悪を名乗る偽善者   作:クロトダン

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今夜の生放送楽しみ。
今回の話はあの外道が嫌いな方には喜ぶかもしれません。


民よりも、国そのものの守護を優先する男と悪の力を持って悪を滅する男。その二人の思いに運命はどちらを味方する?


悪を名乗る偽善者のエゴ

――翼視点――

 

 

 ネガ電王の存在を初めて知ったのは、奏を含めた大勢の人達が亡くなったノイズが蔓延んでいたライブ会場でその姿を現したのが最初だった。

 空から現れた電車から降りたネガ電王はその力でノイズを次から次へと炭素へと変えていった。だが、ノイズを圧倒する力を持っていたのに奴は……。

 

 

 ――奏を見殺しにした

 

 

 それから私は奏を見殺しにしたネガ電王への恨みや憎しみを胸に抱き二年の間、腕を磨きながらネガ電王の復讐に囚われていた。

 

 ある時、立花の胸に奏のガングニールの破片があると説明されたあの日。ノイズが現れた場所にネガ電王がいると聞いた私は司令の静止の言葉を振り切り、奴がいる場に赴き、現場に到着するとノイズを倒している奴の姿が視界に入った途端、憎しみが込められた剣を片手に単身奴に挑んだが……結果は手も足も出せぬまま私は地面に倒れ伏し、ネガ電王は倒れた私に目をくれず姿を消し当時の私は奴への憎しみとそして未熟な自分自身に悔しさを覚え泣き叫んだ。

 

 

◇◇◇

 

 

 それから月日が経ち、私がお爺様――風鳴 訃堂に錬金術師から掛けられた術により操られ、シェム・ハの器になった小日向を拐い、装者のみんなと敵対してしまったが、風鳴家本邸に立ち入ったマリアと交戦し彼女のおかげで私に掛けられた術から解放された。

 だが、叔父様を倒しマリアを気絶させたお爺様が私に命令を出したが術から解放された私はその命令を拒否するとお爺様は銃を取り出し銃口を私に向け引き金を引こうとしたが……。

 

 

 ―――突如私の前に現れたネガ電王がお爺様が撃った銃弾を切り払った。

 

 

『ネガ、電王……なんで、私を……?』

 

 現れたネガ電王に戸惑いつつも、私は何故助けてくれたのか彼に質問するがネガ電王はその問いに答えず、お爺様に声をかけた。

 

『……お前は、悪か?』

 

『なに?』

 

『お前は悪かと聞いている』

 

 ネガ電王はお爺様に悪なのかと問いかける。

 

『ハッ!何を言うと思いきや……否!この国を護る防人であるわしが悪だと断じて否!愛する故国を護る為なら有象無象の民草よりも、国家基盤そのものの守護を優先するのが防人として真の姿!そのような力を持ちながらこの国を護らない貴様のほうが悪ではないか!』

 

 その問いに鼻で笑ったお爺様はそう言った後、ネガ電王に指を指して非難したが、ネガ電王は気にせず次の言葉を口にした。

 

『へぇ……じゃあ聞くが、自分の身内を操ってまでこの国を護るのが正しいのかよ?』

 

『何を馬鹿な事を!愛する故国を護る為なら、その命を故国の為に捧げる!それが守護を優先とする防人としての正しき姿よ!翼も防人であるならその身をこの国に捧げるのが本望であろう!』

 

『…………ああ、そうかい。やっぱりお前は悪だ』

 

『なんだと?』

 

『国を護る為ならそこに住む人間はどうでもいい?ハッ……ふざけるなよジジイ

 

 その言葉を発した途端、ネガ電王から途轍もない殺意が溢れお爺様に向けられた。

 

『オレはな……お前みたいな誰かを利用し、弄ぶ奴が……心底嫌いなんだよ!

 

 そう告げた直後、地面を駆けたネガ電王はその手に持った剣をお爺様に向けて振り下ろした。

 だが、お爺様はその剣を跳躍する事で避けると地面に突き刺さった刀を手に奴と斬り結んだ。

 

 幾度かネガ電王と斬り結んだお爺様は鍔迫り合いになり顔をネガ電王の仮面に近づけるとその胸に抱いた言葉を彼に告げた。

 

『歌で世界を護れない!人が繋がり語り合う等片腹痛し!そのような世迷い言を血を流し命を落とした先達に顔向け出来ぬと貴様は判らぬのかっ!』

 

『ああ、判らないね』

 

『なんだとっ!?』

 

『オレは正義の味方をしてる訳じゃない。目には目を歯には歯を、悪には悪の力で悪を潰す……それが、オレのエゴなんだよ!』

 

フルチャージ

 

 ネガ電王が自身の覚悟を口にするとお爺様を蹴り飛ばし、黒いパスケースでベルトの中央部に触れると、ベルトから音声が流れると片手に持った剣を腰だめに構え、ベルトから溢れたエネルギーが剣身に集まる。

 ネガ電王の覚悟を聞いたお爺様は印を切ると紫色のオーラを全身に纏い、ネガ電王を迎え撃とうと刀を構えた。

 

『ヌウッ!?ならば!貴様も戦士だと言うのなら、貴様の信念とわしの信念、どちらが正しいか勝負と参ろうかぁ!』

 

 その言葉を合図に二人は同時に駆け出し、間合いが届く距離に入ると刃を振り下ろした。片方の持つ刃が頭上高く舞い上がり、互いに背中を向ける形で動きが止まる。

 

『グッ……!』

 

 一瞬の静寂の後、膝を着いたのは剣身が根元から失くなった剣を持ったネガ電王だった。膝を着いた奴を見ると今まで傷を付けられた事がなかった鎧に斜めに斬り裂かれた跡が付けられていた。今まで何度刃を交わし、傷一つ付かなかったその姿に私は驚きを隠せなかった。

 

『フンッ!わしの信念の勝ちだな。潔くその力を故国の為に振るうか、拒絶するならば潔く命を断つか!選ぶがいい!』

 

『何を言っている?』

 

『なにぃ?』

 

『まだ勝負はついてないぞ』

 

 お爺様の言葉を否定したネガ電王は左手で胸を抑え、右手に持つ剣身が失くなり柄だけになった得物を上に掲げる。

 

『負け惜しみを……良かろう。ならばお望み通り引導を渡してやろう!』

 

 満身創痍のネガ電王を見たお爺様は両手に持ち直した刀を頭上に掲げ、トドメを刺そうと振り下ろそうとした。だが――

 

馬鹿が……

 

―斬!―

 

『なっ…ん、だとぉ!?』

 

 ――斬りこんだ際に()()()()()紫の刃が、お爺様の両腕を斬り飛ばした。

 その光景を見た私はネガ電王は斬り結んだ時に刃が飛ばされたんじゃなく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()のを理解した。

 

『馬鹿な!わしが国を思わない俗物等に負けるなどと……っ!?』 

 

 両腕を失くしたお爺様は膝を着き、自身に起きた現実に困惑していると剣を持ったネガ電王がお爺様の前に立った。

 

『わしを殺すか?ふっ……ならば殺せ!そしてわしは防人ではなく護国の鬼となってくれるわぁ!』

 

 彼の姿を見たお爺様は立ち上がり、仁王立ちになると胸を張って、自身の命を奪えと命じた。しかし――

 

『くだらねぇ』

 

 ――ネガ電王はその願いを一蹴すると背中を向きお爺様から離れていった。

 

『貴様!何故わしを殺さん!?貴様は悪を憎んでいるのではないのか!』

 

 お爺様は何故命を奪わないと問い掛けるとその問いにネガ電王は……。

 

『確かにオレは悪を憎んでいるし、最初はあんたを殺そうとした……けど、死ぬ事すらも喜びと取るあんたを見て考えが変わった。その姿で生き恥を晒す事が……あんたのだ』

 

 それを聞いたお爺様は膝を着いて慟哭が夜空に響き渡り、ネガ電王は完全にその場から姿を消した。

 

 

――翼視点、終了――

 

 

◇◇◇

 

 

――三人称視点――

 

 

 

 先日のネガ電王との戦闘から一夜明け、翼は本部の訓練室で一人鍛錬をしていると、そんな彼女の様子を見たマリアは翼を訓練室から連れ出し共に変装して街の中を歩いていた。

 

「マ、マリアそんなに引っ張らないでくれ。私にはやるべき事が……」

 

「ダメよ。放っておいたらまた一人で修行をするんでしょ?今はあんな自己中男の事なんか忘れて少しは息抜きをしなさい。もう少しで目的地なんだから」

 

 翼の意見をバッサリと切り捨てたマリアはウインクを送ると彼女の手を握ると、前に出て目的地に向かって先導する。

 

「息抜きと言われてもまずいったい何処に向かっているのか教えてくれないか?」

 

「フフッ。それは着いてからのお楽しみよ」

 

 そう告げてしばらくすると二人はレトロな雰囲気を感じる喫茶店に到着した。

 

「ここなのか?」

 

「ええ。以前調と切歌からお手頃な値段の割に凄く美味しいって教えてもらったの。嫌な事があったら美味しい物を食べていつもの貴女に戻りなさい」

 

 翼はネガ電王に敗れてから落ち込んでいる自分を慰めようと訓練室からここに連れ出してくれたマリアの優しさに気付き、彼女の横顔を見て笑みを浮かべる。

 

「……ああ、そうだな。その言葉に甘えさせてもらおうか。マリアが珍しく慰めてくれていることだしな」

 

「ええ、そうしなさい……って!珍しくってそれはどういうことよ!?」

 

「ハハッ。すまない、そう怒るな。ほら、早くに入ろう」

 

 先の言葉に反応して食い下がるマリアに翼は笑いながら謝罪してから喫茶店の扉を開き中に入ると――

 

「はい!スペシャルギガジャンボ苺クリームパフェお待ちどうさま!」

 

 ドンッ!と表現する程バケツに盛られた巨大パフェが彼女達の視界に入り込んだ。

 

「うひゃーっ!待ってました!」

 

「というか前挑戦した時より更にパワーアップしてませんかコレ!?」

 

 あまりの衝撃に唖然としていた翼とマリアは巨大パフェの反対側から聞き覚えのある声に気付くと、まさかと思い反対側に回りこむとそこには巨大パフェを前に手を組んで眼を煌めかせた響と巨大パフェの大きさについて店員らしき男に質問している未来がいた。

 

「立花、それに小日向」

 

「貴女達も来ていたのね」

 

「あ!翼さん、マリアさん!」

 

「お二人共、こんにちは」

 

 翼達の呼び掛けに気付いた二人は彼女達に挨拶を送ると翼達も挨拶を交わした。

 

「あ、お客さんですか。いらっしゃいま――せっ!?

 

喫茶店に入店に気付いた店員――坂時 良牙は店にきた二人の顔を見た瞬間、まずいものを見てしまったと顔が強張った。二人の顔――特に翼の方を見た良牙は響について質問する。

 

「ひ、響ちゃん。この人達と知り合いなのかな?」

 

「はい。私が尊敬する物凄くお世話になっているお二人なんです!」

 

「へ、へーそうなんだ。……ンンッ!はじめまして、喫茶店【時カフェ】の店長をしている坂時 良牙です。あのー、失礼ですがもしかしてお二人は……」

 

 良牙は咳払いをしてもしやと思い翼達に質問すると二人は顔を見合せ苦笑すると変装していた帽子とサングラスを外し、良牙に挨拶する。

 

「はい。お察しの通り風鳴 翼です。隣にいる彼女は――」

 

「マリア・カデンツァヴナ・イヴよ。それにしてもよく私達に気付いたわね?」

 

「いえ、偶々昨日お二人の曲を聴いていたので……あ、お客は響ちゃん達しかいないのでお好きな席に座ってください。こちらメニューをどうぞ」

 

 マリアは変装していた自分達の正体に気付いた良牙に声をかけると良牙は目線を彼女達から反らしその問いに答えると二人を席に座るよう促した。

 

「ありがとう。あら、色々種類が豊富なのね。私は苺タルトとコーヒーを頼もうかしら。翼は?」

 

「ふむ……ならショートケーキセットをお願いします」

 

「はい、かしこまりました。すぐにお持ちしますので少々お待ち下さい」

 

 注文を受け取った良牙は二人に声をかけた後、カウンターに入り店の大きい冷蔵庫から注文のケーキを取り出しながらカウンター越しにいる翼達に気付かれないよう視線を向け、内心呟いた。

 

(何でここに風鳴 翼がきてんだよ!?変身してたからオレだと気付かれてないから大丈夫だと思うが……気まずい!)

 

 そんな良牙の苦悩を尻目に件の翼は巨大パフェに挑戦している響に向けられていた。

 

 

――三人称視点、終了――




どうもクロトダンです。

今回は主人公の思いについての話でした。

残りの装者達の話を投稿したら、オリジナルの話を投稿しようと予定しています。楽しみにしてください。
誤字、脱字があれば気軽に教えてください。


次回も投稿するけどいいよね?答えは聞いてない!
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