とある東京の運転・能力使い(ドライブテクマスター) 作:KBS滝原
朝6時。涙子はあずまを起こそうと、あずまのいる部屋にいた。あずまはかなりの熟睡状態にあっているため、大きないびきをかいている。
あずまは夢の中で、以前いた世界の、かつて勤めていた、同期の女性と出かけていた。だがそれは、彼が実際に経験した、踏切事故だった。
踏切が鳴り、待っているあずまと女性の横を、男性が遮断機を越え、線路にしゃがみ込んでいる!それを助けようとした女性は、なんとあずまの目の前で人身事故に巻き込まれてしまった!女性の名前を呼ぶあずま。精神的に錯乱していたあずまは、警察に両腕を掴まれ、近づこうとするが抑えられてしまっている。
起き上がったあずまは、涙を流している。その姿に驚く涙子。涙子はしっかりせよとあずまの肩をたたく。正気になったあずまは、涙子の呼びかけに応じる。
「あれ?涙子君じゃないか。どうしたの?」
「どうしたも何も、あずま君泣いてたよ?なんか女性の名前呼んでたし。」
「あ・・・昔の起きたことが夢に出てきたよ・・・。」
「もしかして、あずま君が目の前で見たという事故?」
涙子は察したのだった。涙子は、あずまから自分自身が経験した事故を話されたのを思い出し、それを話す。あずま自身は何が起きたのか未だに分からなかった。
午前8時。学園都市BRT 末広3丁目で待ち合わせをしていた5人は、買い物しに第七学区のショッピングモールへ向かった。
「あるこう♪ あるこう♪ 私は元気♪ 歩くの大好き~ どんどんゆこう」
あずまは4人の後ろで、「さんぽ」という曲を歌っていた。4人が何を歌っているのかを疑問に思っていた。
「何を歌っているんでしょうか?」
「さぁ?聞いたことない曲だけど・・・今日、あずま君が昔起きた事故の夢を見たんだって。朝から気分どうしたのかなと思えば、かなりの開き直りっぷりだよ。」
それはそうだ。あずまの前向きな姿勢と言うのは並大抵のものではない。それよりか、あずまはまた派手な服装をしている。それは、黒い靴に前方は下着がオレンジ一色に上は白一色、後ろは上がオレンジ一色、下は白一色という斬新なスタイルだ。4人はあずまのスタイルにかなり気になっているらしい。
「そういえばあずま君ってさ、上着とか下着ってどういうスタイルしてるのかしら?いつもこの色はこの色ってセットにしてるし。というか、どうやって買ったの?」
美琴が聞く。
「これはね、俺が業者に発注したんだよ。こういう服とかこういうズボン作ってくれって。今まで撮ってきたバスとか電車の写真を業者に提出して、それをもらったら、これはこれってセットにまとめてるの。更に、何かあった時のために、スーツケース3箱にかなりストックしてあるんだ。今回の場合はそれが功を奏したのか、そういう衣服系では困らなかったけどね。」
あずまの答えに4人は驚愕する。ということは、もしかしたらあずまは、この先自分は違う世界に行くことを想定していたのではないか?そういう説が出た。それをあずまに聞くが、あずまはそれは全く想定していなかったようだ。あくまで緊急時とだけしかあずまも答えられない。そんな話をしていたら、買い物をするというショッピングモールに到着した。実は今回、あずまをこの買い物に誘った理由は、あずまがまだ学園都市に来て間もないからだ。それ、ジャッジメントの研修でやればいいのではと思うかもしれないが、このショッピングモールは、東京ドームの1.94個分あり、限られた時間で回るのは不可能だからだ。その研修がてらとして買い物をするというわけである。
「このショッピングモールは、AC-DC ナンバー7と言いまして、第七学区の住民はもちろん、私たち常盤台中学や、初春たちの柵川中学も寄り添う第七学区最大のショッピングモールですわ。地上4階、地下中2階までありますの。地下中2階はスポーツジム、地下1階はスーパーマーケット、地上1階から4階までは、サイド側にお店が並んでいますわ。真ん中は1階まで吹き抜けですわ。」
「なるほど。俺が昔よく行ったショッピングモールと変わらぬな。」
「へぇー、じゃあこのショッピングモールと同じなんだ。」
あずまは、よく葛飾区のショッピングモールに出かけていたようで、そこから連想したそうだ。4人はいつもあずまを不思議に思う。本当は何者なのか。素性をはっきりさせたいのは同じだ。しかし、あずまが4人と買い物に付き合っていると、何か気配がする。それは、後ろを付けられている感じがするのだ。あずまがジャッジメントでも所属している柄、恨む者も多い。それはあずまも承知している。だがここまでつけるというのは何が起きているのか?
「ちょっと済まない。行ってくる。」
美琴たちの制止を聞かぬまま、あずまは全速力で走り始めた!
一方その尾行者は、美琴や黒子、飾利と涙子の前に姿を見せずあずまを追跡する!姿の見えぬ追跡者。あずまが230m先のコーナーを左に曲がり、追跡者を振り切る。追跡者はあずまの姿を確認できない。するとあずまは、追跡者の背中を一発蹴る。すると追跡者は姿を現す。更に追跡者は、スタンガンを落とす。
「おやおや、俺を追跡してどうするつもりなのかね?」
後ろから4人が追いかけてくる。
「どういうことですの!?」
「この女、俺をつけてやがった。さぁどういうことか説明してもらおうか。」
強制的に立たせる。そしてスタンガンを持っていた理由を聞く。その間飾利は、一七七支部にいる風紀委員に電話をかける。そして5分後、追跡していた姿が防犯カメラに映っていた。
「ここには黙秘権はないぞ!」
胸ぐらを強い力で掴み、追跡者を壁に打ち付けさせる!
「私が追跡したっていう証拠がどこにあるのよ!証拠を出しなさいよ!」
女が言うと、飾利が証拠映像を見せる。すると女は、上の命令でやったと話す。
「上の命令?誰だ?そしてその上というからには組織があるんだろうな!?」
だが女は答えない。するとあずまは女を一度引き、更に強い力で壁に押し付ける!その行動を見かねた4人があずまを落ち着かせるためにあずまと女を離そうとする!
「やめなさいよ!あずま君それでもジャッジメントなの!?」
「そうですわ!あずまさんのやっていることは恥!節制していただかないと・・・!」
離そうとした次の瞬間、女が倒れる。現場が騒然とする。しっかりせよと起こすあずまだが、反応がない!さすがにまずいと思い、救急車を呼ぶ。
7分後、女は病院へ向かった。その後、ジャッジメント一七七支部へ戻った3人。あずまが黒子より厳重注意を受ける。
「まったく!何をやってますのあなたは!!いくら追跡者がいるとはいえ、さすがにやりすぎですわ!壁に打ち付けるだの、胸ぐらをつかむだの、もう一歩一線を越えていれば暴力行為になっていましたのよ!34歳と言ういい歳した運転士さんがどういう醜態をさらしているんですの!?」
「しかし、あんなに尾行されてて、しかもスタンガンまで持ってたんだぜ?完全に俺を被害に遭わせる気にしか捉えられないぞ?」
「それでも!!あなたはまだ新人なんですのよ!?いくらなんでも見逃せませんわ。今回は私がどうにかしますから、しばらく休職しててくださいな。」
黒子の言っていることに腑に落ちない。彼は怒りのボルテージが上がってしまう。
「じゃあお前は同じことされても大人しくしてろと?俺をケガさせようと奴に何もするな?確かに暴力行為はいけない。でもああやってしないと分からんだろ?本人があのあと倒れたけどよ、あれは俺がやったんじゃねぇんだ。34歳のいい歳した運転士が醜態晒した?ふざけた口利くな!」
といい、彼はジャッジメント証明書を床に投げ捨てた。
「やってられっかよ!」
そういい放ち、一七七支部を出ていった。場の空気が悪くなってしまう。
1時間後、あずまの元に着信が来る。飾利からだ。
「あ、あずまさん?実は先ほど意識不明になった女性なんですけど、その女性はあずまさんの問い詰めで意識不明になったのではなく、どうやらレベルアッパーという物で意識不明になったみたいなんです。女性の名前は、椿野豊美。16歳でLEVEL3です。それで、実はその当事者であるあずまさんに・・・」
「今その情報俺に言わないでくれ。それと二度と業務の電話はするな。」
そういい、強制的に電話を切ってしまった。浅かった空洞が、あっという間に大きく深い空洞にならないといいが、あずまは無欲になってしまった。
翌日、あずまは出勤をした。しかし、あずま自身は頭の中にどうすればよかったのかが分からずにいた。そんなことを考えていると、あずまは、乗客がいるにも関わらず、バス停を通過しかけた。それがかなり頻発してしまう。営業所に戻ると、上司があずまに寄ってくる。
「子安君今日どうしたんだい?」
何があったのかを聞くと、あずまが乗務していたバスに乗っていた客からかなりの苦情が来たそうだ。あずまが乗務を終えたため、上司はあずまに理由を聞く。
「実は昨日、ジャッジメントの件で色々考えて居たんですよ。私をつけていたのでそれを問い詰めたんですけど、やり方でちょっともめてしまって、それでわだかまりが残ったままなんですよ・・・。」
「まぁ分かるけど、それ一番やっちゃいけないやつよ。重大インシデント。つまり君は事故を起こす寸前まで来ている。それでぼーっと運転してたら、乗客を殺そうとしていたも同然だぜ?今回は厳重注意でとどめてくれるかもしれないけど、次はないからね?」
そういわれ、あずまは返事をした。更に上司は、そのもめた人と関係を修復させることに努めよと指示。だがあずまに、それを言われても修復できる状況にはとてもできなかった。
一方、喫茶店では、美琴と黒子がお茶をしている。
「聞いたわよ。昨日あずま君とかなりもめたんだって?」
「ええ。あずまさんは34歳ですのよ?本当なら、私たちからすれば上の存在。34歳がやることではありませんわ。それを注意したら、あずまさん怒ってしまって・・・。」
「まぁ確かにあれはやりすぎだったけど、あずま君もあずま君で感情が入ってしまっていたんだろうね。で、どうするの?このままにしてもいいの?ジャッジメントの仕事場にあずま君最近来てないみたいだけど?」
「さすがにこのままではまずいですわ。でも精神的に追い打ちをかけてしまったのですから、あずまさんが私を許すことは考えられませんの・・・」
「今日、先生が来るんでしょ?あずま君来るの?」
あずまが来るかどうかがもはや分からなくなってしまった。そこに、白衣を着た女性が入店する。
「君たちか。私を呼んだのは。」
「ええ。実は、今回のグラビトン事件に関して、先生の意見を頂戴しようと思いましたの。それで当事者のあずまさんをお呼びしようとしたのですけど、今はこの状況では・・・」
そういうと、駐車場にハチロクが入ってきた。あずま自身は、車を見て何か見覚えがあるようなと思った。それは、ランボルギーニガヤルドの青が止まっていたからだ。実はあずま、以前困っていた女性を駐車場まで連れて行った時、その女性がランボルギーニの車に乗っていたことを思い出した。だがそこには黒子がいる。自分はどうすればいいのかわだかまりが未だに残っていた。だがなぜ来たのか。それは飾利からの催促のメールが来たからだ。
「明日、白井さんが11時にあずまさんにお会いしたいそうです!私からもお願いです。とにかく行ってください!」
そんなメールを見たが、あずまは最初は拒否をするつもりだった。だが業務上のことかもと思い、あずまは車を出したのだった。
恐る恐る入店すると、左2列目の片側3人席に美琴、黒子と、見たことがある女性の姿が。
「この方は?」
「紹介しますわ。この方は、木山春生先生ですの。実は当事者として、あずまさんの話をお聞きしたいとのことですわ。」
「はるみ・・・か。そういえば東京にも晴海という場所があったな。東京駅から約30分。選手村があることで有名だ。」
「何の話?」
美琴に突っ込まれる。あずまは喉を鳴らし、意見を話す。
「実はですね、私が追っていた介旅 初矢。その方は私が金銭をカツアゲした連中から取り上げようとしたところ、この音楽プレーヤーを落としていきました。更に、意識不明になった女性、椿野豊美という女性からも、同じ音楽プレーヤーが出てきました。これがレベルアッパーとの関係があるかは分かりませんが、私はこれがおそらく鍵を握っていると思います。」
「なるほど。もしこれがレベルアッパーと関係があるのなら、大脳生理学者として興味があるな。ところで、さっきから気になってはいたんだが、この子達は知り合いかね?」
そこにはガラスに貼りついている涙子と、申し訳なさそうに見ている飾利の姿が。
店に入って、話をする。何の話をしているのかを尋ねると、黒子はレベルアッパーの話をしていたと説明。すると涙子が、何かを取り出そうとした。それは、音楽プレーヤーだ。あずまは涙子の方を見る。
「レベルアッパーの所有者を保護するんだって。」
美琴に理由を尋ねる飾利。黒子は、はっきりしたことは分からないが、副作用が出てしまう可能性があるうえ、犯罪に走る傾向があることを伝える。
「涙子君。君の右手に持っているものを見せなさい。」
あずまがそういうが、涙子が振動で飲み物をこぼしてしまった。スカートが濡れてしまう。すると春生は、スカートを脱ぐ。
「お前はそれでも大脳生理学者か!!人前で脱ぐという醜態をさらすとは何たるけしからん女じゃ!!」
あずまが大声で叫ぶ!更に、
「お前それやったらシティーハンター冴羽リョウに飛び込まれるぞ!!」
そういうと、4人がまた疑問に抱く。冴羽リョウとは誰か?あずま曰く、あずまが生まれる前に放送されていた作品だそうだ。
夕方。黒子が春生にお礼を言う。あずまは教師をしていたのかと聞くと、春生は昔やっていたと言い、去っていった。
「ランボルギーニの先生があれじゃな・・・。」
心の声を漏らす。未だに分からないレベルアッパーの正体。それが分かる日は来るのか?
※本編に出てくる歌詞は、となりのトトロのOPより、「さんぽ」です。
仕様楽曲情報のコードは、JASRACより抜粋。
レベルアッパーの正体が未だに分からぬまま、捜査は難航に。そんな中、涙子が事件に巻き込まれているところを発見!果たして今度こそ、レベルアッパーの正体が判明するのか!?
次回 上の更に上