死神英雄譚   作:ちゃむこ

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久しぶりの投稿ですいません。
沢山のコメントをいただき本当に嬉しかったです!

これからちょくちょく更新していこうと思います。
よろしくお願いします!


20話 死神の日常②

アミッドと分かれたウルが最後に向かった場所はオラリオで超有名なブランド店だった。

共通語(コイネー)で【デウス・ドレス】と書かれた看板はその店の主神の好みなのか金ピカでゴージャス感満載だった。

売られている物はその看板に恥じることなく、品質は超一流であり、一着1000万ヴァリスする物も多くあった。

なぜウルがこの店に訪れたか、それは今日の夜にガネーシャ・ファミリアが開く『神の宴』にハデスも参加するため、わざわざ買いに来たのであった。

 

ハデス自身あまりファッションに興味がないのだが、ティエリア達は最低限の身だしなみは整えて欲しいらしく、時々みんなでハデスにプレゼントをしていたりする。

そして今回、ウルはハデスの他にもう一人プレゼントをする相手がいた。

それは彼の元主神である神ヘスティアだった。

ウルはヘスティア・ファミリア在籍中から、自分のために色々と我慢していたヘスティアの為に日頃のお礼という名目で主に衣類をプレゼントしていて、それはウルがファミリアを抜けた今でも続いている。

 

(ハデスは決まってるとして、ヘスティアはどうするか…

もしかしたらまたロキと取っ組み合いでもするかも知れない。

そうなるとロングは動きにくいか?…だからと言って膝ぐらいのものは既に持っている筈…仕方ない、ロキが来ない事もしくは揉めないことを願うか)

 

そんな事を考えながら、最終的に決まったヘスティアのドレスは蒼海色で沢山レースとフリルをあしらったドレスだった。

早速ハデスのと一緒に購入する。

合計金額は1800万を超えるも、流石オラリオ最強の男。

お財布の方も潤いすぎて高額な値段に臆する事なく買うと、ドレスの入った袋を持って店を出た。

 

 

(最後はヘスティアに渡すだけなんだが…ヘスティアのバイト先に寄ってみるか)

 

大事なプレゼントを持っている為、いつもより周りを気にしながらヘスティアのバイト先であるじゃが丸くんの出店へと少し急足で向かうウル。

徐々に出店が見えて来ると、丁度バイトが終わったのか店長に挨拶し終えたヘスティアを見つけた。

 

「ヘスティアっ!」

 

珍しく声を大きくして呼ぶウルに、流石と言うべきかすぐにウルを見つけたヘスティアは手を大きく振りながら走り、ウルの胸へ飛びついた。

 

「どうしたんだいウル君!君があんなに大きな声を出すなんて、珍しいじゃないか!もしかしてやっと僕の想いが届いたのか?!

…いいぜウル君、僕はいつでもウェルカムだ!」

 

「なにがウェルカムなのかはわからないが、一先ず落ち着けヘスティア。

突然で悪いが、今日この後の用事は?」

 

「くっ…やっぱりウル君は鈍感すぎるぜ。

…それでこの後かい?この後はガネーシャが開くパーティーに行こうと思ってるよ?

多分ハデスも行くんじゃないかな?あいつ騒ぐの好きだし」

 

ヘスティアは日頃のハデスのうるささを思い出し呆れた表情を浮かる。

そんなヘスティアの表情を見てクスクスと笑うウル

 

「それで、それがどうしたんだい?」

 

「ハデスが『神の宴』に参加すると言ってな、おそらく今回はヘスティアも行くだろうと思って。コレ、大した物じゃないけどプレゼント」

 

ウルはドレスの入った袋をヘスティアに渡した。

ヘスティアは首を傾げながらも、袋を受け取ろうと手を伸ばした瞬間、その袋のロゴが目に止まると、カチーンッと石のように固まった。

 

「ちょちょちょちょっと待ってウル君!

コレ【デウス・ドレス】のロゴがあるんだけど!?

これ僕に?なんで?!」

 

「パーティーに行くにはドレスが必要だと思ってな」

 

「君が買ってくれたのがちゃんとホームにあるからそれ着てくつもりだったよ!?」

 

「ハデスのを買いに行く時に、たまたま目に入ったんだよ。

ヘスティアに似合うだろうと思ったからな。良ければ受け取って欲しい」

 

「それは凄い嬉しいけど、でも僕は君にあげれる物はないよ…」

 

「フッ…別にお返しが欲しいから渡すわけじゃない。

それにヘスティアの事だから、今回の神の宴に行くのも()()()()()んだろ?」

 

ヘスティアは目を見開き驚いた表情を浮かべるも、前からウルに秘密ごとなどは隠し通さない事を思い出して、君には敵わないなぁと呟く。

 

「君がベル君を運んで来てくれた後、ベル君が言ったんだ『強くなりたい』って。だから君が言ってくれた通り、僕は決めたんだ。

僕なりのやり方でベル君の願いを少しでも叶えてあげようって。

多分そう簡単じゃないけど、僕はベル君のためにも一歩も引かないつもりだよ!」

 

ふんっ!と腕を組み鼻息を荒くするヘスティア。

そんな気合の入っている彼女を見て小さく笑みを浮かべたウル。

 

(やっぱり…お前は眩しいよ、ヘスティア)

 

ウルは自分の心の奥底がじんわりと暖かくなっていくのが、ハッキリとわかった。

 

「そんな気がしたから、これは頑張れって応援も兼ねて受け取って欲しい。

…ダメか?」

 

ウルはヘスティアを見上げる形になるように屈むと、まるで捨てられた子犬のような顔で彼女を見つめる。

これはハデスが対ヘスティア用にと真剣に考えた(実際は3秒程度)、究極のおねだり。

ちなみにハデスは、こんなあからさまな態度などいくら駄女神(ヘスティア)といえど1、2回が限度だと予想していたが、結果は成功確率100%の一撃必殺だった。

 

 

「ぐはぁっ!…くっ、毎度思うけどその顔は反則だぜウル君…。

クソォハデスのやつ、なんて素晴らしi…悪質な技をウル君に教えるんだ…。

 

…わかったよウル君、ありがたく受け取らせて貰うよ!

君の愛のエールを受け取った僕は、まさに無敵!

今なら階層主にも勝てそうだぜ!」

 

 

ハデスに伝授された技を完璧に使いこなしたウル。

その技をもろに受けたヘスティアは、顔を覆い天を見上げては、しばらく1人で何か呟いていた、が、その後すぐに平常心を取り戻したヘスティアは、先程よりも鼻息を荒くしながらドヤ顔でシュッシュッ!っとシャドーボクシングをする

 

「ああ、今のヘスティアなら、きっとどんな奴が相手でも勝利を収めるだろう。

だが、だからと言ってパーティー先でロキと喧嘩はダメだぞ?」

 

「わかってるよウル君!今の僕からしたらあんな絶壁はもう眼中にもないね。

どんな罵声を飛ばそうがひらりふわりと華麗に躱しちゃうよ!

なんたって僕は無敵だからね!アハハハ!」

 

「まず喧嘩をしない様にな」

 

「う…わ、わかってるよ!任せろウル君!」

 

力強く親指を立てるヘスティア。

そんな彼女の頭をウルはそれなら良い、と納得して優しく撫でる。

えへへ〜と幸せそうな表情を浮かべるヘスティア。

そんな2人を、周りはほのぼのした様子で眺めていた。

 

「…おっと、もうこんな時間か。名残惜しいけどもうそろそろ行かなくちゃ…」

 

「そうだな、俺も服をハデスに届けないと。

だから近いうちにゆっくり話そう」

 

「う、ウル君から誘ってくれるなんて…僕はこれほど幸せな事はないよぉ!」

 

ヘスティアはあまりの嬉しさに嬉し涙を滝の様に流す。

そんな彼女を見てウルは、あれ、俺そんなに誘ってないのか…と少し不安げな表情を浮かべた。

ただヘスティアが毎度オーバーリアクションなだけで、今までもちゃんとたくさん誘っているのだが。

オーバーリアクションでいまだに泣くヘスティアを、ウルはその身体で優しく包み、頭を優しく撫でた。

 

 

 

 

「それじゃあウル君!またすぐに2人でデートに行こうぜ!」

 

「ああ、必ず行こう」

 

「えへへ、…じゃあまたねウル君!ドレスありがと!大好きだよ~!」

 

ヘスティアはドレスの入った袋を大事そうに抱えながら走っていった。時折止まっては手を振るヘスティアに、ウルはクスクスと少し恥ずかしそうに笑いながら手を振り返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

【おまけ】

 

ウルがハデスとヘスティアのプレゼントを買っていた同日、あるファミリアの仲良し4人組も買い物をしに街へ出ていた。

 

 

「ん~、結局アイズに合う服はなにかな~」

 

「絶対にエルフの服ですよ!アイズさんには上品でエレガントなのがピッタリなんです!」

 

 

アイズの似合う服を考えているのはロキ・ファミリアのティオナとレフィーヤだ。

そしてその2人の前を歩いているのは同じファミリアのアイズとティオネ。

 

 

 

「わっ」

 

「おっとごめんよ!!」

 

突然誰かとぶつかってしまい少し驚くも持ち前のフィジカルで全くよろけないティオナ。

対してティオナとぶつかった少女もまた転ぶことはなかった。

 

 

「すまないアマゾネス君!急いでるんだ!」

 

「あ…うん」

 

よほど急いでいたのか、謝罪を済ませてすぐに走っていった少女。

そんな少女の姿をみたティオナは何故か固まっていた。

そんなティオナの様子がおかしいことに気づいたティオネは、そばに来て聞いた

 

 

「どうしたのティオナ?」

 

 

「今の子…」

 

 

「今の子…ティオナさんとぶつかった可愛い女の子ですか?

どこかで見たことある気がするんですけど、女神様ですよね?」

 

 

 

 

「あの身長で…胸がすごく大きかった…!!

 

 

 

 

 

「しかも持ってた袋に【デウス・ドレス】のロゴが入ってた…」

 

 

 

 

「【デウス・ドレス】ってまさかあの…」

 

「一着1000万ヴァリスするって有名な高級店…」

 

「よ、よかったわね、文句言われなくて。今の私たちじゃ弁償しろなんて言われたら危なかったわ」

 

レフィーヤとアイズはゴクリと固唾を呑む

ティオネは冷や汗をかきながらティオナに厳しく注意した。

 

この後パーティーから帰ってきたロキが、「うちもデウス・ドレス欲しいぃ!」と駄々をこねることを4人はまだ知らない。

 

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