天翔ける凶星と黒い悪魔   作:マイン

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スンマセン、前回次でプロローグ終わりって言いましたが、キリが悪かったので分割しました。続きはなるべく早く投稿しますのでご了承下さい

ダンロンの方も続き書いてるのでそっちの方ももうちょっと待ってね。他は…まだ少しかかるかも。何分その日のテンションで書いてるので…

ではどうぞ。


ハルトマン家での日々

「パスパース!」

「よーし行く…」

「へへーッ!いただきー!」

「え…アッ!エーリカに取られた!」

「誰か早く止めろ!エーリカに回したらボール戻って来ねーぞ!」

 エーリカに連れられた昴とウルスラは、地元の子供達のサッカーに強引に乱入させられることとなった。今し方相手チームのパスをカットしてボールを奪ったエーリカが、同年代の男子を弄ぶかのように華麗なドリブルで躱していく。…ちなみにウルスラは早々に体力の限界を迎え、今はDFを称してゴール前に突っ立っている。

 

「3人がかりだ!絶対にゴール前まで行かせるな!」

 相手チームのキャプテンの指示により、エーリカを取り囲むようにして行く手を阻む。しかし…

 

「…隙ありッ!」

「あッ!?」

 包囲される寸前に、エーリカがボールを高く蹴り上げて相手の頭上を越える。その先には、既に回り込んでいた昴が控える。

 

「行けぇスバル!」

「よっしゃ任せろッ!」

 エーリカの包囲に人員を割いたことでキーパーを除いてガラ空きになったゴール前に躍り込んだスバルは、落下してくるボールにタイミングを合わせ…くるりと身を翻して跳んだ。

 

「コレがオーバーヘッド・キックだッ!!」

 

ドォンッ!

 宙返りする勢いで振り上げた脚がボールを捉え、凄まじい勢いでゴールへと迫る。

 

「へ…?う、うわぁ!?」

 予想だにしない動きとボールの軌道に、キーパーは一瞬虚を突かれて動けず、慌てて飛びついた時には既にボールは後ろへと転がっていた。

 

「よっしゃー!見たか俺の超ファインプレー!」

「えーッ!?何今の!?私もやりたいやりたーい!!」

「いや、止めとけ。初見で出来るもんじゃないから。失敗すると首がイカれるぞ」

「ちぇー…」

「スバルさん、凄いです…!」

「くそっ!あの扶桑人やるじゃねえか…」

「平たい顔してるくせに生意気だぜ…!おい、次はあの扶桑人も抑えるぞ!」

 最初こそ見慣れない扶桑人、しかもガキ大将のエーリカが連れてきたということもあって舐められていた昴であったが、前世から持ち越された反射神経と運動センス、そして1930年代より洗練された21世紀のサッカー技術によりあっと言う間に他の子供達を手玉に取り、やがて全員がムキになって本気で遊んでいる間に打ち解けるようになったのだった。

 

 

 それから1時間後、腹の虫の大合唱を理由にサッカーはお開きとなり、エーリカ達も家路についていた。

 

 

「いやー楽しかったね!最近はアイツら私をずっとマークしてきたから、スバルが居たお陰でいつもより動けたよ」

「そうかい。ま、俺もハットトリック決められたし結構楽しかったよ」

「もう、姉さまもスバルさんも泥だらけ…帰ったらちゃんとシャワーを浴びて下さいね」

「はいはーい…あ~、でもそんなことよりお腹空いたな~」

「でも、父さまも母さまも今日は問診で夕方まで帰ってきませんよ?」

「げっ、そうだったけ?」

「…そういや、ウチの親も一緒に出てるんだったな。薬の需要調査とかで」

「え~!どうすんのさ~?」

「ポテトなら台所にたくさんありましたけど」

「材料あっても料理なんか出来ないよ…」

 

「…ふむ、そういうことなら俺に任せとけ」

「「え?」」

 

 

 

「何コレおいしー!!」

 帰宅後、シャワーと着替えで綺麗になったスバルは台所を借り、ジャガイモを使ったおやつの数々を作り上げた。ジャガバター、ハッシュドポテト、ポテトサラダ、いも餅(醤油が無いのでバターと蜂蜜でキャラメル風ソースで)…1930年代では見慣れないポテト料理の数々に、エーリカは目を輝かせて食いついた。

 

「どうだウルスラ、美味いか?」

「はい、美味しいです…!同じ加熱しているのに、『茹でる』と『蒸す』でこんなに変わるんですね…」

「蒸す方が火の入り方が緩やかで水っぽくもならないからな。それより、バターとか卵とか調味料も少し使っちゃったけど大丈夫なのか?」

「いーよいーよ!美味しいから大丈夫!それよりこの甘いのおかわり!」

「いも餅な。…なんか嫌な予感がするけど、大丈夫だよな…?」

「?」

 

 その後、おやつの食べ過ぎで夕食が食べられなかったエーリカたちが怒られてしまったのは当然の結果であった。

 

 

 それから1週間後…ハルトマン家だけでなく街の人々からも気に入られてしまったため予定以上に長く滞在することになってしまったが、岩城一家が扶桑へと帰国する日がやって来た。

 

「大変お世話になりました。このお礼は、追って何かしらの形でお返しさせてもらいます」

「気にしないでくれ、俺達が好きでやってたんだ。そもそも薬やらなんやら世話になったのはこっちだしな。…スバルも、娘達と仲良くしてくれて嬉しかったよ」

「いえ、俺も楽しかったです。ダンケ(ありがとう)ヘアー・ハルトマン(ハルトマン先生)

「うふふ、もうカールスラント語も立派なものね。家の娘達も見習って欲しいわ。1人はヤンチャ盛りだし、1人は本の虫だし…」

「か、母さま…!」

「…ところで、お姉さんの方は?」

「あ…その、姉さまは…見送りなんかしたくないって…その…」

「…済まんな、スバル。エーリカは君と離れたくないと聞かなくてな…」

 昨夜からいつになく気落ちした様子で、今朝になって見送りを拒否して部屋に閉じこもってしまったエーリカに、ハルトマン夫妻とウルスラが申し訳なさそうに頭を下げる。かくいうウルスラも、目元にうっすらと涙の跡が残っており、目も若干赤いままであった。

 

「…いえ、お気になさらず。昨日からなんとなくそんな気はしていたので。…けど、挨拶もしないで帰るのは俺としても気が引けるので、そこんとこはちゃんとしますよ…」

「?」

 

 

 一方、エーリカはと言うと部屋のベッドでシーツを被ったまま蹲っていた。

 

「…ッ、ぐすっ…なんだよなんだよ、まだ帰らなくたっていいじゃんか…!スバルもスバルだよ、あっさり帰り支度なんかしちゃってさ…もっと遊びたくないのかよ…ウルスラだって、私だって…まだ…ッ!」

 完全に拗ねた様子でブツブツと独り言を呟いていると…

 

「…エーリカァァァッ!!」

「ッ!?」

 窓の外から響く大声に目を見開き、思わず窓を開け放つと、それを確認した昴がニヤリと笑い、尚も叫ぶ。

 

「お前さー!俺らが帰るからって勝手に拗ねてるみたいだけどさー!もう会えない訳が無ーだろうがよーッ!!いつかきっと…父さん達の仕事とか関係無くまた会いに来るからよーッ!それまで待ってろよなーッ!!」

「……ッ!う…うっさーいッ!拗ねてる訳ないだろバカーッ!!ちょっと寝坊しただけだってのーッ!…絶対また来てよー!約束だからねー!約束破ったら、こっちからお仕置きしに行くからねーッ!!」

「…ああ、約束だ!」

「…うんッ!」

 互いに涙を滲ませながら笑い合い、2人は再会を約束して別れることとなった。

 

 

 

 

 

 この約束が果たされるのに、『8年』の月日を要することになるなど、知る由も無く。

 

 

 

 

 

ガタゴト…ガタゴト…

 街を去った翌日、岩城一家は飛行場への道のりを馬車で進んでいた。

 

「…しかし、今回は何事も無くて良かったな。前回カールスラントに来た時は運悪くネウロイの襲撃に鉢合わせてしまったからなぁ」

「え!?それって大丈夫だったの?」

「ええ。幸い訪問先の村の近くに軍の駐屯地があって、そこのウィッチさんたちがやっつけてくれたの。でも、あの時は本当に怖かったわ…」

「この辺りも小さいけれどネウロイがちょくちょく出てたらしいけど、最近軍によって掃討されて以来出てないらしいからな。とりあえず今は大丈夫だろう」

「…小さいって、どんな風なネウロイだったの?」

「ああ、なんでも丸っこいボールみたいなネウロイだったらしい。…けど不思議なことに、人を見かけても攻撃してこないでただふらふらと辺りを飛び回っているだけだったんだと」

「……ねえ、それって…ただの『偵察係』だったんじゃ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…カッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 その数分後、エーリカの街周辺一帯に『ネウロイ出現』の警報が鳴り響いた。

 

 

 




勝ち気な女の子は餌付けが定番。ちなみにこの時期のエーリカはヤンチャではあるものの片付けろと言われればまだ片付けれる。…ルッキーニの年齢から推察して生活無能力者まで後4年程か…

ではまた次回
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