勇者ヨシヒコと魔法少女   作:ぶんた

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その22。最終話下

「えっ、どうして……」

 

 そこに懐かしいメンツを確認し、少女達は驚愕する。

 

「まったく、酷い目にあったわい」

「あれ?キョウコとサヤカ?」

「マミさん!」

 

 ヨシヒコ勢がわたわたと起きながら、少女達に気付く。

 

「いやな、魔王幹部の攻撃によって、眠らされているのだ」

「眠らされる?」

「うむ。我々の意識としては、夢の世界なのよ」

 

 ダンジョーの説明に、少女達は首を傾げる。

 

「そう、つまり。起きて、たたかえ。たたかえ!」

 

 メレブが決め顔で叫ぶ!

 

「?」

「あ、いいから。とりあえずちょっと、のっかっただけだから!」

 

 不思議顔のその他に、メレブはドヤ顔だ。

 

「ずいぶん悪い天気だが、皆揃ってどうしたのだ?」

「じつは……」

 

 ダンジョーの問いかけに、まどかは手早くカクカクシカジカと答える。

 

「これから運命の決戦とな?これはいいところに来たようだな」

「えっ?!」

「そうだね。助太刀するよ。碌な恩返しもできなかったからね」

 

 ダンジョーとムラサキがにっこり微笑みかける。

 

「うむ。私の呪文の恐ろしさを目に焼き付けるがよい」

「すみません。それより質問があります。マミさんはなぜにそこまでその娘にべったりなんですか?」

 

 よっぽど羨ましかったのか、ヨシヒコがへんな質問を投げかける。

 

「鹿目さんが、私のご主人様だからです」

「なっ!」

 

 まどかをぎゅうと抱きしめ、自慢げに宣言するマミ。ヨシヒコの顔が驚愕に歪む。

 

「娘!私もあなたの部下になる!マミさんと一緒に!」

「んーちょっと違うわね。鹿目さんは私の飼い主って意味?」

「なんだとっ!」

「ちょっと巴マミ!まどかが困っているでしょう?いいかげんになさい!」

 

 驚愕に固まるヨシヒコの横から、ほむらがマミに食って掛かる。

 

「なんかそっちもいろいろあったみたいだね」

「たはは。そっちはどうですか?」

「こうして罠にはまってるし、順調ではないかな。でもまぁ、ぼちぼちさ」

 

 ムラサキ、さやか、杏子は旧交を深める。

 

「その調子だと仲間とうまくやっているようだな」

「はい!ダンジョーさんのおかげです!」

 

 優しくまどかの頭を撫でるダンジョーに、殺意のこもった視線が飛ぶ。

 

《5》

 

「お、おい、そんな和んでる場合じゃなさそうだぞ?」

 

 異様な気配の高まりをいち早く察知したメレブが緊張する。

 

《4》

 

「娘、頼む!私の飼い主になってくれ!」

「ええっ!ちょっとイヤかも……」

 

 眉をよせたまどかが、視線を逸らす。

 

《3》

 

「そうそうキョウコ。カジノの伝説になってるぞ?」

「ええー」

「まあ、あの時の杏子は鬼がかってたしね!」

 

《2》

 

「いやだから、もうちょっと真面目になれよ、お前ら!」

 

 めずらしく真面目なメレブが叫ぶ!

 

《1》

 

 ――アハハハハハッ!

 

「ええ?い、いつのまにっ!」

「だから和みすぎなんだよ!」

 

 響き渡るワルプルギスの夜の哄笑に、びくりと反応した面々にメレブの非難が飛ぶ。一同は、異常な圧を発する存在に視線を向けた。

 空中に浮かぶ、ごりごりと回る巨大な歯車。その下に逆さにぶら下がっているのは白い縁取りの青いドレスを纏ったような女性の姿。白い顔には、にまりとした紅い唇のみ。頭部には二本の角か帽子のようなモノが生え、そこに半透明のヴェールを着けている。背後に虹色の魔法陣がゆっくりと回る。

 

 超弩級伝説の魔女。ワルプルギスの夜。それがついに現れたのだ!

 

「でかいな」

「それに空を飛んでいるとなると、我々ではなかなか手がでぬぞ」

「私達が叩き落とすわ。あなた達は、まどかを守って」

 

 ワルプルギスの夜を観察するダンジョーとメレブに、ほむらが手早く作戦を伝える。

 

「だが、なかなかそうもいかなそうだぞ?」

 

 ダンジョーの視線は、ワルプルギスの夜の周りを飛び回る多くの使い魔、影魔法少女を捉えていた。

 

「さて。では露払いといこう。ゆくぞ、ヨシヒコ!」

「はい!ダンジョーさん!」

 

 二人は抜刀し、大きく構える。

 

「「風刃剣!!」」

 

 その振り下ろされた刃から発せられる風の刃。

 息ぴったりに放たれたそれはクロスの形に飛び、使い魔たちを吹き飛ばす!

 

「さあいけ!」

 

 マミのリボンの足場を利用して跳躍するマミとほむら。

 

「さ、力を貸してもらうよ」

 

 杏子は頭の上のカエルのような小竜に声を掛ける。竜騎士のSPアビリティによって、限定的ながら小竜の加護を得ることができるのだ!杏子の頭には角が生え、背中には竜の翼、そしておたまじゃくしの尻尾。竜人と化した杏子は空を飛ぶ。

 

 しかし、撃ち落とすことのできた使い魔は少ない。

 無数の使い魔が、まどか達に襲い掛かる。

 

「ギガデイン!」

 

 ヨシヒコが範囲魔法を放つ!勇者固有の雷魔法が空を切り裂くが、抑えきれない。

 メレブが杖を構えて立ち向かう。

 

「ブラズーレ!」ぴろりろり!

 

 飛び回っていた影魔法少女達の動きが突然ゆるくなる。

 『ブラズーレ』とは、メレブの編み出した呪文のひとつ。ブラがずれてしまってきになってしまう感覚に陥いらせる呪文なのだ。

 魔に落ちたとはいえ、元は少女達。

 こうかはばつぐんだ!

 動きの鈍った影魔法少女を、ヨシヒコ、ダンジョー、さやかが迎撃する!

 

「ブラズーレ!マハブラズーレ!ベギブラズレマ!ベギブラズレマズン!」

 

 呪文を連発し、影魔法少女らを無力化するメレブだったが。

 

「おい、犯罪者。おまえ、いいから自首してこい」

 

 どう考えてもセクハラ攻撃に、なんだか胸元を押さえる女性陣のムラサキ、さやか、まどかの視線は氷点下だった……。

 

「さて、じゃー気合いをいれるかね!ハッスルハッスル!」

 

 だっさい掛け声とともに、だっさい踊りをはじめるムラサキに、さやかが目を見開く。

 

「なんです?それ……」

「ハッスルダンスさ!仲間を勇気づけるんだよ?」

 

 ムラサキが当たり前の顔で説明する。

 

「すごい!すごいです!わ、私もやります!ハッス……」

「まどかはいいから!まじゅうつかいに集中して!」

「あ、はい」

 

 そうしている間にアタッカー陣は、ワルプルギルの夜のへの十分な接敵を果たす。

 

「みんな、がんばって!」

 

 まどかがSPアビリティを発動!これにより支配下にあるモンスターが大きくブーストアップされる!

 

「杏子ちゃん!『断罪の磔柱』!」

「応!」

 

 まどかの指示により杏子が魔術を発動!ワルプルギルの夜を囲むように無数の蛇骨鞭が伸び、絡み、体に突き刺さる!

 

「マミさん!『ティロ・フィナーレ』!」

「はい!ティロ・フィナーレ!」

 

 動きの止まったワルプルギルの夜へ、マミは出現させた巨大な拳銃での砲撃を行う!

 その弾丸はワルプルギスの夜の胴体を貫通し、多大なるダメージを与えた!

 

「ほむらちゃん!おねがい!」

 

 まどかのオーダーに目を細めるほむら。時間が止まる。

 次の瞬間。ワルプルギスの夜の歯車の上には、無数の丸い岩が出現していた。

 そのモンスターの名は、ばくだんいわ。それぞれがちからをため、一斉に爆発する!

 

 ――アハハッ!アハハ……

 

 無数の爆発によって破壊され、地に落ちるワルプルギスの夜。やはり現代兵器ではなく、モンスターの攻撃は有効だったようだ。

 様子を見守る一行の前で、ワルプルギスの夜は崩壊していく……。

 カチリ。ワルプルギスの夜が巨大なソウルジェムを落とす。ついに雌雄は決した!

 

 

***

 

 

 ワルプルギスの夜との一戦後。ヨシヒコ一行はいつの間にか、姿を消していた。

 眠らされる攻撃から回復したのだろうか?いや、きっとそうに違いない。

 こうして。最悪の夜を越えた少女達に、新しい明日が訪れたのだった。

 

 数日後。

 

 ……ョウコー!キョウコー!

 

 仏の呼びかけがあったりするのは、また別のお話。




 なんとか完走できました!
 おつきあい、ありがとうございました!
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