最高位魔法を使えない俺はハチになるエキストラユニークスキルで生き抜く   作:チャンドラ=グプタ

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仲間の死

「そこの老人はまぁまぁ楽しめそうだな」

 ガルド先生がこの中で一番の手練れだ。俺はシャーリアに目配せした。

「エクスプロード!」

 シャーリアの魔法により、王が爆発に飲み込まれる。

「スモーク!」

 王の視界を塞ぐべく、俺は手から黒い煙を王に浴びせた。

「ガルド先生、ウィル。頼む!」

「任せろ! ヘルブースト!」

 ガルド先生は最高位魔法に位置する魔法を使用した。身体の筋肉が倍以上に膨れ上がった。

「エレキアクセル」

 

 ウィルの身体からバチバチと電気が迸る。エレキアクセルは身体能力を向上させる魔法で、上位魔法に位置する。

 徐々に煙が消え、王の姿が見えてきた。二人は王に突進する。

 数秒間という短い時間の中で二人は見えで追うのがやっとな程の素早い攻撃を繰り出すが、王には一発も当たらなかった。

 

「おのれ……ちょこまかと」

 この二人でも王に攻撃を当てることができないのか。

 何とか隙を作れないものか……俺も手助けに行きたいがエキストラユニークスキルを奪われる危険性を考慮すると、迂闊には近づけない。

「サンダーバード!」

 ウィルは肉弾戦では分が悪いと思ったのか、鳥形の電撃を飛ばした。

「ちゃちな雷だな。せめてこれくらいはないとな……デスライトニング」

 王が放つ黒い稲妻にウィルの魔法はあっさりと打ち消された。

「ウィル!」

「あ……!」

 ウィルは黒い稲妻をモロに受けてしまい、黒焦げになって倒れた。

「貴様、よくも私の教え子を!」

 

 ガルド先生は魔力を込めた鉄拳を繰り出そうとした。しかし、王は瞬時にバリアを張った。

 ダメだ防がれる――そう思ったが、ガルド先生が「スリップパンチ」と呟くと、拳はバリアをすり抜け王の顔面にヒットした。

 

「な、なんだと?」

 初めて王にダメージが通り、さすがの奴も驚きを隠せないようであった。ガルド先生は立て続けにパンチの雨を浴びせる。

「調子に乗るな。スパイラルテンペスト」

 螺旋のように吹き出す暴風によって、ガルド先生は十メートル後方まで吹き飛ばされた。

「少しは効いたか?」

「それなりにはな」

「そいつは嬉しいな。ワシの攻撃はバリアもすり抜けるから注意するようにな」

 王の傷は不死の力によって治った。ウィルの様子を確認すると、シャーリアが王族魔法を使って、ウィルの傷を治した。

 シャーリアの王族魔法は触れたものの時間を巻き戻す能力である。だが、どんなものでも時間を戻せる訳ではない。

「ウィルくん! しっかりして、大丈夫?」

「ありがとう。シャーリアさん。助かったよ」

「ほう……王族魔法を使えたか。まずはお前から殺した方が良さそうだな」

 

 王が狙いをシャーリアに定めた。シャーリアを守る為、ハチに変身する。

 

 ――シャーリア、下がっていてくれ。

 

 俺は無属性魔法の『テレパシー』を使って、シャーリアに語りかけた。

 この魔法でハチの姿になってもヤヨイ以外の人間ともコンタクトを取れる。また、他者が伝えたい言葉もこの魔法で読み取れることができる。

 この魔法は上位魔法に位置するが、レッドフレイムドラゴン討伐後に何とか習得することができた。

 

「わ、分かったわ!」

 自分が出せる最高速度で飛行し、王に針を突き刺そうとするも、王には剣で防がれた。

「中々速いが対処できないほどではない」

 だが、想定内だ。これで射程圏内。

「エイフォブルグラビティ」

 王に重力を掛ける。さらに、ガルド先生が王の身体を掴んだ。

「小癪な!」

 王は重力とガルド先生の力に抗い、脱出しようとした。長くは持ちそうにない。

 

 ――やれ、ヤヨイ!

 

「うむ!」

 これでヤヨイが王の首を斬れば俺達の勝ちとなる。ヤヨイがムラマサを振り抜こうとした。

「水転ざ……」

「スプリードエクスプロード」

 呪文名を聞いて、思わず背筋が凍りついた。前に見た祖父の記憶が脳裏に過る。

 この魔法は……

 

 ――みんな離れろ!

 

 テレパシーを使って、全員の脳内に語りかけたが、遅かった。

 周囲にとんでもない爆発が起こる。身体が引きちぎれるような痛みが走り、気が遠のいていった。

 意識が戻り、目を覚ますと、変身が解けてしまっていた。

 右腕と左脚が欠損しており、不死の力により、再生し始めていた。

 

「目を覚ましたか。ムゲン=アベイル。どうやら終わったみたいだぞ」

「は?」

 王の言葉がよく理解できなかった。みんなは……みんなは無事なのか?

 

「う、うわああああああああ!」

 

 

 

 

 そこには目を逸らしたくなるほどの惨状が広がっていた。俺の少し先には身体がバラバラになっているガルド先生がいた。

 絶望に打ちひしがれた俺はその場に倒れこんだ。

 

「が、ガルド先生……」

「ウィル君! ウィル君!」

 シャーリアの声が聞こえ、彼女の方に目を向けると、下半身を失っているウィルの姿が見えた。

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