魔王学院の仮面ライダー ~傍若無人な仮面ライダー、始祖の学校でカメンライドする~ 作:たかきやや
淡々とした口調でミーシャは言う。
「魔王学院は次代の魔皇を育てる学院。魔王族だけが入学を許可される」
「これまで魔王族で魔王の適性がないと判断された者はいない。アノスは初めての不適合者」
「だから、噂になった」
「魔力測定は俺の魔力が大きすぎて計れなかったからわかるが、適性検査は満点のはずなんだがな」
「……自信がある……?」
「ああ」
と、二人の会話をBGMに、しばらくすると、遠くで鐘が鳴った。
「皆さん、席についてください」
顔を向けると。教室に入ってきたのは黒い法衣を纏った女性だった。
彼女は黒板に魔法で文字を書く。
――エミリア・ルードウェル――
「2組の担任を務めます、エミリアです。1年間よろしくお願いします」
―悲惨な結末を迎える人だ―
「早速ではありますが、まず初めに班分けをします。班リーダーになりたい人は立候補してください。ただし、これから教える魔法を使えることが条件になります」
―『魔王軍』の魔法陣か。ここは関係無いな。アノスの班に入るから―
と、俺はぼーっとアノスの活躍を眺めていた。
━━━━━━━━━━━━━━
「以上で全員の自己紹介が終わりました。それでは班リーダーに立候補していない生徒は、自分が良いと思ったリーダーのもとへ移動してください。まだよく知らないでしょうから、第一印象で構いません。班には人数制限がありませんので、大人数の班になることもあります。またいつでも班を変更することは可能です。ただし、班リーダーは班員を班に入れるかどうか選ぶことができます。また班員が一人もいなくなった場合、班リーダーは資格を失います」
「なあ、おい。どうする?」
「やっぱり、サーシャ様の班だろ」
「そうね。破滅の魔女って言ったら、混沌の世代でも有望株よ。彼女こそ転生した始祖に違いないって噂されてるもの」
「ええ、わたしもよく知ってるけど、とんでもない魔力と魔法の持ち主よ」
隣にいたミーシャが立ち上がる。
一瞬、サーシャの方へ視線をやり、次に無表情のままアノスを見た。
「姉のもとへ行きたいなら、行っていいぞ」
「アノスの班には俺がいる」
ふるふるとミーシャは首を振った。
「……アノスの班がいい……」
「そうか?」
「……ん……」
「それは助かる」
ほんの少し照れたようにミーシャは言う。
「……友達だから……」
「そうだな」
―さて、こっからは原作通りだし、読者を送るか―
と。俺はオーロラカーテンを開き、シーンを移す
~~~~~~~~~~~~~~
一週間後――
2組の生徒たちは、班別対抗試験のためデルゾゲード魔王学院の裏側にある魔樹の森へ来ていた。
薄気味悪さの漂う深い森が広がっており、渓谷や山が見える。その広大な土地は、魔法の訓練をするのにちょうどいい場所だ。
「それじゃ、二班に分かれて、早速班別対抗試験を始めます。最初は、サーシャ班」
エミリアがそう口にすると、サーシャが前に出る。
「皆さんにお手本を見せてあげてください」
「わかったわ」
ふっとサーシャが微笑する。
「じゃ、相手の班は……」
サーシャがアノスをじっと睨んでいる。
そんな顔をしなくとも、逃げるわけがないだろう。
「俺がやろう」
と、アノスが答え、俺とミーシャと一緒に前に出た。
「では、最初はサーシャ班とアノス班による班別対抗試験を行います。結果は成績に影響しますから、手を抜かず、しっかりやってください」
そう言って、エミリアは他の生徒をつれて森から出ていく。
監視は使い魔や大鏡を使って行う。
『魔王軍』の班別対抗試験は、言わば模擬戦争だからな。
「覚悟はいいかしら?」
『破滅の魔眼』で強気にサーシャが睨んでくる。
俺はそれを堂々と受けとめた。
「誰にものを言っている?」
「相変わらず、偉そうな奴だわ。ちゃんと約束は覚えてるわよね?」
「ああ」
「口約束じゃ信用できないわ」
と、サーシャはミーシャを指して
「その子にやらせなさい」
と言う。多分アノスに『契約』で変な事を割り込ませない為だろう。する意味が無いが
「……わたしでいい……?」
「ああ、別に誰がやっても問題ない」
ミーシャは手の平をかざし、『契約』の魔法陣を展開する。
魔法文字で条件を記すと、サーシャはそれに調印した。
両者の同意がない限りは、決して違えることのできない魔法契約が結ばれる。
「陣地はどちらがいいかしら?」
「好きに決めればいい。どこでも同じだ」
「そ。じゃ、東側をもらうわ」
必然的に、俺達の陣地は西側となる。
「ねえ。覚えてなさい。その傲慢な態度、後で後悔させてあげるわ」
ぷいっと振り返り、サーシャは班員たちを引き連れて、魔樹の森の東側へ去っていった。
「俺たちも行くか」
「……ん……」
「おう」
適当に歩き、森の西側に辿り着く。
そこでしばし待機した。
「さて、そろそろだな」
上空を飛ぶフクロウから、『思念通信』が送られてくる。
「それではサーシャ班、アノス班による班別対抗試験を開始します。始祖の名に恥じないよう、全力で敵を叩きのめしてくださいっ!!」
そう言えば『魔王軍』の説明がまだだったので、説明をしておこう。
『魔王軍』は集団を率いて戦う際、全体の戦闘能力を底上げするための軍勢魔法である。
術者とその配下には、七つのクラスというものが与えられる。
魔王。築城主。魔導士。治療士。召喚士。魔剣士。呪術師。
この七つにはそれぞれ魔法によって付与されるクラス特性が存在する。
このクラス特性を守る限り、集団での総合的な魔法力が向上するのが、『魔王軍』の魔法である。
術者は必ず魔王となり、配下の者たちに絶えず魔法効果を付与し続ける。また魔力を供給することも可能だ。
魔王キングが死亡、あるいは魔力が枯渇すると、当然のことながら『魔王軍』の魔法は維持することができず、魔法効果は消える。対抗試験は、この魔法効果が消えた方が負けだ。
「……作戦は……?」
ミーシャが淡々と尋ねてきた。
「といっても、三人だからな」
「それな」
サーシャ班はクラスの半数、ざっと十倍位はいる。
「二人の意見は?」
アノスに尋ねられると、無表情でミーシャは考え込む。
「……わたしのクラスは築城主。『創造建築』の魔法が得意……」
「俺は召喚士だから使い魔を呼び出す位かな?」
すでに『魔王軍』の魔法は使用済みだ。
配下にはクラスを自由に割り振ることができるので、俺は適当に召喚士を選択した。
理由は、〝アレ〟の力を使うからだ。
「で魔王城を建築する。魔王城は加護により魔王の能力が底上げされる。籠城には有利」
「更に、使い魔を配置して、相手の戦力を分散させる事も出来るから、ますます籠城が有利になる」
と、提案すると、アノスは
「だが、たぶんサーシャはそう来るだろうと読んでるぞ」
―うん。知ってた―
「……じゃ、どうする……?」
まあ、正直な話、戦術は考えるだけ無駄だ。なにをどうやったところで、アノスも俺も負けるわけがないのだからな。
取りあえずここらで活躍したいから俺は手を上げて作戦を提案する。
「アノス。俺が単独で攻めに行くのはどうだ?正直言って、それで勝てると思うけど?」
「ふむ。だが召喚士ではクラス特性上、攻撃魔法が弱体化しているぞ?」
「大丈夫だ。問題無い」
「何か手があるのか?」
「ああ!」
そう堂々と答えると
「そうか。なら任せた」
「おう!それと使い魔は置いて行くから」
そう言って俺は体内の『アナザーディケイドライドウォッチ』の力で、リュウガ、ダークカブト、ネガ電王、ゲンム、メタルビルドの五体のネガライダーを召喚し、城の警護を任せる。
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
「楽しんで来るがいい」
「おう!」
そう言って俺はオーロラカーテンで、サーシャの城の前に出る。