「ところで今日はホワイトデーだそうです」
ヨシヒコが切り出した。
「ヴァレンタインの返礼として対になるイベントの日、だそうです」
「へー。じゃあたっぷりお礼がもらえるのかね」
ムラサキが、にまりと笑う。ヴァレンタインは女性が男性に食べ物を振舞うイベントとしか結局わからなかった。
仕方ないのであの日の夕食当番はムラサキとなり、ムラサキが自費で購入した肉によってちょっとしたご馳走となったのであった。
「そうですね。いろいろと考えて、これを準備しました」
「ひっ……!」
爽やかにドヤ顔のヨシヒコの両掌にあるものを見て、ムラサキが息を呑む。
そこにあるのは、山盛りのカブトムシの幼虫だった!
「うむ。ヨシヒコから聞いている。儂も準備しているぞ?」
ダンジョーが差し出したものは、極彩色の明らかにやばそうなキノコ。
「私はこれだ」
メレブの差し出した根菜は四肢のある人間のようだ。顔のような模様は苦悶の表情を浮かべ「ぉぉぉぉぉぉ……」と、ひたすら呪詛を唱えていた。
「おまえら……。それ、とりあえず自分らで食ってみせろよ……」
ムラサキは額に青筋を浮かべ、三人を睨む。
「まあ待て。困ったときの神頼みよ。仏に聞いてみよう」
「ほとけー!ほとけー!」
ヨシヒコの呼びかけに黒雲が沸き、その合間から仏が顔をだした!
「え、なに?今ゴイスーに忙しいんだけど?」
仏は迷惑そうに眉をよせる。
「すまん。これらの食材でご馳走を作るにはどうしたらいいか?」
「えっ?」
あまりの質問に、仏は目を丸くした。
「そういうことはリュウジに聞いてよ……」
「それ、誰だよ?とりあえず、さっくりいえよ!」
「君らもたいがい失礼だよね……」
イキるムラサキに仏はあきれ顔。
「そーねー。みそ味にして全部ぶちこめば?豆腐と野菜増し増しね?」
「ええ?!まじかよ?って、これ食えるものなの?」
「あのねー仏が嘘つくと思う?って、この顔が嘘ついてる顔に見えるの?」
「………」
きゃわいく目をぱちくりする仏に、四人は沈黙した……。
「じゃあね!」
速やかに仏は退場。
しかたないので、仏のいうように食材は鍋にぶちこまれた!
*****
「うっま!」
一口食べたムラサキの第一声だった!
ほかの面々も満面の笑みを浮かべ舌鼓を打つのだった。
*****
「ぅぅぅぅぅ……」
――翌日。
鍋を食べた四人は身悶えていた。
味はともかく。やはり、人体に害のあるものだったのであろう。
どこまでも適当な仏への殺意を覚えつつ、四人は苦痛に耐えるのだった……。
すんません
次話で上書きしてたみたいです;