死神英雄譚 作:ちゃむこ
これからもよろしくお願いします!
ちょっとここの話が思いの外長引いてます…
次回でハデスとロキの対談は終わらせれる様に頑張ります!
読みにくかったらすいません…
ハデスが指を鳴らした瞬間、ロキ・ファミリアの幹部達は自分たちが出せる限界の速さでハデス達へと立ち向かう。
フィンたちには満足な武器がない。だからと言って武器を取りに行こうとすれば、その瞬間に自分たちよりもレベルの低い仲間がやられてしまうだろう。だからフィン達は自らの手でなんとか足止めをしつつ、ラウル達に自分たちの武器と、態勢を整えさせる時間を作ろうと考えていた。
フィン、リヴェリア、ガレス、アイズ、ベート、ティオネ、ティオナのオラリオで名高い第一級冒険者が全力で向かっていく。
その速さは普通の人間では到底捉えきれないの速度だ。現に神というだけで他の力は普通の人間と変わらないハデスとロキには、フィン達の動きは見えない。
だがそれでも、ハデスは冷酷な表情を崩さない。
今現在、7人の第一級冒険者に狙われていても。
それは何故か、答えは簡単。
フィン達と同じスピードでハデスの前へと移動し、7人の動きをそれぞれ止めたのは、最強たるハデスの4人の眷属。
「ちょっとちょっと、それダメだよ〜!」
ロキ・ファミリアの近接戦闘員のガレスとベートの拳をそれぞれ片手で押さえつけているのはハデス・ファミリアの狙撃手である犬人。
「…さっきから黙って見てれば、あんた達判断間違えすぎじゃない?」
アイズとティオナを取り押さえている全身を真っ赤な衣装に包んだ少女は、若干呆れた表情をしていた。
そして
「愚かだな。流石に」
禍々しい朱槍を持つ少女はそれを使って、横並びになったフィンとティオネの前へ向け
「少々落ち着け、リヴェ」
ハデス・ファミリアの副団長は、優しく諭すように囁きながらリヴェリアの額に人差し指をコツンっと当てた。
((( !!! )))
今出せる最大の力を使っても、あっさりと動きを封じられた事に驚くフィン達。
それ以外のロキ・ファミリアの冒険者たちは、なにが起きたのか分からずただ呆然としている者が大半だった。
身動きが取れなくなり焦るフィン達。その中でも特に焦る者が2名いた。
それは本来の常識を考えると異質な事だった。
「どうなってやがる!?なんで敏捷や器用値だけが主な
「純粋な喧嘩なら今までの戦闘経験でレベルの差が関係なくなるのは分かるが、単純なステイタスではワシがお主に負ける事はない筈なんじゃがな…」
それは犬人の少女がベートとガレスの拳を真正面から抑えている光景にあった。
少女のレベルは抑えているうちの1人のベートと同じレベル5。
だが、そのアビリティの伸び方は、2人の戦闘方法からしてバラつきがある。
まずベートは近接戦闘が得意であるためアビリティの伸び方としては《力、敏捷》が大幅に伸びるだろう。
対して狙撃手が伸びやすいのは大体《器用、敏捷》であるため、パワーに関してはベートに軍配が上がるはずだ。
そしてそれよりも確かなのはガレスだ。ガレスはレベル6に加え、スキルで《力》のアビリティに高い補正をかけている。同じレベル6の中でもガレスは頭ひとつ飛び抜けて力が強いだろう。
だが、そのガレスの拳を犬人の少女は難なく片手で受け止めている。その事実が二人を、そしてロキ・ファミリア全員を焦らせる。
その件の犬人であるエメは、普段見せる明るい笑顔のまま、ギュッと二人の拳を握り離さないようにしている。
「凄いみんな混乱してるね〜!エメちゃんにはみんなの頭上に?マークがたくさん浮かんでるのが見えるよ〜。凄い知りたそうな顔してる!
と言うわけでそんなに知りたいなら特別に教えてあげるよ〜!」
全員の顔を順番に見ながら、本当に特別だよ〜?とニコニコな顔でお尻の尻尾をブンブン揺らすエメ。ベートはイラついているのか足でエメを蹴りつけるも、
一方で3人の事を横目で観察するフィンと実際捕まっているガレスは、この状況の答えが分かった。
「まさかとは思ったが、なるほど
「ピンポーン!大正解だよガレス!名前は【デルヘス】っていってね!
能力は
つまり…僕に打撃系の攻撃は意味がない」
エメはいつもの笑顔とは違う、ニヒルな笑みを浮かべ普段のテンションの高い話し方とは真逆の喋りで自分の呪詛を説明していた。一人称も『エメちゃんから僕』へと変わり、まるで別人のようだった。
「…まあ大幅に下げた所で意味ない人もいるけどね〜!大体レベル1つ差が完全無効、2つ差からはほんの少しだけしか意味がないけどね〜」
「つまりこの状況において、お主に武器なしで勝てる可能性があるのは【風】を使えるアイズだけ、というわけか」
打撃系の攻撃が効かないならば、魔法で自身を強化できるアイズならばエメに対抗出来るものの、その肝心のアイズは今現在、呆れ顔のエルカに捕まっている、そのためエメをどう攻略するかと考えるガレス。
そんな時隣のベートが吠える
「呪詛は使った本人にも何かしらの代償があるだろ!そこを突けばこんな犬っころなんか簡単に終わりだろーが!」
呪詛は基本的に強力な力を発現するが、その強力すぎる力の代償を術者本人に伴われる。これが呪詛の厄介な所であり、魔法との大きな違いだ。
だが先程から術者のエメは特に代償を払っている様子はない。そればかりかベートの発言を聞いてニヤァと不気味に口角が上がる
「任意発動。魔法詠唱、消費精神力、呪詛代償、スキル効果の
「ま…さか…お主のそのスキルは…」
隣で聞いていたガレス、魔法を使うリヴェリアやレフィーヤ、そしてこの場にいる魔法を使う全ての冒険者の思考が停止する。
魔法は強力であればあるほど、使用するときの詠唱に時間を取られてしまい、
もしかしたら、自分を守っている間に目の前で味方が死んでしまうかもしれない、そんな恐怖や焦りと闘いながら魔導士はモンスターと戦っている。
だが、目の前で自分のスキルを説明したエメの言葉が本当なら、彼女は無詠唱で精神力も消費しないで魔法を放てることが出来るという事。
そんなもの、もはやチートでは無いかと誰もが思った。
「つまり僕には呪詛の代償とか無いんだよ。
みんなが武器を溶かされながら闘ったあの新種を射る時も、僕はただ弓を引くだけでいいの。そもそも【サーチス・シューティア】、あの新種に使った魔法だけなら弓を使わなくても発動できる。ほら、上を見てみなよ」
エメが顔を上げるにつれて、全員が食堂の天井を見る。すると写ったのは天井の前に大きく展開される魔法陣。
皆んなはすぐにこの魔法陣があの新種を殲滅する時にエメの弓の前に展開されていた魔法陣と一緒だったことに気付く。
「アハハ!これでわかったでしょ〜?エメちゃんに魔法や呪詛のことで突くところなんてないんだよ〜!残念だね?ベート」
エメはなんの動作もなく頭上の魔法陣を消すと、ベートを揶揄う様に笑う。その笑顔はいつも見せる笑顔だった。
ちなみに、もしかしてエメは二重人格かと考える者もいたが、一応どっちも素のエメである
今この場にいるハデス・ファミリアの中で、一番対応できそうだったエメの強さを知り、あとがないロキ・ファミリア。元々勝ち目が0に等しい勝負ではあったが、これで完全に勝機は無くなったと悟るフィン。
だがせめて後輩たちだけでも逃がす時間を稼がなくてはと、脳をフル活用する。
…が、すぐにそれが無駄な頑張りだと理解させられる
「私を前にして考え事かフィン・ディムナ。『一番レベルの低いエメが簡単に倒せないとわかった今、自分たちの勝ち筋は完全になくなった。ならばどうやって部下を逃がす時間を稼ごうか』と言った所か…」
「本当に君は人の考えを読むのが得意だね、フェルナ・サハール」
フィンとティオネに朱槍を向けるフェルナは、つまらんと言いながら自身の持つ禍々しい朱槍を引っ込めた。
その事にフィンは、なんの真似だい?と尋ねるとフェルナは興味なさげに呟く
「槍を持っても私に勝てないお前が、今の状況でどう私に向かって来ようと一瞬で勝負がつく。そんなつまらん事を私はしない
それに、…私たちが出なくともお前たち全員の死は、
フィンは視線をネロに移す。
確かにリヴェリアがああなるほどの恐怖を、事故ではあるがネロは植え付けた事から、ネロの本気はとても自分たちの範疇では収まりきらないのだろうと考えるフィン。
だが、なぜフェルナが、『自分たちの死はネロが来た時点で決まっている』などと言うのか、少しわからないでいた。
ネロは自身の武器のタルリルを自由に操り、強力な影の兵士を従える。だがあくまでネロの従える影兵は先程に自分たちを押さえつけた6体ぐらい、まだ出せるとしても10はいないだろうと予想したフィンは、それだけならまだ十分にやりようはあると思っていた。
ロキ・ファミリアの強みは、個々の強さもそうだが、何よりは団員の数とその連携技にあると自負していたフィンは、苦しくはなるものの、ネロと数体の影兵ならばいけるだろうと。
「『味方の数と連携でネロと数体の影兵ならなんとか勝てる』と、そう思っているなら、貴様は
フェルナにまたもや思考を読まれたフィンは目を大きく開き驚く。
その隣にいたティオネも同じ事を考えていたのか、少し驚きつつもなんとか反論すべく前に出た。
「その考えのどこがおかしいってのよ?!確かにさっきは不意を突かれて抑えられたけど、真っ向からやり合えばこっちの方が手数が多くて有利よ!どんなに強くても数の暴力にはそうそう勝てるものはないじゃない!」
「確かに数の暴力とは恐ろしいものだ。だからこそ、お前たちはネロに勝てないと言っているのだ」
「…どう言う事よ?私たちの団員数は20やそこらじゃないのよ?ネロと、もしまだ出してない影兵を合わせたところで、精々10かそこら。ネロの武器を操る力は確かに厄介かもしれないけど届く範囲は中距離ぐらいでしょ。うちには強力な魔法を使えるリヴェリアやレフィーヤ、沢山の魔導士がいる。私たちが影兵を抑えて魔法を使えば…「愚かだな」…なんですって?」
フェルナの一言にカチンッと来たのか、額に血管を浮かばせるティオネ。
その二人のやりとりを、ハデスはニヤニヤ笑いながら見ている。
一方でロキたちはティオネとフェルナがバチバチしている事に焦るものや怖がるものたちがいた。
だが、確かにティオネの言っていることが正しいのに、フェルナはああ言ったのかわからないロキ・ファミリア。
『数の暴力は恐ろしい』それはフェルナもしっかりと認めていた。ならばなぜ数で優っているロキ・ファミリアが有利な筈なのにそれを認めないのか。
フェルナは別にネロが自分の仲間だから贔屓にしてるわけではなく、ただ真実を言っているだけである。
一つ言うならロキ・ファミリアは一つ、
ネロは黙って自分の影を床に展開していく。
ズズズッと床を飲み込む影は、すぐに食堂の床、そして壁をも黒く染める。
そして不気味に床や壁が点々と光ると、次々と影兵が這い上がってきた。壁には上半身だけを出して武器を構える影兵もいた。
その数は10や20などくだらなく、およそ100体の影兵が食堂を埋め尽くす。
影の僕を従える女王はただ冷めた眼で、だが人を嘲笑うように少し口角を上げた
「一体いつから
その瞬間、一人の少女にある神は恐怖した。本来下界に住む人間になど慈愛の心は芽生えど恐怖などこれっぽっちも抱かない。
それが普通だった。
だが3年ほど前に起きたある事件で、オラリオに住む殆どの神がある冒険者に死の恐怖を抱いた。
人間なのにも関わらず、美の女神と並ぶほどの美しさを持つオラリオ最強の男。いつもの美しい銀髪は漆黒に染まり、次々と闇派閥とそれに関わる神を問答無用で殺した。
何人もの神を屠った冒険者は神々に恐怖という感情を植えつけたのだ。
今現在、少女に恐怖を抱いた神もこの時初めて恐怖を知った。
神は下界で殺されても、本来なら天界へと強制送還されるため死の恐怖など分からない筈が、漆黒に染まった剣を持つその冒険者を見た瞬間、死の恐怖が己を支配したのだった。
その冒険者の暴走とも言える事件はある1人の神の活躍によって収まった。
そしてその神を殺し恐怖を植え付けた最強の冒険者を神々は、【死神】と呼ぶようになった。
あれ以降は、下界の子どもたちに恐怖を芽生える事などなかった。
まぁ最も、そんな存在がゴロゴロといられても困るのだが。
だが、今1人の少女の力によって3年ぶりに神は恐怖を抱く。
(なんなんや…うちら神に恐怖を抱かせるほどのこの力!
こんな力…人一人が宿していい力やない…
ハデス、自分一体こんな力を集めて何がしたいんや…!)
ロキは影の玉座に悠々と座るハデスを睨む。
もしやハデスはよからぬ事を企んでいるのではないかと。
自分たちだけでなく、オラリオを、何もかもメチャクチャにするのではないかと
冷や汗を流しながらも、ハデスを睨む事をやめないロキ。
そんな時、ふとロキは見た。
玉座に座るハデスの後ろにずっと待機していた、オラリオ最強のファミリアを統率する男が動く瞬間を。
読んでいただきありがとうございます!
結構私はオリキャラ一人一人にこだわってますのでもし良かったらこのキャラ好きだよーとかコメントで言ってもらえたら嬉しいです!笑
それ以外にもアドバイス等ありましたら是非コメントしていってください!
ちなみに私は褒められると伸びるタイプです!|´-`)チラッ