ヨシヒコー!ヨシヒコー!
呼びかけと共に、空に黒雲が沸き、その合間から仏が顔をだす。
「んー揃ってるようだな。じゃーちゃっちゃとお告げるぜ?」
「待ってください!」
仏の言葉に、パーティーグッズのヒゲ付き眼鏡を着けたヨシヒコが待ったをかけた。
「ん。なに?」
「実はマミさんから聞いていたのです。今日、あちらの世界では、女子が男子に食べ物を渡す宴の日だと!」
「!!」
男子の視線が一斉にムラサキに飛ぶ!
「は?悪いけど今聞いたんだから、なにもしてないよ?」
「そ、そう……」
あからさまにガッカリする男子陣に、ムラサキはタジタジとなる。
「……や。間に合うなら、なんか準備するけどさ?」
おずおずと切り出すムラサキに男性陣はガッツポーズ!
「で、なにを準備すればいいの?」
「んー」
ムラサキの困惑した視線を受け、仏は首を傾げる。
「んー!なんだかカレーが食べたいっ!」
「!!!」
仏の言い放った言葉に、一同は首を傾げる。
「なんだかね。急に食べたくなっちゃった。凄く。今」
「そのカレーとは……」
「ん?カレーはね。日本という国の国民食であり、飲み物という人気の食べ物なのよ」
「ふむふむ。ならば祝いの席で食するのも納得がいくな」
仏の説明にダンジョーは深く頷く。
「じゃあ、そーゆーことで!カレー食べてこよっと!」
仏は逃げるように消えていった。
「で、カレーってなに?」
ヨシヒコ一行は首を傾げた。
*****
てーっててってっててーてーっててっててててー!
仏のお告げから数日。仏のいうことがまったくもってどうにもならなかった時。一行の前に山賊が現れた!
「はいっ!料理おにいさん、りゅうGでーす!」
「!」
前掛けを身に着けたハイテンションの男は、にこやかに話しだす!
「ええとね、世間的には今日はバレンタインだからね。気合の至高レシピいっちゃおうかと!」
緊張するヨシヒコ達に、りゅうGは不敵な微笑みを浮かべる!
「とりあえず燃料補給いっちゃいますかね?ふふー!」
りゅうGは手持ちのグラスをゴクゴクと呑み出す!
「ええと。そのばれんたいんに、特別な料理が必要と聞いたんだけどさ……」
ムラサキの言葉に、りゅうGは眉をよせる。
「チョコ以外に?んーなにはともあれ、相手を思いやって、美味しく食べてもらうことが一番かな」
「えっ?」
「お祝いの席での美味しい食事は、なんでも特別なものになるってこと。そういうことじゃないかな。そうして食べてもらえるって、作る側にとってもなにより嬉しいことりゃよ」
りゅうGはそれらしいことをうさん臭く、爽やかに言い放つ。
しかも酔っぱらって呂律回らず、大事なところで噛む始末。
「でえええい!」
ヨシヒコがツッコミとばかりにいざないの剣で斬りかかり、グラス片手に語りまくるりゅうGはそのままぐうすかと寝始めた!
「よくわからんが、おそろしいやつだった……」
「ところで、カレーって結局なによ?」
「……」
ヨシヒコ勢は、眉をよせるのだった。
あっれ?バレンタイン関係なくない?
って、なんだかカレーが食べたいっ!っていわせたかっただけ!すんません!