勇者ヨシヒコと魔法少女   作:ぶんた

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その10

 ……ョウコー、キョウコー!

 

 山寺で一泊した後。メレブの仲間と合流するために移動している一行の上空にもくもくと雲がわき、仏が顔をだした。

 

「あっ!てめーこのキノコ野郎てめー!どの面晒してこの仏の前で息してるんだよ!」

「いやさ、あれはもう全面的にヨシヒコのせいでさ。でも、お前も悪いのよ?」

「はぁ? でた!でましたー!他人に責任転換で誤魔化そうとする奴!」

「貴様が困ってる村人がいるけど、その原因の氷の魔女の城にはいくなっていたからだよ!」

「は?氷の魔女に手をだしたの?あいつ、大人しく引きこもってるけど魔王級にクソ強いからやめろよ?絶対やめろよっていったよね?」

「だからそのダチョウったのが原因だっていってんだよ!このクソ馬鹿!」

 

 激しく罵りあう二人から少女達は完全置いてきぼり。

 

「……ねえ、雲のとこになんかいるの?」

「えっ?!」

 

 眉をよせていたさやかのこそっとした問いかけに、尋ねられた杏子は目を見開く。

 

「はい!さやかちゃんには仏様が見えないそうです!」

「ちょ、ちょっとまどか!」

「…………」

 

 由々しき事態と真面目にぴしりと挙手して、まどかが報告する。慌てるさやかに、言い合いをぴたりとやめた二人の視線が集まる。

 

「え、あれ?あれあれ?助けてあげたの君だよね?私のこと、見えないの?」

「えと、あの!なんかほんとごめんなさい!」

「そっか。君がこのヨシヒコ分担当なのね。んーなんか眼鏡っぽいものがあるといいんだけどな」

「……はい、これ」

 

 なにかないかとごそごそしていたメレブに、ほむらが鼻・ヒゲ付きのパーティグッズの丸眼鏡を差し出した。

 

「お、さんきゅー!おい青子、これこれ」

「あ、はい」

 

 ほむらから受け取ったメガネをメレブはさやかに渡す。さやかは受け取ったそれをつけて周りを見回し、見違った光景に目を見張った。雲の真ん中にさっきまで見えなかった顔の大きいさえないおっさんがいる!

 

「おい青子。てめーなんか失礼なこと思ってるだろ?そーゆーのわかっちゃうんだぜ?」

 

 さやかはぷるぷると首を振り、両掌を胸の目でひらひらさせての、そんなことないですよ?と、全力アピール。そんなさやかの頭にパーティグッズである銀の星が散りばめられた青い円錐形のとんがり帽子が、ほむらによってかぽりとはめられた。

 

「え、やーごめんなさい! ちょっとさやかちゃん、びっくりしちゃって!その節は本当にありがとうございました!」

「ありがとうございました!」

 

  仏に対してさやかは深々とお辞儀をした。自分だけじゃない。元に戻すために命を懸けたまどかと杏子の恩人でもあるのだ。受けた恩は計り知れない。そんなさやかの横で、杏子とまどかも同じように深々と礼をする。

 

「あーまぁわかってるならいいよ?うん。ホトケポイントすっからかんの赤字だったけど。まぁよかったよ」

 

 礼儀正しい三人に、仏は怒りを収めることにしたようだった。

 

「ご恩を返すためにさやかちゃん、がんばっちゃいますから!」

「そう?じゃあまぁよろしく」

 

 胸元でぞいっとこぶしを握り宣言するさやかに、仏は雑な返事を返す。真面目な流れなくせに、パーティメガネとパーティキャップ着用という、さやかのわけのわからなさをどう扱ったものか、困り顔だ。

 

「まあいいや。それよりヨシヒコのことよ。なにがあったんだよ?ホウレンソウしろよ」

「……村人に頼まれてヨシヒコが乗り込んで。結果ヨシヒコは城で氷漬け。他三人は追い返されてさ」

「いわんこっちゃない! やっぱり全滅してんじゃん!」

 

 メレブの報告に仏が頭を抱える。

 

「勇者だから困ってる村人をほっとけなかったんだろ?」

「え?あーうん……」

 

 なんとなく似たような状況を思い浮かべてか、杏子がフォローにまわる。それを聞いたメレブはなぜか視線をそっと逸らした。

 

「うっわ。最悪。マジ最悪。あいつの氷漬けでは死なないから死に戻れないんだよ。乗り込んで取り戻すしかないぞ?」

「うむ。流石に我ら三人で魔王クラスは無謀。色々と策を練っているところだよ」

「ふーん?試しにいってみ?」

「……炎の宝珠」

「あーそれな。でも超レアだぞ?」

「だから手分けして捜してるんだよ!」

 

 仏の指摘にメレブが逆切れ気味に叫ぶ。残念ながら、同じ魔王級である亀王の城でも見つけることはできなかったのだ。

 

「あれに対抗するにはそれくらいしかないものな。まあいいや。私も調べておくわ」

「グリーフシードを準備してくれたら、手助けしてやってもいいけど」

「まじ?そこまで手伝わすのは悪いなって思ってたんだけどさーいやー助かっちゃう!」

 

 杏子の提案に、仏が小躍りして喜んだ。

 

「まてまて。まずはグリーフシードだ。無い袖は振れないね」 

「その、ぐりー……、ってなにさ?」

「私ら魔法少女はね。魔法を使って濁ったソウルジェムを回復するためにグリーフシードが必要なのさ」

 

 杏子の説明に、仏とメレブが眉をよせる。

 

「つまりMP回復がしたいってこと? 宿屋で寝ればいいじゃん」

「……は?いやいや。そんな簡単な問題じゃないんだよ」

「宿屋で全快は常識だぞ?ここではこういう感じなんだ」

「…………」

 

 仏とメレブに口々に反論されて杏子は考える。こっちではそうなのかもしれない……。

 

「じゃあそれが確認できるまで助っ人の話は保留だ」

「そう。じゃあそれもそれでいいや。それはともかくそっちはどうなってるの?」

 

 仏は困惑に眉をよせる。その視線の先には……。

 パーティメガネとパーティキャップに加え、ネクタイハチマキと大漁旗を模したようなハッピを着用。ハイビスカスの花輪を首にかけ、両手に『バーンして!』とプリントされた大きな推しうちわとマラカス。パーティグッズフル装備のさやかがそこ居た。

 恩人である仏が話しているのを遮るのもと大人しくしているとさやかを、ほむらが黙々と飾り付けているのだった。なぜほむらはそんなにパーティグッズを持っているのか?なぜそこまでさやかをおめでたくするのか?ほむらを見つめる全員が唾をのんだ。

 さらに追加と口に咥えさせられたぴろぴろ笛をぴろぴろさせながら、さやかは視線で助けを求めてくるのだが……。

 巻き込まれないようにと仏、メレブ、杏子はあからさまに顔を背けてそっちを見ないようにし、ほむらを心配そうに見つめるまどかも気付けなかった。




ヨシヒコ勢のやりとりがはじまるともう、話がぜんぜんすすまない

ヨシヒコ成分でギャグ空間な話のはずだったのだけど、マギカ成分に侵食されてせつない感がにじみ出てくるという迷走運転……書いてる私が超困惑状態;

ギャグで終わるはずのオチに、わざわざ悲しみ成分ぶっこんで台無しにするぶれぶれぶり
実は私にとってまどマギはトラウマ案件で、そっちに引っ張られちゃうんですよね

大幅修正。ヨシヒコ節に戻っているといいのですが

→ぴろぴろ笛って、吹き戻し笛が正式名称なんだって。まめしばー
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