「フランお姉様?! タ、タナトス……貴様ァ!!」
「あら、そちらが人を増やしてきたからそれを横取りした迄よ? まるで将棋ね。まぁ、抵抗力が強過ぎて意識も無意識も死なす羽目になったのだけどね」
「よくも……よくもぉ!!!」
感情に任せて大鎌を振りかぶった時、タナトスがフランお姉様を盾にするように後ろに隠れた。
「……っ!? き、汚いぞ!」
「だーかーらー、どっちの方が汚いって言うのよ? まぁあくまでも、その彼岸花が勝手にやった事だから、貴方を汚いって罵るのはお門違いかもしれないけれどね?」
「フランお姉様! 目を覚まして!! タナトスの言いなりになってはいけないです!!!」
「フラン君〜アッサ君を取っちゃうよ〜?」
一護さんがそう言った瞬間、フランお姉様は今までにないほどの速度で、一護さんに詰め寄る。
「わぁお、これ本当は生きてるんじゃないの?」
「フラン、憶えてるんでしょう? 死んではいないのでしょう?! 思い出してちょうだい!!」
フランside
ここはどこ……? 私はどうなってるの? さっき突然、タナトスに……ダメだ、この先を思い出そうとすると、頭に霧がかかる。
……? 向こう側が光っている。行ってみようかな?
【アッサ? アッサなの?! やっと会えたわ!】
〖えっと……レミリアお姉様? 何を言っているのかサッパリです〗
【アッサ? アッサ? どうしたのよ、早く喋ってよ?!】
これは……アッサが日本ってところから帰ってきた時の記憶? なんでこんなものが今更……? ま、まぁ折角だし見ていこうかな……。
〖えっと……これってもしかして英語?〗
【アッサが喋っている言語が分からないわね……取り敢えず、家に帰りましょう?】
【お姉様、ハンドシグナルで伝えましょう?】
【それがいいわね!】
この頃の私達、ハンドシグナルが下手ねぇ……アッサが困ってるじゃない。
まあでも少しだけ伝わってはいるみたいね……?
〖えっと……飛ぶってことかな?〗(手をバタバタさせる)
【可愛い……】(レミリアから鼻血が出る)
【お姉様?! ちょっアッサ、鼻血止めるの手伝って!】
〖あわわ……さ、さすがにこの状況なら私でもハンドシグナル無しでも分かりますよ。レミリアお姉様、フランお姉様!〗
はぁ……アッサは昔から可愛いわね。私まで鼻血出しちゃいそうよ? この時は大変だったわねぇ……なんせお姉様が鼻血を出したせいで、血が足りなくなったし。
それにしても私の姿は見えてるのかな?
「お〜い!」
試しに声をかけてみたけど……うん。誰も反応してないわね。ちょっと悲しいけど、声が届かないのはこれはこれで少しだけ楽だね。
〖えっと……ティッシュ、持ってきました!〗
【ありがとう! えっと……えい!】
〖鼻に直でいきましたねフランお姉様……〗
【うぅ、血が足りなくなってきたわ……誰か血を吸わせてくれないかしら?】
そういった途端に確かお姉様は──
【はむっ】
〖わぁ……知らない人の首から血を吸ってるよレミリアお姉様〗
【案外誰でもよかったりするのかな、お姉様】
【ぷはぁ。いや? 匂いで判断したわ、美味しいかどうか。まあまあね】
「何か言ってるっぽいけど聞こえないわねぇ……まぁいいけど」
確か叫んでいたような気もするけど……だからこそ、うるさいと思って聞こえないようになってるのかしら? そうしたら案外便利ねここも。
……というか、本当ここ何処なんだろう? 自分の頭の中なのかな?
〖そう、ここはフランお姉様の頭の中〗
「?! 私に話しかけてるの?」
【そうに決まってるわ。で、どんな部分を見たいの?】
「私は……ッ!」
【そう、流石は私ね。じゃあ行きましょう?】
「ええ、行く」
そう言って私達はアマゾンの奥地へと向かうのだった。
「ここは……あぁ、アッサを連れて帰ったあとね」
周りを見渡すと、まるで墓場のような寂れた場所に、赤い、紅い大きな屋敷が建っていた。そう、紅魔館だ。
【えっとここは、家……ですか?】
〖えぇそうよ。貴女のお家。それがこの紅魔館〗
〖まずは、お父様に会いに行こう? アッサ!〗
【えっと、分かりました。ついて行きます】
いつの間に、アッサは英語を。私とお姉様は日本語を習ったのかしら? あぁ、そうだわ。飛んで帰る前に、アッサは英語がどうのこうの言って、私達に英和辞典。アッサは和英辞典を買って、飛んで帰ってる時に読み込んでいたのだっけ?
よく分かるわね〜ってよく見たら辞典ガン見じゃん……やれやれね。
【中って凄く迷路みたいですね?】
〖まぁね……かなりの人間とかが入り浸っているからかしら?〗
〖お、お姉様……日本語の上達早いね!〗
〖まぁ、スカーレット家の名において、これ位は出来ないとね?〗
【わ、私出来損ないですかね……?】
〖とんでもない! よく喋れているわ〗
〖そうだよ! それに、アッサが出来損ないなら、私も出来損ないになっちゃうわよ?〗
〖フランお姉様……!〗
意外とこの時から優しいものね。まぁ、私ですしね! この位は当然よね!
〖それで、えっと……お父様に会うんでしたっけ?〗
〖そうね。最悪、私とフランで殺すかもしれないからよろしくね?〗
〖物騒ですね?!〗
〖しょうがない、アッサを三十年も日本に放置していたんだもの!〗
〖んー……なら納得?〗
アッサが小首をかしげてるわねぇ……可愛い! うん、アッサのさとりさんに対しての愛情が異常だと言ったけど、私も大概ね……しっかりしないと。
【……お父様、失礼します】
【いいだろう。入ってきなさい】
相変わらずムカつく声だなぁ……一回殺してあげようかな? いや、そんなことすると大変なことになりそうだから我慢我慢……。
【……! アッサか。どうだった日本は。お前でも簡単に支配出来ただろう?】
【……? どういうことですか、お父様?】
【その言い草……支配出来なかったのだな? この役立たずが!!!】
【ヒッ!! ご、ごめんなさい!】
【お父様! そんな言い方は──】
【うるさいぞ、レミリア! こいつは所詮出来損ないだ!】
【……お父様?】
【なんだ、フラン】
すっごい機嫌悪そうだなぁ……嫌な奴ね本当に。
【死んでください】(ニッコリ)
【なっ!】
でも私がそう、お父様に告げた後──。
〖いや、嫌ァァ!!!〗
【な、なん……だ…と】(バタッ)
【フラン?! 本当に殺ってしまったの?!】
【いや、私じゃないわ。恐らく……】
【アッ……サ? アッサがやったの?】
〖……またやってしまいましたか、私は〗
〖またって……前もこんなことが? 〗
〖……ええ。一番好きな人を、この手で。それでは、私はある人に会ってきますね〗
その言葉を最後にアッサは……アッサは、地下に自ら篭もり始めたのだったわね。
わかりにくいと思うので……〖〗が日本語。【】が英語ですね。
ていうか、本当に英語圏なのか……? ま、まぁ大丈夫でしょう(遠い目)
ではまた次回