世界が終わるのなら、それまでに…   作:如月 雨芽

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初めて小説を書いてみました。
拙い点が多いと思いますが、精進してまいります。


第1話

【プロローグ】

 

(なんでこんな道選んだんだろう…)

時間は午前7時を少し過ぎ、テレビは朝の政治やら芸能といった情報番組としてのコーナーを終え、エンタメのコーナーに差し掛かったタイミング。

自分、花島 真更(かしま まさら)が通う学校からのメールを確認していたら、今日は朝から重たい内容が提示された。

 

「校内第3回 臨時試験のお知らせ」

 

(またかよ…今年に入って何回やるつもりなんだ)

「臨時」の意味を履き間違えているんじゃないか

これだと「臨時」ではなく「定期」だろと突っ込みを入れたくなるような内容が開示され、朝から非常にブラックな気持ちになる。

 

重い腰を上げて学校に向かう。

それでも今日は少し気が楽な感じもした。

中学時代の親友の瑛治と夜、飯を食べに行く約束をしているからだ。

瑛治と会うのは久しぶりだ。

というわけで多少は軽い足取りで家を出た。

 

学校までは徒歩と電車を2回乗り換えをして約1時間。

徒歩の時間を考慮して、1時間もない電車に乗ってる時間の中に2回も乗り換えがあると、割と小忙しい思うかもしれないが…

案外そうでもない。

むしろソシャゲの最低限やるべきことをやるにはなんとも丁度良い。

今日もいつものように4つのソシャゲのスタミナやらまりょくを消化して学校に到着した。

 

授業は午前と午後で2教科ずつ。

専門性の強い学校なだけあって、専門外の授業は割と自由だ。

寝たり、スマホをいじったりする学生が多いが、おそらく教師側もそのあたりは理解しているようで、

授業をしてもかなり緩い感じで進めていたり、頻繁にまったく関係のない雑談が入ったりするので結果真面目に話を聞いている学生が一番多い。

しかし専門の授業になると様子は一変し、皆、愚痴を吐き出しながら何とかついていこうと必死に食らいつく。

自分も例外ではなく、その中の一人である。

 

毎日毎日こんな生活だとホントに嫌になってしまうが、しかし愚痴を吐ける相手はいないので耐え忍ぶ日々。

また、そんなだから今日瑛治と会うのには、腸煮えくり返って溜まったものを消化させてもらおうという魂胆もある。(ほどほどにね)

と、そんなことを考えていたら午後の授業も無事終わった。

(今日の午後は比較的楽だったな)

 

さあ瑛治と待ち合わせしている飯屋に向かおう。

場所は二人の地元にあるお店。何かの専門料理店という訳ではなく、メニューはかなりバラエティに富んでいて値段も安く、それでいながら量もなかなかということから利用する客は若い客が多く、学生のための居酒屋のような場所だ。

 

(そういえばこの前行ったときにお店の店主らしき人が、「お酒類の注文の出が悪いから云々」言っていたな)

完全に学生向けの経営方針にシフトするのか、僕らとしては有り難い限りなので期待したいところだ。

 

(………………)

(おっ流れ星?)

日はまだ完全に沈んでおらず、空も一部を闇に包み、まだまだ全体を見れば明るい。それなのに一際目立つ流れ星が上空を通過した。

(凄いな、こんな明るさでもはっきり見える流れ星もあるのか)

(でもあんな速さじゃあ願い事3回言うなんて至難の業だよなぁ)

と思いつつも、まだ流れてこないか立ち止まってしばらく空を見上げる。

 

(…………)

(………)

(……)

(来ないんかい)

なんとも無駄な時間を過ごしたと思い、再び歩き始める。

 

-------------------------------------------------------------------------------------------------

 

「ふぅ…着いたー」

先に店に着いたら必ず連絡を相手に入れるという暗黙のルールがあるが、今日はまだ来ていないので僕の方が先に着いたのだろう。

ガラス張りのドアを開け、店に入る。

 

 

「いらっしゃいませ~何名様でしょうか?」

「一人ですが後からもう一人来ますー」

「かしこまりました~それではお席の方へご案内いたします。」

 

「こちらの席にどうぞ」

「どうも」

 

お店の入り口に近い席にお冷と一緒に案内された。おそらく瑛治が来た時に見つけやすくするためだろう。

(そういうちょっとした心遣い…有り難いんだよなぁ)

(でももう二人分のお冷を用意するのは早いんじゃないか?まあアイツのことだから何も気にせず飲みそうだけど…)

お店はいつも通りそこそこの客で賑わっていた。

(さて、瑛治に連絡入れておくか…)

 

[先に着いたよ]

[入口に近い席に座ってるから]

(まっこんなもんでいいだろ)

なにしろこの店にはよく来ているのでこのやりとりには慣れたものだ。

 

瑛治にメールで連絡を入れ終えたところでお店のメニューを開く。

 

メニューの最初は和食。

とんかつ、天ぷら、そば、うどん…

(美味しそうだけど最近脂っこいものあんま食べられないんだよなぁ)

(かと言ってそばとかうどんだと物足りない気もする)

 

お次は洋食

ハンバーグ、ステーキ、カレー、オムライス、ピラフ…

(おっピラフはエビピラフか)

(エビ…エビか……)

 

メニューのページをめくる

(………………………よし、)

 

ガラガラガラ…

注文するものに目星をつけたところで店のドアが開く音がする。

「いらっしゃいませ~何名様でしょうか?」

「あっすいません先に連れが来てると思うんですけどー」

(おっ来たか来たか)

手を振って合図をする。

まず瑛治がその合図に気付き、その瑛治の様子を店員さんが察し、瑛治を案内する。

 

「それではごゆっくりどうぞ~」

「あっすいません注文いいですか?」

「はい!大丈夫ですよ~何にしましょう?」

「エビチリ丼と大盛り天津飯、中皿餃子あと烏龍茶を二人分で」

「かしこまりました~」

 

「分かってるね」

「任せとけって」

何年も一緒につるんでいたらコイツの好みなどお見通しだ。

まあお互いの好みが似ているからというのもあるかもしれないが…

ちなみに中華に偏ったのはただの僕の気まぐれだ。

 

「俺がエビチリ丼だろ?」

「……………」

「……は?」

 

「ふうぅ…」

瑛治が既に用意されたお冷を一口飲み、一息つく。

(ほらやっぱり何も気にしていない)

 

ちなみにジャンケンで結局エビチリ丼は取られた。

(クソっ…)

 

瑛治とは小学校からの親友。

中学も同じ中学校に通い、クラスこそ一回も被らなかったが、部活がお互い水泳部だったため、おそらく一番会話した友達だろう。

高校はそれぞれ別の学校に進学をしたが、今こうして一緒に飯を食べているくらいコイツとの友情は深い。

正直お互いの趣味とかは全く合わない。

それでもここまで馬が合うのはやはり性格といった部分が絶対的に相性が良いからだろう。

 

「で、どうなん最近そっちは?」

「どうもなにも辛いだけだよ」

「ふうーん、そうだったんだ」

「うん」

「あーでもあれは?なんか入りたい部活だか、プロジェクトがあるって言ってたやつ、ロボットとかそんなんだっけ?」

「あー…あれn…」

「キミ、あれが僕の彼女だとか、お迎えに行くとか言ってたじゃん」

 

「言ってねえよ」

 

(安心しろ親友、君の親友はまださすがに人間とロボットの見境はちゃんとついている)

 

あとコイツの僕に対する呼称は独特だ。

女子からの「キミ」呼ばわれはギャルゲーみたいでちょっとドキドキするけど、

男からの「キミ」呼ばわれには興味ねえ。

まあこのことを口したら、流石に引かれるだろうし、今に始まったことでもないから軽く受け流す。

 

「いやまあ何というか…実はそれがね今年急に活動休止になっちゃったんだよ…」

「あー…はっはっそりゃ残念だったねえ~」

個人的に気持ちにだいぶきてたことを軽くあしらわれ、なんかちょっと煽られた気持ちになる。

「フッ…こんにゃろっ」

まあでもコイツにこういう風に軽く煽られても特に腹が立たないのは、さすがは親友といったところか。

 

「まあだからそういう訳でさ、ノルマは課せられず、でも目に見えない何かに追われる社畜のような生活を今は送ってるよ」

(なんか話を聞いてもらっているのに余計辛くなってきた)

「大変そうだねぃ」

「はぁ…ドカンと一発デカい地震でもこないかな」

「ん?何か言った?」

「別に」

 

「そっちはどうなん?最近は」

「んー?別に変わらずかな。部活もそこそこやりながら、勉強勉強の毎日で、時間はあんまりないけどね」

「それでも特に将来これやりたいとかはまだないけど、学びを身につけておけばいつか役に立つだろうし」

 

(……………)

少し心が痛む。

それでも、

「そっか相変わらず凄いねその精神は」

と、毒にも薬にもならない言葉で返すが、僕にはいつ役立つか分からないことを学ぶ姿勢は理解し難かった。

 

その後もお互いの近況報告やたわいもない話をする。

二人で話すときは僕が話し手で、瑛治が聞き手になるのがいつもの構図で、今日もまた例外ではなかった。

 

-------------------------------------------------------------------------------------------------

 

「ふうぅぅ…もうこんな時間かぁ」

「んんー?あーそだね、そろそろ帰るか」

 

時刻は21時を回り、ここから何か話し込んでしまうと危うく22時を超えてしまいそうなタイミング。

僕らは条例をしっかり守るチキン、すぐに店を出る準備をし…

 

「ジャンケンポンッ」

「あっ勝った」

「俺の負けか、んじゃ会計よろしく~」

 

瑛治は自分が食べたものの代金と餃子の代金の半分を僕に渡し、席を立つ。

いつも唐突に始まる会計ジャンケンは、何故か勝者が会計をやることになっている。

 

(なあ~んでここで勝つかな)

(なんならさっきのエビチリ丼ジャンケンで勝ってくれよ僕の右手…)

(まあいいや、今度はヤツが嫌いなパクチーを餃子に入れた、タイ風餃子を頼んでやろう……)

 

ちなみに僕もパクチーは食べられないわけではないが、好きでもない。

 

(さっ僕も行くか)

 

いつも通りに会計を済まして外に向かい、先に店から出ていた瑛治と合流する。

 

「じゃっあんまり無理すんじゃねえぞー」

「そっちこそ」

「はいよ、それじゃあなー」

「おうまたな」

 

店前で瑛治と別れて帰宅する。

 

-------------------------------------------------------------------------------------------------

 

「疲れたな」

リュックを無造作に床に置き、座椅子兼ベッドに横たわる。

 

(風呂入らないと…)

(……………)

(あー…これダメなやつだ)

燃料の切れたような炎のように、意識がみるみるうちに薄くなっていく。

(風呂は明日の朝入るでいいかぁ……)

最後のマッチの火程度に残った力で部屋の電気を消し、眠りについた。

 

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翌日の朝

 

今日は土曜日、特に用事があるわけではないが、学校がある平日と同じくらいの時間に起きてとりあえず適当に朝飯を用意して食べる。

ちなみに僕はできるだけ睡眠時間は削って何かしら稼働していたい側の人間だ。

「よっこらしょ」

別に観るわけでもない、ただの賑やかしとしてテレビをつける。

 

用意した朝飯は卵かけごはん一品だ。

しかし、普通の卵かけごはんとは違う。

卵かけごはんの上にのりたまふりかけが乗っている

これが僕が考えた「W卵かけごはん」だ。非常に美味い。

これを発見したときは本気で自分を天才だと思い、褒め称えた。

 

それともう一つ、僕の自論としては、卵かけごはんは作ってから食べるまでの時間が勝負だ。

時間が経ってカピカピに乾くと美味しくない。

だから溶いた卵の躍動感が失われないうちにぐいぐいっと、かきこむ。

 

以上この二つが僕の卵かけごはんのルールだ。

料理の専門的な知識なんてないし、そこまで朝飯に時間もかけたくない、それでも食材を頂く限りは出来るだけ美味しく食べないとね。

 

(……………)

(朝から淋しい奴だな…)

 

「ビッビッ…ビッビッ…、ビッビッ…ビッビッ…」

 

と、ここで突然テレビが騒がしくなる。

速報だ。

 

(まあ最近は政界とか色々大きく動いているみたいだし今回も多分そんなこと……)

 

「ISG発表 来月12日に地球に超大型彗星が接近か

 ISG(国際宇宙政府)が来月12日、地球に超大型彗星が急接近する可能性を示唆した」

 

「え………」

 

速報は予想の範疇を大きく外れ、また他人事とは言えない内容だった。

今までニュースを読み上げていたアナウンサーやコメンテーターも動揺を隠せていない様子、

またテレビの映像には映っていない制作陣からも本当かどうか疑いの声が上がっていることが、

視聴者もとてもよく分かるほど現場は混乱していた。

 

速報は続く

 

「現時点で地球への被害を予測することは不可能

 一切被害が出ない可能性もあるが、最悪の場合人類滅亡の可能性もある

 ISGは「今後は総力を挙げて彗星の動向を追い、被害想定を立てていく」と声明を発表した」

 

放心状態だ。

 

(彗星が地球に急接近…?人類が滅亡…?)

 

映画や小説の世界だけの出来事と思っていたことがこうして現実になろうとしている。

一体誰が受け止められるだろう。

身体中の血液が薄まった感覚がした。

 

(ひっ…ひとまず、瑛治に電話……!)

 

[プルルルル…プルルルル…]

 

瑛治はすぐに電話に出た

「もしもしっ…!テレビ見てる!?」

「おう…見てる見てる……」

 

「……………」

「……………」

 

沈黙が流れる。

おそらくお互いに相手が喋り出すのを待っているわけではない。

簡単に飲み込むことのできない現実を突きつけられて、どう受け止めたらいいのか分かっていないのだろう。

 

「あー…その、」

「ん?」

「いや……」

「うん………」

 

喋りだしても言葉が出てこない。

こんな会話が続く。

 

「……とりあえずどこかに集まる…?」

なんとか頭から、腹から、ひねり出した言葉だった。

 

「うっ…うん、じゃあ…結鳴(ゆいなり)公園で…」

 

現状どこかのお店に行っても、とても落ち着ける雰囲気ではないだろう。

これを一瞬で判断した瑛治はさすがである。

 

「了解、すぐに準備して向かう」

「はいよ、じゃまた後で」

 

 

-------------------------------------------------------------------------------------------------

 

「おっす…」

「う、うん…」

 

先に瑛治がいた。

まだお互いに落ち着かない様子だ。

事実ここの公園に来るまでも、街ゆく人々も同じように朝の突然の報道に、戸惑っていることがひしひしと伝わってきた。

しかし、皆まだそこまで絶望している様子はなく、不安な気持ちはもちろんあるだろうが、

何とか抑えて家事をしたり働いたりしていた。

 

「これから先どうしようとか考えてる?」

 

「正直なところ分からない」

「だよな…」

 

またしばらく沈黙が流れる。

 

(…………)

(………)

(っ…)

 

どうしてか心が疼く。

仮に世界が終わるとして、それに対する恐怖ではないによるものではない。

そしてその疼きはいよいよ抑えることができなくなり、僕の心を崖から落とすような勢いで、突き動かした。

 

「でもっ……!」

「でも?」

 

「………僕はもう自分の好きなように生きたい」

「今までは将来のこととか他人からの視線を気にして過ごしてきた」

「けど、その将来とか他人の視線が、まだ完全に決まったわけじゃないけどもう少しで綺麗さっぱり全てなくなるのなら、

 別にもう気にせず好きに生きていいんじゃないかって」

「それにもし世界が助かったとしてもこれを機に何か変えたいと思う」

 

今の僕には失うものがない。

しかしこういう状況下に置かれたとき、それは自由解放を意味していた。

ならちょうどいいじゃないか、今を精一杯生きてみよう。

それが僕の本心だった。

 

「そうか、うんいい判断だと思うよ」

「キミはこれまでホントに周りに尽くして生きてきたよ。最後くらい自分のことだけを考えて過ごしていいんじゃない?」

「俺ももっと気楽に生きようかなぁ」

「頑張れよ、俺もいろいろ考えてみる」

 

「ありがと」

震えた弱々しい声でああ言ったが瑛治は背中を押してくれた。

なら、もうやるしかない。

 

未来なんて知らない。

 

今掴める幸せを追いかけるんだ。

 

 

 

「あっそうだ」

「ん?」

「お前風呂入ってないだろ」

「……………すまーん…」

身だしなみはしっかりしようと思い、家へ帰るのであった。

 




この先は複数のヒロインが登場していきますが、ヒロイン同士の絡みはほぼ無しの、「アマガミ」のような構成で、物語を進めていく予定です。
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