とある東京の運転・能力使い(ドライブテクマスター)   作:KBS滝原

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学園都市に転移してしまったあずまは、行く先もないまま、一日を過ごそうとしていた。そんな彼の車を珍車とみて注目する学園都市の住民を横目に過ごしていくのだが、あずま自身に変化が発生してしまう。あずまのハチロクを追うあの4人組は・・・


第2話 注目·進化 自問自答

学園都市のモノレール駅前。美琴、黒子が散歩している。

 

「お姉さま、何か気になりませんの?」

 

黒子が突然何かに疑問を持ったかのように美琴に尋ねる。

 

「あの銀行強盗の時に降ってきた自動車のことですわ。第一この学園都市といえどもこんな非現実的なことが起きるなんてありえますの?」

 

「確かに非現実的よね。あの時、私が強盗を仕留めようとしたときに上から降ってきたんだものね。ただ、あの車は今この学園都市を走っている最新型の車じゃなくて、少し昔っていう感じがする車だったわ。」

 

美琴もあの事件の時に起きた出来事はあまりに非現実的であるという見解を示している。2人の意見としては、やはりその車をマークして、本人に聞くしかないという。その時、飾利から連絡が入る。

 

「白井さん、この前の銀行強盗の時に、上から車が降ってきたという話があったと思いますけど、おそらくこの車と思しき写真を入手したので確認をとってくれますか?」

 

飾利が黒子に写真を送信する。黒子の携帯に送られてきた写真は、AE86スプリンタートレノだった。これは前面の写真だが、下にスライドすると、あの時に見かけたそっくりな車両であると判明した。

 

「この車の名前は、トヨタ自動車が製造した、AE86スプリンタートレノという名前のようで、製造されてたのが1980年代だそうです。この学園都市に走っている車は大体、AT車なんですけど、そこまで古い車が走っているのは驚きです。」

 

飾利が言う。黒子は大至急集まるように指示をした。

 

一方あずまは、何かないかと思い、モノレール駅前にハチロクを止め、周囲を散歩していた。するとそこに、学園都市BRTサービスといった名前が。何か気になる、そう思ったあずまは、BRTの受付に行った。そこには、モノレール駅前→常盤台中学→七福神BRT→霧が丘女学院BRTターミナルの路線が。そこであずまは、

 

「モノレール駅前から霧が丘女学院BRTの往復乗車券を2枚お願いします。」

 

「はい。580円になります。」

 

元々BRTにも興味があったあずま。興味を引かれ、購入した。しかもこのBRTが動いているのは平日の学生が通学する時間帯だ。連接バスで運行するため、詰め込みや定時性に優れている。これは乗り逃すまいと決めた。予定は明日。これは逃すまいと決めた。駐車場に戻ると、そこには人だかりが。あずまのハチロクの物珍しさに人だかりができているのだ。あずまが来ると撮影をやめ、エンジンをふかすと歓声が。発車することを伝えると、ギャラリーが道を開き、すごい加速で走り去っていく様を見ていた。

 

「これはすげぇよな!今時この学園都市にハチロクのトレノだぜ?」

 

「もう学園都市の動態的な遺産だな。」

 

ギャラリーが口をそろえて言う。あずまはハチロクを走らせ、広大な敷地がないかと探しに向かった。あずまはハチロクの面で注目をされているが、服装に関してもかなり目立っている。それは、「KEIO」と文字が書かれ、ベージュカラーのラインが4本、腕にペイントされている。更に上着は青、下着は白、靴下はベージュカラーと言うかなり異彩な色の服装を身にまとっていた。

 

ジャッジメント第177支部。飾利、黒子と美琴が合流し、降ってきたハチロクを追う作戦に出ていた。古い年式の車両を含めれば10台強とそこまでいないが、25年前のハチロクとなれば、かなり絞られてくる。そこから探し出す作戦だ。まず、飾利がとったのは、学園都市すべての防犯カメラを確認し、ハチロクらしき車が通過しないかを強化。また、希少車であるため、人だかりができる可能性も視野に入れた。その2つから動いていく方針だ。飾利は防犯カメラを確認し、残りの2人は外に出て回る。すると、

 

「見た?あのAE86。まさか学園都市に走っているなんて思わなかったよな!」

 

「あの運転士もすげぇよな!ライトを開いてくれてさ、しかもすごい恰好だったけど!」

 

AE86というワードを聞きつけた美琴は、ギャラリーと思われた2人に尋ねる。ハチロクはモノレール駅前で10分前に見て、そのあとセブンスミストの方向に向かったそうだ。

 

3人はすぐにセブンスミストに急行。

 

セブンスミストでは、あずまはアイスクリームを食べながら、団体のテーブル席にかけている。すると、奥の方に集団が。すると、集団に囲まれた涙子がいた。

 

「ようお嬢ちゃん。ちょっとうちに来て遊んでいかない?」

 

「いいもん食わせてあげっからよ!」

 

というチンピラたちの誘い文句が。そこを割り込むようにあずまは、

 

「ちょっとやめていただけませんかね?うちの生徒が迷惑しているんですけどね。」

 

と注意した。するとチンピラたちは襲いにかかる!するとあずま自身が放電を開始する!そんなことは自分ではなかった!だがそれを気にしている暇はない!とにかくチンピラたちを木端微塵にする!

 

「覚えてやがれ!」

 

その一言を残し、チンピラたちはあずまの元を後にした。あずまは涙子に大丈夫かと尋ねる。涙子は大丈夫だと返答した。すると涙子はすぐに気付いたのだ。このKEIOと書かれていて、ベージュのラインが4本入っている上着姿。下着は白で、靴はベージュカラー、間違いなく目撃情報に聞いていた、ハチロクの運転士だと。一方あずまも気づいていた。自分を探そうとしているのは、この涙子と、飾利、美琴、黒子だと。いや、もっと大きな組織が絡んでいる可能性があると。とりあえずあずまは、涙子をハチロクに乗せ、家まで送る。

 

「君たちだろ?俺を探そうとしていたのは。ハチロクが上から出てきて銀行強盗の乗った車が急にハンドルを切ってあの有様になったとなれば、その元凶の人物を探すしかない。そうだろ?」

 

と涙子に尋ねた後、このことを他の人たちに知らせるか否かは涙子に委ねたのである。

 

あずまは自分の名前を言った後、涙子からも自己紹介を聞き、どうしてこうなったかを話す。事の経緯を聞いた涙子は・・・

 

「そういう事だったんだね。あずまさんも見た感じ、結構な走り屋みたく感じる。でもこのあとどうするの?」

 

するとあずまは、明日、例のBRTに乗ることを伝え、すべてを表に出すと宣言した。実はあずまには、何か気がかりなことがこのBRTで起きそうな予感がすると思っていたようだ。更に彼は、さっきの涙子を助けた際に発生した事象について気になっていた。先ほど、自分が放電をしたという事だ。こんな能力は元の世界にいたときにはなかった。どうしてこんなことが起きたのか?それが分からないまま車は進んでいく。

 

「あずまさんって、どこか泊まるところとかあるの?」

 

涙子があずまに尋ねると、あずまはそれが決まっていないことを伝えると、涙子がうちに来てと誘う。なんと考えられもしなかったことが起きた。今までこんな、他の人の家に泊めさせてくれることなどなかった。車は涙子の家に到着。思えばこの16年、学生の家に泊まることなんてなかった。多少の緊張を持って入るあずま。

 

「部屋は2階ね。何かあったら呼んで。」

 

言われるがままに移動した。明日はBRTに乗るために早朝、モノレール駅前に移動しなくてはならない。だがあずまはそれと同時に、何か嫌な予感がすると感じていた。それは決して直感ではない。

 

翌日、あずまはBRTに乗車するため、モノレール駅前に向かっていた。朝から自前のハチロクを飛ばして。

未だにAE86の人気具合が高く、朝にすごい注目を浴びるほどだった。15分後、モノレール駅前に到着した。車を降りたあずまは、BRTが発着するバス停にいた。そこには、霧が丘女学院の生徒でゆうに100人が乗っている。それもそのはず。連接バスなのだから、他の単車のバスとは違って定員が多く、多くの学生を1台に乗せることが出来る。そこに一般客としてあずまは乗る。すると、3分後に男3人が並んだ。あずまは感じた。これは何か起きる。昨日の嫌な予感がまさに的中する一歩手前まで来てしまったのである。

 

バスは5分後に到着し、すべてのドアからお客様を乗せる。バスは定刻通りに発車。何もない平和な日常をBRTは迎えた・・・と思いきや、発車してから10分後、さっきの男3人が暴れ出す!

 

「いいか?このバスに爆弾を仕掛けた!バス1台吹っ飛ぶだけじゃない!爆破してから700m圏内が爆発する!」

 

パニックになる車内。

 

すると、あずまは最前部に来て、

 

「どうせそうだろうと思ったさ。何か嫌な予感がすると思ったのでな。さぁどうする?この中に能力者がいて、それを敵に回したらどうなるか試してあげようか?」

 

と犯人を脅す。だがあずまはそれにある懸念を抱いていた。このバスはハイブリッド。急な高電圧がかかってしまった場合、最悪車両故障が発生してしまう可能性がある。一応自動車は落雷が発生しても逃がすという構造をしているのだが。するとあずまは、燃料タンクにある手すりを抜き取った!3人は中にあったナイフを取り出し、あずまに攻撃をしようとする!あずまは抜き取った手すりで反撃をする!かなりの手さばきだ。1人をまず撃破!

するともう1人が燃料をあずまに放つ!そして火を出し、あずまに放とうとするが、あずまは正面にいない。

すると後ろからあずまがキック!激しい攻防の末、バスは急停車!だがここで問題が生じたのだ。爆弾がなんと起動してしまったのだ!爆発までにあと50秒を切った!あずまはバス運転士の時の条件反射で、避難誘導を手伝った。幸い手伝う客が他にもいたため、避難は済んだのだが、あずまはまた車内に戻った。一人避難できていない人がいたのだ。後方に行くと、学生1人が座ったまま車内にいたのである。バス運転士はその対応をしていたのだが、動く気がしない。

 

「やめて!このままでいさせてください!」

 

なんと爆発と同時に自分の身を亡ぼすというのだ!見かねたあずまは車内に入り、無理やり学生の手を引く!バスの中に誰もいないことを確認して避難した次の瞬間、バスがものすごい勢いで爆発!あずまはその爆風で吹き飛ばされてしまう!

 

5分後、アンチスキルが到着し、現場の実況見分が始まった。事情聴取を受けるあずまだが、そこに現れたのは黄泉川だった。黄泉川はあずまの姿を見て驚いたのだ。

 

(もしかしてあの降ってきた自動車事件の者か?でもそれにしては格好が違うな。)

 

疑いを持ったままあずまと運転士に駆け寄る。運転士は黄泉川に事情を話し、あずまが手伝ったことも伝える。すると、

 

「もしかして、子安あずまさんですか?私はアンチスキルの黄泉川です。今の運転士の聴取で何か補足とかありますか?」

 

黄泉川はあずまに伝えると、あずまは駅前のバス停で待っていた時に、犯人3人が並んでいた時に嫌な予感がしていたことを伝える。何か起きるのではないかと悟ったとも伝える。

 

「そうですか。ご協力ありがとうございました。」

 

黄泉川は去っていく。すると運転士はあずまに、あの時の対応に驚いたことを話し、もしやバス運転士なのか?と聞いた。あずまは、かつてバス運転士をしていたが、今はやめたと伝えた。それはそうだ。元の世界でバス運転士をしていたなんて言っても信じてもらえるわけがない。

 

「あの、ちょっとよろしいですか?」

 

振り向くとそこには、黒子、美琴、飾利と、涙子がいたのだ。そう、ハチロクが降ってきたときの運転士がこのBRT爆破事件に巻き込まれていたことを聞いたようで、その運転士を探していたところ、服装が一致していたところから見抜いたようだ。

 

「ちょっとお名前伺ってもよろしいですか?」

 

飾利の質問にあずまは淡々と答える。その後黒子が尋ねたのは、銀行強盗の時に発生した、あのハチロクが降ってきた事件だ。どうして逃げたのかと聞く。あずまは、

 

「あの時は知らなかったが、後にあの銀行で強盗があったことを知った。犯人は車を使って逃げようとしたみたいじゃないか。逃走を阻止できたわけだし、それに俺には得しかない。それ以上は関係ないから帰ったんだ。」

 

とあずまは言う。すると美琴は、

 

「あの時は私が電撃を放つ寸前だったから良かったけど、もし撃ってたらあんた遅かったのよ?」

 

この一言にあずまはちょっとイラっとした。美琴の言い方がどうやら気にくわなかったらしい。

 

「あのなお嬢ちゃん。言い方ってもんに気を付けろ。」

 

怒り交じりにあずまは言った。

 

「もういいだろ?俺は帰る!」

 

そう言って現場を後にした。19歳差であることは気にしていなかったが、言い方ひとつであずまは気が変わりやすい。それになぜか能力がついていることに疑問を持っているあずま。その答えを見いだせずにおそらく怒りに駆られていたのだろう。

翌日、人命を第一に避難誘導を手伝ったことを顕彰されたあずまは、アンチスキルの総監より感謝状を受け取ったのである。これが報道された後ネット上では、

 

「あれってAE86のお兄さんだよな!?」

 

「バスジャックされた事件で何より他の人の命を考えて動いた子安さん素晴らしい!」

 

「これで日本も捨てたもんじゃないな!」

 

という絶賛の声が。自分の姿が写っている新聞を見ていたあずまに涙子は、いいことをしたものだと絶賛した。だがあずまは、これはあくまで当たり前のことをしたまでだと話した。確かにバス運転士は、自分の命を確保すると同時に、優先されるのはお客様の命だ。当たり前のことをしたという感覚があずまの中ではあるのだろう。あずまの活躍劇は、まだまだ続く。




BRTバスジャック事件が明け、避難誘導に尽力したことで絶賛されていたあずま。しかしそれを気に食わないと見ていた謎の走り屋が、あずまに挑戦を仕込んできた。
あずまはその挑戦を受けるが、果たして結果はどうなるのか!?

次回 学園都市のバトル
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