死神英雄譚 作:ちゃむこ
すっごいすっごい嬉しいです!
これからも楽しんでもらえるように頑張ります!
今回は少し雑談?が多いです笑
これから番外編も描いていこうと思うのでよろしくお願いします!
それではどうぞ!
【37階層:安全地帯】
ハデス、ロキ・ファミリアの面々は体力の限界もあり、37階層で野営することになった。
ロキ・ファミリアの面々は人数が多いため大量のテントを用意する。何個かダメになったのもあって、収容規定人数よりも多くなるようだ。
各々が夜営の準備をする中、食欲をそそる良い匂いが皆の鼻をくすぐる。
(…良い匂い)
「あれ!?すっごい良い匂いがする!」
「ほんとね。今日の料理当番って誰だったかしら?」
「本日はハデス・ファミリアの皆さんがご用意して下さるみたいですよ?」
ロキ・ファミリアのおなじみ4人(アイズ、ティオナ、ティオネ、レフィーヤ)は匂いのもとへつられる。
少し歩いた4人の目の前では、ダンジョンの中とは思えないほど、設備の整ったキッチン。そして手際よく調理を進めるハデス・ファミリアの男子陣。
巨大鍋を片手でかき混ぜながら、もう片方の手で食材をまな板の方へ投げるベルク。投げられた食材を巧みなナイフ捌きで次々と切っていくクラン。横に五口あるコンロを巧みに使い、様々な調味料を使いながらどんどん料理を完成させていくウル。その完璧な連携に思わず息を飲む4人。
一方女性人は、入手したドロップアイテムなどを整理していた。
ハデス・ファミリアで唯一、鍛治スキルを持つエメは、皆の武器を整えていた。ハデス・ファミリアの武器はどれもが不壊属性を持つ特殊武装。例え壊れることはなくても整備は冒険者として大事なことだ。
整理が終わったのかアイテム等をいくつもある巨大リュックにしまう。突然ハデス・ファミリア全員がつけている指輪が光ると巨大リュックは一瞬で消えた。その異様な現象に今度は驚く4人。
基本他所のファミリアの干渉はいけないことだが、あの指輪の正体が気になりティオナが話しかけようとしたところに他のロキ・ファミリアの面々がやってきた。
「悪いね、食事まで作らせてしまって。本当に君たちが来てくれて助かった。団長として心からの感謝を。ありがとう」
「なら私は幼馴染みとして礼を言おう、本当にありがとう」
「良してくれ。元々この護衛を了承したのはうちの団長だ。それなら我々はその護衛を完璧にこなすだけだ。食材も有り余ってることだしな。食事というのは皆でした方が美味しかろう」
フィンとリヴェリアが頭を下げて礼を言うとティエリアは気にするなと伝える。そのあとティエリアはウル達に視線を送ると、ウルから料理が完成したと言う意味で頷く。それをちゃんと理解したティエリアはフィンたちに配膳の準備をして欲しいことを伝え、ネロ達にも食事の準備を伝える。
「そうだ、すまないが今回の食事は各々のファミリアで食べるようにしてくれ」
「それはなぜだい?僕たちのことを気にしているのなら全然平気だけど?」
「そう言ってもらえるのはありがたいがな。
お前たちは我々と面識もあるが、他の者たちはそうでもないだろう?
自分で言うのもなんだが、我々は良くも悪くも有名だ。今まで疲労が溜まっている者たちもいるだろうその中に、我々が一緒に食事をしてみろ、緊張やらで満足に休まんだろ?食事はお前たちが今度ホームでご馳走してくれると聞いている。ならその時に紹介をしてもらえると助かる。…それにこっちはこっちで少し面倒だからな」
ティエリアはすまないなと苦笑しながら、ロキ・ファミリアの団員たちに盛り付けた料理を渡しているウルを見る。
それに釣られてフィンたちもそれを見ると、自分たちの女性団員がウルにもらう時、全員が頬を赤らめ恥ずかしそうにしている。
そしてその女性団員をシャー!と威嚇するハデス・ファミリアの女性陣。
その光景にフィンたちは頬をぴくぴくとなんとも言えない表情をしている。
「…そう言うわけで食事はすまない。
そのあとはぜひ話でもしよう。一部の者は少し発散したりするかもで騒がしくなると思うが、私やベルク、ウルも比較的暇にしているからな」
「確かにティエリアの言うことも一理あるね。わかったよ、こっちのことも考えてもらってすまない。君たちには助けられてばかりだね」
「なに、気にするな。こちらは敵対する理由がなければ基本争わんからな。
もっともロキ・ファミリアとはそうなりたくはないのが私の気持ちだ。そちらと1番因縁があるだろう人物は、うちでは
優しく微笑み話をを終えたティエリアは、また後でなと言ってウル達の元へ向かい、未だに威嚇している女性陣の頭に軽くゲンコツを与え、自分たちの食事の準備をしていた。
しばらくしてそれぞれのファミリアは、わいわいと楽しく食事を始めた。
ロキ・ファミリアの面々はあまりの美味しさに皆が舌を巻き、料理がどんどん吸い込まれていく。
ハデス・ファミリアは相変わらず騒がしいが、その場の空気は楽しさに包まれていた。
食事が終わり、各々が自由に過ごしていた。団長どうして話す者や同郷と話す者、1ヶ月ぶりに会うため沢山話す者、いつも通り言い合いから喧嘩を始める者と様々だった。
全員疲労が溜まっているため、ロキ・ファミリアはフィンの指示のもと早めに睡眠を取っていた。テントの数には限りがあるため、第一級冒険者たちも数人で一緒のテントで寝ている。
「ん…ふわぁ〜あれぇ?どしたのアイズ?」
ティオナは一緒のテントで寝ていたアイズが起きたことに気付き目が覚めた。
横では自身の双子の姉であるティオネとエルフのレフィーヤがスースーと寝息をたてている。
アイズはティオナを起こしてしまったことに申し訳なさそうにしていた。
「ちょっと、目が覚めちゃって…」
「確かに普段とは違うから慣れないよねー。そうだ、ちょっと歩こうよ?
気晴らしにさ!」
そういうやティオナはティオネ達を起こさないようにアイズと一緒にテントを出て行った。もうみんな寝ているからかテントはどこも暗かった。
2人はしばらく歩くとハデス・ファミリアの拠点近くへと来た。
だが、近くに来ても物音がしないことからあちらも寝ているんだろうと察した2人はその場から離れる。
「やっぱりみんな寝てるよねー。ここまで来るとちょっと暇だよねー」
「きっと、みんな疲れてるから…あれ?」
「アイズ?どうかしたの?」
「…音が聴こえる」
「音?……あ、ほんとだ!笛かな?めちゃくちゃ綺麗だね!」
「前にも…聴いたことがある。姿は見てないけど、きっとウル」
「うそ!?ねえ!ちょっと行ってみよ!」
アイズの手を取り音色が聴こえる方へ向かう。一定の距離に近づくと、2人の前にピンク色の花びらがひらひらと何枚も横切る。
「きれい…」
「ほんとだね!でも37階層にこんな綺麗な花見たことないよ?」
2人はさらに音の方へと進む。近づくにつれ花びらの数が増えていく。
少し開けた所に行くと、中央に少し高い岩があった。
その岩を囲むように大量の花びらが渦を巻いていた。
その中央では美しい笛の音が響いていた。
「あれがウル?」
「わから…ない」
2人はその人物が、本当にウルなのかわからなかった。それもそうだ。
今のウルの姿は
いつもの黒に染まった格好とは真逆の、真っ白な和装に包まれていた。
そして何より目がいくのはその頭にある狐のような耳。そして綺麗な真っ白の尻尾が生えていた。狐人の特徴を持っていたが、なにより異質なのはその数。ウルの腰には1本ではなく9本の尻尾があった。
「あれって狐人だよね?ウルって狐人だったの?あれ?でも普段耳とか尻尾ないよね?!でもなんで9本?!アイズ何か知ってる?!」
「私もあの姿は、初めて見る。確か前にウルはなにかの混血だって言ってた。
…多分それが狐人なんだと思う。でも9本の狐人なんて聞いたことがない」
本来、狐人の尻尾は1本。逆にそれ以上の尻尾の数を持っている者は、今までいたことはない。
だが2人はその幻想的な姿に見惚れていた。ウルの整いすぎている容姿に美しい銀髪、そしてその身体を包む純白の和装。今までと違う神秘的な雰囲気に2人は息をするのも忘れていた。
なおも続く演奏。綺麗に舞う花びらに妖艶な姿、そして横笛を吹くその様は、一枚の絵画のようだった。
「2人とも起きていたのか?」
しばらく見入っていた2人に気付いていたウルは演奏をやめ2人の顔を覗き込んだ。2人はウルが近付いていたことを察知できず、急に目の前に現れたことにビクッ!とはねた。
2人の視線はウルの顔から、頭に生えているケモ耳へと移動する。
「ウル…その姿は?」
「ああこれか。一部しか知らない事なんだけど、俺は人と狐人の混血なんだよ。ただこの姿は突然変異というか、俺だけなんだけど」
「なんでそれを隠してたの?凄い綺麗だし気にしなくて良いと思うんだけど?」
「ありがとティオナ。だけど、少し色々あってな、詳しくはまた今度説明する。だからもう寝な?2人とも疲労が溜まってる」
ウルは軽く2人の額をコツッと小突く。すると2人は呆気なくバランスを崩す。倒れる前にウルが2人を受け止めるが、2人は何が起きたのかいまいちわかっていなかった。
「普段ならこれぐらいで崩れることはなかっただろ?それだけ疲れている証拠。今からテントに行ってティオネとレフィーヤを起こしちゃうかもしれないから、今日は俺のテントで寝ろ。送ってってあげるから」
ウルが軽く腕を振るうと、今まで舞っていた花びらが集まり花の絨毯のようになったそれにアイズ達を乗せる。2人を乗せてもふわふわと浮くそれは、ウルの歩くスピードに合わせて隣を飛行する。
「凄い凄い!これもウルの魔法なの?」
「この姿限定のな。…ほらさっきも言った通り、これはまた今度説明するから。もう寝な」
2人の頭をそっと撫でるウル。それを気持ちよさそうにされる2人。
「うん…わかった」
「はーい、おやすみウル!」
テントに着く前に寝た2人。新種との遭遇などもあってよほど疲れていたんだろう。
「…はい、おやすみ」
すやすやと気持ちよさそうに眠る2人を見て、少し微笑みながら頭を撫でて自分のテントまで送る。
1人で使うにしては広いテントの中に入り2人を下ろし、毛布をかけテントを出たウルはじっと下を見ていた。足元ではなくずっと奥の、まるでダンジョンの
「まだ起きてたのか?」
「ベルクか。…いつも通り笛を吹いていただけだ」
「そうか。それにしても今下を見てただろ?…
「…ああ。もうすぐでまた蘇るらしい。地上に帰っても長くゆっくりはできないかもな」
「あいつに勝てるのはお前だけだ。そのことを俺やティエリアそれに他のみんなも不甲斐なく思っている」
「わかってる。みんな優しいからな。俺はもう誰も失いたくない、そのために力をを求めてきた。今回も一緒だ。復讐を終えるまで、俺は誰にも負けない。どんなやつだろうと俺の前に立ちはだかるなら殺し、力の糧にするだけ。
だからこれは俺のわがままだ。
俺が謝ることはあってもみんなが謝ることはない」
「……なんでも良い。些細なことでも俺たちを頼れ。俺たちは家族だ。一度それを全て失い辛かっただろう。…だが約束する。俺たちは誰一人いなくならない。それだけは覚えていろよ」
「ありがとうベルク。助かった」
「気にするな。お前は弟みたいなものだからな」
ベルクはウルの頭をガシガシと雑に撫でる。
それをウルは目を閉じ少し口角を上げて気持ちよさそうにしていた。