モカ「へ〜」
「ねえ師匠〜相談相談〜」
「モカ? どうしたの」
「あのね……ヒソヒソ……」
リクがモカが自分から何が提案するのは珍しい事ではなかった。
リクとしては特に断る理由が無かったので断っていない。
ただ、今回はいつものような「あのジュースが飲みたい」とか、「あの花を見てから修行したい」という、修行を頑張る為の要求じゃなく、修行の内容の事だった。
課された課題に不満を言った事の無い彼女にしては、珍しかった。
「え?……コソコソ」
「そこをなんとか〜」
リクとモカが小さな声で会話をする。
誰にも聞かれないように、ひっそり、こっそり、秘密の会話。
別に聞かれて困る話ではなかったが、そこはモカの気分だった。
何となく、その方がいいと思ったから。
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今日は曇り空、雨が降るらしい。
今日は師匠とモカとの初めての修行の日、具体的にどんな修行をするかは聞かされてないが、自分からも修行を乞いた以上、遅れる訳にはいかないので早めに目的地に着くようにしたい。すくなくても5分前、10分前ぐらいが理想だろうか。
そう思い、折り畳み傘を持って、家を出た。
「あ、カイト〜」
「おーい、カイトーこっちー!」
「今行きまーす!」
GBNにログインしてすぐ、ロビーで2人が手を振りながら呼んでくる。
こちらも手を振り返していく。
「すまません。時間間違えましたか?」
「いや、約束の時間までまだ10分前あったから大丈夫だよ」
リクさんは優しい笑みを浮かべながら言葉を返してくる。
爽やかな系イケメンというか、正統派イケメンというか、何だろう……イケメンだった(語彙力消失)
彼女がいてもおかしくないが、そこら辺はリアルの事なので聞くのは憚られる。もっとも、アバターは自由に設定できるのだが。
GBNの魅力の一つに、アバター容姿がある。
本当に幅が広い。男女大人子供はもちろん、犬、猫、さらにはガンダムシリーズに出てくるロボット、ハロの姿にもなれる。
もしかしたら、ドラゴンとか、鳥とか、狼男だって居るのかもしれない。
「どうしたの? 何かついてる?」
じっとリクさんを見てたら、流石に気づかれたようで、リクさんは、自分の服に何かついてるのかと思ったのか、自分の服を何かを探すように見ている。
「あ、えっと……アバターよくできてるなーって……」
それっぽい事(実際そう思ってはいた)を言ってごまかす。流石に「イケメンだと思いました」なんて言うのは無いだろう。
「え? そうかな……俺のアバターほぼリアルだけど」
「いやリアルでガチのイケメンとは恐れ入った」
そうだったんだ……というかリアルに似せたアバターなんですね
「「逆になってる心の声と反応が逆になっちゃってるよ」」
GBNはリアルと同じような姿のアバターでログイン出来る。
特に容姿の設定などをしなかったら初ログイン時にランダムで服が選ばれ、リアルに似た姿でGBNを移動する事になると初ログイン時に注意書きに書いてあった。
リクさんもリアル寄りのアバターだったとは……まさかこんな所で顔面偏差値バトルが勃発するとは思わなかった(勝手に比べてるだけだった)
「わかる……わかるよ〜イケメンだよね師匠は〜……彼女も居るし優しい、ガンプラも出来る。この男すごいよ〜!さすがビルドダイバーズの義兄さん〜!」
「いやだからサラは彼女じゃないよ……」
「いんや! 姉さんと師匠はもう付き合ってるどころか同棲よ〜!」
「彼女も居るんだね師匠……」
「いや違うってば!?」
リクが顔を少し赤らめながら必死に反論する。年相応の話題とも言えるだろう恋バナは、修行の予定が削られながら1時間続いた。
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「だいたいモカ、サラと俺はそんな関係じゃないよ。そりゃ、仲良くできてるとは思うけど、そんなふうに見えるの?」
「うん、そう見えるって、マントを付けた白い仮面のアヴァロンの人が言ってたよ〜?」
「…………」
次の日、リクはGBN最強のダイバー、クジョウ・キョウヤに過去最高の善戦をしたのは別の話である。
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「そういえば修行って何をするんです?」
まだ修行の内容を聞いた事のなかったカイトが、今から何をするのか質問をする。
普通はもう少し前に修行を始める予定だったが想像以上に会話が荒野にそびえ立つエアーズロック以上の盛り上がりを見せてしまい、まだ何も知らずに取り敢えずリクとモカについて行っていた。
「いつもはモカと一対一で戦ってるんだけど、今回は、たまには他の相手と戦うのもいいかなって思って、ミッションの舞台の近くのここに来たんだ」
「それで宇宙に……」
「宇宙はいいよ〜。フワフワするんだ〜」
3人が来たのは、機動戦士ガンダムの、最終決戦の舞台、ア・バオア・クーを模したエリア。キノコのようなこの要塞の周りで戦う連戦ミッションを2人で受けてさせようと考えていた。
「連戦ミッション?」
「連戦ミッションって言うのは──」
連戦ミッション、簡単に言えばボスラッシュである。
途中の休憩を挟みつつ、敵を倒し、最後のボスを倒すとクリアである。
最終決戦には、デビルガンダムだったり、アルヴァトーレだったり、デストロイガンダムだったりと強敵が出てくる。
「このミッションを、モカと2人でやって欲しいと思って」
「なるほど……そういえばモカの機体って何?」
モカの機体、そういえば、まだ一度見た事のないと思い、モカの方を見る。
「……あれ?」
「あー……多分また道に迷ってる」
モカはもうそこには居なかった。
モカは方向音痴なだけでなく、気がつくとふらっとどこかに行ってしまう。
10分後に、タピってるモカを発見した。
「もう……どっかに行かないでよ……」
「えへへ……ごめん〜後でタピオカあげるから〜」
「いやさっきいっぱい食べた」
宇宙に浮きながら連戦ミッションの場所に向かうカイトのエクシアとモカのガンプラ。
モカの機体はRXー0.ユニコーンガンダムの3体目の兄弟、フェネクスの改造機だった。
背中に2枚装備されているサイコフレームが張り込まれた多機能兵装、アームド・アーマーDEが特徴的なこの機体に、G─アルケインのスカート型オプションユニットであるフルドレス・ユニットを装備されており、全身が金色から、黄色に塗装されていた。
「フェネクスにフルドレスをつけてるのか。かっこいいガンプラだね」
「フルドレスは[正装]って意味らしいんだ〜。これが私のGBNでの正装、
G─フェネクロス、フェネクスと服という意味のクロスを合わせた名前だろう。
「武装もいっぱいあるし、これなら連戦も楽勝〜」
「ふふっ……心強いね……道に迷わなかったら」
「そろそろ離して〜! 私蛾じゃないよ〜?」
「だって絶対すぐどっかに行くじゃん!!!」
G─フェネクロスの腕には、エクシアから伸ばされたケーブルが巻きついていた。
光る物を見たらZガンダム最終回のカミーユビダンぐらい気になってしまい、すぐ光に向かっていくモカの迷子を防ぐためである。
「そろそろ初戦の座標なんだからどっかに行かれると困るんだから……」
「カイト、なんだかママみたい〜」
「俺はママではない」
「あ! あとお姉ちゃんにも似てるな〜」
「あー、兄弟がいっぱいいるんだっけ?」
「そうなんだよ〜。この前ついに弟ができたんだ〜」
「おー、めでたいね」
モカはこの前まで末っ子だったらしいが、遂に弟が出来たらしい。
本当かは知らないが、兄弟は50人以上居るとか居ないとか。
「そういえばリクさんの彼女もお姉さんなんだっけ?」
「うん、1番上のお姉ちゃんなんだ〜師匠に弟子入りしたのも、お姉ちゃんがきっかけなんだ〜」
「へー……あ。そろそろ見えてきたね」
兄弟の話をしていると、目の前に透明な膜にドーム状に覆われた宙域が見えてきた。
ア・バオア・クーSフィールド、そこが今回の連戦ミッションの舞台。
「今回のミッション、すごく難しいらしいから気をつけていこ〜!」
「おー! ……何で仕切ってるの?」
「? ……流れ的に?」
「そんな流れだった……?」
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ドーム状の膜の中に入った2人、すぐにレーダー確認する。
すると、早速、2体の敵性反応があった。
「よーし早速来たな……一体何が……来……る……」
敵機が近づいてきて、その姿が見えてきた。
距離がかなりあるにもかかわらず見えるその巨体は、敵を威嚇するにはじゅうぶんな大きさだった。
「うわ〜デンドロビウムと……何あれ〜?」
「あれは……確かザクレロ……がザクを食べてる……えぇ……?」
敵として現れた2体の巨体は、大量の武装を持ち、動く武器庫とも表現できるであろう巨体の、ガンダム試作3号機、[わがままな美女]デンドロビウム。
そして、ジオンのMAザクレロが、上部にIフィールド発生装置とメガ粒子砲をつけて、口内にザクⅡを収納している、ザクレロ(GPBカスタム)だった。
その2体が、MGサイズで向かってきていた。
「見た限りデカイしすごい速いな……エクシアで接近して切るにしても……」
「ねぇ〜もしかしてザクレロ上の装備ってフィールド発生装置かな?」
「そうだね……多分そうだ……ビーム効かないね……」
「……もしかして私のフェネクロス、相性悪いかな〜……?」
フェネクロスの主な戦い方は、フルドレス、アームドアーマーED、ビームマグナムの三つでの射撃戦に特化していた。
モカが動くと迷子になるから後ろからのサポートをするというコンセプトのガンプラだったのだが、Iフィールドで三つ全てが効かなかった。
「「……まずいかも」〜……」
連戦ミッション[ビルドビギニング]
────1戦目、生き残る事ができるか……───
ザクレロが口にザクを入れてる姿、初めて見たとき驚きました。