発狂眼帯に転生!しかしそこはフォドラの大地だった………   作:ナナシのG愛好家

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 今回の戦闘推奨BGMは、プライド革命。


第十一話 【ぶつかり合う正義】

 カトリーヌたちはずかずかと敵をなぎ倒しながら戦う。

「チィッ、数が多い!大規模な包囲網を張れるだけの兵力は無いはずなのに、」

「どうやら、包囲は形だけだったようですね。」

「はぁ⁉」

 ヒューベルトの言葉にカトリーヌが振り向く。

「先ほどまで発生していた霧、あれは何らかの探知能力があったのでしょう。もしくは敵に間者がいるか、」

「恐らく前者だろうね、あの霧、魔力が立ち込めててすごく寝心地が悪いんだ。」

 と、リンハルトがヒューベルトの言葉に賛同する。

「なるほど。ん?あれは………。」

 カトリーヌは目を凝らした。ベレトが見ると、その先に居たのは槍を持ち、馬に乗った男。兜で顔を隠しているが、兜の形が他と違う。

「大将首か!」

 カスパルが声を漏らす。

「ロナート様………」

 アッシュもその男の正体に気付いたようだ。

 そう、その男の兵種は、騎兵(ソシアルナイト)の上位互換である騎士(パラディン)だ。あの男こそ、大将ロナート。あの男を打てばすべてが終わる。ベレトがそう思った時だった。

「あの男はアタシがやる。アンタらは露払いを頼むよ。」

 そう言い、カトリーヌが向かって行った。

「お待ちください、勝手な行動h」

「僕も行きます!」

「あっ!待てアッシュ!」

 カスパルの制止を振り切りアッシュも向かって行くその様子んヒューベルトは、

「チッ、どいつもこいつも。先生、彼らの露払いをしましょうか。」

 毒ずきながらも見捨てないことを選択した。

 

 ダッ!カトリーヌが地面を蹴ると、すれ違った兵士たちの頚が残らず飛んだ。

 手に持つ雷霆が紅い光を放ち、深紅の稲妻を発した。すると、盾を構えていた重層兵(アーマーナイト)たちが雷撃に射抜かれた。

「カサンドラ………!」

 声が聞こえた。怒りと憎しみの入り混じった声が。カトリーヌはため息を付き、その方向を向いた。鎧を身に纏い、騎馬にまたがり槍を構えた男がいる。ロナートだ。

「雷獄のカサンドラ………我が息子を裏切った狂信者め!!」

 兜を外し、般若の如き形相でにらみつける彼を見て、一瞬悲しそうな顔をしたカトリーヌだったが、すぐに元の表情に戻り、

「今のアタシは雷霆のカトリーヌだ。女神の僕たるこの剣その身で味わいな!」

 そう言い、ロナートに飛び掛かる。しかしロナートもそれを受け止め、槍の猛撃を浴びせる。カトリーヌはそれをいなすし、剣を潜り込ませようとするが、ロナートは足を繰り出し、カトリーヌを突き放す。

「カサンドラ………!儂の息子を売ったあの時とは随分と剣さばきが違うではないか。どこで身に着けた?あの大司教の座に居座る女狐にか⁉」

「そう言うアンタも、随分と変わっちまったんだな。あの頃には………戻れないんだな。」

「ほざけっ!あの時だと!?そんなものは貴様が自分でぶち壊しただろうが!!」

「ッ!」

 その言葉に、ロナートの怒りに押されたカトリーヌは体勢を崩す。倒れた所を、馬から飛び降りたロナートが踏みつけた。

「グッ………。」

「………せめてもの情けだ。苦しまずに、息子の元に送ってやろう!!」

 そう言い、槍を振り下ろそうとするが、それは飛んで来た矢に弾かれた。

「ロナート様!もうお辞め下さい!こんなことをしたって!兄さんは帰ってきません!」

 そう言い、彼の前に立ちはだかったのはアッシュだった。

「アッシュ………」

 飛び出してきたアッシュに、一瞬悲しげな表情を見せるロナートだったが、槍を構えた。

「下がれ、アッシュ、儂はもう、止まる事は出来んのだ!!」

「そんな事はありません!人はやり直せる。貴方もやり直す事は出来るはずです!」

「お前は本当にやさしいな、アッシュ。己の信じる正義を突き進み、和解の道を選ぼうとする、強い男に育ったものだ。しかし、覚えておけ。世の中には、お前の正義とは相容れぬ正義があることを!」

 そう言い、アッシュに攻撃を始めた。ロナートの槍を、アッシュはとっさに持っていた斧で受け止める。

「正義って何なんですか⁉町の人を巻き込んで!領民に最前線を張らせて!これのどこが正義なんですか⁉教えてください。ロナート様!」

 斧と槍をぶつけ合いながら、アッシュは問いかける。

「敵に問いを投げかけるとは、それで答えが返ってくると!?」

「貴方はこんなことをする人じゃなかった!こんなのは正義じゃない!わかって下さいロナート様!」

「甘いぞアッシュ!!」

 ロナートは槍の柄でアッシュを殴りつける。

「グッ!」

「これが儂の正義、傍から見たら邪道かもしれぬ。しかしそれで結構!世の中では言葉で解決できないこともある。

 儂の様に相容れぬ正義を持つ者、即ち悪は討たねばならぬ。それこそが!自分の正しいと思う正義を貫く唯一の方法!」

「そんなことない!それでは独裁者ではないですか!!自分と違うから討たねばならぬなんて残酷すぎる!」

「それが世の理!大司教も、今までそうして来たのだから!」

「大司教様が!?そんなはずはない!貴方は憎しみで前が見えなくなっている!!」

「お前は理を知らぬだけ!真っ直ぐすぎるお前は、世の中の汚れたものを見ていない!!

 汚れた部分を見ることになれば自分の誤りにすぐ気付くわ!!」

 次第に言葉も剣技もヒートアップしていく。

「引けアッシュ。恩師だからと止めを刺せぬ腰抜けに用は無い。私の目的は女狐ただ一人だ。」

「ロナート様………あなたは、変わってしまったんですね。」

 アッシュは、悲しそうにつぶやいた。

「大修道院に行かせるわけにはいかない!あそこにいる人たちも、ここに居る人たちも絶対に殺させない!僕は騎士になるんだ。それくらいできないで、何が騎士だ!!ここであなたを止める!!!ロナート様!!!!」

 アッシュは決意に満ちた表情でロナートに弓を向けた。

「そうだ。それでいいアッシュ。儂はもう止まれんのだ!」

 ロナートは手槍を構え、投げつける。アッシュはそれの上を飛び上がり、矢を放った。

 それは真っ直ぐに飛んでいき、鎧を突き破りロナートの心臓を射止めた。

「ぐっ………」

「!!ロナート様!!」

 アッシュは弓を放り捨て、ロナートの元に向かう。だが、

「よせアッシュ。もう儂は助からん。」

「………んで……か。」

「アッシュ?」

「何でこんなことしたんですか、ロナート様………。」

 そう呟くアッシュは泣いていた。

「アッシュ………残念ながら………儂からその事を話す事は出来ん。………

 ただ、これだけは言っておこう。アッシュ、………ガスパール城にある、………儂の執務室の………引き出しに………この騒動の発端が………

 アッシュ、………これを見れば、………お前は………正義を見つめられなくなるかもしれん。………それでもいいなら、………見ろ。………何事にも、………覚悟が必要だ。」

「死なないでください………ロナート様………。」

「ああ、………クリストフ………ふがいない父で、………すまなかった。………儂を、………許せよ。」

 それが、彼の最後の言葉となった。




 次回予告
 女神が降り立つ一年に一度の神聖な行事。そこに死神の魔の手が………。
 次回、【降り立つ影】

 ディミトリは生存ルートと死亡ルート、どちらがいいでしょうか?(皆さんの選択で、この後の展開が大きく変化します。)

  • 生存ルート
  • 死亡ルート
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