今回は導入なので短くて内容もお粗末ですが…
ではどうぞ
20世紀初頭…地球人類は、前代未聞の危機に陥っていた。遥か遠い空の彼方より飛来した謎の侵略者、『ネウロイ』。輝く宝石のようなコアを心臓部とし、戦闘機や軍艦、果ては悍ましい見た目の生物のような姿まで多種多様な形態と、既存の人類技術ではあり得ない『光線攻撃』という圧倒的な戦闘力、そして何より倒しても倒しても際限なく現れる数の暴力により、地上はすさまじい勢いでネウロイの支配下へと塗り替えられていった。ネウロイによって支配された大地はネウロイの放つ瘴気によりみるみる生気を失っていき、人間はおろか動植物や水源ですら枯れ果て、死の大地へと変貌していった。
しかし、人類も黙ってやられているばかりではない。現行の兵器と戦術ではネウロイに対抗できないと判断した人類は、最後の希望として『魔力』をエネルギーとして動く魔導エンジンを搭載した現代の箒…『ストライカーユニット』を開発した。そしてそれを使うことが出来るのは、太古より人類史に時折現れる『動物の使い魔』をその身に宿し、常人には持ちえない魔力を扱うことが出来る少女たち…『魔女』と呼ばれる存在だけであった。類まれな力を有した彼女たちは、人類を…地球を守るために、ストライカーを駆ってネウロイとの死闘を繰り広げていく…。
それがこの世界…『ストライクウィッチーズ』という世界の歴史の筈であった。
「…そんな世界に、なんで俺は生れ落ちてしまったんだ?」
時は1936年、初めてネウロイの存在が確認された『第一次ネウロイ大戦』から約20年後。欧州におけるネウロイとの戦いの最前線となった地…『帝政カールスラント帝国』の片田舎にある小さな病院の一室で、少年…『岩城昴』は空を見上げながら人知れずそう呟いた。
彼は、厳密にはこの世界の住人ではない。彼には『この世界に生まれる以前』の記憶があり、その時彼が生きていた時代は『21世紀』…この時代から100年近く未来の時代であった。そしてその世界では、この世界に於いて常識である魔力やストライカーユニット、そしてネウロイといった存在は全て創作、『フィクション』の筈だった。少なくとも彼の記憶では、現実の話題として魔女の存在も侵略者が現れたなどということも聞いたことが無かった。
彼は前の世界に於いて、所謂『神童』と呼ばれていた。航空自衛官の父と予備自衛官で看護師の母の間に生まれた彼は、生まれ持った超人的な『動体視力』と『反射神経』により様々な分野にて頭角を現し、地元ではちょっとした有名人になるほどであった。両親ともに忙しく家に帰ってこないこともよくあったが、両親の仕事が立派なものであることを理解していた彼は寂しさを堪え、自ら家事を買って出て苦労を掛けないようにしていた。
…しかし、そんな彼の順風満帆であった日常は突如終わりを告げることとなる。ある日から、彼は全身に妙な梗塞感を感じ始めた。最初はただの疲れかと思っていたが違和感は徐々に強くなり、ついには歩いている最中に足がもつれて転んでしまい、そのまま立ち上がることが出来なくなってしまった。たまたま通りがかった近所の住人に助けられ、慌てて帰宅した両親と共に病院へと向かった彼を待っていたのは、残酷すぎる事実であった。
医師曰く、自分は『全身が骨のように固くなってしまう奇病』に侵されているという。なんでも数万人に一人という割合で起きる奇病中の奇病で、原因も治療法も未だに不明などだという。それを聞いた両親は発狂したように取り乱し、なぜ自分たちの子がと大泣きで嘆いていた。
勿論彼もショックであった。彼の夢は父と同じ航空自衛官となり、幼い頃からずっと憧れていたそこまでも続く大空を自由に飛ぶことであった。しかし、こんな病を患ってしまえばその夢ももはや叶うことはない。そう思った時…彼の心を支配したのは怒りでも絶望でもなく、もう自分には何もできないのだという『虚無感』であった。
母の計らいで母の務める病院に入院した彼は周囲の目から避ける為に専用の病室を用意され、心身のケアの為に特別に許可されたことで両親から漫画やゲームなどを大量に買い与えられ、治療法が見つかるまで闘病生活を強いられることとなった。だが、どんなに娯楽を与えられても彼の心の空虚を満たすことなど出来ず、彼は毎日死んだような目で目的もなく漫画やゲームに没頭するだけの日々を送っていた。
その痛々しい様子に多くの医師や看護師が近寄ることすら躊躇っていたが、ある日その年配属されたばかりの新人ナースの一人がその様子を見て、突如病室に入っていったかと思うと無気力にゲームをする彼の隣に座り、もう一つのコントローラーを手にこう言った。
『そんなどこ見てんのかもわかんない目でゲームしたって、楽しい訳がないでしょ!おねーさんが楽しいゲームってもんを教えてあげる!』
…どうやらそのナースは生粋のゲーマーらしく、ゲームに割り込んでくると物凄いテクで彼を圧倒しだした。最初は何事かと思ってみていた彼も、ボロクソにやられだしたことで燻っていた負けん気に火が付き、何時しか二人そろって白熱しだしていた。…なお、当然そのナースはその後専属看護師である母にこっぴどく叱られたが、その無邪気な無神経さに心を救われた彼の助け舟により、時々ゲームや漫画の相手をすることが許されたのだった。
2人は様々なジャンルに手を伸ばしていたが、とりわけ『モンスターハンター』というハンティングゲームを好んだ。ゲーム人口が多く、オンラインでならば病室であろうともほかのプレイヤーと遊ぶことが出来、何より様々な大自然のフィールドが自由に動けない彼の心の僅かばかりの癒しとなったからだ。その中で、彼にはシリーズを通して最も気に入っているモンスターが居た。
『君さー、そのナンバリング好きだよね。最新作出てるのにわざわざダウンロード版買ってまでやってるんだから』
『うん…まあね。勿論最新作も面白いけどさ、こいつ…『バルファルク』の飛んでるところ見れるのはこのタイトルだけだから』
天彗龍バルファルク。数あるモンスターの中でも一際特異な、ジェット噴射により空を飛行する古龍種モンスター。その姿はかつて夢見た自衛隊の飛行機のようで、その姿に憧れと、ゲームの中とはいえ自由に空を駆けることに若干の嫉妬を感じながら、彼はバルファルクを制限時間ぎりぎりまで観察しながら狩り続けた。…徐々に動けない部分が多くなっていく自分の体という現実から、目を背けるように。
…そして、その時は突然訪れた。いつものようにバルファルクと戦い、狩猟完了が告げられたその瞬間、彼の胸に激痛が走った。進行する病が、とうとう心臓にまで至ったのだ。全身に血液を送る心臓が動きを止めたことで、少年の意識は徐々に薄れていく。周りの大人たちが騒ぎまわる声が聞こえるが、それもどんどん遠くなっていく。そして…意識が途切れる直前、彼は己の不運を嘆きながらこう願った。
『…次に、生まれるときは…今度こそ、空を飛びたいなぁ…。父さんみたいに、バルファルクみたいに…さ…』
…それが彼の、岩城昴として生まれるまでの記憶であった。
「次に生まれたら…なんて思ってはいたけどさ、まさか過去に生まれ変わるってどうよ…?」
生まれ変わった昴は、扶桑皇国…前の世界における日本で製薬業を営む岩城家の長男として誕生した。その頃の扶桑はウラル方面から流れてくるネウロイを撃退しつつ、最前線である欧州の支援のために物資や人員を送る後方支援国家として活動していた。当然、支援物資には医療品もあり、岩城家は日夜最前線に送る医薬品を作り続けていた。また、昴の両親は業界でも有名な人格者で、医薬品の供給が滞りがちな辺境の人たちのためにしばしば直接現地に赴いて物資を届けに行くこともあった。軍事物資である医薬品を統括する扶桑国軍に窘められることもあったが、それでも彼らは一人でも多くの人を救うために渡欧を止めなかった。
そして今回、成長した昴は見聞を深める意味も込めて両親と共に最前線であるカールスラントへとやってきていたのであった。
…最も、昴がそのことを思い出したのはついさっきのことである。それまでは魔女だとかネウロイなどという単語を聞いても、この世界に生きる人間として当たり前のような感覚しか憶えなかった。そもそも昴は前の世界でも『ストライクウィッチーズ』という作品をあまり知らず、サブカル好きだったナースから勧められてちらっと観た程度で主要人物の名前すらうろ覚えであった。…だからこそ、そのうろ覚えであった名前の『本人』が目の前に現れた時、昴は否応なく前の世界の記憶を邂逅し、自分が今に至るまでのことを思い出したのであった。
「…ねー、なにしてんのさー?空ばっか見たってつまんないしでしょー?」
「…人間、偶には何もない空を見たくなる時だってあるんだよ。『エーリカ』」
エーリカ・ハルトマン。それが今回昴の両親が物資を届けに来た病院の院長の娘で、昴が初めて出会った『原作登場人物』であった。彼女の元ネタである『エーリヒ・ハルトマン』は有名なパイロットであった為、昴も彼女のことは一応憶えていた。…最も、今はまだ彼女も自分と同じ8歳の少女でしかないため、未来のウルトラエースの片鱗は未だ見せてはいないが。
「何ソレ?スバルってさー、なんかちょっと変じゃない?私に会った途端に変な顔してどっか行っちゃってさ。…なんか悪いことした?」
「いや、そういう訳じゃないんだ。…気を悪くしたならごめん」
「別に謝らなくてもいいけど。それより、暇なら一緒に遊ぼーよ!ウルスラも引っ張ってくるからさ!」
「…うん、わかったよ」
(原作じゃズボラなダメ女な感じだったけど、今は別にそんなことないよな…。何が原因でああなったんだか…?)
「…へくちっ」
エーリカに手を引かれる昴のそんな心の声に反応するように、カールスラントのどこかでとある少女がくしゃみをしたとかなんとか。
岩城昴…今作の主人公。現代日本からストパン原作開始(宮藤501加入)8年前の扶桑に転生した。この転生には理由があるが、それが明らかになるのはかなり後になる。生前は才気煥発、器量よし、料理男子という神様が誂えたかのような神童であったが、突如難病を患い若くしてこの世を去る。闘病中にモンハンにハマり、特にバルファルクに強い憧れと若干の嫉妬を覚えるほどであった。ACなどの飛行機操作系のゲームもやったが、逆にむなしくなって早々に投げた
ストパン世界に関する知識はうろ覚えで『ネウロイが侵略してきてヤバイ』ことと『スカート履いてない女の子が空飛んでる』ことぐらいしか知らない。主要人物の名前と顔もうろ覚えで、顔と名前を聞いたらどんなキャラだったか思い出せるレベル。なので原作知識チートはほぼありません
元ネタになった人物は岩井勉。太平洋戦争を被弾無しで生き残ったという旧日本軍のウルトラエースです
ちなみにオリ主の死因の病気は某闇医者漫画のネタから拝借しました。
次でプロローグが終わりになります。ではまた