散乱   作:とーしん

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遅れてしまった。

書くために1話と2話を見直したりすると、
「何でこんな事書いたんだ……?」
となる。

もういっそ変えようかなとすら考えましたね。変えないけど。


もう/私が居たから

「……凄い、これ、モカちゃんが作ったの?」

 

「どや〜」

 

 ログインしてからロビーで早速アキちゃんに会って、すこし話した後にミッションを受ける事になった。

 

 ミッションに行くためにハンガーに行ったら、アキちゃんはフェネクロスを褒めてくれた。

 

「いっぱい手伝って貰ったけど、ちゃんと私が作ったんだ〜!」

 

「やるねー、モカちゃん、ビルダーの才能あるかもよ」

 

「やった〜!」

 

 そう言った後もアキちゃんがフェネクロスを褒めていく。ここの塗装が綺麗とか、ヤスリがけもしっかりしているとか、ミキシングもうまくいってるとか。

 いっぱい褒められて、フェネクロスも嬉しそうに黄色の装甲を光らせる。

 

「フェネクロスも喜んでるよ〜」

 

「褒めた甲斐があったかな? ……よし、機体の確認も終わったしそろそろ行く?」

 

「うん〜! 確か、今日はいっぱいミッションやるんだよね〜!」

 

「そうそう。戦闘するミッションもあるけど、その時は私に任せて! これでも結構強いんだ、私」

 

 そう言ったアキちゃんは自分のストライクに視線を向ける。エールストライカーを装備して、肩にソードストライカーの対艦刀を付けているそのストライクは、どっしりと、金属の様に光りながらハンガーで佇んでいた。

 ストライクにきらりと照明の光が反射する。ストライクもやる気充分のようで、頼もしい限りだ。

 

「じゃあいこ〜! 楽しみだ〜!」

 

「うん! いっぱい楽しもう!」

 

 その言葉を合図にして、その日から、2人でいっぱい遊んだ。

 

 初めて受けたミッションはそれはもう楽しかった! 

 ベアッガイⅢに森から取ってきた赤ハロリンゴを渡すミッション、まさかバウンドドッグ、ガイアガンダム達との激しい縄張り争いに発展して、一族の存亡を賭けた戦争に発展するとは思わなかったが、並み居る敵をアキちゃんとストライクがバッタバッタとなぎ倒していく姿はまるで阿修羅みたいでかっこよかった。

 ボスとし現れた赤ハロリンゴを乗せたネオ・ジオングマも、見事にストライクが一刀両断、ミッションクリアの報酬としてリンゴジュース一回無料券を貰い、2人でベアッガイ証のリンゴジュースを飲んだ。あのリンゴジュースは凄く美味しかった。

 

 その次はガンプラレースに参加した、基本的には車でやるレースと変わらないが、時々ボール(ここで言うボールは丸い棺桶でお馴染みのボールではなく、バレーボールと言うスポーツで使うボールだった)が横からレース参加者に向かっきた。アキちゃんとストライクは、そのボールを繰り出してくる砲台の様な機械をバルカンで打ち抜きながら進んでいき、見事に3位に入賞した。

 私も、フェネクロスのスピードのおかげで、8位になる事ができた。

 そうやって何度も何度もミッションをしていくのは楽しかったし、その度に私の操縦技術も上がっていった。

 

 

「そっこだ〜!」

 

 フェネクロスのビームマグナムのエネルギーチャージが完了する。瞬間、ビームマグナムに一気にビームを吐き出させる。

 

 放たれた禍々しくも感じる赤のビームがリーオーを纏めて3機撃ち抜く。

 9回目のミッションにしてやっと、初めての敵機撃破だった。

 

「やった〜! 初撃破〜!」

 

「やるね! 私も負けられない!」

 

 そう言葉を紡ぐ間にも、両手にビームサーベルを掴んだエールストライクがすれ違うだけで、嵐の様な勢いでリーオー達を破壊していく。

 大群の中を突っ切り、ざっと50以上リーオーを倒したら急反転、今度はビームライフルから飛び出した光が蹂躙を始める。

『攻撃』を名前とするストライクだが、こんなに敵を薙ぎ倒すストライクは初めて見た。アニメで活躍していたストライクより激しい攻撃は、凶暴な鮫の様だった。

 

「お前でおしまい!」

 

 仲間が倒されて、一体だけ残ったひとりぼっちのリーオーの顔に、緑のビームが吸い込まれるように当たる。頭部を貫かれ、爆砕するリーオー。

 

 一呼吸おいて鳴り響いたバトル終了を知らせる電子音。

 リーオー100機を倒すミッション、私とフェネクロスが3機、アキちゃんとストライクが97機で合わせて100機。

 

「モカちゃんおつかれー!」

 

「おつかれ〜、やっぱりアキちゃん強いね〜」

 

「ふふ、ありがと」

 

「やり切った〜!」と言いそうな笑みでアキちゃんが言葉を放つ。こんなに明るく、人畜無害そうに笑っているけど、このミッションを2人で受ける前に、ザムザザー3機を単機撃破していたのを私は知っている。

 動きに無駄が少なくて、滑らかで、美しくて。

 何人か他のダイバーの戦いを見てきたが、その中でもアキちゃんの実力には目を見張る物があった。

 

「モカちゃんこそ上手くなって来たじゃん。ほら、初めて撃破したし、それも一気に3機も」

 

「うん! いや〜このまま上手くなっていつかアキちゃんの隣に立てるようにならないとね〜」

 

「あら、別に私を超えたっていいんだよ?」

 

 それはきついな〜と、苦笑する。アキちゃんは上位ランカー、まだ初めて2週間くらいの私ではいつになるか。

 

「アキちゃんの強さなら、あのチャンピオンも倒せるかもね〜!」

 

 GBN最上位ランカーであり、GBN1位の称号をいくつも持っている、ガンダムAGE系の機体を愛用している、GBNのサービス最初期から何年もチャンピオンの座を護り続けているダイバー、クジョウ・キョウヤ。

 彼と、彼の率いるフォース(軍隊という意味らしい)であるAVALON(アヴァロン)は、ランキングを見るといつも1番上に居る。

 だがもしかしたらアキちゃんなら勝てるかも──

 

「…………」

 

「……あれ?」

 

 アキちゃんが複雑そうな顔をしている。生身で龍に挑めと言われたような表情だった。

 

「……モカちゃん、それは無理かも……」

 

「……そりゃあ、チャンピオンって凄く強いんだろうけど……そこまで?」

 

「うん、アヴァロンの戦闘とか、見たことある?」

 

「一応……一回なら」

 

「なら今からオススメの動画を何個か見るね。……本当に強いんだ、チャンプも、チャンプの率いるアヴァロンも、私も足下に及ぶかどうか……」

 

 アキちゃんバトルが得意と自負していたのだが、そんなアキちゃんですら届かない人、どんな人なんだろうか。

 

「アキちゃんはチャンプと会った事あるの?」

 

「いや、動画とか、中継でしか見た事ないかなー。いつか会ってみたいな」

 

「私も気になってきたよ〜」

 

 いつか偶然会えたりしないだろうか、どんな人なんだろうか、そんな事を思いながらアキちゃんの前の映像を覗き見る。

 

「うわ──」

 

 GBNのチャンピオン、その戦いはヒロイックで、圧倒的だった。

 レジェンドガンダムのバックパックを引き裂いたり、グリモアがベースになっている改造機と激闘を繰り広げていた。

 大規模なフォースバトルでも、2対1の劣勢で負けてしまっていたが、中盤まで敵2機を圧倒していた。

 

「すご〜い……」

 

「勝率は確か9割なんだよね、チャンピオン……」

 

「ひえ〜9割……」

 

「この戦い以外全然負けて無いんだよ」

 

「もはや恐ろしいよ〜。よくこの2人は勝てたね〜」

 

 そう言って2つのガンプラを指差す。

 

 空色のダブルオーガンダムベースと機体と、赤い鬼のような機体、こっちは……だいぶ改造されているが、ガンダム試作2号機だろうか? 一目見れば、どちらも完成度が高いのがわかる。

 

「そっちのダブルオーは、フォースBUILD DIVERS(ビルドダイバーズ)のリーダー、リクのガンダムダブルオースカイ、こっちの機体はフォース百鬼(ひゃっき)のリーダー、オーガのガンダムGP-羅刹だね。どっちも最近どんどんGBNの上位に食い込んでいってる」

 

 BUILD DIVERSと百鬼、アキちゃんはこの二つのフォースも、尊敬が篭った声で話していた。

 きっとこの2チームもかなりの実力なんだろう。

 

「私もいつかフォース入りたいなー」

 

 アキちゃんがそうぼやきながら空を見上げる。フォースは確か2人でも1人でも組める、なら

 

「私と組めばいいじゃな〜い」

 

 フォースを組んで色んな人と戦う。それは私もGBNでやりたかった事だ。メイ姉さんだって、最近フォースの仲間と戦ってるそうだし、きっと楽しいに違いない。

 

「ふふっ、ありがとう。それもいいかも……いや、そうしよう!」

 

「じゃあじゃあ! 名前何にする?」

 

「その前に、モカちゃんのダイバーランク上げなきゃ、モカちゃん、今のランクじゃあフォース入れないよ?」

 

「え〜⁉︎早くあげる!」

 

「じゃあ、もうちょっとミッションやってく?」

 

「うん!」

 

 この言葉をきっかけに、もっと2人で居る時間が増えた。初めて出来た友達だった。色んな事を一緒に経験して、色んな事を笑って。

 そんな日々がしばらく続いていた。

 

 そんな時に、チャンピオンと一緒に戦う機会がやってきた。

 

 

 ───────────────────────

 

「実況で盛り上げたのはそういう事かよ!」

 

「いっちょみんなでクリアしようぜ!」

 

「特別ボーナス出るってマジ!?」

 

「不正アクセスは許さない!」

 

「サークルウィップ!」

 

「時空を越えての迷惑行為、マナー以前の問題だ!」

 

 星の数ほど居るように思える敵に、星の数より多く思える味方と立ち向かう。

 

「これぞ! 海のロマンだ!」

 

「大丈夫か!?」

 

「「ハード・インプロヴィゼーション!!!」」

 

 

 ここに居る全員が共に戦う知らない誰かを守って、一つの敵に立ち上がる。

 

 生配信されていた、近ごろ注目度が上がったていた動画でしか見れなかったミッション、そのミッションに、しかも最終決戦に、上位ランカーと一緒に、チャンピオンと一緒に戦える機会が来たのだ。

 2000万のダイバーが手を取り合って戦わない理由なんて、どこにもなかった。

 

「え〜い!」

 

「もらった!」

 

 かくいう私もその1人で、アキちゃんもその1人だった。

 次から次えと襲いくる黒いウィンダム、ドートレス、ダナジンに、地上には大量のブルートと目玉のような紫のもの。

 その一つ一つを、知らない誰かと肩を並べて倒していく。

 

「アキちゃん!」

 

「うん! 結構数多いね!」

 

 100万なんて余裕で越えていそうな数の暴力、紫のビームが向かってくるのを必死に避けるのでも大変だが、後ろから来る味方の攻撃にも気をつけなければならない。

 

「このままじゃまた押されちゃう〜!」

 

「最前線の人も頑張ってるし、こっちも頑張らなきゃ!」

 

 そんな会話も、飛んでくるビームの処理にかき消される。

 とにかく数が多くて余裕がないが、最前線の人達はたった今ボスと交戦中、その間、こちらも敵を抑えなければ、挟み撃ちにあってしまう。

 

「そこの奴ら! 手を貸すぜ!」

 

「あんた達だけに無茶させないよ!」

 

「! 、ありがとう〜!!」

 

 幸い、こちらも次々と援軍が来ている。

 これならまだ持ち堪える事が出来るが、それでも押されている敵の量には流石に運営にやり過ぎだと言いたくなる。

 

「何か手は──そうだ!」

 

 閃いた、というより、忘れていた。フェネクロスはユニコーンガンダムの兄弟を基に作成された機体だ、ならば当然、()()()使()()()

 

「NTーD、いっけ〜!」

 

 瞬間、フェネクロスの体が変化する。内側に隠されていたサイコフレームが露出され、紅く輝きを放つ。

 頭部アンテナが二つに割れ、ガンダムの顔──ではなく、私の顔が現れる。

 

「うぇ!? 何そのNTーD!?」

 

「ふふん! いっけ〜フェネクロス!」

 

 アキちゃんも思わず驚愕したようで、シバっちの感覚も当てになるものだな。なんて思いつつ、アームドアーマーを分離し、黒いウィンダム達の方向に飛ばす。

 

「……あれ?」

 

 飛ばす、筈だったアームドアーマーが一向に分離しない、いや、それどころか機体が操作を受け付けない。

 

「あれ? あれれ? 何で〜!? ()()()()()()()⁉︎」

 

「え……しまった! 不味い!」

 

 咄嗟にアキちゃんが私を抑えに掛かる。

 ストライクはビームを躱しつつ一瞬で距離を詰め、フェネクロスの肩を掴もうとする。

 その時、フェネクロスは赤い光に包まれる。

 そこからは()()()()

 

 気がつけばフェネクロスは一瞬でストライクの後ろに回り込んでいた。

 

「しまっ──!?」

 

 ほんの一瞬で、彼女はエールストライカーを外すという最適解を実行した。

 1秒も満たずに、エールストライカーはフェネクロスのその手で破壊される。

 

「うわ!? フェネクロスやめて!!!」

 

 必死に操縦桿を動かすがフェネクロスは何も聞かないで、アームドアーマーを飛ばす。

 

「やめてって! やめてよ!」

 

 二つのアームドアーマーは、それぞれ反対方向を向き、黄色のビームを放つ、黒い敵も、近くの味方も構わず乱れ撃つ。

 

「何してんだ!?」

 

「何!? フレンドリーファイア⁉︎」

 

「あのフェネクスか!」

 

 味方の出したファンネルに手をかざす。すると犬をしつけるようにファンネルに命令をし、周りのガンプラを攻撃していく。

 

「止まって! 止まって止まって!」

 

 NTーDを止めようとボタンを押す、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も。

 

「……なんで」

 

 なぜ止まらない、なぜか止まってくれない

 

「まだやりたいの……フェネクロスは」

 

 これじゃあ、仲間に迷惑だ、彼女に迷惑だ。

 早く止まってくれ、早く。

 

「ダメだよ止まってよ! 止まって!!!!!!!!!」

 

 そう言って、今までで1番強くコンソールを叩く。

 

「……あ」

 

 だんだん装甲がユニコーンモードに戻っていく。

 

 足が戻り

 腕が戻り

 顔が戻る

 

「やっと……止まった……?」

 

 赤い光が消えたフェネクロスは、同じ光で浮いていたアームドアーマーと一緒に地に落ちる。 

 

 

 安心して力が抜け、コックピットにへたり込む。

 空を見上げると、光の粒子が空へと登って行っていた。

 

 どうやら、ボスを倒してくれたようだった。

 

「──モカちゃん!」

 

「あ、アキちゃん!」

 

 気がつけば、後ろにはアキちゃんと少し傷の付いたストライクが居た。

 声色で、心配してくれた事がすぐに分かった。

 

「良かった、無事?」

 

「うん……えっとね」

 

 フェネクロスが立ち上がり、アキちゃんの方を向く。

 

「おいお前!」

 

 その瞬間、上から声がした。

 

 上を向くと、さっきまで近くに居て、私を助けてくれたダイバーだった。

 

「なんで仲間を撃ったんだよ! 一緒にあいつら倒してだじゃないか!?」

 

「え──えっとそれは……」

 

 怒っている。直ぐにそう理解できた。

 直ぐに謝らなきゃいけないのに、何と言って謝ればいいんだろう。

 怒られた事なんて初めてで。

 

「撃破スコアが欲しかったのか! 迷惑な事しやがって!」

 

「違う! この子はそんな事しません!」

 

 アキちゃんが反論する。

 自分は、早く何とか……

 

「周りを見てみろ! こんなに仲間を撃破して! なんて戦い方だ!」

 

「……ごめんなさい」

 

 周りにはさっきまで一緒に戦っていた人達のガンプラが転がっていた。

 助けに来てくれた人達、心配できてくれた人達、それなのに

 

「みんなで楽しんでたんだ! 邪魔しないでくれ!」

 

「……はい」

 

 そう言った後、その人はどこかへ去って行った。

 

「モカちゃん……」

 

 アキちゃんが何が言いたそうに声を出す、彼女にも迷惑をかけてしまった。

 私が居たから、こんな悲しい顔をさせてしまった。

 

「アキちゃん……私」

 

 足下が水で濡れている。目が曇って、自分の手もよく見えない。

 

「多分……一緒にいちゃだめ」

 

「そんな事!」

 

「また同じようなことをしちゃうかもしれない……」

 

 さっきのフェネクロス(わたし)はどんな風に見えてたんだろうか。

 

「私、当分、ここに来ない」

 

 ──きっと、悪魔の様だった

 

 

 

 

 

 

 

 




次回やっと弟子入りした理由とか書けそう
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