霊烏路空のヒーローアカデミア〖改〗 作:シド・ブランドーMk-Ⅳ(地底の住人)
「おーい!……どこ行ったのー?」
ペラッ……
その時、1枚の紙切れが落ちた。
「あれ?なんか落ちた?……そうだ!お燐に夕飯の買い出し頼まれてるんだった!早く買いに行かなきゃ!」
そう。この紙切れは夕飯の買い出しのためのメモ。
お燐が渡してくれたメモによってお空の脳内は書き換えられた!
「早く買って帰らないとお燐に怒られちゃう!!」
どんまい出久!残念ながら
これが、お空クオリティなのだ!
「えーっと、『好きな食材かってきて!お菓子はダメ!』かぁ。そう言えば好きな物作ってあげるって言われた気がする。」
「何作ってもらおうかなぁ。う〜ん…オムライスも食べたいけどクリームシチューも良いなぁ。……とりあえずいつもの商店街に向かってからね!」
─商店街にて─
1番初めに訪れたのは肉屋さん。
「やっほー!肉屋のおじさん!今日のおすすめのお肉何?」
「やあお空ちゃん!今日のおすすめはねぇ、ラム肉かな。滅多に手に入らない上にかなり新鮮なんだ!ラム肉のステーキとかオススメだよ!」
「ラム肉かぁ……。う〜ん。ちょっとだけ置いといて貰ってもいい?
ほかの店も見に行きたい!」
「いいよお空ちゃん!ゆっくり見ておいで!でもいつもみたいに買う買わないに関わらずおじさんに声かけてね。そうじゃないと売っていいのか分からないから。」
「おっけえ!」
そんな感じで、商店街にある八百屋さんやら魚屋さんを見てまわった。
う〜ん。何にしよっかなぁ?
…あ!お燐に相談しよう!
prrrrr…prrrrr
…ガチャ
「あ、もしもしお燐?」
『お空?どうしたんだい?晩御飯の食材決まった?』
「う〜ん。それが迷っててさぁ。ステーキと天ぷらだったらどっちがいい?」
『ステーキか天ぷらねぇ。…ステーキって何のお肉なんだい?』
「ラム肉だよ。おっちゃんが今日はラム肉がおすすめだって。」
『じゃあ今日はラム肉のステーキにしよっか。』
「おっけぇ!買って帰るね。」
今日の地霊殿の晩ご飯はラム肉のステーキに決まったようだ。
──その帰り──
ドーンッ!
と大きな音が鳴り響いた。
「…うにゅ!?何!?何が起こったの?」
向こうの方かな?
お空の進む方向には沢山の人集りができていた。
「何があったの?」
「ん?…あぁ、ヘドロのような個性を持った敵が学生を人質にとってるみたいなんだ。だけどその学生が個性を使って抵抗しているせいか、ヒーロー達が迂闊に近ずけないみたいなんだ。」
「へぇ、そうなんだぁ。…ん?ヘドロ?なんか最近見た気がする。まぁいっか。おじさんありがと!」
「いいよ。どういたしまして。」
──その頃、事件現場では──
「君がッ!助けを求めている顔をしてた!」
「ふざけんなッ!なん…」
その時、ある女性のヒーローが現れた。
「よくやった!少年」
その女性は、様々な人に手を差し伸べることから、一般人、ヒーロー、敵問わず、様々な人から姐さんと親しまれている。
「勇儀姐さん!?」
「(!?)」
「ちょっと待ってな。今からこのバカをとっちめるからね。話はその後だ。」
「誰がバカだって!!」
「お前さんだよッ!…怪力乱神!!『三歩必殺』!!」
その瞬間、ドン!という大きな音と風圧によって敵が吹っ飛んで行った。
出久やそこにいる人たちはその姿に呆気に取られて動けなかった。
そして数秒後、何が起こったのか理解し始めた市民たちは歓声をあげ始める。
「さすが姐さん!」
「俺たちにできないことを平然とやってのける!! そこにシビれる憧れるゥ!」
その歓声に応えるように手を振った。
「さぁ少年、ちょっと一緒に来てくれるかな?」
─ところ変わって地霊殿─
「ここってもしかして…地霊殿!!」
出久は感激していた。
「そうさ。そして今から、君に提案したいことがある。」
勇儀姐さんは酒をがぶ飲みしながらそう言った。
「え?…僕に提案、ですか?」
「あぁ。君、ヒーローになりたいんだろ?」
「!?」
僕は驚いた。そりゃそうだ。
「なんでって顔してるね。そりゃあ分かるよ。無個性なのに後先考えずに突っ込むなんて、根っからのヒーローだね。私は好きだよ。そういうバカは。」
「…バカ!?」
「あぁ、正真正銘のバカさ。…だが、そういうバカほどヒーローに向いている。だから、私ともう1人で君に提案したいことがあるのさ。まぁ、もう1人の方が当事者なんだけどね。」
「もう1人の…当事者?」
「おまたせしました!勇儀さん!緑谷少年!」
「遅いよ!俊典!」
「お、オールマイト!?」
「勇儀さん、すみません。緑谷少年も遅れてごめんね。」
「い、いえ。お気になさらず。」
「ありがとう。…コホン。ではさっそく。君はヒーローになりたいんだよね。さっき見たよ。街中で敵に立ち向かっていたの。助けようとしたら勇儀さんに先越されちゃったけどね。」
「す、すみませんでした!」
「いやいやいや。勘違いしないでくれ。確かに君がしたことはいい事ではなかったかもしれない。しかし、君はただ敵に襲われている友達を助けたかったんだろう?そう思ったら考えるより先に体が動いていた。違うかい?」
「!?…は、はい。」
さっきの出来事を見事に当てられびっくりしたと同時に、「流石はナンバーワンヒーローだ」という尊敬の念を抱いた。
「これまで活躍していたほとんどの有名なヒーローにはね、ある逸話が共通しているんだ。」
「ある逸話…ですか?」
「あぁ、『考えるより先に体が動いていた。』さっきの君と同じだよ。君はヒーローになれる。」
「!?」
その言葉を言われた瞬間、驚いたと同時に涙が止まらなかった。
それはそうだろう。憧れている人になりたいものになれると言われたら…。
「泣くにはまだはやいぞ少年!そこで本題の提案だ。君、私の個生を受け継がないかい?」
「個生を…受け継ぐ?」
「あぁ、私の個生はね、個生を譲渡する個性なんだ。」
「個生を…譲渡する個性!?」
「あぁ、それで、どうする?これまで通りの生活を送るか、今日からヒーローに向けての特訓をはじめるか…。」
「ぜひ、特訓をお願いします!!」
「うん。いい返事だ。君ならそう答えてくれると信じてたよ。」
「話はまとまったみたいだね。私も君の特訓を見るからね。逃げるんじゃないよ。」
「はい!お2人とも、今日からよろしくお願いします!!」
その次の日から、地獄のような特訓が始まった。朝はオールマイトに海岸で特訓をしてもらう。そして学校へ行き授業を受け、放課後には地霊殿保有の地下施設で勇儀姐さんの特訓を受ける毎日だ。勇儀姐さんの特訓の方が遥かにキツかった。オールマイトの特訓は海岸の掃除だったが、勇儀姐さんは腹筋や腕立て伏せなどの基本的な運動を自分の限界まで行い、そこから対人戦の特訓をする。対戦相手は皆鬼の個生を持つ人達だった。ほぼ全員が何かしらの鬼の個生を持っていたため、勇儀姐さんやオールマイトまではないにしろ、かなりのパワーと防御力を持っており、逃げるだけでも精一杯だった。
─半年後─
「おめでとう!緑谷少年!君自身の頑張りで当初の予定よりもはやく受け継ぐ器にすることが出来た!!」
「いえ!オールマイトや勇儀姐さん、地底にいる皆さんが手伝って下さったおかげです!」
「謙遜しなくていいよ。出久、基本はあんたさんの頑張りの結果だ。私たちはそれを後押ししただけ。自分に自信を持ちな。」
出久は今までのことを思い出し涙ぐんだ。
「まだ泣くには早いぞ緑谷少年!それに、ヒーローに泣き虫と自尊心の無さはナンセンスだぞ!」
「…!は、はい!」
「早速だか、これ食って」
そう言われて渡されたのは髪の毛だった。
「髪の毛!?…え?なんで髪の毛?」
出久は困惑していた。それと同時に涙が引っ込んだのも感じた。
「個性を受け取るには譲渡する側の細胞を摂取しなくてはならないんだ。血とかでもいいんだけど、髪の毛が一番マシかなと…」
「な、なるほど…」
戸惑いながらも出久は髪の毛を口の中に放り込んだ。
「おめでとう!緑谷少年!これで個性の譲渡は完了だ!これからは個性の制御を中心に鍛えて行くからな!」
「はい!これからもよろしくお願いします!」