【悲報】転生したらツンツン頭で知らない部屋にいたんだけど 作:現実殺し
私、このss書いてる価値あるんでしょうか……?
お待たせしてしまい申し訳ありません! もう誰も見てないでしょうけど、なんとか呼吸を再開しました!
それではどうぞ!
フレンダは走っていた。
自身に迫る脅威から。
緑色の閃光が視界の端で閃くのを見た彼女は咄嗟に身を屈める。
刹那、頭上に三線、鉄パイプのような太さのレーザーが通過した。
危うく心臓、もしくは脳を焼き貫かんとする三閃を、咄嗟に側転しながら躱す。
「こんっの……!」
今のは危なかった。
まるで針に糸を通すように正確に狙ってくるのは心臓に悪い。
フレンダは憎々しげに闇の奥を睨みながら、爆弾を自分の逃走経路とは真逆の方向へ放った。
自分の逃走経路を悟らせないための、言わば囮。
彼女は目指していた。学園都市から脱出する方法を。
しかし、死神は、すぐそばに張り付いていた。
「見・つ・け・た」
麦野沈利。
「ひぃっ⁉」
思わず情けない声が出るのは見逃して欲しい。
死は恐れる物。
少なくとも、フレンダにとってはそういう認識だ。今は何があっても解決してくれるヒーローはいない。彼は今、世界の為に動いている。
自分で何とかするしかないのだ。
「オラァッ!」
「グおっ!? てめぇ……ッ‼」
麦野の背後から回し蹴りを喰らわせたのは、御坂美琴。
第三位の
つんのめる麦野に、すかさず追撃を放つ。電磁力で引き寄せられたコンテナが、麦野の全身を打ち付けた。
彼女の体がコンテナに押し込まれるように壁に衝突する。
「ナイスアシストってわけよ!」
「浮かれてる場合じゃないわよ。アイツはこんなんじゃ堪えないわ」
御坂が呆れ気味にそう言った瞬間、コンテナから緑の閃光が煌めく。
いやな予感がした二人は咄嗟に身を屈める。それと同時に、彼女たち二人の頭上擦れ擦れに、レーザーが迸った。
そして、レーザーが放たれたコンテナが崩壊し、中から血濡れの麦野が悪鬼のような形相で二人を睨んだ。
半泣きになりながら、フレンダはその姿を見て叫ぶ。
「くっそババアふざっけんなっ! どんだけ頑丈なのよ、ターミネーターか!」
「殺すッッッ‼‼‼」
「下手に煽ってんじゃないわよ間抜け!」
「うっさい! 結局ッ! 文句の一つも言ってないとやってらんないってわけよ!」
虚しい叫びが、辺りに反響する。
彼女たちが今いる場所は、何処かの廃工場の奥だ。だが、意外と綺麗にされているあたり、それなりに働いていた人間は愛着を持っていたのだろうか。
などと、現実逃避気味にそんなことを考えてたフレンダの意識が、耳たぶを僅かに掠める緑の光線によって強引に引き戻された。
どうやら、幻想に逃げる暇もないらしい。
向き合う時だ、現実と。
「ってやっぱり無理ィ――ッ⁉」
「全部私任せにしてんじゃないわよ! アンタもなんか働きなさいよ⁉」
「れ、
「急に腰低くしてんじゃないわよ! アンタマジでこいつ私一人に押し付ける気だったの⁉」
奥へと逃げながら、フレンダがささっと視線を逸らす。
もはや、確定だった。
「……と、とにかく! 結局、正攻法じゃ勝てないってわけよ!」
「話逸らすな……はあ、で? なんか作戦でもあんの?」
「……まあ、一応」
フレンダは工場の天井を見上げ、自信ありげにそう言う。
釣られて、御坂も視線を上空に移し、大きく目を見開いた。
「ちっ。ちょこまか逃げやがって」
麦野沈利は瞳の奥に暗い炎を燃やしながら、フレンダたちを探していた。
ここまで虚仮にされたのは……いや、そもそもだ。
どうしてこんなにも失敗ばかり続くのだろうか。アイテムのメンバーとは連絡が取れず、自分は下っ端のような役回りを押し付けられた。
たかだか
まるで、運命そのものが自分を苦しめているかのようだった。
「……クソが。何が運命だ舐めやがって……全部、全部全部全部‼ ぶっ壊してやるよォォォォォォ―――ッッッ‼‼‼」
刹那。麦野の全身が発光し、全方位に向けて
視界を埋め尽くす白光。耳をつんざく破壊音。視界を埋め尽くす煙。
その心地よさに身を預けていた麦野は、唐突に紛れ込んだ不協和音に眉を寄せる。
「……この感覚……へえ。そこか」
それは、同質の力による相殺。
流石に無差別範囲攻撃から身を隠す手段はなかったようだ。
晴れてゆく煙の中から、傷だらけで、肩で息をする御坂が姿を現した。
「どうした第三位? あのクソチビは一緒じゃあねえのか?」
「あんなの居ても邪魔なだけだからね。お陰で……こっちも全力でアンタをぶっ倒せるわ」
得意げに宣言し、御坂は右手の指の形を銃型にする。
既に頭に血が上っていた麦野は、その安い挑発に青筋を引くつかせる。
「……舐めんじゃないわよクソガキが。ここで前みたいな小細工が通用すると思うなよ?」
「負け惜しみね。みっともないわよ、オバサン?」
「――死ね」
瞬間、爆ぜるように麦野が突進する。
周囲に緑球を侍らせ、御坂のあらゆる迎撃に対応できるように気を配らせる。
御坂は電磁力で後方に一気に飛び下がった。その様子を見て、麦野はその場で停止し、彼女に向けてレーザーを放った。
迫る光線に、御坂は下がるのをやめて電撃で防御するも、反動で体勢を崩して転がる。
勝った、と麦野は思った。既に御坂の体力は限界だ。そう判断できるのは、彼女が回避に電磁力を使ったからだ。
あれは調整が効かず、引き寄せられたまま壁に激突してしまうという欠点がある。
調べでそれを知っていた麦野は、それを使わなければ録に動けないほど、彼女が疲弊していることを即座に見抜いたのだ。
「……さて、こっからテメェをどう料理してやろうかねエ。ん? どこから焼いてほしい? リクエストは?」
「あぐっ⁉」
必死に起き上がろうとする御坂の胸ぐらを掴み上げ、勝ち誇った表情で尋ねる麦野。
酸欠で苦しむ御坂は、ゆっくりと右の人差し指を天井に向けた。
釣られ、麦野も天井を見上げる。
「……あ?」
そこには、天井から吊るされたコンテナがあった。
恐らく、運んでいる途中で作業が中断されたのだろう。不自然な状態で静止しているそれは、二人の頭上で衝撃に揺れて今にも落ちそうだった。
それもそうだろう。麦野は全方位に向けて攻撃を行った。それには当然天井も含まれる。実際、あのコンテナのある場所の周囲には蜂の巣のように穴だらけだ。
と、そこで麦野の脳裏に二つの疑問が浮かんだ。
一つは当然、なぜ御坂はそんなものを指差したのかということだ。
だがもう一つは……。
(……なんで、あんなもんが残っているんだ?)
そう。
それこそが、一番不可解な現象だった。
コンテナには傷一つなかった。まるで、
「気づくの遅いわよ。じゃあね」
「は? ――ッ⁉」
バチィ! と麦野視界がスパークする。
御坂が一瞬だけ、彼女の目の前で火花を散らせ、目くらましを行ったのだ。
眩い光に、麦野が咄嗟に瞼を閉じる。その隙に麦野の頬に膝蹴りを放った御坂が、彼女を足蹴にして跳び下がった。
「こ、の……餓鬼ィ―――――ッ‼」
「今よッ!」
「了解!」
元気のいい返事が、天井から響いた。
コンテナの上から、ひょっこりとフレンダが顔を出し、何を思ったのか。
彼女は、コンテナと天井を繋ぐアームを破壊した……自分が乗っているにもかかわらずだ。
当然、重力に逆らうことなんてできないコンテナは落下する。それにしがみつく様に姿勢を低くするフレンダの顔には、悲壮感など微塵もなかった。
「くたばれゴミがァァァァああああああああああああああああああ――ッ!」
太鼓の音のような咆哮と共に、麦野が片目を開いてコンテナに向かってレーザーを撃つ。
そのまま直進すれば、コンテナごとフレンダを打ち抜くであろう緑の一撃。
それは、青白い稲妻によって防がれた。
驚愕の表情で、飛び下がった御坂に目を向ける。
彼女は勝ち誇ったような笑みを浮かべ、わざとらしく右手の甲を向け、中指だけを立てて煽った。
その行為に含まれる二重の意味。
それに気づいた麦野ははっとなって逃げようとするも、間に合わない。そして、その動作のせいで無駄にした刹那。
既に目の前に、四角い物体は迫っていた。ここからでは、
「もう遅いってわけよ! ロードローラーならぬ―――コンテナだぁぁあああああああああああああああ――ッ!」
「――ち、く……しょぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおあああああああああああああああああああああ――ッ!」
どおん……ッ!
地鳴りのような、呻き声のような鈍く低い大音響が、辺りに響き渡った。
建物全体が振動し、ただでさえ崩れかけの工場はさらに埃を落とした。柱にヒビが入り、爆風のように景色を土煙が埋め尽くす。
「げほっ、ごほっ……」
「……し、痺れるぅ……」
情けない声と共に、フレンダがコンテナから転がり落ちる。
無傷ではない。実際、一歩間違えれば死んでいたし、そうじゃなくても全身に途轍もない負荷をかけた。
だが、死んではいない。
その事実を、フレンダは強く噛みしめる。
生き残った。その現実に……感謝する。
「アンタも生きてるみたいね」
「……おかげさまでね。……その、
「…………」
「……ごめん、野暮だった」
「……いいの、気にしないで。元々、私は
「……嘘つかないでよ」
「はぁ? 嘘なんて――」
「だって! アンタ……震えてるじゃない」
「――ッ⁉」
御坂の指摘に、フレンダは硬直する。
見れば、まるで氷の中に出もいるかのように、彼女の全身が震えあがっていた。
それは戦闘の反動とは、どう見ても別物だ。
ずっと忘れていた感覚。人を殺すとはどういうことか。
それを今、フレンダの心は思い出していた。
「……でも、それは貴女が気にすることじゃない」
「……ッ!」
「貴女は、こんな風にはならないでね」
力なく笑って、彼女は言った。
その面持ちが余りにも悲痛で、御坂は何も言えなくなってしまう。
……しばらくの間、沈黙が続いた。
やがて、フレンダはゆっくりと立ち上がり、
「……さ、行こうか」
「行くって……どこへ?」
「学園都市の手の届かないところ。そうね、今戦争してるロシアなんかが丁度いいと思うってわけよ」
「逆に危ないと思うんだけど⁉」
「冗談。他のとこにするわよ」
嘘である。
この女、もはやロシアに行く気しかなかった。
(……そろそろ、決着もつけたいし。この気持ちにも……)
「じゃ、そう言う訳で」
「……いや、その怪我で行くの?」
「…………」
この後、二人は仲良く同じ病室に送られました。
「ああああああああああんもおおおおおおおおお――ッ! なんで途中で墜落するんだよあの欠陥ハニワぁああああああああああ――ッ‼」
「嘆いても気色悪い声出してもどうしようもないでしょはっくしょん!」
「ぷぷっ! こんな吹雪の中ジャージとか馬鹿なんですかー? え、俺? 俺のは学園都市製の学ランだからね、多少はね?」
「よしムカついた、その制服寄こせ戦争じゃゴラァ!」
「てめぇ自分で勝手についてきたくせになんて身勝手なんだ⁉ だが甘い、俺はカズマから学んだんだぜ? 見てくれ良くても性格クソな奴には容赦しない方がいいってなあ‼」
とあるツンツン頭の少年は、ロシアへと足を運んでいた。
……何故か隣に、ジャージ姿の小悪魔のような少女を侍らせて。
物語は進む。
これより、旧約最終章が幕を上げる――!
「いや待ってお前どこに手を入れようとしてんの⁉」
「残念でした! 私は生半可なヒロインと違って、主人公サイドからも読者からもヘイトを集めるクソキャラなんですよだから何やっても問題ないんじゃコラァ―――ッッッ‼」
……始まる?
盛大に何も始まらない希ガス。