壁型ネウロイが上空から降ってきたことも含めて、どうもまだネウロイにも隠し玉がありそうな…宮藤のリタイアも含めて、ここからどうやって巻き返すのか大いに楽しみですね。あのラーテと思わしき2砲の新兵器がどう活躍するのか…そして震電に出番はあるのか。
では本編をどうぞ。ちょっと長くなりそうだったので分けました
「しゅぴ~…しゅぴ~…zzz」
その日、フランチェスカ・ルッキーニはどうやって登ったのか屋根の上で日課のシエスタ…要はサボって昼寝をしていた。ミーナと坂本はロンドンに定例報告、付き添いという名目で妹の見舞いのためにバルクホルンも同行していた。年長者3人の不在により最も階級が上ということで基地の責任者を任されたシャーリーは書類そっちのけで趣味の機械いじりに没頭し、専門知識のあるペリーヌと計算が出来るという理由で昴がそのツケを支払わされていた。宮藤とリーネは格納庫にて弾薬の装填と銃器の整備、サーニャとエイラは夜間哨戒に備えて就寝中。…夜間でもないエーリカも未だに爆睡。つまるところ、現在基地はいつになく静かな状態であり誰も咎める者が居ない状態であった。
「…!…!」
「…むにゅ?」
猫のように器用に屋根の縁で寝転がっていたルッキーニは、真下から聞こえてきたか細い声にふと目を覚ます。そして徐に下を覗き込むと…明らかに基地の関係者では無い、不審者を発見した。
本来なら軍人としてその存在を警戒し、場合によっては力尽くで制圧することが正しい反応である。…しかしてその不審者から全く敵意を感じなかったのか、それとも不審者の出で立ちが余りにも珍妙であったからか…それを視認したルッキーニの感情を支配したのは
「…うきゃー!なんか居るー!!」
純然たる『興味』であった。
「ニャぁぁ…探している間に変なところに来ちゃったのニャ。どう見てもニンゲンの住むところニャ、こんなところに居るはず無いのにどうしてここに入って来ちゃったんだニャ、ボクは…」
一方不審者の方はというと、自分が見つかっていることに気づかずとぼとぼと人気の無い物陰を歩いていた。
「…いいや、気落ちするんじゃないニャボク!ボクは皆からラッキー・ボーイと呼ばれたオスニャ!そのボクの勘がここに連れてきたのなら、ここに何かきっと手がかりが…」
「…ステンバーイ…ステンバーイ…」
そんな不審者の頭上に忍び寄る、一匹の黒猫。
「…ニャ!?な、なんニャこの悪寒は…?何かに見られているようニャ…?」
不審者がその気配に気づいたときには、既に遅い。
「…Go!」
「ニャ…?」
上を見上げた不審者の視界いっぱいに飛び込んできたのは、大の字で落下してきた黒猫…もといルッキーニであった。
ガッシ!
「捕まえたー!!」
「ミ゛ャー!!?なんニャなんニャ!?ギギネブラかニャ!?ケチャワチャかニャ!?トビカガチかニャ!?なんでもいいから助けてニャー!!」
「…なんだ、今の声?」
「岩城さんも聞こえましたの?ルッキーニさんの声は分かりましたけど、もう一つの方は聞き覚えの無い声でしたわね…」
不審者の悲痛な叫び声は基地中に響き渡り、執務室で書類と格闘していた昴達にも届いたのだった。
「よく聞こえなかったが…どうもルッキーニが何か捕まえたみたいだな。あのテンションからして虫とかじゃなさそうだが…まさかスパイか?」
「そんな感じではなさそうでしたけれど…とにかく行ってみましょう」
執務室を出てルッキーニの元へ向かおうとすると、同じ声を聞いたのかシャーリーやサーニャ達も同じ方向へと向かってきていた。
「あら、シャーリーさんはともかくサーニャさん達もお目覚めですの?…ついでにハルトマンさんも」
「ついでで悪かったね…。あんな大きな声聞けば流石に起きるよ、なんか変な声だったし…」
「…ルッキーニちゃんは基地の裏に居るみたいです。それと…一緒に知らない気配が一つあります」
「どこの誰かは知らねーけど、サーニャの安眠を妨害したことを後悔させてやるかんナ!」
サーニャのナビに従い基地裏へとやって来た一同。…しかし、そこで目撃したのは思いも寄らない光景であった。
「うじゅじゅ~♪モフモフ、フカフカ、可愛いな~♡」
「に、ニャァァ~…そ、そんなとこ撫でちゃ…ニャふぅぅ~ん…」
ルッキーニに撫で繰り回されて恍惚とした声を上げているのは、毛皮で出来たベストを着た真っ白な毛並みの大きな猫であった。…そう、猫が服を着て喋っていたのである。
「…ね、猫が喋ってますわ!?…可愛いですけど」
「しかも服着てるよ…まさか化け猫?…可愛いけど」
「も、もしかして使い魔なんでしょうか?…可愛いですね」
「でも、野良の使い魔がこんなところに居る?…可愛いけども」
「ケット・シーかもしんないゾ。猫の王国から出てきたのかも…ちょっと可愛いナ」
「…可愛い。ルッキーニちゃんいいな…」
とりあえず可愛いという認識だけは共通しつつも困惑する一同の中で、昴だけが別の驚きを感じていた。
「服を着て、喋る猫……もしかして、お前…『アイルー』なのか?」
「アイルー?」
「…ニャ!?ニンゲンのお兄さん、ボクのこと知ってるのかニャ?」
「あ、ああ…まあな。会うのは俺も初めてだが…」
「スバル、アイルーって何?こいつ猫じゃ無いの?」
「ああ…こいつは一見ただの猫にしか見えないが、アイルーという種族の生き物でな。人間並みの知能を有していて、こんな風に人の言葉を喋ることも出来る。バルファルクからかつて存在していたとは聞いていたけど…まさか現代まで生き残っていたとは思わなかったよ」
「…やっぱりケット・シーなんじゃないカ?」
「妖精とは違うんだが…まあそんなもんと思ってくれればいいよ。俺も正直よく分かんねえし…ルッキーニ、そろそろ離してやってくれ。じゃないと話が進まん」
「うじゅ…しょうがないなぁ」
驚く皆の視線を浴びながら、アイルーはルッキーニから解放されると立ち上がって咳払いをして話し出した。
「ニャホン!…ボクのことを知ってる人が居てくれて良かったニャ。その人が言ったとおり、ボクは誇り高きアイルー一族の末裔ですニャ!仲間からは『ラッキー』って呼ばれてるニャ。理由は何かとツイてるからニャ」
「…めっちゃ流暢に共通語喋ってるよ。人間並みの知能ってのはマジみたいだな」
「今の時代で生き残るためにはニンゲンの言葉くらい喋れないとどうにもならないんですニャ。…ところで、そのお兄さんはさっきバルファルクって言ってたけど、伝説の古龍の名前を知ってるなんて…もしかしてお兄さんは『ハンターさん』なんですかニャ?」
「ハンター…狩人?」
「…うん、まあ…遠からずもってトコかな。俺だけじゃ無く、この場の全員がハンターみたいなもんさ。ネウロイ専門のな」
「ネウロイ…ああ、あの黒いバケモノのことですかニャ。ボクたちもアイツらには酷い目に遭わされたニャ。アイツらさえいなければボクたちももっと静かに暮らせていたんですけどニャ…」
「…貴方も、ネウロイに故郷を追われたのですね。大変だったでしょうに…」
このアイルーもネウロイの被害者であることを知ったことで、皆が僅かに抱いていた警戒心も完全に薄れていった。
「…それで、なんでお前こんな所にいるんダヨ?ここは軍の施設だから他の連中に見つかったら只じゃ済まなかったゾ」
「あ…そうでしたニャ!実はボク、一緒に逃げてきたトモダチを探しているんですニャ!昨日ご飯を探しに出かけて、夕方になっても帰ってこなかったからボクが探しに出たんですニャ。それで探している内にここに迷い込んじゃったんですニャ…」
「友達?まだ他にもアイルーがこの辺りにいるのか?」
「あ、違いますニャ。トモダチっていうのはアイルーじゃないんですニャ」
「え?」
「ボクが探しているトモダチは…」
☆以下のクエストを受注しました
・クエスト名 ボクのトモダチを探してニャ!
・依頼主 流浪のアイルー ラッキー
・依頼内容 ???の発見
・狩猟環境 安定
・報酬 ???
・欧州から一緒に逃げてきたトモダチが帰ってこないのニャ!ニンゲンに見つかったら大変なことになるのニャ!お願いだから一緒に探して欲しいのニャ~!
「…お~い!ラッキーちゃんの友達さーん!探してますよー!…どこに居るんですか~?}
その後、ラッキーからトモダチのことを聞いた501の面々は放っておけば騒動になると危惧したことでトモダチ探しを手伝うこととなった。ラッキーの『この辺りに絶対に居るはず』という勘と、情報からその正体を察した昴の指示で、皆は手分けして基地周辺を捜索し、昴は上空から手がかりを探すことになった。そんな中で宮藤は基地から最寄りの集落方面へと続く道へと出て、呼び掛けながら注意深く辺りを見渡していた。
「う~ん…見つからない。岩城さんは見ればすぐに分るって言ってたけど、ホントにそんなのあるのかな……ん?」
ふと宮藤の耳に、どこからか子供の声が聞こえてくる。気になって声のする方向へと歩いていくと…
「…おい、見ろよコレ。こんなの昨日まで無かったはずだぜ」
「ホントだ!しかも触ると暖かいよ。面白いなぁ~、皆にも教えてあげようよ」
数人に子供たちが取り囲んでいたのは、高さ3メートルほどの『大きな岩』であった。街道の近くである為に整備されている筈の土地に不自然な存在感と子供たちの発言から、宮藤はその岩の『正体』をすぐに察した。
「あ…アレだーッ!」
思わず声を上げながら宮藤は大急ぎで子供たちの方へと走っていく。今はまだ我慢しているようだが、これ以上子供たちが騒ぎ立てれば大変なことになりかねない。
「ね、ねえ君たち!ちょっとその岩から離れてくれないかな?」
「え?お姉さん誰……って、ウィッチ!?」
「え…あ!?」
子供たちに指をさされて、宮藤は知らぬ間に耳と尻尾が出ていたことに気が付いた。どうやら声を聴き取ろうと意識したことで無意識に耳が出てきてしまったらしい。
「もしかしてお姉ちゃん、501のウィッチなの?」
「あ、うん…扶桑海軍の宮藤芳佳っていうの。一応軍曹なんだけど…」
「扶桑!…ってことはサムライのことも知ってるの?」
「サムライ…坂本さんのこと?うん、私をここに連れてきてくれたのは坂本さんだから」
「じゃあさ、じゃあさ!サムライのサインって貰えたり出来るかな?僕の家族、皆サムライのファンなんだ!サインもらえたら絶対喜ぶ筈だからさ!」
「あ、ズルいぞ!じゃあ俺はリトヴャク中尉のサインがいい!」
「俺ハルトマン中尉!カールスラント4強で一番強いんだから!」
「ぼ、僕は…クロステルマン少尉のがいいなぁ…」
「え、ええ…聞いてみないと分かんないけど、一応…頼んではみるよ」
「「「「やったー!じゃあ明日取りに来るねー、皆に自慢するぞー!!」」」」
子供特有の嵐のような勢いに気圧される宮藤はロクに考えぬまま頷いてしまい、それを見た子供たちはさっきまで興味津々だった岩のことなど忘れて集落へと走り去っていった。
「…行っちゃった。思わず返事しちゃったけど、サインとかって軍機的に大丈夫なのかな…?…でも、今はそれよりも…」
子供たちが完全に見えなくなり、辺りにもう他に人がいないことを確認した後、宮藤は目の前の岩に声をかける。
「…ねえ、私の言葉分かるかな?ラッキーちゃんに頼まれてあなたを探しに来たの。連れて行ってあげるから、一緒に来てくれないかな?」
応える者は、何もない。
「えっと…あ、そうだ!確かこれを使えって言われてたんだっけ」
宮藤が取り出したのは、掌サイズの角笛だった。ラッキーが『近くに居ると思ったら吹いてみてニャ』…と言って皆に貸してくれたものである。
♪~♪~…
アイルー用の為吹きづらいこともあって宮藤が慣れない息遣いで一生懸命に角笛を吹いていると…
ググッ…ゴゴゴゴゴッ…!
宮藤の眼前にあった岩が揺れ動き、やがて音を立ててして土の中から競りあがってきた。…角笛の音色に反応したそれは岩ではなく、見慣れぬ場所で帰り路が分からなくなって岩に擬態して隠れていただけの生物だったのだ。
表面のあちこちに貼りついた苔むした岩石と見分けがつかない、ゴツゴツとした重厚感のある甲殻。
短い脚と尻尾は可愛らしいが、直撃しようものなら戦車であろうとひっくり返すパワーを秘めている。
そして体の側面から生えた鳥とも蝙蝠とも違う翼は、その生き物が超常の存在…今はまだ飛べずとも『
思ったよりも大きく、迫力のある図体に腰が引けつつも、宮藤は精いっぱい優しい声音で再度話しかける。
「…あ、あなたがラッキーちゃんのトモダチ…なんだよね?ラッキーちゃんが待ってるから…一緒に来てくれる…かな?」
『…グァァァァ』
最初こそ人間の存在に警戒していたが、目の前の人間から聞こえるいつも聞きなれた角笛の音と、何より一切の敵意を感じない宮藤を信用して了承の唸り声を上げるその存在こそ、ラッキーが探していたトモダチ…『岩竜バサルモス』なのであった。
記念すべき初登場モンスターは飛竜のアイドル、バサルモスでした。ほどほどのモンスターとなるとこの辺が妥当と思ったので。…ちなみに今作ではハンターだけでなくライダー要素もあります。誰がどのオトモンと契約するのかもお楽しみに…パートナーの相性は超絶バッチリですぜ。
あとその内今作の根幹となる設定話を掲載する予定です。この世界におけるモンスターの成り立ちや何故バルファルクやイヴェルカーナたちが使い魔となったのか、そしてラスボス候補であるモンスターなどネタバレ要素満載なので読む際はご注意を。…読みたい人いるのかな?