勇者ヨシヒコと魔法少女   作:ぶんた

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その13

「ここはトーレボ王の街だ」

 

 槍を持った衛兵が声を掛けてきた。

 話には聞いていたがメレブ達が待ち合わせるトーレボ王の街は大きな街だった。見上げるほどの外壁にぐるりと囲まれ、その中に広がる中世西洋の街並み。多くの人々の行きかい活気が渦巻くその光景に、少女達は息をのむ。

 

「わあ!ほんとに大きな街!外国みたいだよ!ほむらちゃん、いこっ!」

「ちょっと、まどか……」

 

 テンション高くまどかはほむらの手を握り歩きだす。ほむらが迷惑そうに戸惑っていようとも、満面の笑顔でお構いなし。

 

「ほうほう」

 

 そんな二人の後ろ姿を、さやかは興味深く見つめていた。

 鹿目まどかは大人しい性格で引っ込み思案。そんなまどかがあそこまでゴリゴリいくのは珍しい事だ。

 そして幼馴染であるさやかは知っている。ああなったまどかは、ルンピカ!無敵なのだ!

 ほむら、覚悟するんよ?

 さやかはにんまり微笑んだ。

 

 

 

*****

 

 

 

 メレブ達は酒を含め、食事を提供する『ギルガメスの酒場』で落ち合ったのだった。

 大きめのテーブルにて7人が、ソーシャルディスタンスに席についた。

 

「メレブ。それでそのお嬢さん方は……」

 

 軽い自己紹介の後。ダンジョーが切り出す。

 

「ああ。この娘達は仏の助っ人さ」

「むう。確かに猫の手も借りたい状態だけどもな……」

「あの仏、何考えてんだよ。ロリコンか?パヤオか?」

「あれ。待って、ちょっと待って。なんだろ、なんかすっごいデジャブ」

 

 助っ人という少女達に疑いの視線を向けるダンジョーとムラサキに、メレブはあたふたと慌てだした。

 

「私らは魔法少女だからね。助っ人としてはそこそこだと思うけどね」

「あ、知ってる。やっぱりこれ知ってるよ。ねえこのままだと……」

 

 杏子が二人に答える様を見つつ、メレブがきょろきょろわたわたと、ミンティアを探すように視線をさ迷わす。

 

「!」

 

 次の瞬間。ダンジョーの頭の上に大きな達磨がどどん!と鎮座していた!

 

「やっぱり!あるー!」

 

 満願成就祈願である達磨さん出現と、すまし顔で得意げなほむらに一同ほっこり。

 そして暫し、やさしさ空間が展開されたのだった。

 

 

 

*****

 

 

 

「ならさ」

 

 杏子がシャフト流法(モード)に首を傾げて声を掛けた。紅いポニーテールが揺れる。

 

「おっさん、戦士なんだろ?じゃあその小娘の腕前とやら、試してみるかい?」

「ふむ。だがそれより、おっさん呼びはやめなさい。せめておじさんになさい」

「ふうん?私に勝てたら考えてあげるよ」

「ほほう。ずいぶん自信があるようだな。ひとつその鼻っ柱をへし折ってやるわ」

 

 杏子とダンジョーはにやりと笑いあい、臨戦態勢となる!

 

「ちょっ、ケンカはよくないんじゃないかなって……」

「まーいいんじゃねえの?ああいうノリのやつらは勝手にやらせとけばさ」

 

 外へ移動を開始する二人を前におろおろするまどか以外、ムラサキはじめ一同が勝手にやらせとけという判断のようだった。

 

 

 

*****

 

 

 

 外に出た二人は手ごろな空き地で対峙した。

 

「さて。じゃあ、こっちからいくよ」

 

 槍を片手に無防備に立っていた杏子だが、その言葉の直後、地を蹴り跳躍。そのまま強烈な突きをお見舞いする!

 

 がいん!

 

 ダンジョーは驚きに目を見開きつつ、鞘に収まったままの剣でその穂先を反らした。

 

「……ほう」 

「なっ!」

 

 人間相手だからと加減はしたものの、まさかあっさりいなされるのも杏子としては想定外だった。

 近接した杏子へダンジョーの三連撃が叩き込まれるが、鞘付きのこともあり易々と躱される。

 

 ……このおっさん、強い!

 まさか人間がここまでとは思わなかった。身体能力は魔法少女であるこちらに分があるはずなのに……。

 

「身体能力は上なのに。と、思っているのだろう?」

 

 そんな杏子に、ダンジョーはゆっくり答える。

 

「人間はな。牙も角もなく、力も弱い。だからこそ武術に磨きをかけるのよ」

 

 ……とはいえ。冷静な風を装っていてもダンジョーは心底驚愕していた。

 優れた身体能力だがそれだけではもちろんない。武術を全く知らないであろうこの少女がここまでの武の高み。百回の試合より一回の死合。そうして幾多の死線を越え、ここまで研がれたのだろうか?

 

 ……まさに深紅の魔槍よ。

 

 ダンジョーは戦慄せざるをおえない。

 互いを好敵手と認めた二人はニヤリと笑い、ぶつかる視線は火花を散らす。

 一拍の静寂後。戦闘が再開された!

 

 

 

*****

 

 

 

「やれやれ。埒が明かないね。おっさん、全然本気じゃないだろ?」

 

 激しい剣戟の後。首を傾げた杏子がダンジョーに声を掛けた。

 

「ふふ、キョウコ。その言葉はそっくりかえしてやるわ」

 

 視線を合わせた二人は、にんまりと笑う。

 

「じゃあ、ちょっとは本気みせてあげようか」

「ならば、おもしろいものをみてやろう」

 

 必殺のタイミングで蛇腹鞭を叩きつけてやろうと目を細める杏子の前で、ダンジョーは、いそいそと脱衣をはじめた!

 

「おおい!」

 

 周りの観戦人に戦慄が走る!

 

「おもしろいモノって、ナニみせるつもりだ?おっさん!」

「だめだから!今のご時世、それマジだめだから!ヤバイから!ヨシヒコメンバーとかいわれちゃうから!」

 

 慌ててムラサキとメレブが声を掛ける!

 

「んん?なにを騒いでおる?おもしろいものを見せてやるだけなのだが……」

「えっとごめん。よくわからないけど、そのおもしろいモノってナニ?」

「ああ。ここの訓練場で忍者に転職してな。その忍者の真価を発揮するには装備を全て外さねばならん」

「それってつまり?」

「全裸最強よ!」

「はい!アウトー!」

 

 メレブのジャッジが下った!

 らしくなく、真っ赤な顔をして杏子が固まり。両手で両目を隠し見てませんアピールしつつ、さやかとまどかは指の間から興味深々な視線を飛ばす。

 騒然とする周りを一瞥し、ダンジョーは不敵な笑みを浮かべた。

 

「まあ、折角だしな……」

「おい!おっさんやめろ!」

 

 そのまま脱衣を続けようとするダンジョーに、ムラサキの罵倒が飛ぶ!

 

「…………!」

 

 その次の瞬間!

 激しい電撃でもくらったのだろうか?アフロな髪型、薄汚れた顔に煙を吐き出しつつ、白目を剝いたダンジョーがばたりと倒れた。あまりの急展開に観戦人は全員息をのむ……。

 

 ……まどかに見苦しいものは見せないわ。

 

 その集団に背を向けて立つほむらは、スタンガンをしまいつつ、髪を手櫛でなびかせた。 




『流法』と書いて『モード』と読むッ!ルビふれ?やりかたわかんないんれすー;
はうあー、ごめんなさい、つぎこそはもうちょっと;
 
→ふふ!ルビってみましたよー!(ふんす!
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