――本編より暫し前の出来事。
「……残念ですが、氷の魔女討伐は仏に禁じられているのです」
氷の魔女の城から漂う冷気によって、麓の村々は深刻な冷害を受けていると村人は訴える。
その助けを求める声に、ヨシヒコは苦渋の返答を絞り出したのだった。
「お願いです!このままでは村は……。氷の魔女は見目麗しい外見に反し、恐ろしい魔物なのです」
「!」
村人の叫びに、ヨシヒコが激しく反応する!
「そこ、もうちょっと詳しくお願いします」
「恐ろしい魔物です」
「違う!その前!」
「見目麗しい外見?」
「そう、そこ!」
ぐいぐい食いついてきたヨシヒコに、村人はどん引きだ。
「氷の魔女は妙齢の美女。絶世の美貌と、ボン!キュッ!ボン!な、魅惑のわがままボディ……」
「行きましょう」
「は?」
「勇者として、やはり困っている人を見過ごすわけにはいきません。速やかに美女の城に向かうべきです!」
「ヨシヒコや。欲望がだだ漏れているぞ」
暴走をはじめたヨシヒコにメレブはあきれ顔。
困ったことになった。こうなったヨシヒコを止めることはできないだろう。三人の仲間がため息を吐いた。
*****
はらはらと落ち続ける小雪と、風に舞い上がる粉雪。そこは一面の銀世界だった。吐く息も白くなる。
そんな険しい山の中に氷の魔女の城はそびえ建っていた。いくつもの尖塔。その真ん中の主塔は天を刺すよう。その名の通り氷でできているのだろうか。曇天の空にもきらきらと美しく光る。
「ここが氷の女王の城……」
紫色の布を頭に巻いた男、勇者ヨシヒコが城を見上げた。
「どこもかしこも凍り付いているな。まったく冷えるわい」
見事なもみあげの渋い男が独り言ちる。この男の名はダンジョー。手練れの戦士だ。
「氷の城とかけまして、ムラサキの胸と解く。そのこころは、つるつる~!」
おどけた口調でなぞかけを披露した金髪マッシュルームカットの男はメレブ。ローブと長い杖というまさに魔法使いといった様だ。
「あああ?氷の城とかけまして、メレブの冗談と解く。そのこころは、スベリまくりなんだよ!」
凄みを効かせてメレブを睨み、すかさず応戦した女は村娘ムラサキ。小鳥を肩に止めている。もちろんただの村娘ではない。様々な技や術を使いパーティの危機を幾度も救っている。
「おお、二人ともうまいものではないか!どれ、儂もひとつ……」
ぐぬぬ、と睨み合う二人を顎を撫でつつ眺めていたダンジョーが視線をさ迷わせだしたその時。
「先を急ぎましょう!」
「なにっ!まだなぞかけができていないぞ!」
「おっさん、いいから!それ心底どうでもいいから!」
「うむ。誰も得をせぬ」
「むむむ……」
足早に進むヨシヒコに置いて行かれないようにと、メレブとムラサキが不満顔のダンジョーを引っ張る。
そうして、氷の魔女の城攻略が開始された!
回想シーンに突入!
長くなりそうだったので、短めだけどここまで