「よっと!」
頭を踏まれ甲羅に引っ込んだ亀人間達を、杏子はひょいっと蹴り飛ばす!
かこーん!
幾つもの甲羅は軽快な音を立て、遠くにすっとんでいく。
「お見事です!亀人間を難なく退けるその身のこなし!……もしかすると配管工のひとですか?」
激しく拍手するキノヒコに、杏子は首を傾げて困惑の視線をむけた。
「配管工?なんだい、それ」
「ええ。われらが英雄マルオ様です!」
「残念ながら人違いだね」
テンションあがるキノヒコに反比例して、杏子はわけのわからなさにタジタジとなる。
「そのマルオって人はどんな人なんですか?」
ひょいっと現れたまどかが、キノヒコに問い掛けた。
「配管工を生業としつつ医者としての知識もおありで。さらにレース、格闘技を含むあらゆるスポーツを嗜むお方です!」
「すごい!万能の天才さんだよ!」
「ええ!トレードマークは赤い服装とひげ……」
「おい。ひげってなんだ?」
盛り上がる二人に杏子が割り込んだ。ひげを生やした人物扱いは流石に乙女の沽券にかかわる。
「ひっ!……いえ、マルオ様は様々な戦闘形態をお持ちでして……。新たにJC形態を開発されたのかと……」
怒りの杏子にひるむキノヒコが、冷や汗だらだらと弁明した。
「他にはどんなものがあるんですか?」
「カエル、たぬき、お地蔵さんなどなど!」
「すごい!すごいよ!」
カエル、たぬき、お地蔵さん……。すごいのか?
再び盛り上がる二人をよそに、杏子は眉をよせるのだった。
*****
「ち……。囲まれたね」
杏子は鋭く視線を周りに走らせた。
「……ここから先にはいかせないぜぇ?」
行く手を阻むように全身緑、甲羅を背負ったムキムキの亀人間達が姿を現した。少女達に緊張が走る。
「ただの亀人間だと思うなよ?我らは魔法化学で生み出されたエリート!デジ亀人間様なんだぜぇ?」
そう!亀人間達の双眼はカメラのレンズのようになっており、ウィンウィンと照準を合わせようと気味悪く蠢く。
「……ひっ!」
さやかとほむらが、あまりの恐怖に身を縮めた!
「偵察と情報収集にも優れた我らが、甲羅に搭載しているえっちでーでー容量一杯に貴様らを撮影してやるんだぜぇ?」
「いや!きょうすけー!」
「そんな、そんなことって……。あんまりだよ……」
デジ亀人間のワイルドな死刑宣告にさやかとまどかが恐怖に震え、抱き合ったまましゃがみ込んだ。
その時。二人を隠すようにほむらは、ゆっくりと歩を進めた。
「……ほむらちゃん?」
……まどか。私はあなたを守る。私がどうなっても、あなたを救ってみせる!
群れる亀人間と対峙したほむらの瞳が強い決意に輝く!
「わ、私を撮りなさい!!」
叫ぶほむらはぴしりとキメ☆ポーズ!
まどかはおびえている!
さやかはおびえている!
ほむらはこんらんしている!
「……なんなんだよ。おい!」
杏子はあまんまりにあんまりな状況にガビーン!と驚愕!
「くっそ、踊らせてやんよ!」
杏子の孤独な闘いが幕をあけた……!
だらだらとしたくだらない感じに、ヨシヒコっぽさがでてるとよいのですが。
次回、亀王編終了(予定)
満を持してのあれが登場(予定)