勇者ヨシヒコと魔法少女   作:ぶんた

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あ、精神的に負荷のある描写があります!
生命に危機を感じた方は、速やかにサイトを閉じてください!


その19

 てーててってっててーてーててってっててー

 

 炎の宝珠を入手した一行は、氷の魔女の城へと急ぐ。

 

 てれてれてん!

 

 その一行の前に立ちふさがる人影!

 

「山賊だっ!命が惜しかったら、身ぐるみおいていきなっ!」

「ほう、返り討ちだね」

 

 脅しをかけてきた男に、杏子、ダンジョー、さやかが応戦しようと身構える。

 

「……っがうだろっ」

「え?」

「ちがうっていってんだろうぅ!そんなんじゃないだろうぅ!」

「ええ?」

 

 男の否定の絶叫に一行は怯んだ。

 

「いいかっ。あんたらの前には無法者な山賊であるこの俺が現れたんだぜっ?そういう反応じゃ、だめだっていってんだようぅ!」

「……どうすりゃいいのさ?」

「決まってるだろぅ?ここは、あんたらにとって命の危機っ!大事な場面なんだっ。絶望を見せてくれよううぅ!」

「あーこれはあれだ。まどか、まかせた」

「え?私?」

「ああ。なんか最近見たし。こんな感じのやつ」

「そっか。やってみる。いこう!ほむらちゃん!」

「ええっ!私?」

 

 珍しく頼られてやる気をだしたまどかは、ほむらを引きずりつつ男と対峙した!

 

「山賊だっ!命が惜しかったら、身ぐるみおいていきなっ!」

「こんなことってないよっ!い、いのち、いのちだけはたすけてくださいっ!」

 

 刀を振り回す男の前でまどかはしゃがみ込み、よよよ、と絶望に打ち震える。

 

「合格だっ!」

「やったぁ!」

 

 男はまどかにサムズアップ!まどかは喜びに飛び跳ねる!

 

「さて、つぎはそっちの娘だな」

「ほむらちゃん!がんばって!」

「えええ……」

 

 やる気に満ちた男とまどかに迫られながら、ほむらは助けを求めて視線を走らせるが、他のメンバーは巻き込まれないようにとあからさまに顔を背けた。

 

 ――食事の準備ができたムラサキが呼びに来るまで、ほむらは紅天女を目指す勢いでしごかれていた……。

 

 まどか……。恐ろしい子っ!ムラサキはおもわず白目で唸った。

 

 

 

*****

 

 

 

 そんなこんなで夕飯後。恒例の回復タイムとなる。

 カジノで大勝した一行は、炎の宝珠とけんじゃのいしを入手したのだ。けんじゃのいしはアイテムとして使用することにより少量のMPを回復することができ、それによりソウルジェムの濁りを除去することができた。魔法少女達にはなによりの一品だった。

 

 ――キョウコの手柄なんだから、あんたらがそれもっていきな。

 

 カジノ支配人が負けを取り戻そうと吹っ掛けてきても、事情を知っていたムラサキが、けんじゃのいしを諦めず交渉した結果だった。

 

「この和みの時間。恐ろしい呪文を習得してしまった私だよ」

 

 メレブがつぶやく。

 

「なぁ……」

「うん。またどうしようもないやつかもね」

「どんな呪文なんですか!」

 

 呆れ顔の杏子とさやかと対照的に、まどかがグイグイ食いついた。

 

「実はあまりに恐ろしい呪文なので、禁呪として封印しようかと考えていたところさ」

「そんなに……」

 

 メレブの言葉に、まどかは目を見開く。

 

「しかし、これからの厳しい局面には有用になるかもしれない。ってことでサヤカにエイッ!」ぴろりろり!

「えー!また私?勘弁し……ふ、布団が()()()だ!」

「なっ!」

 

 その場の全員に緊張が走る!

 

「って、ええっ?なにヤダー」

「おいおいさやか、その駄洒落はなんだよ?さぶっ」

「ち、違うって!」

「その通り!私の呪文の効果だよ。この呪文をかけられると、駄洒落を言わずにはいられないのさ」

「!」

「言った本人は勿論、周りで聞いてしまった人々すら凍りつかせる恐怖の無差別範囲呪文……、『ドヒャア』の呪文と名付けることにするよ」

「そんな、そんなことって……」

 

 確かにこの呪文は恐ろしいものだった。

 

「で、でも。だからこそ、必要になるかもしれない……」

 

 戦慄に固まるその場で、震えるまどかは決意を固める。

 

「呪文をかけてください!かけてみてください!ほむらちゃんに!」

「ええっ!やっぱり私?」

「えい!」ぴろぴろりん!

 

 呪文の効果によって、ほむらはすくりと立って口を開く。

 

「ま、まどかが可愛すぎて、()()うしよっ()

 

 びゅーーーー!

 

 その言葉から発する冷気に その場の全員が背筋のぞわぞわに身もだえた。

 その時!そのほむらに対峙するようにすくりと立つは、我らが主人公鹿目まどか!

 その瞳は決死の覚悟に煌く!

 

「ほむらちゃんの可愛さこそ、()()()ん級だもん!」

 

 びゅーーーーー!

 

「!」

 

 さらなる冷気に一同が固まる中、ほむらも顔をあげる。

 

「まどかの可愛さには、()()()ーわ!」

 

 びゅーーーーー!

 

「もう!ほむらちゃんのほうが可愛いっていってるのに!()()()ーだ!」

 

 びゅゅーーーーーー!

 

 駄洒落の冷気だけではない。目の前でイチャつかれているようなやるせなさも盛られて、恐ろしいまでの精神攻撃になっていた!

 

「さ、さやか、しっかりしろ!」

 

 倒れているさやかを杏子が揺さぶるが、へんじがない。ただのしかばねのようだ……。

 

「おい、金髪!お前の呪文だろ!あいつら止めろよ!」

 

 ムラサキがメレブに詰め寄る。そのメレブは、白目で泡を吹くダンジョーを揺すっていた。

 

「ダンジョー!しっかりしろ!」

「…………」

 

 メレブの問いかけに意識を取り戻したダンジョーは眉をよせ、裂ぱくの気合で叫ぶ!

 

「る、ルミナス!」

 

 

 

*****

 

 

 

 翌日道中。

 街道にて、エンカウントバトル終了後。

 まどかは胸元でこぶし握りつつ、どきどきしながら倒れたモンスターを見やる。

 むくりと、青い色の水滴型のモンスターは起き上がった。

 

 なかまになりたそうにこちらをみている……。

 

「おいで、おいで!」

 

 まどかは懸命に両手を広げるものの、モンスターはくるりと背を向け去っていく。

 

「えええー!なんで……」

 

 まどかは、がっくり肩を落とした。

 

「マドカ、おぬし……」

「はい。私、まじゅうつかいなんですけど、全然モンスターが仲間になってくれなくて……」

 

 ダンジョーの問いかけに、まどかは力なく答えた。

 

「んんん?」

 

 なにかをいいたそげに、メレブが眉をよせる。

 

「なあ、マドカや。いくつか質問がある。モンスター牧場にいったことは?」

「ないです」

 

 まどかは目をぱちくり。

 

「ふむ。では、馬車は?」

「ばしゃ?ないですよ」

「モンスターロードの登録は?」

「なんですか、それ」

「まじゅうつかいのレベルは?」

「まだ1です……」

「……ふむ。ではこのメレブがマドカの疑問に答えてやろう」

 

 シャフト流法(モード)に首を傾げ、金髪マッシュルームをウザく揺らしながらメレブがポーズをとる。

 

「初期状態でのモンスター登録は三体まで!まほうしょうじょがすでに三体いるから、モンスターの仲間は増やせないの!」

「えええーー!」

 

 メレブによって、すんごい爆弾がさく裂した!

 

 

 

*****

 

 

 

 ……シヒコー!キョウコー!

 

 もくもくと湧いた雲の合間から仏が顔を出した。

 

「まあなんだ。どっちもやるのめんどくさいから、とりあえずお前ら合流しろよ」

「え?」

 

 仏の訳の分からない提案に一行は首を傾げた。仏は顎をくいくい傾げ、視線を誘導する。

 一行の視線の先には二人の人物。

 紫の布を頭に巻き、紫のマントを身にまとった男と、金髪の縦ロールに見滝原中学の制服を着た少女だった。

 

「ダンジョーさん!メレブさん!ムラサキ!」

「あら、みんなもこっちに来てたの?」

 

 二人はそれぞれの仲間に声を掛ける。

 

「ヨシヒコ心配したぞ!」

 

 ヨシヒコ一行はヨシヒコを中心に笑いあう。

 

「…………」

「?」

 

 目の前まで歩を進めたマミは、自分を見て目を見開いて固まっている四人の少女達を不思議な顔で眺めやる。

 

「どうしたの?オバケでも見るような顔して」

 

 マミは片手を頬に当てて首を傾げた。

 

「……ままま、まみさん?ほ、ほんとにまみ……さん?」

「はいはい。ほんとうのマミさんよ?」

 

 マミがにっこり微笑むと、まどかとさやかが表情をゆがめ、感情を爆発させる!

 

「「マミさあああぁーーん!」」

「ちょ、ちょっと……!」

 

 マミは抱き着いてきたまどかとさやかに、もみくちゃにされた。

 あまりの勢いにマミは驚く。

 その後ろの佐倉さんと暁美さんも、泣いている?

 異世界に飛ばされて、よっぽど心細かったのかしら?

 

「よしよし。もう大丈夫よ」

 

 ここは頼れる先輩として、皆を安心させてあげなくちゃ!

 まどかとさやかの頭を撫でながら、マミは大きく頷いた。

 

 

 

*****

 

 

 

「兄様。この合流にはヒサも感無量です……!」

 

 白い布を被った少女が、木陰から涙ながらに覗いていた。




 こっそり、多機能フォーム実験
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