とある東京の運転・能力使い(ドライブテクマスター) 作:KBS滝原
病院。
身近な人が倒れ、完全に精神的苦痛を受けていたあずまは、美琴と黒子に背中を押され、屋上に向かった。あずまは自分の胸の内を明かした。
「俺がレベルアッパーの正体を捜査している時、涙子君の様子がおかしかったんだ。いつも明るくあれだけ振舞ってくれる涙子君なのに、様子がおかしいと気づいていながら、俺は何もできなかった・・・。もっと早めに気づいて、レベルアッパーを回収できていればよかった・・・。いや、その時点で強制的に回収すりゃよかったんだ…。身近な人が・・・。」
あずまの目からまた出てくる大粒の涙。あずまの後悔の念が垣間見える。あずまはこれまでに、目の前の人が負傷したり、死亡したりなどの悲惨な現場を見てきた。特に踏切事故で亡くなった同期は、あずまの目の前で亡くなってしまったのだから、あずまとしては、身近な人が亡くなるところはもう見たくない。
美琴自身も胸の内を明かした。美琴は、涙子自身が学園都市に来る前、母から御守をもらった話を思い出した。そこで何かを話したかったのかもしれない、そんなことを思っていた。
「私ね、目の前にハードルが置かれたら、飛び越えないと気が済まないタチでさ、LEVEL5もその結果なだけで、正直、どうでもよかった。でも、ハードルの前で立ち止まっちゃう人もいるんだよね。そういう人がいるってこと、考えたこともなかった。LEVELなんてどうでもいいんじゃないって。無神経な話だよね…。」
胸の内を明かした美琴は、黒子に捜査に加わりたいと請願。黒子はそれを了承。だがあずまの目は、復讐の色に染まってきている。3人は病棟の中に移動。すると後ろから3人を呼ぶ、カエル顔の医者が。美琴はリアルゲコ太と勘違いしてしまった。
医者から見せられたのは、レベルアッパー使用者の脳波パターンだ。通常、脳波は個人個人で違うのだが、レベルアッパー使用者の脳波パターンがまったく同じになっている。もし誰かに操られているのであれば、人体に多大な影響が出てしまうのは間違いない。
バスの車内。
飾利は春生の研究室へ向かっていた。飾利の脳裏には、涙子との思い出が。
研究室に到着して、春生にも涙子が倒れたことを伝えた。
「この間の子が・・・。」
「私が悪いんです…。」
「あまり自分を責めるものじゃない。少し休みなさい。」
コーヒーを持ってこようとする春生。飾利は悠長なことを言っている場合ではないと話そうとするが、春生は、解析結果はまだだが、涙子が目覚めたときに飾利が倒れては元も子もないと話し、研究室を出ていった。
ジャッジメント一七七支部。
特定の人物の脳波パターンであることははっきりしているが、飾利は不在。そこに美偉がやってくる。
あずまは精神的な苦痛が発生してしまっているため、ジャッジメント一七七支部の応接セットに腰かけている。
美琴と黒子は美偉に事情を話す。すると、バンクへのアクセスを認められると話す。能力開発を受ける学生はもちろん、病院の受信や職業適性テストを受けた大人のデータも保管されている。
だが美琴は、なぜレベルアッパーを使うと同一人物の脳波が測定されるのかが不思議に思う。
コンピュータも、あるソフトを使ったとは言っても、性能が格段に上がるわけではない。ネットワークにつながるならいざ知らずだが。
黒子は、そのネットワークと言うところに視点を置いた。
「ネットワークにつなぐと性能が上がるんですか?」
「個々の性能が上がるわけじゃないわ。でも、いくつものコンピュータをつなげば、演算能力が上がって・・・」
すると、ここで出てきたのは、レベルアッパーを使って、ネットワークを構築したという点だ。可能性はあるのだが、どう皆の脳をつなげているのか。
ここでまた出てきた可能性は、AIM拡散力場だ。能力者は、無自覚に力を周囲に放出している。もしそれがつながったら・・・と思ったが、あれは無意識下にあり、コンピュータは使用しているOSはまちまち。つながっても意味がないのではと美琴は話す。
「コンピュータネットワークもOSはバラバラだし、使っている言語は違うわ。でも、ネットワークが使えるのは、プロトコルがあるからでしょ?」
美偉が言う。
「特定の人物の脳波パターンが、プロトコルの役割をしていると言うんですの?」
黒子が尋ねる。これはあくまでも可能性であるのだが、脳を並列につなげば、莫大な脳の計算をすることができるというところだ。単独では弱い能力しか持っていない人でも、ネットワークと一体化することにより、能力の処理能力が向上することに加え、同系統の能力者の思考パターンが共有されることで、より効率的に能力を扱えるようになるのだ。つまり、昏睡患者は、脳をネットワークに使われているというわけだ。
すると、脳波パターンから1人の人物が特定できた!
一方、研究所では、飾利が研究資料を見ていた。すべてが共感覚性の論文が並んでいた。するとそこに、春生が来た。
「いけないな。勝手に人の研究成果を見ては。」
脳波パターンから、木山春生であることが分かった!
美琴と黒子は、飾利が危険に晒される可能性を示唆!飾利は研究所に行っており、もしかしたらという可能性が出てきた。黒子が飾利に電話するが、応答なし。
美偉はアンチスキルに、春生を確保するように連絡を指示!
するとあずまは、一七七支部を出ていく。
「あずま君!?」
「奴を片付けてくる。」
様子がおかしいことに気づく3人!追いかけようとするが、あずまはハチロクに乗り、研究所に向かって車を走らせた。実はあずま、飾利が研究所に向かうという話を聞き、何かの予感がしていたため、飾利の携帯にGPSアクセスできるようにしていた。あずまの運転も、いつものあずまの運転ではなかった。
市民もハチロクが走ってくる姿に写真を撮る姿が。ギャラリーもいる。
一方、ランボルギーニガヤルドの車内では、飾利が手錠をつけられた状態で、春生の車に乗っていた。
「ところで、気になっていたんだが、その頭の花はなんだい?君の能力に関係あるのかな?」
春生が尋ねるが、
「お答えする義務はありません。そんなことより、レベルアッパーってなんですか?なんでこんなことをしたんですか?眠っている人たちはどうなるんです?」
飾利に黙秘され、逆に質問された。
「矢継ぎ早だな。こっちの質問には答えてくれないのに。」
飾利は、誰かの能力を上げてぬか喜びさせて、何が楽しいかと聞く。すると春生は、
「他人の能力に興味はない。私の目的はもっと大きなものだ。」と話す。
その頃、ジャッジメント一七七支部では、美琴が出動すると話す。
「お姉さま!初春もジャッジメントの端くれですの。いざとなれば自分の力で・・・たぶんなんとか・・・それに、一科学者に過ぎない木山に、アンチスキルを退ける術はないかと!」
「何千人もの昏睡した人たちの命が握られてるのよ?それに、何か嫌な予感がするの・・・。」
黒子が出動しようとすると、美琴は黒子の左肩をたたく。黒子に強烈な痛みが。美琴はそんな体で動こうとした黒子に、まだ後輩であるから、こんな時ぐらい自分に頼ってほしいと話す。
あずまは飾利の位置から、高速道路に乗ったと思い、あずまは高速道路に入る。あずまは時速139kmで高速道路を走る!その後もスピードを上げ続け、7km進んで時速171kmに!カーブをドリフトで通過し、超特急のスピード並みに走る!
すると900m先に事故で通行止めになっている渋滞が!スピードを200km以上出し、更に車を右にふらつかせ、片輪走行で通過させる!キャリアカーの後ろに乗り、高速道路の上空へ大ジャンプ!!
直進距離でまたスピードを上げる!
目の色が復讐に染まったあずまは、もう止められない。
ランボルギーニの車内では、
「演算装置?」
「あれは、AIM拡散力場を媒介としてネットワークを構築し、複数の脳に処理を割り振ることで、高度な演算を可能とする。それがレベルアッパーの正体だよ。」
レベルアッパーの正体を話していた。どうしてこんなことを春生は行ったのかと言うと、あるシミュレーションをするときに、ツリーダイアグラムの使用申請をしたのだが、なぜか却下されてしまい、代替の演算装置が必要だったと話す。
すると春生は、ポケットから、メモリーカードみたいなものを取り出す。
レベルアッパーをアンインストールする治療プログラムだ。それを飾利に渡す。
「後遺症はない。すべて元に戻り、犠牲者も出ない。」
だが飾利は信用できないと話す。臨床研究が十分でないものを安全と言われても、気休めにもならないと話す。
すると、後ろからかなりのスピードで追ってくる車の姿が!AE86スプリンタートレノ、あずまがやってきた。あずまは速度268kmからランボルギーニガヤルドに衝突させる!
「君のお友達が来たようだね。」
「あずまさんの様子が・・・!」
飾利の目に映ったのは、復讐の色に染まった、あずまの姿だ。あずまではないあずまだ。すると春生は、ハチロクに仕返しで衝突させようとした!だがあずまはスピードを落とし、衝突を回避した。しかし、ハチロクが非力であることが災いし、ガヤルドに先行されてしまう!時速128kmに落ちたハチロク。ここから回復運転をさせるあずま!
ガヤルドは10km先を先行するが、その先にはアンチスキルの部隊が!急停車させる春生。
出てきたのは、黄泉川だ。
「木山春生だな。レベルアッパー頒布の被疑者として勾留する。ただちに降車せよ!」
命じる黄泉川。春生は飾利に、レベルアッパーには副産物があると話し、面白いものを見せてあげようと話す。春生は車から出る。
「確保じゃん!」
この一言から、アンチスキルは徐々に接近していく!すると春生の左目が充血する!するとある一人の隊員が、他の隊員に銃を向け、発砲!自分の意志ではないと話す!
と、その時、アンチスキルの進行方向から、あのハチロクの音が!接近時のスピードは時速235km!部隊に気づき、急ブレーキをかけようとするあずまだが、このまま急ブレーキをかけても止まり切らないことを話す!左右に大きくふらつかせ、ランボルギーニの真正面に停車させた。
下の国道では、タクシーから降りる美琴の姿が!黒子に連絡すると、黒子がアンチスキルと交戦していると驚いた声で話す!しかも能力を使って交戦していると!だが、バンクには春生が能力開発を受けた記録がない。更に完全に暴走したあずまの姿が映っていることも話す!
「やっぱりあずま君はそこにいたのね!」
だがこれよりあることが分かったのだ!普通であれば、能力者はある一つの能力しか使えないが、春生は複数の能力を使っている!黒子はレベルアッパーではないのかと主張。これが本当であれば、春生はデュアルスキル、いわゆる多重能力者だ!
美琴が高速道路の本線に上がると、横転した二台の護送車が!アンチスキルも全滅している。車には気絶した飾利が!駆け寄ると、春生は、飾利は戦闘の余波で気絶しているだけだと話す。更に、美琴とあずまに、一万の脳を統べる自分を止められるかと挑戦する!
「てめぇ、よくもそんなことが言えるな!!脳を統べている?笑わせるな!貴様のためにあいつらは、脳を支配されているんだ!そんな脳を支配されてる姿を見た友達の気持ちを考えたことないだろ!?俺はお前を許さない。止めること以上にお前を追い詰めて、自分の犯した罪以上の苦しみを味わわせてやる!やられたらやり返す、86倍返しだ!」
あずまは瞬足で春生に向かう!果たしてあずまと美琴の運命は!?
レベルアッパーの犯人を追い詰めたあずまと美琴たち。復讐の色に染まったあずまのかつてない暴走と脳を統べる春生の暴走が衝突する!
次回 無制動