「とはいえ、お腹空いたなぁ……」
へたり込んださやかは、お腹を押さえた。
「あ!私ね、コンビニで買い物した帰りだったんだ!おにぎりあるから、みんなで食べよ!」
まどかが、じゃじゃん!と買い物袋を掲げる!
「なぬ?でかしたー!サスまど!やっぱり私の嫁だよー!」
「うぇひー!」
抱き着くさやかに、まどかは笑顔を向けた。
「ええと、梅、こぶ、鮭、ツナマヨ……。全部違うんだ」
「うん!面白いよね!私は全部好きだから、みんな先に選んで!」
袋から取り出したおにぎりを並べるさやかに、まどかは微笑む。
「私は……梅以外ならなんでもいいわ」
ほむらがぽつりと答えると、杏子とさやかはビキリと反応した!
「……これはアレだな。クジにしよう」
「そうだね。恨みっこなしのクジがいいね」
杏子とさやかから、不穏な空気が漏れ始める……。
*****
「……それでどうして、私が梅なの?」
不機嫌の塊と化したほむらの視線が、手元のおにぎりに向けられた。
「クジの結果だしなぁ」
「うんうん。公平なクジだし?あるよねーこーゆーの」
にまにまと、杏子とさやかはほむらを見つめる。
「私、梅も平気だからこうかっ……」
すかさず声を掛けようとするまどかを、杏子が引っ張った。
「まどか。やつはなんか隠してる。ゆさぶりをかけてるんだから、黙ってな」
「え、うん……。でも……」
「お前のことだから、信用したいんだろ?じゃあ、黙ってみてな」
杏子は、にやりとまどかを黙らせた。
「せっかくのまどかのおにぎりだしね。しっかり食べないとだよ?」
にこにこと、さやかもほむらに圧をかける。
「……もちろんよ」
ほむらはおにぎりを手に、大きく息を吐いた。
とはいえ梅は苦手だわ。とりあえず梅を避けてたべましょ……。
ほむらはゆっくり食べ始める。
周りを齧るとか品のない食べ方が上品に見えるとかほんとすごいね。でも……。
さやかは、こっそりと観察する。
そいつはむしろ悪手だぜ?ごはんで誤魔化せなくなるぶん、むしろ事態は悪化するよ?
杏子はニタリと、ネズミを嬲るネコのような笑みを浮かべた。
「……!」
舌先に掠めた梅にビクリと体を固め、ほむらはフルフルと打ち震える。
駄目。ちょっとでも凄く酸っぱい……。どうしよう……。
苦手だといって残す?駄目よ!弱みを見せることはできない!
時を止めて捨てる?まどかのおにぎりを捨てるとか、ありえない!
一息で食べる?私にできるかしら?ううん?やるしかない……。でも、でもっ……!
さあ、どうするほむら?さあ、さあ、さあ!さあっ!
食べかけのおにぎりを持って固まるほむらに、杏子とさやかの視線が突き刺さる!
その時。
ほむらの食べかけのおにぎりを、まどかがひょいっと取り上げ、ぱくりと自分の口に放り込んだ。
「あっ!」
驚きに声をあげ固まる三人を他所に、まどかはもぐもぐごくり。
「横取りしちゃて、ごめんね?ほむらちゃん!ごちそうさま!」
「…………」
まどかからいたずらっぽく微笑みかけられたほむらは、目を瞬かせ、がばりと顔を伏せた。髪で顔が隠れる。
「えええ!実は楽しみだったのかな?ごめん、ほんとごめんね?」
想定外のほむらの反応に、まどかは慌てた。
俯いたほむらは激しく動揺していた。唇が震え、涙が滲む。
まどかの誤解を解こうにも、伏せられた頭を力なく横に振り意思を伝えるのが精一杯。黒髪が揺れる。
どんなときでも私を守ってくれるのね。ありがとう、まどか……。まどかが助けてくれたのだもの。落ち着かなきゃ。
ほむらは悟られないよう涙を拭った。そして目を閉じ、胸元で両手を合わせる。
……あれ。でもこれって間接キ……っ?!
ぎらり!ほむらの瞳が見開かれた!顔が熱い。ほむらは両掌を頬に当て悶絶するのだった。
顔伏せたまま、肩を震わせているほむらを、まどかは心配そうに見つめていた。
隠し事があるのかな?でも絶対いい子だよ!もっと仲良くなれるといいな。まどかは思うのだった。
ヨシヒコ要素……いまだナシっ!
ガガントス!
コソコソ話
ほむらさん酸っぱいもの苦手は、完全でっちあげです。
そして次の日読み返して。
ほむらさんが盛大にメルっとしててびっくり!
深夜の勢いってこわいですね……。
当初の予定に近い感じに方向修正してみました