注がないと……。

 あくまでも私の髪に挿さっている彼岸花は飾りである。しかし、枯れないようにと妖力を注いでるため、いつの間にか妖怪化していた。が、そこは問題ない。別に大した妖怪でもないし、ずっと私の髪に挿さっているままなので悪さはしない。そんなに私の髪って居心地いいのかな? 別に今までシャンプーとか気にしたことないんだけど。

 髪を洗う時だけは離れるのだが、その時や妖力を使い過ぎて、注いであげる分がなくなってしまったりすると枯れそうになる。それだけは注意ポイントだ。

 さてと、関係ない話を心の中でしちゃった。

 問題は……目の前にいる姉二人だった。

 さっきから、ずっと私に抱きついたまま泣いている。それも、かれこれ三、四時間くらい泣いている。あまりにも泣くものだから、私や周りの霊夢や魔理沙が慰めているのだが、それでも全然泣き止んでくれない……どうしよう。

 

「お、お姉様達、そろそろ――」

「いやよ! また、どっちかが死んだりして離れ離れになったら嫌なのよ! もう絶対にこの手を離さないわ!」

「そうだよ! 私だってまだまだアッサと一緒にいたかったのにっ!」

「……本当にずっとこの調子ね」

「涙って枯れないのか? ずっと出てるぞ?」

「末っ子ちゃんも愛されてるわね〜」

 

 紫さん? 羨ましいわぁ、うふふみたいな目で見ないでください。というか離してくださいよ貴方の能力で。私そろそろ離して欲しいんですよ。

 霊夢? 呆れてないで、お姉様達はがすの手伝ってよ。もはや顔にベッタリ面倒くさって書いてあるよね?

 それに魔理沙? 変なところで変な好奇心出さないで? このまま枯れてしまうんじゃね? みたいな感覚で観察しないで。

 

「お姉様達……、大丈夫だよ、もう能力は暴走しないから。もう離れ離れにならないからさ」

「ぐすっ、本当に?」

「フランお姉様、本当だよ? 大丈夫」

「本当に大丈夫なのね?」

「レミリアお姉様も、大丈夫だから。私を信じて」

「「うわぁぁん! アッサ〜ッ!!」」

 

 安心させるつもりがより泣き出してしまった……。えっ、どうすればよかったんですか私は。

 二人のこと好きだけど、そろそろウザったいって思っちゃうよ私? 思っていいの? いや、いいなら離れなくていいんだけど。

 そんな風に考えていたら、殺気が漏れていたのか、お姉様達がぱっと泣き止んだ。

 あ、最初っから殺意出せばよかったのか……ってそんな問題じゃない。姉に殺意出すとかヤバいって。

 案の定、お姉様達も不安そうな顔をしている。だ、大丈夫だってば……。

 

「お姉様達、大丈夫だよ。だから……」

「本当に?」

「うん、本当だよ」

「……なら私にキスしてよ」

「そうね、私にもキスして欲しいわね」

 

 お姉様達、本当に頭大丈夫かな? いきなりキス求めるとかあんまり無かったよね? いや、幼い時は確かによくあったけどさぁ……。

 ……まあいっか。

 

「じゃあいくよ?」

「うん。来て……」

 

 そう言って、フランお姉様の桜色の小さな唇に、そっと口を当てる。レミリアお姉様にも口が触れ合う程度の、短い口付けを交わした。

 は、恥ずかしい……。見物人もいるんですよ? 妖怪も混ざってますけど。

 

「恥ずかしがっちゃって……アッサは可愛いね」

「そういう所、私達は大好きよアッサ」

 

 わ、私はお姉様達とゆりゆりする為に戻ってきた訳じゃないよぉ……。まあでも、久しぶりだしいいのかな……って良くないって! 私は皆と仲良くするんじゃい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 少しして、紅魔館に沢山の妖怪らが集まった。

 綺羅星のごとく並ぶ、各勢力の長たち。その顔ぶれは、どれもとんでもない重鎮ばかりだった。

 

「コホン! えーっと……それでは私からお話させてもらいます」

 

 その中で説明したのは、私の能力のことが主だ。

 闇乘弌一護さんという人に出会ったこと。その人? との修行により、私の能力が暴走しなくなったこと。そして、その暴走させた犯人は現人神のタナトスであること。

 あまり深い内容までとはいかなかったが、それなりに濃い時間になった。

 それに当然、本当に能力は暴走しなくなったのかや、その闇乘弌一護さんが嘘をついている可能性があるんじゃないか等々。

 それらの質問に丁寧に答えていった。……まあ正直、闇乘弌一護さんが嘘をついている可能性は微粒子レベルで存在するんだけどね……。

 けど、あの時みせた真剣な表情は嘘をついていないはずだ。

 

「……ふぅ。では皆さん、これで質問は無いですか?」

 

 その問いに対して皆が頷いた。ふぃいー…、これでやっとみんなと和解できた……。良かったと胸を撫で下ろすと同時に、これからどうやって皆と仲良くなろうかと考え始めた。

 これからが本当に楽しみだ。そんな矢先、西行寺幽々子さんがとんでもないことを言い放ったのだった。

 

「また、春を集めようかしら」




どうでしょうか?
まあ、多分何も起きないでしょう()
それではまた次回。
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