発狂眼帯に転生!しかしそこはフォドラの大地だった………   作:ナナシのG愛好家

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第十八話 66番目の紋章

 ガルグ=マク大修道院、審判の間。そこには、生き残りの司教たちが兵士たちに槍を突きつけられ、大司教様とセテス殿の前に引っ立てられていた。

 

「さて、これより諸君らが犯した重大な背信行為について大司教からお達しがある。」

 

 セテス殿は鬼のような形相で司教たちを睨みつけながらそう言った。冷静さを隠しきれていないぞ?

 感情の制御のできない奴はゴミだよ。セテス殿?

 

『特大ブーメランですね(笑)』

 

 君は黙っていたまえ。アズリエル。

 

「王国領主の先導、大司教の暗殺未遂。極めつけに聖廟の襲撃。」

 

 王国騎士の一人、シャミア殿が罪状を読み上げる。

 

「これはこれは、余罪を調べるまでも無いなァ。手間を省いてくれて感謝するよ。ねぇ、西方教会の諸君。」

 

 私がそう言うと、

 

「なっ、我々は西方教会などと関わりは………。」

「おやぁ?しらを切るつもりかい君たちはァ、隠し通せると思ってるのか?セテス殿、彼らはそう言っているが?」

「すでにあなた方の身元は割れている。見え透いた芝居はやめていただこう。」

 

 セテス殿がそう言うと、司教共は押し黙った。

 

「聖なるものの眠りを妨げることは、聖職に付く者としてあってはならないこと。

 もはや、今生に救いの道はありません。」

 

 レアの宣告に、司教共の頬に冷や汗が流れる。

 

「潔く、その命を持って、罪を償いなさい。あなた方だけではない。陰謀に参加したもの全員です!!」

 

 全員死刑。ふむ。それは………。

 

「や、やめろ!!我々を処刑するなど………主がお許しになる筈がない!!」

 

 司教の一人が悲鳴を上げる。

 

「女狐め………。こうやって何人もの同胞を手にかけて来たのだ………。この背教者ガァッ!!」

 

 最後まで言う前に、私に頬を剣の鞘で殴られるもう一人の司教。

 

「まだ生者のつもりなのか、貴様らは。はぁ。ここまで来ると走る虫唾も無い。愚かな奴らだな。貴様らのせいで殺される兵たちが哀れでならん。

 今からでも遅くは無いだろう。兵の命だけでも助けるよう、頭を垂れて乞い願ったらどうだ?」

「ふ、ふざけるな………背教者に垂れる額を、我々は持たない!!それは敬虔な信徒たちも同じ!!」

「だ、そうだ。大司教、最後の宣告を。」

「貴方達の魂が、主の御許に帰らんことを。」

 

 そう言うと、彼女は手を組み、祈りをささげた。

 

「そういう事だ。背教者諸君。連れて行けぇ!!」

 

 そう言い、連れて行かれる彼らの様子を、エーデルガルトがじっと見つめていた。

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「全員処刑?」

 

 その報告に、フェルディナントも驚いた。

 

「それは、末端の兵士まで、全員という事か?」

「ああ。最後まで命令されただけだと叫び、最後には本気で大司教を呪いながら死んで行く奴もいたぞ。」

 

 私がそう答えると、

 

「これはこれは、大司教と言うのは意外に血も涙も無い残酷なことをやるのですね。」

 

 とヒューベルトもいい、

 

「何でだよ………!!末端の人たちに罪はねぇだろ………。」

 

 カスパルもやりきれない表情をし、ベルナデッタは震えている。他の皆も、うかない表情をしているな。

 すると、

 

「皆、次の課題について、大司教からお達しが………って何だこの重苦しい雰囲気は………。」

「まさか、ザビーネ先生が………。」

 

 違うからなエーデルガルト。何はともあれ、ベレト殿とエーデルガルトが課題を持って来たようだ。

 

「王国領に、コナン塔と呼ばれる塔があるわ。」

 

 そう言い、エーデルガルトは地図を広げ王国領ゴーティエ領内にある塔をさした。

 

「確か、ゴーティエ家の数代前の当主が、北方のスレン族の進行を食い止めるために築かれた砦ですよね?」

 

 ヒューベルトがそう言うと、

 

「ええ。といっても、今は廃墟だけど。個々を根城にしてる族がいるのよ。その族が、ゴーティエ家の英雄の遺産を盗み出したらしいの。」

「英雄の遺産を?」

 

 食いついたのはリンハルトだ。

 

「ええ。大司教からは、一刻も早く追撃せよと言われているわ。準備にかかる時間を考慮して、出発は一週間後。十日後には、コナン塔を落とすわよ。」

 

 と、エーデルガルトは言った。

 

「話は分かった。よし、各員、準備を怠るな、明日、作戦会議を………。」

 

 そう言った途端、

 

「失礼します!!」

 

 と言って、勢いよく学級の扉が開け放たれた。入って来たのは、赤髪の青年、青獅子の学級(ルーヴェンクラッセ)のシルヴァンだ。

 女好きに定評のある人間だが、何時になく深刻な顔をしているな。

 

「俺を、先生の学級に入れてください!!」

 

 そう言って、いきなり土下座をしてきた。

 

「えっと、シルヴァン?」

 

 困惑するベレトだったが、

 

「お願いします。今回の課題、どうか俺も!!」

 

 と、当の本人は土下座の体制のまま動こうとしない。

 

「ちょっと落ち着け、順を追って話そう!!」

 

 結果、ベレト殿は一瞬で折れた。

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「つまり、今回の盗賊の頭目のマイクランは、お前の実の兄なんだな?」

「はい………ホント、問題しか起こさない馬鹿兄貴で………」

「それはシルヴァン、随分とあなたに似てるじゃありませんか。」

「やかましぞリシテアちゃん。ま、そういうところも俺のタイプなんだが………。」

「貴方は女性であれば誰でもタイプでしょう!!

 私は貴方のそう言うところが虫唾が走るくらいに大ッッッッッ嫌いです!!」

「話の途中で口説くな。シルヴァン。」

「…………………………ハイ。」

 

 頼みに来たはずが何故説教こかれているんだ?

 

「で、それは置いといて、とにかく、兄貴を止めるのは、俺の役目なんです。きっちり、ケジメつけさせて下さい!!」

 

 しかし、ここまで真剣なシルヴァンは初めてだな。

 すると、

 

「分かった。手続きをして来る。」

 

 そう言って、ベレトは出て行った。それをいるとシルヴァンは、

 

「………………有難うございますッ!!」

 

 と言って頭を下げた。

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 その後、アッシュは、ハンネマン先生の部屋で、調査を受けていた。

 

「アッシュ君、聞いたよ、何やら謎の魔法を使った後、愚者の証を付けていたところが急激に痛み出したようだね。」

「はい………何ででしょう、付けた時は問題なかったのに…………。」

「それなんだがね、これに、手を置いてもらえないか、」

 

 そう言って、彼は紋章が体内にあるかないかを調べる器具を指した。

 

「え?でも僕は、入学の時に………。」

「いいからいいから、無かったならなかったでいいのだ。とにかく、やってみてくれないかね?」

 

 そうハンネマンが言ってくるので、

 

「分かりました。」

 

 そう言い、紋章器具に手をかざした。すると、そこには、魔法陣の様な紋章が浮かび上がった。

 

「これは………。」

 

 アッシュが驚くが、

 

「やはり、吾輩の仮説は正しかったようだ。」

「仮説って?」

「愚者の証から痛みが発せられたとしたら、考えられる可能性は一つだ。」

「それって、」

「拒絶反応だよ。」

「拒絶反応?」

「ああ、しかし、吾輩で試した時も、イグナーツ君が付けた時も、起きなかった、だが、拒絶反応は君の前にも一回だけ起きたのだ。」

「え?」

「シルヴァン君に協力してもらった時だ、同様に、証を付けていた部分が痛み出したのだよ。」

 

 そう言った。

 

「人間の体は本来、紋章を二つ備えるようにできていない。そのうえ、外から紋章を『植え付ける』愚者の証は

 本当に二つ紋章を宿すのとはまた違う。紋章を持つ者には、激しい拒絶反応を発するのだよ。」

 

 と、困った顔で言った。

 

「そして、君が謎の力を発動してから、愚者の証が拒絶反応を放った。つまりは、そういう事だ。」

「えっと、どういう事ですか?」

「君に紋章が目覚めたという話だよ。」

「僕に………紋章が!?」

 

 その一言に、アッシュは驚いた。

 

「で、でも、今までそんな事は無かったんですよね!!」

「ああ。これは、非常に珍しいケースだ。」

「珍しい?」

「本来、紋章は持つか、持たないかなのだが、一部に、紋章を宿しているのだが、

 身体の奥深くに隠れてしまい、通常の装置では見つけられない、『隠れ紋章持ち』が存在するのだよ。」

「隠れ紋章………。」

「今回、アッシュ君は、死に直面したそうだね。」

「はい、斧が、目の前まで迫っていました。あそこで力が目覚めなかったら………。」

「間違いなく、死んでいただろうね。」

 

 俯くアッシュに、ハンネマンは頷く。

 

「死に直面したことで、身体の防衛機能が機能し、半ば無意識的に君の体を守るように紋章が発言したんだ。」

 

 と、ハンネマンは説明する。

 

「この紋章の形は………ボードウィンの紋章だね。」

「ボードウィンの紋章?それって、あの、カイエルの紋章の力を悪用しようとして、魔物と化したイズナリオ・ファリドを打倒した、

 勇魔の騎士、『ガエリオ・ボードウィン』の紋章の事ですか?でも、彼は生涯、未婚を貫いたはずじゃ………。」

「知らないのかい?物語だけではなく、歴史書も読みたまえ。ガエリオの仕えたラスタル・エリオンの養子、

 ジュリエッタ・ジュリスと共に、現在のガスパール領へと旅立ってから、ぱったりと消息を絶っているのだよ。」

「そうだったんですか⁉」

 

 アッシュが驚くと、ハンネマンは頷き、

 

「ああ。そう思わせる供述を、書庫で発見したのだ。しかし、ガスパール領に行ってからの消息は途切れている。」

「そうなんですか………」

「水と勇気を操るボードウィンの紋章、別名、66番目の紋章、キメリエスの紋章とも呼ばれているね。」

 

 と、ハンネマンが言う。アッシュが頷き、手をかざす。

 すると、水が手から迸り、自在にうねり、アッシュの周りを取り巻いた。

 

「素晴らしい!!水魔法ではたどり着けない攻撃的な水の権能!!まさか百年前に失われたはずの紋章の力を、

 吾輩が生きてこの目で見ることが出来るとは………!!!!素晴らしい!!」

 

 歓喜にあふれ、今にもアッシュを解剖しそうなハンネマンに、若干退くアッシュ。

 

「おお、すまない。吾輩としたことが取り乱してしまった。もう一人客人を呼んでいるのだよ。そうだ、これを持っていくといい。」

 

 そう言って、ハンネマンは特徴的な鞘に納められた、刺突剣(エストック)を差し出した。

 

「これは………」

「かつてガエリオ・ボードウィンがイズナリオに殺されたことにし、己をヴィダールと偽っていた時の剣だ。聖遺物の一つで、

 ボードウィンの紋章を調べる研究材料にしていたのだが、もっといい素材が手に入った今、使う必要はあるまい。」

 

 そう言うと、これをアッシュに差し出した。

 

「有難うございます。ハンネマン先生。でも、これよりいい研究材料って………。」

「コホン。後が仕えているのでね。失礼してもらうよ。」

 

 そう言うと、剣を持ったアッシュは、部屋を追い出されてしまった。

 

「あの焦り方………もしかしてだけど………。」

 

 冷や汗を流しながら、アッシュはその場を後にした。

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 翌日、ベレト殿と、廊下を歩きながら会話をしていた。

 

「しかし、貴殿もとんでもない紋章を持っていたな。」

 

 千年前、女神から使わされ、邪に堕ちた魔王、ネメシスの宿していた紋章、|『炎の紋章』《ファイアー・エムブレム』。

 

「今まで、気付いた事も無かった。戦っている時、時々体が軽くなる事はあったのだが………。」

 

 ベレト殿も、かなり驚いている様子だ。昨日ハンネマン先生から話を聞いて、驚いたよ。

 

「敵を攻撃した時、稀に回復、か。長期戦にはうってつけの権能だな。」

 

 英雄の遺産と紋章には、それぞれ権能が宿っている。カトリーヌ殿の『雷霆』は雷を纏わせる能力、威力は持ち主の魔力に比例する。

 カロンの紋章は魔法の強化。これにより、カトリーヌ殿は雷霆を最大効率で操る。

 私のシャロンの紋章は先読み能力、Xラウンダーの様な物だ。

 ザンバスターの権能は、レーザー。

 そして、ベレト殿の手にした天帝の剣の権能が、蛇腹状に伸び、敵を寄せ付けない範囲から敵を攻撃するというものだったのだ。

 紋章の権能は、さっき話した通りだ。

 

「ああ………、しかし、いまだに信じられない。」

「知らなかったのか?貴殿も、」

「しらべたことが無かった。」

「つくづく不思議な人間だよ。貴殿は。」

 

 父が元セイロス騎士団長だという事も、自分が紋章持ちだという事も、何もかも知らずに生きて来た孤高の青年。

 いつも無表情のまま物を教え、私に問いかけ、驚いてくる。驚いた時も、驚いたと理解するのに一分ほどの時間を要した。

 

「しかし、あのシルヴァンの真剣そうな表情………。兄との間には、何かあったのかね。」

「シルヴァンから聞いた。どうやら兄からは、暴力を受けていたようで………。」

「確か、ゴーティエ領は、紋章至上主義と言っても過言では無いような家系らしいな。マイクランも、紋章を持たないから排斥されたらしいな。」

「シルヴァンは言っていたよ。俺が生まれてから、兄は変わったと。」

「………そうか………。」

 

 これまたドロドロしているなァ。しかし、私のやる事は変わらん。

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 一方、青獅子の学級(ルーヴェンクラッセ)に所属する、帝国出身の少女、

 メルセデス=フォン=マルトリッツは、一人、人気のない夜道を歩いていた。

 

「あらあら、食材を選ぶのを迷ってたらもうこんな時間。急いで帰らなくちゃね。」

 

 そう呟きながら、ペースを速めるメルセデス。しかし、

 

「おい、」

 

 いきなり、黒装束の男に声を掛けられた。

 

「あら?誰かしら?こんな夜中に何の用?」

 

 口ではそう言うメルセデス。うっかりミスが多い彼女だが、仮にも士官学校の生徒。

 指では、不審者に警戒し、魔法講師の準備をしている。

 

「メルセデス=フォン=バルテルスだな?」

「………どこで私の旧家の名前を知ったのかは聞かないわ。でも、お金は渡さないわよ~。」

 

 口調は柔らかいままだが、纏う空気が柔和なものから少し緊張した者へと変わっていく。

 

「そう警戒するな。俺の名はナハト。ある情報を、お前に私に来たんだ。」

 

 黒装束の男、ナハトは、さらに口を開いた。内容は聞き取れなかったが、それを聞いたメルセデスは、大きく目を見開いた。

 

「その情報、何処で仕入れたのかしら?」

「企業秘密だ。教えられないね。それじゃ、不審者は大人しく退場するとするよ。」

 

 そう言うと、ナハトはメルセデスとすれ違い、歩いていく。しかし、すれ違いざまに、

 

「ああ、そうだ。これだけは言っておくよ。エミール=フォン=バルテルスは、生きている。」

「ッ!?待って………。」

 

 咄嗟に振り替えるが、その時、ナハトは消えていた。

 

「………エミール………。どこにいるの………?」

 

 彼女は胸元に手を当て、そう呟いた。

 

 ご愛読、有難うございます。砂原凜太郎です。

 今回、新キャラが登場しましたね。ガエリオとジュリエッタは過去の人です。今作品には登場しません、でも、今月中に、ガエリオ主人公、ジュリエッタメインヒロインの話を書きます。楽しみにしててください。

 




【次回予告】
 コナン塔に赴くベレト達、しかし、予想以上の戦力に苦戦を強いられる。
 次回、【壊せない壁と砕け散った絆】

次に登場するガンダムキャラは誰がいいでしょうか?この五人から選んでください。

  • ニルス・ニールセン
  • アンジェロ・ザウパー
  • ヘルベルト・フォン・カスペン
  • リボンズ・アルマーク
  • ラウ・ル・クルーゼ
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