とある東京の運転・能力使い(ドライブテクマスター)   作:KBS滝原

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改めて絆が強まった5人。あずまは学園都市で第二のバス運転士としてスタートする。
しかし彼は、黒子や飾利の協力により、一応ジャッジメントの協力者という扱いにさせてもらったようだ。そんな中、あずまの今までの真実が暴露される。


第5話 消えない事実、やるせない気持ち

あずまが立ち直り、絆が改めて強まった5人。実はこの1日前、ジャッジメント一七七支部ではありえない事態が発生していた。

 

「どういうことかさっぱりわかりませんのよね。」

 

黒子が突然そう言い始める。パソコンには、あずまが学園都市のジャッジメント協力者として認められたという証の書類が載っている。更に、勤務先も書かれているだけでなく、なんとそこには、涙子の家の住所が載っていた。更には、なんと、LEVEL5のランクがつけられていた。学園都市には7人しかいないLEVEL5。あずまの登場によって、8人目のLEVEL5が登場したという事だ。つまりこれは、誰もが予期せぬ、子安あずまが学園都市の住民として認められたということだ。これは真面目に、誰もが予期することのできなかったことだ。だがこれは、言い方を変えてみれば、ここに子安あずまという人物が載らなかった時点で、不法侵入として追い出されていたということになる。だが、そんなことをあずまは知る由もなかった。

 

そして翌日。あずまは涙子に、いってきますの一言を残し、敬礼して職場に向かった。初めての出社。彼はハチロクを走らせ、営業所に向かった。この日は、社内研修で、主にペーパーを使った研修だった。実はあずまが入社した、学園都市トラフィックサービス東という会社は、ほぼ中型車を使っており、中でもマイクロバスを扱うことが多い。だがこの会社は、1社と契約を結んでおり、それは特定輸送で大型車両を動かすことになっている。いくらあずまが経験あると言えど、バス運転士としての守らなければいけない鉄のおきてを叩き込めなければ、路線バス運転士で一人前としてやっていくことができない。これを3週間かけて叩き込んでいく。

 

そして3週間が経った日。彼は休みでこの日、ジャッジメント一七七支部に出向いた。

 

「お待ちしてましたわ。色々バス運転士になるために大変でしょうけど、一つお願いがありますの。」

 

黒子があずまを待っていた。早速お願いするのだが、それはなぜかというと、あずまの実力を確認するためだ。ジャッジメントは大きい事件現場が発生した際に、犯人がどう襲ってくるかもわからない。更に言えば、何が起きるかもわからないのだ。黒子はこの時のために備えられるよう、あずまの実力を知りたいというのだ。確かにその人の力を知っているのと知らないのとでは、大きな違いがある。論より証拠。あずまは黒子のお願いを承諾した。

 

3時間後、ジャッジメント訓練施設の体育館に集まった。それを見るべく黒子やあずまの他に、なんと涙子が来ていたのだった。

 

(相変わらず派手な服装ですこと。上着は水色でズボンは前は白で後ろは黒に3色を交わらせていますわ。)

 

あずまの派手な服装っぷりは、学園都市でも筋金入りだ。元々公共交通機関が好きなだけにその会社の塗装の色をした服やズボンを発注してもらっている。

 

「さぁ始めようか。」

 

あずまはそういうと、何かの液体を飲み始めた。

 

「何を飲んでいるんですの?」

 

「内燃車両によく使われる、軽油さ。」

 

「どうしてそんな物騒なものを飲むんですの!?体を壊しますわよ!?」

 

「昔から飲んでるけどさ、意外といけるんだよな。」

 

そういい、あずまは黒子に光のスピードで迫る!黒子の7cm手前まで接近し、右手に持っていたブレーキハンドルを振りかぶろうとする!しかし黒子はそれをテレポートで避けた!

 

(なるほど、私と同じテレポートが使えるんですのね。ならこれはどうでしょう!?)

 

黒子はそう思うと、あずまの周囲を瞬間移動し始めた!だがあずまは黒子の動いている経路を目で追っている!

 

(ありえないですわ!テレポートしてる私を目で追えるなんて!)

 

するとあずまは、予測能力が冴えているのか、なんと黒子が移動する先に回り、足を捕らえる!

 

「抜群な動体視力ですわね。どうやって習得しましたの?」

 

「俺は本当によく分からねぇ。でもな、かつて俺はサッカーやってて、キーパーをやったことがある。ほぼ完璧にボールを仕留めていたがね。最高で132kmくらいだったかな。」

 

あずまは理由を説明し始めた。彼は元々サッカーのポジションで後部を任されていたことがあり、予測能力をつけていたことがあった。それがあってか、彼は元の世界でバス運転士をしていた頃も、事故は起こしたことがない。厳密にいえば、事故を起こされたことはあるみたいだが。

 

「しかし、それでは目が疲れますわね。目を追い続けてやられるという可能性は高いですわ。」

 

「それはどうかね?」

 

すると黒子は、太ももに巻いているあの金属の針を持ち、あずまに攻撃を仕掛ける!あずまはさすがに追いすぎたか、目が疲労を起こしている。そして彼は、目をつむりながら、気配で動く!黒子が放った針は、あずまの頭上にある!そして、あずまはなんと、目をつむりながらその針を捕まえた!

 

(どういうことですの!?見えていないのに私の金属矢を捕らえた!?)

 

そうなると黒子は、あずまに30㎝ほど近づき、背中を一発蹴ろうとする!しかしこれも捕らえられた!

 

(やはりどう足掻いても敵いませんわね。)

 

「お見事な防御でしたわね。」

 

「あれがお見事なんて、俺は思ってない。俺は気配だけで攻撃を阻止しただけだ。更に言えば、こんな技は、黒子君だって身に着けられるはずだ。」

 

「でも、私が瞬間移動しているのに私の足を捕らえるって、本当に異常な動体視力ですわ。まぁいいですわ。あなたの実力はよくわかりましたわ。今回はここまでといたしますわ。」

 

お互いに一礼して終了した。実践試験から帰ろうとしたその時だった。なんとそこに来たのは、あの御坂美琴だった!

 

「やっと見つけたわ。黒子とあずま君が何をやっているのかと思ったら、やはりここにいたわ。」

 

あずまは何かポカーンとした表情だった。なぜ急に来たのか分からない。

 

「あずまさん、お姉さまにはお気をつけなさいまし。お姉さまは自分と互角の能力を持つ人間には本当に負けず嫌いな性格で勝負を挑んできますわ!私からなんとかしますから、あずまさんは一刻も早くお逃げくださいな!」

 

黒子が小声であずまに語り掛ける。美琴が何をぶつぶつ言っているのかと問い、更にあずまに勝負を強要。

 

「あんた、私と勝負しなさい!」

 

するとあずまは美琴に寄り、なんと胸ぐらをつかんだ!胸ぐらをつかまれた美琴は、地面から足が離れている!

 

「お前まだ懲りねぇのか?言ったはずだ。名前で呼べと。中学2年になってまだそれも出来ねぇのか?今のお前に、俺は勝負する気は起きねぇ。こんな突発的に強制的に勝負をさせようとして、あげくには俺を、あんた呼ばわりか?」

 

電気を帯びたあずまは、怒りに狂っていた。そしてなんと・・・あずまは美琴の頬に一発拳を入れた。美琴はその力を受け、86mも吹き飛ばされた。

 

「次俺のことをあんた呼ばわりしたら、俺の拳一発では済まないぞ?俺を怒らせたらどうなるか、覚悟しとけ。」

 

強い口調で美琴に警告し、訓練場を去っていったあずま。この状況に黒子、涙子は何も突っ込むことができなかった。涙子はあずまに呼ばれたため、何かの神妙な面持ちであずまと共に訓練場を去った。

86m吹き飛ばされた美琴に駆け寄る黒子。

 

「大丈夫ですの?お姉さま。」

 

「さっきのあずまさんとは人が変わってましたわね。何が起きたんでしょうかね・・・」

 

黒子も、戦っていた時のあずまとは人が違っていたことに驚愕していた。

 

夜、涙子の家。

涙子があずまの部屋に来る。ノックし、少しお話がしたいとの用件を言い、部屋に入る。

 

「戦ってた時のあずま君じゃなかったよ。急にどうしたの?」

 

涙子は何が起きたのかをあずまから聞き出したかったようだ。確かに1箇月近くも住んでいて、こんなにパートナーが豹変するのは、絶対に何かあったはずだ。涙子はそう思った。すると、あずまは、いずれ言っておかなければいけないのかもということで、ここに至るまでの経緯を話した。

 

「会社に入社してさ、2年目の頃だったんだよ。俺は年下の社員が本当に一人前になってもらいたいと思って、熱心に指導してたんだ。だけど同じミスを繰り返すから、俺はついに、荒らげた言葉を言ってしまったんだ。罵詈雑言の嵐よ。だがそれだけじゃない。」

 

今までの経緯を話していくあずま。あずまの目からは、涙が出てくる。

 

「俺と同期で入社した女性の社員で、俺はその社員とあるとき、旅行してたんだ。その踏切で電車が通過するのを待ってた時なんだ。そこは踏切も遮断機もないただの踏切で、俺とその社員は電車が来るのに気づいてたから、待ってたんだ。そしたら、後ろから急に押されて、女性社員は電車に轢かれてしまったんだ・・・。時速70kmで。犯人はすぐに押さえてやったけど、社員は死んでしまったんだ。無残な姿で。その女性は、俺が行き詰っていた内容を、必死に教えてくれたんだ。本当に親切で、一緒に運転士になろうって決めてたんだ。そこからだよ。俺の心の歯車が狂い始めたのは。色々物を壊しまくったり、警察のお世話になったり、アルコールにふけっていたり・・・あの事件から2年経つけど、未だに忘れられないんだよ・・・俺は今も、心にその傷が残ってるから・・・だから涙子君だって、俺がカプセルの薬を飲んでるのを知ってるんでしょ?」

 

経緯を説明したあずま。すると涙子は、あずまを抱きしめる。あずまはその気持ちを本当に分かってくれる人に出会えた、その安堵感からか、大粒の涙を流す。涙子はその大粒の涙を流すあずまを、泣き止むまで抱きしめた。同時にあずまは、

 

(これだけはお願いだ涙子君。俺がもし暴走しそうになったら、止めてほしい。)

 

そう心からお願いした。

 

翌日。彼は吹っ切れたのか、昨日よりかなりハイテンションなあいさつで家を後にした。今日は実車を使って訓練だ。いきなり運転はさせられないので、まずは指導者の運転を見る。そして自分で運転し、同時にどういうスタイルかを理解するという内容になっている。

 

研修終了後、あずまの元に、ある女性社員が寄ってきた。33歳の女性社員、その社員は、ガクトラアイドル(学園都市トラフィックサービス東のアイドル)こと、女性運転士の、二十六木由美子(とどろき ゆみこ)が寄ってきた。由美子は学園都市トラフィックサービス東ではかなりの人気者で、LEVEL4、つまり高能力者になっている。

 

「君が、噂の子安あずま君ね?よろしく。私は二十六木由美子よ。」

 

あずまは自己紹介する。すると由美子は、

 

「ねぇ、このあと予定空いているかな?一緒に焼き肉でも食べにいこ?」

 

「ちょっと由美子君。子安君が困ってるじゃないか。」

 

上司が注意するが、あずまは由美子の誘いに乗った。あずまは誘ってくれる代わりに、自分がハチロクを運転すると主張。40分後、営業所を出た2人は、ハチロクで第3学区の焼き肉屋へ。そして24分後、到着。だが実はこの姿を偶然目撃していた美琴は、自らのゲコ太携帯で、あずまと女性社員がいるところを撮影したのだった。

そう、美琴はこれを使って、いやでもあずまを勝負させに行かせようとしたのだった。

写真には、由美子とあずまが手をつないでいる写真が。

 

一方、店内では・・・

 

「しかし34歳でこのガクトラに入るとは、どうしてこの会社選んだの?」

 

「元々、バス運転士がしたかったんです。公共交通機関が好きで、いつかは人の役に立ちたいって。」

 

「へぇー。私よりしっかりしてるじゃん。あ、それと、ため口でいいよ。あずま君は34歳なんだから。」

 

「じゃ・・・由美子・・・さん?」

 

「由美子君でも、由美子でもいいよ♪」

 

なんと意気投合してしまった。入社1箇月でこんなに女性社員と意気投合は初めてだった。緊張して体が固まっているあずま。注文したお肉が届き、焼いた肉を食べると、うまい!というように、平らげていく。

 

「今日は食べたいだけ食べていいよ。」

 

由美子が優しい一言を言う。あずまは思った。この由美子、亡くなった女性社員に似ているようだと。気のせいだと思い、あずまは普通に焼き肉を食べていく。

 

午後7時。2人は解散し、各々帰宅した。




ようやくバス運転士の花形であるバスを操作し始めたあずま。一方であきらめのつかない美琴は、ついにあずまと・・・

次回 LEVEL5対決
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