とある東京の運転・能力使い(ドライブテクマスター)   作:KBS滝原

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バス運転士のあずまが出勤しようとした瞬間、愛車のハチロクが爆発される寸前までに追い込まれた。ハチロクは幸い壊れなかったものの、コックピット部分のスライドガラスは破損。更に二二学区の地下街、十八学区のBRTバス停、第七学区の七福神商店街が爆発。更に涙子の家には、15.86と書かれた文字が。
それらからあずまは、次の犯行が行われる可能性がある場所と日付を断定することに成功した!

果たして、犯行を阻止できるだろうか!?


第9話 ハチロクの実力者、2nd mission(後編)

一七七支部の会議室。ここには一七七支部のメンバー全員がいた。ここの会議室では、今回の発生した事件の特別捜査本部的な何かが行われていたのである。

 

今回の事件で使われた爆発物の遺留品をスクリーンに映していた。

 

「地下街の爆発、学園都市BRTのバス停爆発、七福神商店街の爆発、いずれも爆発物に共通点は見つかりません。更に、子安氏の車両を爆発させようとした事件でも、共通点と見られるものもありません。」

 

美偉が話す。そう、この事件には、グラビトンで扱われた事件以外の共通点が見つかっていない。しかし・・・

 

「犯行についての共通点が見えてきたみたいだが?」

 

捜査官と思われる人物が質問をする。それに立ち上がり、答えるのはあずまだ。

 

「はい。私が住んでいる家のポストを確認したところ、その犯人かは定かではありませんが、15.86という文字の書いた紙が投函されていました。最初の地下街爆発、その翌日に学園都市BRTの停留所爆発、5日後に七福神商店街の爆発。そして爆発した地点から地点までの距離、これらはすべて、15.86という文字が引き起こしたものと考えています。」

 

そう話すあずま。いずれにしてもアンチスキルとの連絡は密にしなくてはならない。今以上に緊迫している学園都市。

 

会議を終え、巡回をしているあずま。犯人の標的がセブンスミストであるとするならば、グラビトンを使える人物が犯人だが、それをできる人物はアリバイがあったため、犯行を企てることができない。すると、あずまは、あることを思い出した。それは、美琴たち4人と集まった時に話した、あの都市伝説だった。

風車が逆回転すると街に異変が起こるという伝説や、どんな能力も効かない能力という伝説以外に、もうひとつ、レベルアッパーというものであった。

レベルアッパーは、能力のない人でもレベルアップすることができるという、ゲームではチートと呼ばれるものであるが、それが行われているのではないかという可能性がでてきたのだ。だが、これを話してもソースがこれでは誰も賛同しない。そう思ったあずまは、ある賭けに出たのだ。

 

ある朝。この日は公休だったため、セブンスミストに向かってハチロクを走らせた。すると、ある男に目が止まった。一見何の変哲もない学生に見えるが、あずまには何かおかしいという感覚に縛られている。男が向かったのは土手。そのまま追っていく。橋の下に向かったため、ハチロクを降りると、なんとそこには、暴行されているあの男がいた。2人がその男の財布からお金を盗る。

 

「出世払いで返すと言ったろ?」

 

「とにかくここから逃げねえと、ジャッジメントの奴らが来るぞ。」

 

「ジャッジメントなんて、何か起きねぇ限りは動かねぇよ。」

 

するとあずまは、

 

「そのジャッジメントの人間ならここにいるぜ?」

 

「誰だ!?」

 

2人は驚く。するとあずまは、空中宙返りして登場した。

 

「悪いが、お前らのやっていることは、アウト·オブ·眼中にできないんでな。そのスッたお金を返してもらおうか。」

 

すると2人は、あずまに向かって殴ろうとしてきた。あずまは背負い投げと大外刈りで成敗した。

 

「次その行動が俺の目に止まったら、ただでは済まされないぞ。」

 

といい、あずまは盗った少年のポケットからスられたお金7000円を取り、男に返す。すると男は、何も言わないまま、お金を無理やり取り、その場を後にした。すると男は、端末と思われるものを落としていった。それを回収したあずま。何が起きているのか、あずまは大変と思い、急いでハチロクに戻った。

 

(この端末、一見音楽プレーヤーっぽいが、この音楽プレーヤーに何かあるのか?それを聴いて何かあるのか?とにかく一七七支部に直行しないと!)

 

レッドゾーンまで回して、最高速度を超えるスピードでジャッジメント一七七支部へ向かった。

 

ジャッジメント一七七支部では、あずまを狙った犯行の視点で引き続き捜査が行われていた。そんな中、突然現れたあずまに一行は驚く。

 

「あら?今日は非番ではありませんの?」

 

「とにかく調べたいことが。パソコンを貸してくれ。」

 

あずまの依頼に驚きながらも承認する黒子たち。あずまがUSBを自分の携帯とパソコンに接続をさせる。画像で出したのは、暴行を受けていたあの男だ。あずまは13秒間の動画を録った後、暴行をしていた男2人を成敗。まずはこの暴行を受けていた男を書庫から徹底的に洗い出す。

 

「何を調べているんですの?」

 

「この男が暴行されていてな、俺が止めに入った後にこの音楽プレーヤー落としてったんや。一見普通の音楽プレーヤーに見えるけどなんか思うんだよな。ただ事じゃないって。とにかくこの男がどういう奴か調べないと。」

 

とのことから、動画にある男の顔部分をスライドさせ、拡大させる。その後、書庫にアクセスさせる。すると出てきたのは、その男に関する情報だ。

 

名前は介旅 初矢(かいたび はつや)。レベル2で、量子変速。ということは、シンクロトロンを使えるという事は、もしかしたらという可能性が見えてきた。

 

「おそらくこの男は、音楽プレーヤーをいつも持ち歩いていたんだろう。得体のしれない音楽プレーヤーを。ただその中身が分からない。だがなんか感じるんだよ。この音楽プレーヤーから。」

 

するとパソコンに、警報ブザーが鳴った。それは、衛星の爆発的観測がされたというブザーだ。場所は、第七学区、セブンスミスト!

 

「私が初春に連絡しますから、あずまさんは、セブンスミストに向かってくださいまし!後から追いますわ!」

 

その頃、セブンスミストでは、美琴、飾利、涙子が買い物に出かけていた。飾利の携帯に、一本の電話が入った。

 

「もしもし?」

 

「落ち着いて聞いてください!今、衛星による爆発的観測がされましたの!場所は第七学区、セブンスミストですわ!今、あずまさんがそちらに向かわれましたわ!とにかくお客様の避難誘導を頼みますわ!」

 

あずまは、急いでハチロクを走らせる。爆発の感覚的には8日後に観測されると思っていた。だがその事件が起きようとしている。そしてあずまは、あることが考えられた。それは、ハチロクを爆発させたという事件だ。ということは、犯人はセブンスミストを爆発させると同時に、あずまを消そうとしているかもしれないということが考えられた。

 

5分後、あずまはセブンスミストに到着した。ジャッジメントの証明書を見せ、美琴と飾利、涙子の元に合流。急いで避難させるように通達した。その後、セブンスミスト付近にいたジャッジメントたちが到着。

場内には臨時閉店の放送が流れる。何が起きたのか分からずにそのまま避難する客たち。急いで巡回し、避難完了したことを告げる。すると黒子は、今すぐそこを離れるよう指示!なぜなら、今までの事件での死傷者は、全員ジャッジメントだ。つまり、ジャッジメントを狙った犯行であることは間違いない。更に犯人は、あずまを殺そうとしている。ジャッジメントを狙った犯行であるなら、あずまを殺すという犯行予告でもあった。すると避難に遅れていたのか、小さい女の子があずまのもとによって来る。女の子が持っていたのは、ペンギンのぬいぐるみだ。女の子曰く、男の人よりぬいぐるみを、笹の葉の色をしたお兄さんに渡して欲しいと言われたそうな。するとぬいぐるみが縮まっていく!異変に気づいたあずまは、ぬいぐるみを奪い、瞬足でぬいぐるみを外に持っていく!すると、あずまが外に投げた次の瞬間、爆発した!あずまは爆発で吹き飛ばされただけではなく、隣接していた道路に背中から落ちてしまった。激痛が走るが、なんとか立ち上がった。すると、あの男と思われる姿を発見した。後を追っていく。男は狭い路地に入り、ジャッジメントの士気が落ちるだけでなく、あずまも死んだと思い込んでいた。だがあずまはその後ろにいた。

 

「それで俺を殺したつもりかい?」

 

あずまが生きている姿に驚く男。あずまは威力は大したものと言ったが、自分以外怪我した人どころか、かすり傷負った人もいないということを話す。すると男はスプーンを取りだし、あずまに攻撃しようとしたが、あずまではなく、誰かが背後から攻撃してきた。そこには、美琴の姿が!

 

「美琴君!?どうしてここに?」

 

「あずま君がなんか追ってた感じがしたから、ついてきてみたら、まさかこんなところにいたとはね。爆弾魔さん。」

 

そう言うと男は、

 

「殺してやる、お前みたいなのが悪いんだ!ジャッジメントは使えない!更に、子安あずま!貴様は運転スキルが高いことをいいことに、古い車で、悠々と走ってやがる!そんな子安あずまを殺してやろうと想った!」

 

その呆れた言い訳に美琴がキレてしまい、頬に一発拳を入れる。あずまは男にこう言う。

 

「ジャッジメントに対して何か不満があるんだったら、その悩みを聞いてあげたいが、お前は俺を殺そうとした。そんな奴の悩みなんて聞きたくないね。」

 

そう言い離れていった。路地裏から出てきたあずまだが、突然頭を押さえ、意識は朦朧とし、倒れてしまう。

美琴があずまを起こそうとするが、反応がない。とにかく救急車を、そう思い連絡する。

 

3時間後、あずまは救急病院の中で目覚める。激しい痛みが襲う。回りには美琴、黒子、飾利、涙子、美偉がいた。目覚めた瞬間、美琴があずまに抱きつく。あずまは激しい痛みが走るなかで、皆には済まないという気持ちでいっぱいだった。あのカエル医者がくると、カエル医者は···

 

「脳波は異常ないし、レントゲン見ても、損傷してる箇所はないから、明日には退院できるね。しかし3階から落ちて傷はないって言うのは不思議だな。」

 

カエル医者が言う。あずまのゴキブリなみの生命力に驚いている。

 

「なんであの時私に言わなかったのよ!あずま君が何か

大変なことになってると思ったから、私は声をかけたのに!」

 

美琴は泣きながら言う。美琴はあずまが倒れてから、本当に心配していたのだった。だがあずまはそれより重要なことがあったのだ。犯人の素性についてだ。それを調べようとしたが、この体では動けない。飾利たちに聞く。すると、

 

「逮捕されたのは、介旅 初矢。供述によると、相当私たちジャッジメントを恨んでいたようですわ。」

 

黒子が言う。更に飾利は、

 

「話しによれば、不良たちからお金を巻き上げられていたようです。被害額は2万近く。これを続けられていたようですね。あと、あずまさんに聞きたいんですが、不良グループからお金を取り上げたみたいですけど、何があったんですか?」

 

飾利があずまに聞く。実は監視カメラに、介旅 初矢が不良から取り上げられているところを撮していた。するとそこに、あずまが入ってくるところも写っていたそうだ。

 




学園都市を散歩していたあずま。するとあるところであずまは、少し危険な人間を見つけてしまう。だがこの危険な人間は、果たして事件の元凶者か!?普通の人間か!?

次回 危険な匂い

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