発狂眼帯に転生!しかしそこはフォドラの大地だった……… 作:ナナシのG愛好家
「はぁ、疲れたぜぇ…………。」
日が落ちつつあり、少し暗くなってきた夕方。水着姿から着替えたカスパルは、床にへたり込んだ。それを見かねたフェルディナントが、注意しようとする。
「カスパル、行儀が…………。」
「仕方ねぇだろ?まさか溺れた奴を助ける羽目になるとは思わなかったんだからよ…………しかも二人。それにあいつらの服、ほとんど春画みたいになってたじゃねぇか。」
「卑猥な事を言うな!!」
そう、助けた二人が着ていた衣服は、もはや、衣服とも言えない様なボロ布だけだったのだ。大慌てでドロテアたちのもとに、出来るだけ二人の体を見ないように、ドロテアの元まで運んだ。姉弟だろうか、少女の方を、レオニーとドロテアが介抱し、少年の方は、フェルディナントとカスパルで開放した。
「ふぅ、夜は浜で水着バーベキューの予定が…………こうなると、彼女たちの為に私達も残らないといけませんから、台無しですね。」
すると、二人を介抱している部屋から、ドロテアが出て来た。
「ドロテア、いくらなんでもそんな言いぐさはねぇだろ。しっかし、何なんだ?アイツら。一応聞くけど、見間違いじゃないよな?
扉から出て来たレオニーが、開口一番、そう言う。そう。大陸の外れの浜に、まるで流れ着いたように浮かんでいた2人には、明らかに普通じゃない点が幾つもあった。
衣服と呼べるようなものを身に着けていなかったこと、全身が、おびただしいほどの傷で埋め尽くされていた事、リンハルトの診断では、
『少なくとも10年は前から付けられてるのもあれば、真新しいのもあるね。ま、新しいと言っても、大体一週間前くらい。傷口に海水が入ってたから、元通り治療するのに苦労したよ。』
とのことだった。実際、彼らを風呂に入れて洗う前に、リンハルトとリシテアが行った祝祷術が無ければ、二人は命を落としていただろう。
そして、一番不可解な点は、腰の下の辺りにまるで獣のような尻尾。頭には、獣の耳が生えていたことだ。確認したが、本来耳があるべき部分に、彼らの耳は無かった。触った感覚も、本物だ。
「とにかく、二人は、私の家の領で拾い、私が保護した。二人の番は、私がする。」
これ以上議論をしても、無駄だと判断したフェルディナントはそう言って、従者の持って来た槍を持って、部屋に入って行く。
「まったく、素直じゃないですね。一番あの二人を放っておけないのは、フェル君じゃないですか。」
ドロテアはそう呟いた。
「しかし、バーベキューは無しか。仕方ねぇ。食材を無駄にすんのは持ったいねぇし、色んな方法で調理してもらおうぜ?」
カスパルも、そう言って立ち上がる。皆を呼んでくるのだろう。
「お、なら、サウィン村直伝、猟師焼きにしようぜ?上手いんだよ。」
「それは楽しみですね。私達も準備に取り掛かりましょう。あの二人にも、目が覚めたら食べさせなきゃいけないし、フェル君にも持って行ってあげないとですね。」
そう言い、各々準備に取り掛かった。
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「しかし、何なんだ彼女たちは…………。」
謎の二人が寝ているベットの傍で、槍を携え、椅子に座ったフェルディナントは、そうため息を付く。
「あのおびただしい傷の量は一体。それに、二人の背に押されているのは、恐らく焼印…………。」
二人を風呂に入れ、介護するように洗っていた時、カスパルが気が付いたのだ。丸に、四つの三角。まるで動物の足跡の様な焼印の痕を。
一人、思考にふけっていると、
「………………ん。」
「ッ!!」
二人の内、少女の方が目を覚ました。
「キミッ、大丈夫か!?」
「ッ!!」
「!?」
とっさに身を乗り出して彼女の顔を覗き込んだ彼は、驚いた。水色の髪の少女は、彼を恐れ半分と怒り半分のような感情のこもった、緋色の瞳でにらんできたのだ。
しかし、その表情は、次に、自身の身体に違和感を覚えたかのようにはっ、と目を見開き、己の首に手を当てる。
「キミ、何があったんだ?」
槍を壁に立てかけ、そんなオロオロしている少女に、ゆっくりと、優しく声をかけた。
「…………アンタは?」
しかし、帰ってきたのは、妙に刺々しい、そんな声だった。
「これは失礼した。名乗らないのは無礼だったな。私はエーギル家嫡男、フェルディナント=フォン=エーギルだ。君の名前を、教えてもらえるか?」
「…………ピトー。とりあえず、そう呼んでくれればいいよ。」
「?」
自身の名前に興味がないかのように、そう吐き捨てる。その様子に、フェルディナントは首を傾げた。
「わかった。ではピトー、ここはアドラステア帝国エーギル領だ。君は、私達の領の浜に、もう一人の少年と一緒に打ち上げられて………。」
「ッ!!パルは、パルは無事なのッ!?」
もう一人の少年、と聞いた瞬間、彼女はフェルディナントに飛びついた。
「あの子に罪はない!!何もしてない!!だからお願い!!ボクのことはいいから、あの子は!!」
「お、落ち着け!!彼なら無事だ、二人とも、私の元で保護した!!」
涙目になりながら飛びついてくる彼女に、フェルディナントは気おされながらも、隣のベットを指差してそう言う。
彼としては、彼女を安心させるつもりで放った一言だが、その瞬間、彼女は崩れ落ちた。
「そ、そんな…………じゃぁ、ボク達は、また…………。」
そういいながら、ぽろぽろと瞳にためた大粒の涙を床にこぼす。
「ど、どうしたのだ!!ッ!!、背中の焼き印と、まさか、関係があるのか!?」
「ッ!!何言ってんのさ!!その身なり、アンタ、貴族でしょ!!ならボクの…………パルの背中の、この呪いの意味を理解しているはずさ!!」
「待て!!何やら誤解があるぞ!!」
「あくまでしらを切るなんて…………そんなにボクを絶望させたいか!!って、待って、本当に、背中のこれを知らないの?」
彼女の訴えに、気おされそうになるフェルディナント。しかし、フェルディナントの目を見た彼女は、唐突に、怒鳴るのをやめた。
「…………信じてくれたか!!しかし、急に、何故だ?」
「…………今まで、いろんな目を見てきた。」
「目?」
居心地が悪くなったのか、ベットの上で、体育座りをしている彼女は、そうつぶやく。
「いろんな目を見てきたから。どいつもこいつも、ボクと、パルに、どす黒い何かのこもった目を向けてきた。あんたにはそれがないから、信じてやってもいいよ。」
「どす黒い何か…………君はもしかして、奴隷だったのか?」
「もしかしてって、何?その言い方。」
「アドラステア帝国では、100年以上前に奴隷制は廃止されている。」
「廃止?」
よくわからない。という顔をする。
「…………やはり、君は大陸の外から来たのか…………。」
「大陸の外…………?聞いてなかったけど、ここって…………。」
「千年以上のフォドラ大陸だ。聞き覚えはないか?」
「…………全く。」
「ふむ…………。」
そうつぶやき、考え込む。
「この話はもういいか。私も少々混乱している。良ければ、後日、事情を聞かせてくれ。」
「…………思い出したくもない。」
「…………そうか。なら、逃げても構わない。」
彼女にもつらい記憶があるのだろう。と、考えたフェルディナントは、そういう。
「…………。」
「聞きたくない記憶を無理に引きずり出して傷口をえぐるほど、私は愚か者じゃないさ。」
意外そうな顔をするピトーに、肩をすくめ、そう言う。
「フェルディナント~?食事、持ってきたよ。」
すると、リンハルトが、扉をノックした。
「おおリンハルト、すまない。」
そういうと、侵入者防止用の鍵を開けた。入ってきたリンハルトは、大小様々な海鮮料理が乗った小皿を、魔法陣で運んでいた。
「お疲れ様フェルディナント…………って、女の子の方が起きてたんだね。彼女の分の食事も作ってくるよ。」
「…………コイツは?」
ベットのシーツを握りしめ、警戒するような目を向ける。
「…………ずいぶん警戒されてるね。僕はリンハルト。リンハルト=フォン=へウリング。彼の友達。みたいなものかな。」
「…………そ。」
「彼女にも辛いことがあったようだ。リンハルト、私の食事は私で取ってくる。少しだけ、彼女の番をしていてくれないか?」
そう言い、立ち上がる。
「はいはい。次期宰相様の仰せのままに。」
そういうと、出ていったフェルディナントに代わってリンハルトが代わりに椅子に座った。
「…………宰相って?」
すると、ピトーがリンハルトに問いかけた。
「ああ、外から来た君は、知らなくても当然か。今君がいるアドラステア帝国の政治を支える、六大貴族の長男。帝国の宰相になるっていう出世ルートが、生まれつき決まってる人間だね。」
「アドラステア帝国…………って、なんでボクが大陸の外から来たって、」
リンハルトがあっさりと自分の出自を見抜いたのには、彼女も驚く。
「まぁ、簡単な推測だね。君の背中の紋章は、フォドラでは見たことのないものだし。」
「…………。」
「ま、極め付けは、君の耳と尻尾だけどね。」
「…………。」
にこやかに、彼女の尻尾に目をやる。
「しかし、まさか、本当にいたとはね。獣人種。」
「…………知ってるの?」
「まぁね。あることがあってさ。」
「…………あること?」
「今ここにきてる僕らの学級のメンバーに、妙な刀を手にしてね。それを調べたのさ。」
そういうリンハルトの脳裏には、あの日の光景が蘇っていた。
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『おお⁉』
フェリクスとアネットに、人払いされた闘技場に呼び出されたリンハルト、エーデルガルト、ディミトリ、ベレト、そしてハンネマンの五人は、獣の耳と尾を展開し、鞘に納まった刀を腰に差したフェリクスの姿に、驚いていた。
『ど、どうしたフェリクス、その姿は…………。』
『俺にも分からん。ただ、この姿になれば、脚力や腕力が上がり、嗅覚や聴覚も強まる。まぁ、』
獣化形態を解きながら、フェリクスは塔であった、仮面の剣士との話す。
『仮面の剣士…………。』
『師、たぶんあなたが連想してるイエリッツァ先生とは別人よ。』
考え込むベレトに、エーデルガルトが突っ込みを入れる。
『しかし、待ってくれ、その力、その刀によるものという事か!?そうだとするのならば…………!!』
はっ、と、何かに気が付いたハンネマンは、大慌てで闘技場を出ていった。
『血相を変えて走って、ハンネマン先生、どうしたんだろ?』
『多分、【あの本】を取りに行ったんだと思うよ。すぐに戻ってくるさ。』
『あの本?』
アネットが、リンハルトの言葉に、首をかしげる。
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『はぁ………はぁ……待たせたね。』
なれない全力疾走のせいか、息を切らしたハンネマンが戻ってくる。彼の手には、一冊の本が。
『ハンネマン先生、その本は?』
ディミトリが、そう質問すると、ハンネマンはそれを待っていたかのように、
『これかね?よく聞いてくれた。リンハルト君と協力して、いくつかの古い歴史書の一部を写したり、その解釈をまとめた本だよ。研究対象は、これだ。』
本の一ページ目に、おそらく模写であろう刀の絵が描かれている。
『【弧月狼牙】?』
『おい待て、【弧月】と、【狼牙】は、別々の刀のはずだ。』
フェリクスがそう言うが、
『いやぁね、それが違うのだよ。文献を見る限り、【弧月】が現れた時代に【狼牙】の存在は確認できず、【狼牙】の存在の確認できる文献の時代には、【弧月】の存在は確認できない。それに、【弧月】にも【狼牙】にも、【古代文字】の中でも一際解読が難解な、【紋章文字】で銘が打たれている。おそらくだが、二つの時代で、解読できた部分が違ったのだろう。』
『そんなことがあり得るのか?』
ベレトが問いかけると、
『無論、あり得るとも。昔は今ほど連絡設備が整っていないだろうからね。記録や歴史というのに疎かったのかもしれん。』
そううなずいた。
『みればフェリクス君、その刀にも紋章文字が彫られているではないか。少し見せてくれないかね?』
『ああ。』
そう言い、刀を渡そうとするが、ハンネマンは首を横に振った。
『そこにおいてくれたまえ、その刀は曰くつきでね…………とてもじゃないが、直接触れる勇気はない。』
『…………そうか。ならば、』
さやから刀を抜き、文字の撃たれている部分をハンネマンに見せる。
『これでどうだ?』
『結構だよ。どれどれ?』
胸ポケットからメモ帳を取り出し、その中身を除きながら、文字を確認する。
『うむ。やはり、【弧月狼牙】と彫られているよ。』
『…………そうか。』
『他にも何か彫られてはいるのだが…………全く見たことのない文字で書かれている。解読には、どうも時間がかかりそうだよ。』
『わかった。すまないな。今日は、この姿の原因の解明と、現級長と、猪、それから、お前には教えておきたかったんだ。世話をかけたな。』
エーデルガルト、ディミトリ、そしてベレトを順番にみて、刀を鞘に納めると、彼は闘技場を後にしていた。
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「ま、僕はその真実を知っただけだったけどね。」
と、ことのあらましをピトーに説明した彼は、首をすくめた。
「ふぅん。でも、その【弧月狼牙】がどうかしたの?ボクとも、ボクらが大陸の外から来た事も、全く関係なさそうだけど。」
「まぁね。肝心なのは、【弧月狼牙】を打った刀鍛冶は、【大陸の外から来た種族】らしいんだ。その後、再び大陸の外へ出ていったらしいけど、【弧月狼牙】には、失われた種族の獣の力が眠ってるっていう伝承もある。そして、フェリクスは、それを証明してくれた。」
「…………じゃぁ、その刀を打ったのって、」
「十中八九、君と同じ種族だろうね。」
「…………ボク、刀を打った経験無いよ?」
鍛冶の腕を期待されてると思ったのか、そんなことをぼやいてしまう。マズイ。というように慌てて口をふさぐが、
「安心していいと思うよ。多分、フェルディナントは君に何も求めてない。」
「え?それってどういう…………。」
「リンハルト、戻ったぞ。」
しかし、間が悪いことに、フェルディナントが戻ってきてしまった。
「さてと。もう時間だ。続きは明日だね。」
「あ…………。」
そんな言葉と共に去っていくリンハルトを、名残惜しそうに見ていた彼女だったが、
「う…………。」
と、隣のベットから聞こえた声に、飛び起きた。
「パル!!」
眠っていた少年も、目を覚ましたのだ。
「よかった、パル!!」
「おお、目が覚めたか。ちょうどよかった。」
フェルディナントも、目を輝かせる。
「?ちょうどいいって?」
「ああ、明日は、君達との親睦を深めようと思ってね。」
「?どういうこと?」
首をひねるピトーに、フェルディナントはフッフッフ。と笑う。
「ズバリ、
海だ!!」
二人の元ネタ、わかる人はもうわかってると思います。次回、お待ちかねの先頭です。
次に登場するガンダムキャラは誰がいいでしょうか?この五人から選んでください。
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