リコリス・ラジアータ   作:暇を司りし神

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危うく、忘れるところでしたね。
そういえば皆さん、評価ありがとうございます。
それではどうぞ


強い

「やれやれ、こんなにもあっさりとみんなを倒すなんてねぇ……下手すりゃ私よりも強いんじゃない? 」

 

 そんなことを目の前の鬼…伊吹萃香さんはカラカラと笑いながら言う。しかしその目にはそんなことはないという強い目をしている。あの目をしている人は決まって強者だ、それも圧倒的な強者。

 ああいう瞳を私は何度も見てきた。それこそ過去の幽々子さん達やレミリアお姉様、それにフランお姉様、ついでに闇乘弌一護さんも、みんな強い意志の宿った双眸を持っていた。

 前者の人達からはとても長い間お世話になった人や実際に対峙した人もいる。後者は様々な特訓をつけてもらった。

 やはり、皆同じ目をしていた。そして眼前の伊吹萃香さんも同じ色を目に宿している。だからこそ、私は油断しない。

 それこそ、さっき霊夢に対してしか使っていない、本来の能力を使う気だ。

 

「……やるんですね?」

「そうじゃなきゃ私はこんな目をしてない……だろ?」

 

 それもそうかと心の中で同意した瞬間、ふいに僅かな痛みが体を走った。

 

「ッ!?」

 

 あまりに突然のことで、一瞬にして混乱状態に陥る。一体、今何が起きたのか。これは伊吹萃香さんの能力なのか?

 落ち着け……。さっき伊吹萃香さんは自分の能力を言っていたはず。密と疎……まさか

 

「そうだね、正解かな。私はさっき、私が放った弾を見えないほど薄くしたのさ。よくそこまで混乱しててその答えに辿り着けたね」

「貴女が能力を言わなかったら絶対に分からなかったですよ。知っててもここまで混乱したんですから……ね!」

 

 私はお返しと言わんがばかりに大量の大弾を放ったが全て避けられていく。

 たまに避けきれない弾があると、一瞬にして消えて避けていく。

 今はこうやって伊吹萃香さんに攻撃させないように牽制しているが、いつ攻撃されてもおかしくない。私は心のどこかでまだ能力を使うのははやいと思っている節がある。

 そもそも、いつ消えながら攻撃してくるかも分からない。でもこうやってうじうじ考えているよりも、体を動かして相手が攻撃してくることを無くさなければ。

 

「そうやって考えていると──」

 

 その言葉が聞こえた瞬間、私が予想していた最悪の攻撃をされた。

 

「ほらね?」

「卑怯にも程がありますよその技……。」

「技じゃないさ技術さ」

「似たようなものでしょ……。」

「ともかく、ここからが本番だよ?」

 

 伊吹萃香さんは目をギラギラさせてそういった。まずい、私が完全に不利だ。

 

「鬼符【ミッシングパワー】」

「ここに来て巨大化……ってうわぁぁ!!」

 

 巨大化したことにより、私は吹き飛ばされる。あれはあれで厄介だ。

 

「アダマスの鎌! せめて一撃でも入れてやる!」

 

 恐らく、巨大化したから遅くなる……なんて考えていたがそれは大きな間違いだったらしい。

 

「単調な動きだね……蹴っちゃお!」

「なっ……グェ!」

 

 まるで潰されたカエルのような声を出してしまったがそりゃあの巨体でさらに勢いのついた蹴りですよ? そんな声出しちゃいますって。

 

「誰に言い訳してるのか分からないけど、君このままだと……死ぬよ?」

「そんなの……分かってますよ。そろそろ本気でも出そうかなって思ってたんですよ」

「へぇ……ってあれ? 大きさが戻った?」

 

 私はとうとう奥の手を使った。そうだ、私の森羅万象を殺す程度の能力で萃香さんの能力を一時的に殺した、つまり封じたわけです。

 

「霧にもなれない……ってことは能力を使われたか…まあとはいえ──」

「グハァ?!」

「身体能力までは殺してないみたいだね。鬼と近しい力を持つ吸血鬼でも、この程度なのかな?」

「そんな……訳ない…でしょうがァァァアアア!!!」

 

 今入る力全てを拳にかけて、ぶん殴る。今まで全く手応えのなかったのが今初めて、手応えを感じた。しかし──

 

「いてて……中々やるじゃん。そのくらいで来て欲しいね」

 

 萃香さんには殆ど効いていなかった。私の全身全霊をかけた攻撃な筈なのに……なんてことだろうか。これが鬼の四天王の力とでもいうのだろうか?

 しかしこんなことでは諦めない。せめて半殺しまでには持っていきたいところだ。

 

「なら、殺るしかないじゃないですか……。そう思いますよね、伊吹萃香サン?」

「おっと……こりゃちょっと手強くなったかな?」

 

 私は殺意を少しだけ解放する。これで少しは力も上昇するだろう……とはいえ、感情による能力の上昇なんてたかが知れている。しかし、私は吸血鬼だ。人間の感情に任せた攻撃よりはマシになるだろう。

 

「サァテ、ここからが本番とでも言いましょうカ?

 殺意【壊れたカルミ】」

「さっきまでとは大違いだなぁ本当……って危なッ!?」

 

 私はスペルカード宣言をすると思いっきり萃香さんに向かって突進していく。もちろん周囲に弾幕をばら撒きながら。これはさながら──

 

「魔理沙の……なんだっけ? ブレイジングスターだっけ?それに似てるね」

「まあ、そんな所ですな。本家と違うのは……」

 

 萃香さんの頬を私のアダマスの鎌が掠める。

 

「鎌を振り回しながら突進していくってところ……デスね」

「こりゃ困ったもんだ……ね!」

 

 私の突進を素手で捕まえる萃香さん。しかし、それをすることによってアダマスの鎌が萃香さんを襲う。

 

「ぐぅぅ…かなり痛いもんだね……でも負けないからな!」

「サァテ、どうでしょウ?」

 

 捕まえているのもつかの間。少し経つとあまりの痛さゆえに離したらしい。

 

「結局そんなに耐えられませんでしたネ?」

「それかなり痛くてね……何で作られてるんだか」

 

 私もそんなことは知らない。しかしそんなことはどうでもいい。目の前の萃香さんを半殺しまでにしなくては

 

「殺意【450年分のランコーレ】」

「あーストップストップ、やめやめ。私の負けでいいよ」

「はい? なんでです?」

 

 突拍子のない提案に殺意もなくなり、普段の状態に戻る。

 

「なに、もう君の実力は分かったからね愛杉。君は十分に強い。そして何よりも、能力を自由に操れている」

「それってつまり……」

「あぁ、私達は君を歓迎するよ。愛杉・アッサッスィーノ・スカーレット」

 

 私は真の意味で幻想郷に迎え入れられた。




いやぁ……なんというかこういう若干のリョナ的要素ってのもいいものですね。
それではまた次回
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