ダンロンの方も続きかきたいけど中々筆が…せっかくジョジョリオンが面白い展開になってきたのに。…ディケイド、買うか…?
愚痴ってすんません、ではどうぞ
ウゥゥゥー…!
とある日、今日も今日とて501部隊はブリタニア本土に迫るネウロイの出現により出動していた。…正確には今回も昴がいち早く察知して警報が鳴る頃には交戦していたのだが。
今回出現したのは円盤状の翼を有した戦闘機タイプのネウロイで、スピードを維持したまま縦横に広範囲を軽やかに飛行し、ビームだけでなく主翼下に装填されたロケット弾による一撃も備えた強力なネウロイであり、501といえどそう簡単には倒せない相手であった。
…今までであれば。
「…そこッ!」
カンッ
ドガァァンッ!
リーネの対装甲ライフルが火を噴き、今まさに発射されようとしていたネウロイのロケット弾の信管部分に弾丸が着弾し、爆発させる。爆発に巻き込まれた主翼の一部が砕け散り、ネウロイがバランスを崩してスピードを落とす。
「やった!凄いよリーネちゃん!」
「よくやったぞリーネ!」
「フゥ……はい!」
宮藤と坂本の称賛に、極限の集中から解放されたリーネが遅れながら返事する。アイルーたちの食事が齎すバフの恩恵は、リーネに数km離れたネウロイのコアを正確に狙撃出来る集中力と魔法力を与えていた。
リーネだけでなく、他の隊員たちも固有魔法やシールドの強化、長時間のネウロイとの交戦にも耐え得る体力などのバフにより、これまでであれば苦戦したであろうネウロイ相手であっても対応できる能力を会得していたのだ。
「決めろハルトマン、岩城!」
「了解!スバル、アレで決めるよ!」
「アレか…よっしゃ任せろ!」
エーリカと昴が主翼を再生中のネウロイが放つビームを掻い潜りながら真上に飛び上がる。
「『
エーリカが真下のネウロイめがけてシュトゥルムを放つ。吹き荒れる烈風が竜巻となり、その中心に閉じ込められたネウロイの逃げ道を塞ぐ。退路を求めたネウロイが唯一風のない上へ向かおうとするが…そこに迫るのは、一筋の真紅の流星。
「フライトブラストォォォッ!!」
エーリカよりもはるか上空にまで上昇していた昴が、エーリカの生み出した竜巻の中心目掛けて翼脚の先端を槍のように突き出して吶喊する。溢れる龍気はまるでオーラのように昴を包み込み、ほぼ垂直落下しているその速度は音速を超える。ただでさえ回避が困難な上に周囲を竜巻に囲まれたネウロイに出来るのは、真上に飛んで死期を早めるか苦手な海に突っ込むという選択肢のみ。そこは天からの断罪を執行する為の暴風の檻であったのだ。
バキィィンッ!!
聞いたことが無いような音を立ててネウロイのボディに大きな風穴が空く。戦艦すら轟沈させると自負する昴の必殺技はネウロイのボディの大部分をコアごと粉砕し、残った残骸も虚しく砕け散った後に竜巻に巻き上げられて霧散していったのだった。
「…やれやれ、我々の出番は無かったみたいだな少佐」
張り切って出撃したが、良いところを全部持ってかれて手持ち無沙汰だったバルクホルンが同じく指示以外の出番が無かった坂本に苦笑しながら話しかける。
「ああ。…グランマたちの食事による恩恵があるとはいえ、宮藤やリーネも確実に強くなっている。ハルトマンと岩城は言わずもながだがな。いずれ私が同伴せずとも一人前のウィッチとして戦えるようになるだろう」
物足りないと思いつつも安心したような坂本の視線の先では、今回ネウロイの攻撃のほぼ全てをシールドで受け切った宮藤がリーネと手を取り合って喜び、コンビネーションが上手く行ったエーリカと昴がハイタッチで笑い合っている。
「…まだ内輪の話ではあるが、ここ最近の我々の戦果を受けて司令部も本格的なガリア奪還作戦の準備を進めているという。ネウロイ側の出方次第ではあるが…今年度中には具体的な作戦内容が公表されるだろうな」
「本当か少佐!?…ならばこうしてはいられんな、作戦が滞りなく進むよう我々も訓練とネウロイの撃退により一層奮励努力せねば!おいお前たち、そろそろ帰投するぞ!」
待ちに待った逆侵攻作戦の予感に昂揚を隠せないバルクホルンが宮藤たちに帰投指示を下しに行くのを見やりながら、坂本は手にした刀に目を落とす。…今回の戦闘において、坂本は殆ど戦闘に加わっていない。指示に徹していたことや手を貸す必要が無かったのもあるが…何より坂本自身が『感づかれてしまう』のを用心したからであった。食事による恩恵があっても…否、あったからこそ自覚せざるを得なくなってしまったが故に。
「…そうだ、もう時間がない。ガリア奪還…いや、その先の戦いまでなんとしてでも力を維持しなければ。まだ私は…戦場を去るわけにはいかないんだ…ッ!」
基地へと帰投する道中、水平線の向こうに基地が見えてきた辺りで昴が何かを見つける。
「…ん?」
「どうしたんですか岩城さん?」
「いや…波止場に見知らぬ男が立ってるんだ。服装からして扶桑海軍みたいなんだが、少佐何か聞いてます?」
「む…ああ、もう着いていたのか。心配するな、そいつはおそらく私の従兵だ。今日あたり基地に来るだろうと聞いていたんでな」
「あ、もしかして土方さんですか?」
「ああ。前に宮藤が質のいい醤油や味噌がなかなか手に入らないと言っていただろう?だから土方に色々と持ってきて貰うよう手配していたんだ」
「わあ!嬉しいです、先生たちもきっと喜びますよ!」
やがて宮藤たちも視認可能な距離まで近づくと、坂本の言った通り波止場に直立不動で立っていたのは扶桑皇国海軍の『土方圭助』二等水兵…坂本の従兵であり宮藤を坂本と共にスカウトしたその人であった。土方は坂本達を視認すると格納庫に入るまで敬礼をしたまま見送り、着陸が済んだところに駆け足で向かってきた。
「坂本少佐、お帰りなさい!皆さんもお疲れ様です!」
「ああ。土方もよく来た、無理な頼みを聞いて貰って済まないな」
「いえ、少佐のご命令とあれば!頼まれていた物資は既にミーナ中佐に受け渡しが済んでいます」
姿勢正しく改めて敬礼をした土方はよく通る声を張り上げて坂本たちを迎える。その態度には一切の迷いがなく、心から坂本に、ウィッチ達に対して敬意を抱いていることを感じさせる。
「土方さん、お久しぶりです!」
「宮藤さん、お元気そうでなによりです。少しはこちらの環境にも慣れたでしょうか?」
「はい、まだ戦うことは苦手ですけど…皆さんに良くして貰ってますので、なんとか頑張ってます!」
「そうですか。それは何よりです」
「…よ、ちょっといいかい?」
「む…ッ、貴方は…」
「初めまして…かな。話は聞いてるぜ、少佐の従兵の土方さんだよな。俺は岩城昴、色々あって今501の世話になってるもんだ」
「…!では、貴方が凶星と呼ばれていた…」
「ああ、軍じゃそっちの方が有名か。…良い噂か悪い噂かは知らないがな」
「いえ…こうしてお会いできて光栄です」
「そんな大したもんじゃないんだが…まあ、同じネウロイと戦う男同士だ。軍紀云々は抜きに仲良くしてくれると嬉しいぜ」
「は…」
同性同士ということで気楽に話しかけた昴に対し、土方は先ほどまで朗らかに接していた宮藤と打って変わって何処か苦々しい雰囲気で応対していた。
「…?土方、どうした…」
ぐぅぅう~…
腹心の様子に違和感を覚えた坂本であったが、エーリカの腹の虫がその問いかけを掻き消してしまった。
「…ねぇ~、お腹減ったー!もうすぐお昼だしご飯食べに行こうよぉ~!」
「こらハルトマン!気を抜き過ぎだぞ、食事の前に今日の反省をだな…」
「…まあ、そう言うなバルクホルン。確かにいい時間ではあるし、他の皆を待たせるのも悪いから食堂に行くとしよう。土方、折角だからお前も食べていくといい」
「は…ですが自分は…」
「別に気にしなくたっていいって~。それより早く行こ~」
「まったく…土方二等兵、そう遠慮するな。扶桑に戻るまでどんなに急いでも1ヵ月はかかるだろう、偶には旨いものを食べて精をつけておけ。食事も大切な訓練の内だぞ」
「そうですよ!先生たちのご飯はすっごく美味しいんですよ」
「…では、ご相伴に預からせてもらいます」
「うむ!扶桑男児たるもの素直なことも美徳だぞ。では行くとしよう」
「はい!」
「今日はエリーゼん所から鮭がいっぱい届いてたからな。焼き鮭かちゃんちゃん焼きか迷うところだぜ…」
「…ところで、先ほど宮藤さんが言った『先生』というのは?この基地の食事は皆さんの持ち回りだった筈では…?」
「ああ、それはですね…」
その後、戦闘後の報告も兼ねて
「…ご馳走様でした。大変美味しかったです、ミス・グランマ」
「あらあら、礼儀正しい子ね。ありがとうねぇ」
坂本に勧められるまま久しぶりの白米と鮭料理をたらふく味わった土方は、食後のお茶を配って回っているグランマに手を合わせて感謝を述べる。
「うむ!いい食いっぷりだったぞ土方、男児足るものそうこなくてはな!」
「は…しかし、驚きました。アイルー族…といいましたか、このような方々が居られるとは思ってもいませんでした」
「ハッハッハ!まあ驚くのも無理もない、失礼だが私とて初見の時は目を疑ったものだからな」
坂本たちと共に食堂へと入った土方であったが、厨房にて人間の宮藤や昴が手伝いに回ってしまう程の熟練の業で料理を作るグランマ一家や整備班の男衆の弁当を受け取りに来たアイルーたちが忙しなく駆け回る光景を目の当たりにし、思わず固まってしまったのであった。
「…ですが、皆さんが彼らのことを内密にする理由は分かります。魔法力を持たない自分ですら、明らかに体の調子が良くなっているのを感じます…!もしミス・グランマたちの料理のことが明るみに出れば、各部隊で…いや、国家レベルでの争奪戦が起きても不思議ではないでしょう」
「そうだな…。料理だけではなく、アイルー族そのものがウィッチのみならず軍隊にとって至宝のようなものだ。人間と同レベルの意思疎通が出来、手先も器用で知能も高く、その上でそれこそ魔法のような技術を今に至るまで受け継いできている…こうしてその恩恵を受けている我々は、他の部隊に比べれば遥かに恵まれているだろうさ」
「だからこそ、アイルーたちを人間の都合で利用させるわけにはいかないんだよ。今はネウロイっつー共通の敵を倒すためにギブアンドテイクで協力してもらってるが、事が落ち着いたら安住の地を探してやんなきゃなんねえからな」
「…土方二等水兵。少佐から信頼を置かれている貴方を疑うことはしたくないのだけど、もしアイルー族の方々のことを外部に漏らすようなことがあれば…」
「承知しています、ミーナ中佐。この命に懸けて、決して誰にも話さないと誓います」
「…相変わらずカタいなぁ、お前。ミーナもそんな念を押さなくても口の軽い奴じゃないことくらい知ってるだろ?」
「それはそうだけれど…立場上、念には念を押す必要があるのよ。建前上、ここは他の部隊より優遇されているのだから、その上でグランマさん達のことが知られれば余計な口実を与えることになってしまうもの」
「…建前上は、ですけれどね」
「……」
アイルー達に対する過保護とも取れるほどの秘匿振りに、土方は未だ501を取り仕切るマロニー大将との溝が深いことを察するが、隣の坂本からの目配せを受けて余計なことを口にせず沈黙を保つ。
「…ッ!!」
その沈黙を破ったのは、手にしていたカップを叩きつける勢いで乱雑に立ち上がった昴であった。
「ど、どしたのスバル?」
「…皆、食後の腹ごなしの時間みたいだぜ。ちょっとばかしハードかもだけどよ…!」
「…まさか、ネウロイか!?」
「馬鹿な、ついさっき倒したばかりだぞ!」
「ガリア方面からじゃねえ…こいつは、カールスラントの巣からだッ!スピードは大したことねえが、まっすぐこっちに…ロンドン目指して向かって来ている!」
「
「…あの、少佐。彼は一体何を言っているのですか?」
「済まんが土方、説明は後だ。…動ける者はすぐに出撃準備だ!ネウロイが本土に近づく前に、海上で墜とすぞ!」
『了解!!』
食後のまったりとした雰囲気から一転し、ウィッチたちは急いで出撃準備に取り掛かる。
「…少佐、悪いけど俺は先に出撃する。皆は万全の準備を整えてから追いかけてきてくれ」
「何?…何故わざわざ先行する必要がある?高速型のネウロイならともかく、今しがた足が遅いとお前が言ったのではないか」
「そうなんだが…どうにも嫌な予感がする。今までのネウロイとは少し毛色が違う気がするんだ。…それに、奴がカールスラントの巣から出てきたのなら…確かめたいこともあるしな」
何時にない緊張感を帯びた昴の様子に皆は困惑の色を浮かべる。昴がネウロイ相手にここまで鬼気迫る様子を見せたのは初めてだったからだ。
「……分かった。だが、絶対に無茶をするなよ。無理に倒そうなどとせず、私たちとの合流を待て…いいな?」
「…了解です」
「スバル」
「分かってるよエーリカ。…また後でな」
「ん」
昴は食堂を窓から飛び出すとそのまま波止場へと走り、魔法力を発動させ龍気を吹かして一直線に飛び去って行った。
「どうしたんだろ岩城さん?」
「うん…いつもと様子が違ったよね」
「気にしていても仕方ありませんわ。ほら、私たちも急ぎますのよ!」
「あ、はい!…ごめんなさいグランマさん、後片付けお願いします!」
「はいはい、皆も気を付けるんだよ」
後始末をアイルーたちに任せ、皆は格納庫の方へと駆け出していく。
「…少佐!」
未だ状況を把握しきれていない土方であったがネウロイが現れたのが事実という事だけは理解し、いつものように扶桑刀を背負って格納庫に向かおうとする坂本の背中を呼び止める。
「…なんだ、土方?」
「…出撃、なさるのですね」
「ああ」
「……まだ、大丈夫なのですね」
「………ああ」
「そうですか…お気をつけて」
「…ああ」
土方の問いに口ごもるようにそう答え、坂本は土方の視線から振り切るように格納庫へと向かう。
途中、偶々トイレに起きたサーニャとエイラが事態を聞いて合流し、奇しくも501全員が揃って昴の後を追って出撃していった。
…ウゥゥゥゥー…ッ!
「……」
出撃から遅れて響き渡るネウロイ出現の警報を背に、土方は空を走る11の飛行機雲の軌跡を敬礼を以て見送るのであった。
冒頭で出てきたネウロイは米軍のフライングパンケーキという戦闘機がモチーフです。…架空兵器や失敗兵器でネウロイ作っても結局ビーム撃てればなんでも強いんじゃないかと思ってしまう。パンジャンドラムでもワンチャン…ある、か…なぁ?
ではまた次回