最高位魔法を使えない俺はハチになるエキストラユニークスキルで生き抜く   作:チャンドラ=グプタ

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アギ

「魔法は全ての人が扱える……と言っても実際に扱えるかどうかは才能の有無が大きいがな。そして、魔法を使う為の源を『アギ』と呼ぶ」

 

 アギ? どこかで見たような気が……

 

「昨日、渡した合格証明書を持っているか? 持っていたら机の上に出してくれ」

 ウィルを除く俺達三人が机に上に置いた。

「合格証明書の一番下に数値が書いてある。それが入学時のお前らのアギの量だ」

 

 アギの量……すなわち魔力の量か。俺のアギの量は二千八百八十ということか。

 

「一般的な冒険者は三千前後のアギを有していると言われている。普通の入学生は全員大体千五百から良くて二千アギなのに対して、お前ら三人は全員二千五百アギを超えていた。ここ何年かで最も高かった数値だ」

「オリモカ先生、ウィル殿のアギはいくつであるか?」

「今は不明だが……最後に測定した時は四千十三だったか?」

「はい、そうです」

 

 四千十三か。既に一般的な冒険者を上回るほどのアギを有しているということになる。

 

「だがいいか? アギの量が単純に強さと直結するわけではない。このことは頭に入れておけ。アギを使いこなす為の技術もアギの量と同じくらい重要だ」

 

 祖父も同じことを言っていたな。

 高い魔力を持った冒険者ほど自分の力を過信し、あっさりと命を落とす傾向が強いらしい。

 

「オリモカ先生。アギの量を増やすにはどうしたらよいのであろうか?」

「まぁ、訓練するしかないな。一般的には瞑想や滝行、イメージトレーニングなどが効果的であると言われている」

「左様か。しかし、どれもやっておるぞ」

「なら効果は出ていると言っていいだろう。今期合格者三人の中でもヤヨイ。お前が一番アギの量が多い」

「ヤヨイ、いくつなの?」

 シャーリアがヤヨイのアギの量を尋ねる。俺も気になる。

「三千四百二十二である」

「三千百四百二十二!? す、すごいじゃない!」

 

 シャーリアはヤヨイのアギの量にえらく感心した。俺も純粋にすごいと思った。

 

「シャーリア殿はいくつであるか?」

「三千百十五だよ」

 シャーリアもものすごい量だな……というかアギが三千以下なのは俺だけか。

「左様か。ムゲン殿はいくつであるか?」

「……俺は二千八百八十だ」

「まぁ、今時点でのアギの量は大して重要じゃない。これから授業や個人での修行を通じて、上がっていくことだろう。ウィルだって入学時は二千ちょっとだったが、倍近く伸びた。もう、お前らは既に一般的な冒険者より多いんだ。これからもっと磨き上げるつもりでいけ」

 まだ上がる余地が残っているだろうか……いや、冒険者といった戦闘職に就くつもりがない俺はそもそも上げる必要などないか。

 魔法学の授業はその名の通り、魔法について本質的なことを学ぶなようであった。さらに本では知ることができない内容も含まれていて中々興味深い内容である。

「体内のアギは使い切ると魔法が使えなくなる。再び使えるようにするにはどうすればいい? 答えてみろ、シャーリア」

 シャーリアが指名され、立ち上がった。

「速やかにアギを回復するべきです。仲間にヒールを掛けてもらうか、ポーションを飲むなどの対策を取ります」

「まぁ、そうだな。だが、覚えておけ。ポーションには一日に使用制限がある」

「使用制限……ですか?」

 この様子だとシャーリアは知らないようだ。もっとも冒険者以外には割と知られていないことではある。

「普通のポーションだと一日に三回飲んでしまうとそれ以上飲んでも効果はなくなる。ハイポーションで五回、グレートポーションで十回ってとこだな。だから、アギの管理はしっかり行わなければならない。闇雲に魔法を撃てばあっという間にアギが空っぽになる」

 

 魔法が使えないと危険な状況に陥るのは明白だ。弱いモンスターならともかく、強いモンスターに会った場合は命を落とす危険性もある。

 

「もしもモンスターとの戦闘中にアギがゼロになりそうな場合はどうすべきだと思う? ムゲン」

 今度は俺が指名された。席から立ち上がり、質問に答えることにした。

「所持している逃亡用のアイテムを使ってモンスターから逃げます」

「まぁ、妥当なところだな。アギが文字通りゼロになると倦怠感が襲ってきて、ただ走るのすら辛くなる。だから、その前に逃亡すべきだな」

 クエストに繰り出す際は煙玉や野生のモンスターが好む固形食料を用意しておくのが基本だ。

「モンスターから逃げる……それが本当に正しい選択肢であるか?」

 俺の答えに対し、ヤヨイが疑問を唱えた。

「ならば、ヤヨイ。お前ならどうどうするきだ?」

 オリモカ先生がヤヨイにアギが無くなった時の対処法について尋ねる。

「小生なら戦い続ける。魔法が使えなくても己の肉体で、そして刀で」

「……まぁ、それも正しい答えではあるな。魔法が使えなくなった時でも戦いが避けられない事態というのも当然ありうる。だからこそ、冒険者は魔法だけでなく自分の肉体も鍛えておかなければならない。そこんところは実技でビシバシ鍛えてやるからな。安心して良いぞ」

 逆に不安しかない。魔法学の授業が終わると次は実技の授業であり、オリモカ先生からグラウンドに集合するように言われた。

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