勇者ヨシヒコと魔法少女   作:ぶんた

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その20

「なんだこの野郎、馬鹿野郎!合流したからって盛り上がりすぎなんだよ!」

「おい仏!あっちはほっといてやれよ!」

 

 なんだかおいてきぼりでご立腹の仏だが、少女達の異常なテンションを感じたムラサキがフォローにはいる。

 あの喜びようは尋常じゃない。見ているこっちも泣きそうだ。ムラサキが目元を拭う。

 

「仏!心配かけましたが、なんとか復活いたしました!」

 

 ヨシヒコが明後日の方を向きながら宣言する。

 

「あちゃー。眼鏡的なものがないな……」

 

 メレブが顔をしかめる。この場でメガネ的なものを所持しているのはホムラのみ。

 

「あーもうこれは?」

 

 メレブが提案したのは親指と人差し指で輪っかを作り、目に当てるというもの。早速ヨシヒコはそれを行う。

 

「ん。なんとなく見えます」

「それはいいけど、なんで目を細めて首をふるふるしてんのさ」

 

 首を傾げる仏。

 

「まあ、いいや。おまえらな、魔王ほっぽりすぎなんだよ。このままじゃ世界大ピンチ……あれ?」

 

 言葉を止める仏に怪訝な視線が向けられる。

 

「おい。ちょっと。魔王どころじゃないじゃん。急いで氷の魔女連れ戻せよ!あいつがあそこにいないとあの山、大噴火で世界がマーマレードだぞ!」

「えええ!」

 

 仏の爆弾発言にヨシヒコ一行がひるむ。

 

「すまん、仏。発言の意味がよくわからない」

「だから!あいつは噴火を防ぐために古の契約であそこに居たんだよ!誰よ?あそこから移動させたやつは!」

 

 ダンジョー、メレブ、ムラサキの視線を受けたヨシヒコは、さらにマミに視線を向けた。

 他の四人と違って余裕のあるマミはその視線に気づく。

 

「彼女?ああ、北の方にいってくれるって。村の人たちは喜んでいたわ」

 

 マミがにっこり微笑む。

 

「おっふぅ……」

 

 仏をはじめ、ヨシヒコ勢は発する言葉を失った。

 

 

 

*****

 

 

 

「じゃあとりあえず、おまえらは氷の魔女を呼び戻せよな」

「すいませんが、それはできません」

「はぁ?」

 

 ヨシヒコの返答に仏、ダンジョー、メレブ、ムラサキが目を剝く。

 

「私を救ってくれたマミさんと結婚すると決めたのです。勇者は廃業です」

「おい!」

「もう!それはお断りしたでしょう!」

「私は命を救われた。命には命で返すしかありません。つまり結婚です!」

 

 総ツッコミをくらうもヨシヒコの決意は固い。

 困り顔のヨシヒコ勢の痛いくらいの視線を受けてマミは眉をよせる。

 

「わ、私は正義の魔法少女だから、やっぱり勇者が好み、かな?」

「私は勇者!勇者ヨシヒコ!」

 

 マミの言葉を受けてヨシヒコが大きく頷いた!

 

「じゃあ、そういう方向でよろしくたのむぜ?コッチもたいへんなのよ?bポイントカードの不正引き落としとかあって……」

「まって!まって、仏!それちょっとやばそうだから、マジやめて!」

「ブッダポイントが?」

「うーん。ならセーフ?」

「ねぇ仏!このヨシヒコって人見つけたら、元の世界に返してくれるのではなかったの?」

 

 仏と頭を捻るメレブの会話に、ほむらが慌てて食い下がる。

 

「んん?そうねぇ。そんな話だった気もする。ん、そうだろう?ん、どうだろう?」

 

 首を傾げながらヘンな言い回しで答える仏。なにかのマネなのだろうか?誰の心にも刺さらない。

 

「そういう話なら、もう帰してやれ。この娘達は、ずいぶん助けてくれた」

「ああ、そうだよ」

「うむ。まあ、そうさな」

「まってください。そういうことなら、私もマミさんと……」

 

 ヨシヒコ勢の援護を嬉しく思うも、困惑して顔を見合わす少女達。

 

「えっと、だいじょうぶ、ですか?」

「あたりまえだろう!」

 

 困り顔のまどかに、ダンジョーが笑いかける。

 

「そうだよ!こっちの心配はしなくていいって!」

 

 ムラサキがさやかと杏子を抱き寄せる。

 

「うむ。安心するがよい」

 

 なぜかメレブはほむらの前で、これ見よがしに首を傾げてシャフトポーズ。

 

「私はマミさんと……」

「勇者さんがすきなので!」

「あ、はい!」

 

 マミはにっこり微笑んで、ヨシヒコを完封する。

 

「んー。話は決まったようだな?じゃー杏子達は元にもどすぜ?とぅ!」

 

 仏が手を掲げるとともに、少女達の視界が白くなる……!

 

 ――こうして、長いようで短い少女達の異世界冒険は終わったのだった。




お話はもうちょっとだけ、続くんじゃよ
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