死神英雄譚 作:ちゃむこ
現実で色々忙しくて、かけてませんでした!
ロキ・ファミリアと別れ、クラン達の元へ向かったウルは現在、6階層へと向かっていた。
モンスターの気配を微かに感じ取れるウルは、6階層に着くなり大量のモンスターが同時に、
ウルはもう自分に気付いているだろうクランの元へ向かい、バレない様に隣に隠れる。
「クランから見てどうだ?」
「悪くないんじゃない?多少動きに無駄があるけど、1ヶ月前に冒険者になったってんなら、そこらのレベル1よりはマシかな。でも所詮それまで。酒場から今まであいつは一種の興奮状態になってる。そして多分だけど、この階層に来たことは、多分0回かあっても数回程度。それであんなにギリギリの戦いしてたら、すぐに脳や体に限界が来る。…ほら、段々と足取りが…ってあと2体残して気絶しちゃったよ」
クラン達の前で戦っていたベルは、ウォーシャドウを残り2体まで減らすも、そこで倒れてしまう。残り二体のウォーシャドウはベルにとどめを刺そうと、鋭い爪を振り下ろした。
あと数センチでウォーシャドウの爪が当たるその瞬間、勢いよく二体のウォーシャドウの頭に風穴が空いた。
「なんで石なんか持ってるの?」
「ここまで来る間に襲ってきたモンスター用で拾ってた。なんとか役に立ったな」
ウルの手には小さな石が数個あった。それを投げてウォーシャドウの頭を貫通させたのだろう。するとウルはベルの方へと歩いていくため、クランも後についていく。
「クランは右の魔石を頼む。俺は左を集める」
「はーい」
ウルはクランに魔石を入れる袋を渡した。すると2人はベルが倒したモンスターの魔石を慣れた手つきで拾っていく。
なぜこの2人が魔石を拾うのを慣れているかと言うと、ハデス・ファミリアはダンジョンに潜った際、冒険者とサポーターという関係は一応あるものの、特にこれと言って冒険者とサポーターの上下関係と言うものに興味がないため、ひと段落したらみんなで拾っているからだ。
一通り拾い終わった二人。ウルは拾った魔石をクランに渡した袋に入れてもらうと、さらにポッケから大量の魔石を出して同じ袋に入れた。
「今の魔石は?」
「来る道中に倒したモンスター達のだ。これも一緒に入れれば少しは足しになる。ヘスティア・ファミリアはまだ団員が一人、金はいくらあっても足りない」
「それはわかるけどさ、確か今の神ヘスティアが住んでる廃教会の地下部屋って、元々はウルがヘスティア・ファミリアにいた時のまんまでしょ?しかもわざわざ君が住みやすい様に色々作り直したりとか、家具を揃えて並の宿屋よりも良い環境になったやつ。
それに君が脱退する時、君がヘスティア・ファミリアにいた時に稼いだお金とか全部、ヘスティア様にあげたんだろ?ウルが一生懸命稼いだお金をウルの事が大好きなヘスティア様が無駄遣いするとは思えないんだけど?」
「それでもヘスティアには不自由してほしくないからな。
ヘスティアは最初服も一着しか持ってなかったんだ」
「それは昔のことでしょ。と言うか僕知ってるからね、君が定期的に今もヘスティアに服とか食材とか買ってあげてるの。…いや君の場合、剣姫達やアミッドとかと出かける時もなにかプレゼントとかしてあげてるのは知ってるけどさ。それでも君はもう少し自分のためにお金を使うべきだよ?」
「?…俺は自分のために使ってるよ?」
「…あー、うん。…ウルは優しいもんね。
まぁ良いや、それでどうするの?」
「ベルをヘスティアの所まで送る。きっと心配してるからな」
するとウルはベルをお姫様抱っこの形で抱くとそのまま歩いていく。
ウルとベルの体格差のせいか、何故かベルが女の子に見えるクランは、軽々と抱きかかえながら歩くウルの姿を見て、心の中で祈っていた。
(どうかエルカ達には見つかりません様に!見つかりません様に!見つかりません様に!見つかりません様に見つかりません様に見つかりません様に見つかりません様に!見つかりません様に!)
ただひたすらに祈るクラン。結果、その願いが届いたのかヘスティアの元へ着くまで、誰も知人とは会わなかった。
ヘスティアside
いくらなんでも遅すぎる…!
「どこに行ったんだベル君…!」
今は天気が悪くて暗いけど、朝の5時。
今までこの時間までに帰ってこないことなんてなかったのに……
僕がキツくあたっちゃったから?
でも、あの子はそんなんで人に心配をかける様な子じゃないし……
クソッ!こんな不安になることなんかウル君にたくさん経験させられたのにちっとも慣れない…
ヘファイストスやみんなは、ウル君は強いから大丈夫だって言うけど、違う。
あの子は
冒険者としては誰より強くても、人としては彼は誰よりも弱い。ベル君や下手したら僕なんかよりも…
そういう意味では、ベル君はしっかりしてる。自分の危険を察知する能力は長けてるはず…
となるとやっぱり、何か事件に巻き込まれたんじゃ…!
「や、やっぱり捜しに……!ぷぎゅ!」
痛ったあぁ…あれ?あまり痛くない?…あ、胸がクッションになって威力が落ちたのか!よかったー胸があって!今度ロキのやつに自慢してって違うそんなことよりベル君を!
「…ヘスティア?」
「へ?」
「大丈夫か?今思いっきりドアにぶつかっただろ?」
「う、ウル君!?」
「ああ、ウルだよ」
「な、なんでこんなところにウル君が!?」
そうだ、このままウル君に申し訳ないけど、ベル君を一緒に捜してもらえるようお願いしようか…でも今日長期遠征から帰ってきて疲れているだろうに…
でもベル君の命が危ないのに躊躇してられない!
「ウル君!君に頼みが「落ち着けヘスティア。ベルは無事だ」…え?」
今ウル君はなんて言った?ベル君が無事?
「落ち着いたな?ベルなら今は寝てる。途中から雨が降ってきたから俺の服で包んでて見えにくかったか」
ウル君はそう言って、前で抱えていた服をどかしてベル君の顔を見せてくれた。所々怪我はしてるものの軽傷のようで、今はスースーと寝息を立てていた。
「良かった…でもこんな時間にこんなボロボロで…一体どこにいたんだい?」
「ダンジョンだ」
「ダンジョン!?なんでこんな時間から」
「それは本人から聞いた方がいい。だが簡単に言うとな」
「強くなりたかったんでしょ」
ウル君の言葉に続いて、ウル君の後ろから声が聞こえた。声の主はひょこっと顔を出し僕と目が合う。
「クラン君までいたのかい!?というか強くなりたかったって…」
「そのまんまの意味。その子は強くなりたくて、夜遅くからダンジョンに潜った。それだけだよ」
「クランの言った通りだ。ベルは強さを欲してダンジョンに潜ってた。おそらく、これを聞いたヘスティアの性格上、何か力になってあげたいと思ってるんじゃないか?」
ウル君は真っ直ぐ僕の目を見る。本当に君ってやつは、どうしてこうも僕の心が読めるんだろうね。確かに君の言う通り、ベル君が強くなりたいと言うなら僕はいくらでも力を貸してあげたい。けど僕に出来ることなんて…
「僕はどうしたら良いのかな」
「それはヘスティア自身で決めなきゃいけないことだ。俺たちには答えがない、ヘスティアだけがその答えを決められる。
…もう時間だから、俺たちは一旦帰る。ベルは雨には濡れてないが少し体が冷えてる。ベッド使うぞ?」
そう言ってウル君はベル君の服を脱がして、深めに布団をかけた。首までちゃんと布団をかぶっているベル君は、気持ちよさそうに寝ている。
「うん…ありがとうウル君、クラン君。ベル君を助けてくれて」
「僕はウルに頼まれただけだから、ヘスティア様は特に気にしなくて良いよ」
「今回のような事があったら、構わず頼って良いからな?ヘスティアは変に遠慮する事があるからな」
「そんな事言われたら、僕はずっと君に甘えてしまうよ。いつも僕は君からもらってばかりで何も返せてないよ」
これは僕の心の底からの本音だ。
ある日から君が僕のファミリアに入った時から…いや、初めて会った時から僕は君から色んなものをもらってきた。
物で言ったら、ここにある家具だってそうだし、君がくれたたくさんの服もそう、それにこのピアスだって。
それ以外にも、あんなに楽しくて幸せな日々を君は教えてくれた。本当に色んなことを…
でも僕は未だに何も返せてあげてない。だから僕は…
「返せてないと言うなら俺の方だよ」
「…え?」
「ヘスティアに助けられた時、俺は暗闇にいた。何も見えない、何も感じることのない闇に一人。そこに光を、温かい炎を灯してくれたのはヘスティアだ。その炎で俺は助けられた。今の俺がいるのはその時、ヘスティアが俺を助けてくれたからだ。だから返すもなにもない」
「そんなことで…」
「ヘスティアにとっては当たり前のことでも、それで俺は救われたのは事実だよ。だからヘスティアは返すとかそんなの考えなくていい。ただ側にいてくれれば、それだけで俺は救われてるよ」
「う、ウルくぅぅん!!」
ウルの言葉にうわぁぁん!と泣きながらウルに抱きつくヘスティア。そんなヘスティアをウルは大切なものを触るときのように、優しくゆっくりと撫でていた。
その状態がしばらく続くと、今まで空気だった者がやっと口を開いた。
「…もうそろそろ帰らない?」
クランはジト目で、目の前で良い雰囲気になってる2人(うち片方の女神)を現実に連れ戻す。
「あ、ああ!そ、そうだよね!?もうこんな時間だし、ハデスや君たちの仲間も心配してるだろうしね。本当に2人ともベル君をありがとう。主人として礼を言うよ、近いうちちゃんと改めてお礼させてくれるかい?」
「そんな気にするn「うん!ありがとうヘスティア様」…クラン?」
ヘスティアのお礼を断ろうとしたウルだったが、クランが言葉を遮った。突然のクランの対応にウルは疑問を浮かべたのか首をかしげた。
「こういうのは適度に貰っておけばいいんだよ。あまり会わない人とかだったらともかく、ヘスティア様とはこれからも一緒なんだよ。あまりにもお礼を受けとらなかったらヘスティア様も困るだろうし」
「…なるほどな。流石だなクラン、ありがとう」
クランの説明に納得したウルはヘスティアに、無理をしない程度に頼むとお願いした。
ヘスティアもそれに頷き、別れる前にヘスティアは再度ウルに抱きつく
「またいつでもここに帰って来てくれよ、ここは君の場所でもあるんだから。その時は僕とベル君と一緒に、君の作ったこのテーブルで食事をしよう。もちろんクラン君もいつでも遊びに来てくれよ?」
「…ああ。ちゃんと帰ってくるよ、この場所に、ヘスティアの元に」
「僕も気が向いたらお邪魔させてもらうよ」
「ああ!絶対だよ!僕は楽しみに待ってるからね!」
ヘスティアはウルから離れた。
ウルとクランは最後に軽く挨拶してからヘスティア・ファミリアのホームを後にした。
そして2人は雨の中、ずぶ濡れになりながら自分たちのホームへと帰り、眠かったのかシャワーを浴びて2人はすぐに眠った。
ファミリアの中でも、一度深い眠りに入ると中々起きない2人は、それから10時間以上寝ていた。
【ウル達が帰宅した日、現在時刻は19:30】
[ロキ・ファミリア]
その者達を見かけた通行人や冒険者達はただ恐怖し、道を開けていた。
中にはあまりの恐怖に泡を吹き気絶している者までいた。
そんな事態を起こしている集団の先頭を歩く、
普段、皆の知る性格や行いからか、あまり感じ取れない神格が今回ばかりは溢れ出ていた。
その神は全身を黒に包み、ニタァと不気味な笑みを浮かべていた。
「ふむ…オラリオも少し平和になりすぎたか。どうやら、どちらが上なのか忘れてしまったようだな。…酒に呑まれただろうがなんだろうが関係あるまい。我の子を貶す事は我を貶す事と同意。
どんな状況、状態であれ、それを易々と許すほど我は優しくない。
そんな事、古い付き合いの神ならば分かるだろう。
なぁ…ロキよ」
終わりがおかしいかも…
ほんとすいません!