最高位魔法を使えない俺はハチになるエキストラユニークスキルで生き抜く   作:チャンドラ=グプタ

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 今回の話は説明が中心です。


魔法の種類

 バキア魔法学校――ここでの学校生活は中々に面白く刺激的であった。

 オリモカ先生との鬼ごっこは連日行われた。

 入学してから五日目の実技の授業の日。今日も鬼ごっこが行われている。

 

「せぃあ!」

 ヤヨイは刀を振り回すが、相変わらず刀は空を切る。

「エレキボール!」「ファイアボール!」

 俺とシャーリアが放った魔法をオリモカ先生は楽々と避ける。

「やはり当たらないか……」

 俺は再びエレキボールを放った。照準をオリモカ先生に合わせ、飛ばしていく。

「何度やっても同じだ」

 

 エレキボールの軌道を下に変える。やがて、地面にぶつかり、砂埃が巻き起こる。

 

「隙ありです。先生」

 ウィルがオリモカ先生をタッチしに行った。

「ふー、ちょっとヒヤッとしたなぁ……」

 オリモカ先生はウィルから離れた場所にいた。

「これでもダメか……」

 昨日の夕食の時、打ち合わせした通りに作戦を実行してみたが失敗に終わった。

「うおおおお! ウォーターボール!」

 

 ヤヨイがオリモカ先生に向かって走りながら魔法を放つ。しかし、魔法によって作り出された水の玉は照準が大きく逸れてオリモカ先生の遥か横を通り過ぎていった。

 

「ヤヨイのやつ。できたのか……」

 修行の時は一度も成功しなかった。だが、外れたとはいえ実戦で魔法を発動させることができた。

 なんという勝負強さだろうか。

「ウォーターボール!」

 今度はオリモカ先生の顔に向かって飛んでいった。オリモカ先生は顔を動かし、避ける。

「ふん!」

 ヤヨイが剣を振り抜く。

「ほう。多少、付いていけるようになったな」

「ふむ。やはり掠りもせぬか」

 ヤヨイのやつ、少しづづオリモカ先生の動きが見えてきているのだろうか。俺には未だに捉えそうにない。

「……時間切れだな。罰ゲームだ。グラウンド二十周走ってこい」

 今日も鬼ごっこに破れた俺達は今日も罰ゲームとしてグラウンドを走る。

 

 

 

 そして、昼食後にはガルド先生との体術の授業が実施された。ちなみに昨日は剣道を使った授業であり、スパルタと言って差し支えない内容であった。

 今日はウィルとともにガルド先生と組手を行う。

「そりゃ!」

 飛び上がり、蹴りをしようとしたがあっさりと足首を掴まれる。

「安易に飛び上がるでない! この愚か者め」

「よっと……大丈夫かい?」

「う、ウィル……ありがとう。大丈夫だ」

 

 投げ飛ばされた俺の身体をウィルが抱きかかえてくれた。俺が女性なら思わず惚れてしまいそうなシチュエーションである。

 

「一人じゃとても敵わない。連携して崩していこう」

「だな」

 しかし、この日も大した授業を上げることができなかった。ガルド先生との授業の後は魔法学の授業である。

 俺の好きな授業の一つであり、今日の授業は魔法のランクについてであった。

「魔法には習得難易度によってランク分けされる。特別な才能が無くても習得可能な基本魔法だ。該当するのがウォーターボールやファイアボールとかだな。一般的な冒険者はほぼ全ての基本魔法を使える。消費アギは大体二百前後ってとこだな」

 

 基本魔法については祖父から教わっていた。習得するのに結構時間が掛かったものである。

 

「基本魔法の一つ上のランクが中位魔法。基本的にクエストやダンジョンで主に使われるのがこれだ。フレイムランスやアクセルがこれに該当する。これも努力しだいで属性に適正が無くても身につけることができる。消費アギは四百から五百ってとこだな」

 

 俺も中位魔法までなら大体は使うことができる。しかし、『その先』がどうしても難しかった。

 

「そして、中位魔法の一つ上が上位魔法。ここから使い手が限られてくる。上位魔法を一つも使えない冒険者もザラにいる。自分の適性の属性以外の上位魔法は身につけることは難しいとされている……だが、S級冒険者やベテランの冒険者の中には適正の無い上位魔法も使えるものもいる。私もその一人だ。消費アギは千から二千アギってとこだな」

 

 上位魔法はいくら努力しても身につけることが出来なかった。先生が言った通り、冒険者の中で上位魔法を使えないものもいるが、もし俺が仮に冒険者になってもいずれ限界を悟る時が来るだろう。

 だから、俺は冒険者を志そうとは思わない。

 

「さらにその上が最高位魔法。文字通り最高位に位置する魔法だ。最高位魔法は適正のある属性以外は身に付けることはできない。私も最高位魔法が使えるが、風魔法の最高位魔法しか使えない。消費アギは三千から五千アギだ」

「オリモカ先生。二つ以上の属性の最高位魔法を扱うことは不可能であるということか?」

「その通りだヤヨイ……と言いたいところだが、バキアにおいて一人だけ二つ以上の属性の最高位魔法を使える者を知っている」

「一体それは……誰であるか?」

「ナハラ=アベイルという伝説の冒険者と呼ばれた人物だ。誰かは知っているな?」

「なるほど、ムゲン殿の祖父であるか」

 

 祖父は全ての属性の最高位魔法を使えると言われている。しかし、祖父が実際に使ってるのを一度も見たことはない。

 

「その通りだ。まぁ、最高位魔法なんてお前達にはまだ早い。まずは基本魔法をしっかりと身に付けることだ。お前達ならすぐにできるだろう。卒業前には上位魔法を一つ身につけてほしいと思っている」

 俺はともかく、他の三人ならできるだろう。ウィルに関してはすでに使えるのではないかと勘繰っている。

「ちなみにさっき言ったのは魔法の説明だ。これとは違って『エキストラユニークスキル』と呼ばれる特殊な能力についても説明する」

 

 エキストラユニークスキル? 今までたくさんの本を読んだ俺でも聞いたことのない単語であった。

 

「前にも言ったが全ての生き物の体内にはアギが存在している。モンスターが死ぬ時、周囲には一瞬だけそのモンスターのアギの波動が拡散する。モンスターと自分のアギが共鳴した時、エキストラユニークスキルを身に付けることができる。どうなるかっていうとな、そのモンスターの力を使うことができるんだ」

 し、知らなかった。そんなことが起こりうるのか。

「なるほど。では、もしも小生がドラゴンを倒した場合、ドラゴンの力のを使うことができるということであるな?」

「その通りだ。しかし、実際にエキストラユニークスキルを習得した人は少ない。それこそ、最高位魔法を使える人数より少ないだろう」

「先生! ムゲン君のおじいさまはその……エキストラユニークスキルを使えるんでしょうかか?」

 シャーリアが手を上げて質問した。

「いや、私もそこまでは……ムゲン、どうなんだ? それらしいのを使っているのを見たことはあるのか?」

「いや、俺も見たことはないですね」

 

 祖父が魔法を使うのは何度も見たことはある。だが、エキストラユニークスキルらしきものを使っているのを見たことはない。

 

「なら、ナハラ=アベイルさんもエキストラユニークスキルを習得してないのだろう。そして、エキストラユニークスキルは普通の魔法と違って他者に譲渡することもできる」

 エキストラユニークスキルか……もしもそれを俺が習得できれば冒険者を志す気にもなるかもしれないが、生涯習得することはないだろう。

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