パソコンのある日常-Daily lives of there's a personal computer- 作:海色 桜斗
『DG297 3rd EDITON ver4.11』
本編中の世界において配信されている、Yphone・android専用アプリ。最新技術「VRアノテーション」により、カメラで覗く景色がより鮮明且つ奥行きを感じられる仕様になっており、素人でもプロが撮ったような美麗な写真が撮れる。また、マップ内には所々ジオタグが貼られており、それをタップすると公共施設等の詳細な情報がすぐにみられる為、老若男女問わず、スマフォに必ず入れたいアプリと評されている。普段、祐都たちが使っているVRモデルをマップ内に表示させる機能は、専用のVRモデルDLコードを読み取ることで使用できる。勿論、安心のフルボイス実装。
『SK057 2nd EDITON ver1.50』
通称「近代PCプログラム」。前述の『DG297 3rd EDITON ver4.11』を改良し作った、龍の自作オリジナルアプリ。本家の使い所をより拡張・便利にするためにPCとの連携を図れるようにした。これを使えば、事情故に外出できない人も家にいながら、まるで外にいるかのような夢の体験ができる。ジオタグ・VRモデル機能も健在。なお、現時点では、パソコン部メンバー内限定配信とされており、様々な問題点を内部で適切に処理をしてから、全国配信へ切り替えるようだ。
「へっへっへっ、計画通りだぜぇ・・・・・・!」
「(何故、こうなった・・・・・・)」
「(早く帰りたい・・・・・・)」
――その出来事が起こるほんの2時間前。
「ナン倉に行こうぜ?」
いきなり奴に声をかけられたと思ったらその手の話題。さて、ここで解説しよう。ナン倉とは何ぞと思っただろう。ナン倉というのは通称「ナンデモ倉庫」と言われる黒くて大きな建物の事であり、中に入ると子供達に人気のゲームハードやゲームソフトから随分とマニアックなアニメ・ゲームフィギュア、モデルガン、釣竿等の豪華な品揃えで客を出迎えてくれる店。だが、そこに出入りする大抵の人間がアニメ・ゲームオタクであり、並んでいる商品も美少女アニメ・ゲーム等の類。非オタクの方はあまり長居しないほうがいいだろう。つまりそれほどマニア向けの店と言う事だ。
「何故だ」
「いいじゃねぇか、たまにゃ俺もあそこに言って現実とおさらばしたいしな。ひっひっひ」
「まぁ、別にいいけどな。で、目的は?」
「そ・れ・は、ひ・み・つ!」
あぁ・・・・・・まんどくせ。こいつメッチャ面倒くせぇ。しかもウザい。文章で濁り具合を表記するとあまりの濁り具合に何を言ってるのか理解できないと思われるので、通常表記してはいるが、実際に聞くとこの一万倍くらいはウザい。しかし、いいだろう。俺もちょうど『ガンバムバアル』の1/100スケールプラモが欲しくなってきたところだ。三百年だ・・・・・・!
「・・・・・・まぁ、ちょうどいい時期だから行ってやる。他の奴等は行きたくないか?」
「誘いは嬉しい。だが、断る。午後からバイトあるからテラ忙シスwww」
「ラボフェスのイベントに全力を注ぐから却下」
「・・・・・・同行しよう。ちょうどガンバムの新しいプラモが発売されたらしいからな」
「ほぅ・・・・・・君も、アグニカ・カイエルの思想に目覚めてみないか?」
「唐突にキャラの声真似をするな、俺の狙いはバアルではない」
「君の協力が得られないのは想定外だった」
――ってなわけで、俺、龍、尚紀の三人でナン倉に向かう事にしたというのが今から2時間前の出来事で今の現状を作る原因でもあったということだ。はぁ、我ながらとんでもない悪魔と契約してしまったもんだ・・・・・・だが、関係ねぇ、向こうが罠張ってんなら罠ごと噛み砕くまでだ!
「本当にここ潜るのか?」
「おうともよ!お前たち、こっから先はR指定だ。さぁ、しっかりついてきやがれぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!」
「おーし、分かった。なら、いちにのさんで一斉に乗り込む作戦にしよう。全員でいちにのさんと言ってそれを合図にお前が『僕ちゃんの嫁、見~つけた!』って大声で叫んで飛び込んでいって、俺と龍はその場からエスケープする。・・・・・・この作戦でどうだ?」
「そうかそうか!俺様がいちにのさんで『僕ちゃんの嫁、見~つけた!』って大声で叫んで先陣を切って、お前等はそこからエスケープするわけだな!いい作戦じゃねぇか!ひひゃひゃひゃひゃ!あえて俺様に恥をかかせてお前等は他人事のようにエスケープ・・・・・・って、うぉい!」
ちっ、矛盾に気づいてノリツッコミして来やがった・・・・・・!この野郎、うまくいけば宣言どおり龍を連れて近くのシャイニーマートにエスケープしようと考えていたのだが。
「なら、まず最初にお前が『へっへっへぇ~僕ちゃんの嫁は果たして何処にいるのかにゃ~?それともついでに新しい嫁でも見つけてきちゃおうかな、ウォン・・・・・・チュー!』と言ってその先にダイビングするような体制で真っ直ぐ頭から突っ込んでいけ。俺は・・・・・・他人の振りして、そのまま立ち去らせてもらう」
「おーおー、なるほどな!今度は俺が『へっへっへぇ~僕ちゃんの嫁は果たして何処にいるのかにゃ~?それともついでに新しい嫁でも見つけてきちゃおうかな、ウォン・・・・・・チュー!』って言ってこの暖簾の向こう側の世界にダイビングするんだな!で、お前等は他人の振りをしてそのまま立ちさるんだな?いいぜぇ~?またもや俺様だけを恥ずかしい目に合わせて・・・・・・って、うぉい!結局同じじゃねぇか!?」
「ちっ、失敗したか」
どうやら龍も同じような事を考えていたようで、奴を巧みに誘い入れたがノリツッコミで返されてしまった。最早現状がどうでも良くなってきた俺はYphoneを取り出し、『DG297 3rd EDITON ver4.11』のアプリを起動する。そして、誰もいないはずの俺の左隣にそれを向けるとそこに一人の美少女が現れた。躊躇わず、俺は彼女に呼びかける。
「よ、佐奈」
『あ、おはようございますなの、兄さん♪』
「さて唐突だが質問だ。あの今からR-18エリアに平然と入ろうとしている気持ちの悪い男をどう思う?」
『あれはないですね~。もう少し兄さん達の事を考えてあげるべきだと思うの。はっ・・・・・・!?べ、べべべ、別に兄さんの事を好きで庇っているわけではないのですよ!?か、勘違いしないでください、この変態兄ィ!!』
「はいはい、ツンデレ乙」
ちなみに今俺が対話しているのは「天心乱満」というギャルゲのヒロイン「八代佐奈」。本来であれば現実から遠くはなれた2次元の世界で義理の兄、「八代春樹」とイチャラブしているはずだが、人類の知恵が生み出した最新技術「VRアノテーション」というシステムを導入した事により、そのキャラクターのVRデータをダウンロードしてしまえば拡張現実世界を表示する先程の機能を起動してポケコンから見るとそこにそのキャラクターを手軽に呼び出すことが出来るのだ。正直、オタクにとってこれ以上の幸せ機能はないな。だって、自分の好きなキャラをいつだって連れて歩いてるみたいな状況になれるのだから、これ以上の神機能は無いと言っても過言ではない。
「おい、軽々と俺様を無視して嫁に話しかけてんじゃねーよ」
「は?佐奈は俺の嫁じゃねーし、俺の義妹だし」
「ぐぬぬ・・・・・・こうなったら俺様も嫁と戯れついでにここに行ってくるもんね!さぁ~エステル、一緒に行こうぜ~?デュフフフフ・・・・・・!」
「止まるんじゃねぇぞ・・・・・・!キボウノハナー」
そう言って、奴はandroid携帯を取り出し、単独でR-18エリアに突入していった。その奴の背後で俺はぼそっと団長命令を呟いた。まぁ、当初の目的は達成されたわけだから龍と佐奈と適当にどっかふらつきますか。
「しかし、まだ連れ歩いてたのか。ええと、名前は何だったか」
「佐奈だよ、八代佐奈。だが、そう言うお前だって『俺の家族』と題したキャラクターを連れ歩いてるじゃんか」
「まぁな。ちなみにサチコは俺の肩にぶら下がっておんぶ状態になっている。見たいのなら試しにこっちにYphone向けてみるといい」
そう言われたので俺はYphoneの画面に龍が映るように移動させた。すると、いた。龍の背中におぶられるようにして、ホラーゲーム「コークスパーティ」の黒幕である「霧埼サチコ」が表示されていた。
『♪~』
「・・・・・・」
「どうだ、羨ましかろう」
『兄さん、私にもしてください』
「何故そうなる!?だ、だが、それでいい!許可する!」
『やった!じゃあ・・・・・・よいしょっと。えへへ・・・・・・兄さぁ~ん♪』
あくまで立体映像であって実物ではないから、実際に乗っかられた感は無いにしてもあると思ってしまえばそれで問題ない。さて、それではPSV2版の初回限定版の「天心乱満」+1/100バアルを買って果たすべきを果たすとしよう。
「ふっ、バアルを手に入れた私は、懐が一気に寂しくなったという些末事で反省をする必要はない」
「よくそんなに買ったもんだな・・・・・・(汗)」
「いいじゃねぇか別に。まぁ、こんなところを同じ学年内の女子に見られるわけにゃ行かないんでね。自重してるさ。特に、あいつだけには見られるわけには行かないしな・・・・・・って、うげっ・・・・・・」
「それでそれで~・・・・・・って、うわ・・・・・・」
大量ゲッツで浮かれてるところ、一番会いたくない人物に遭遇してしまった。茶髪ロングに端正な顔立ち、多少小柄ではあるが、キリッとした眉毛とクールな雰囲気を秘めた特徴的な釣り目が可愛さだけではないことを物語る。そう、今絶賛仲違い中の川知智佳である。
ところで、なぜ彼女がこのようなオタクの巣靴のような空間にいるのか。それは、彼女もまたオタクだからである。どうやら、別々の中学に通っていた空白の三年間で彼女は自身の友人の誘いで『黄金の錬金術師』というアニメを視聴。結果、物の見事にハマってしまったらしい。
「おい、うわ・・・・・・って何だよ、この野郎」
「ア、アンタこそ、うげっ・・・・・・って何よ、バカ!」
「いや、この場にいる事を一番見られたくない相手に出会ってしまったな、と」
「な、何よ、私がここにいたら何かまずい事でもあるっていうの!?」
いや、特に。だが、目撃してしまうとやはりオタクサイドに完全に堕ちてしまったのだなと嘆かざるを得ない。当時のコミュ障だった俺の世話を焼いてくれて、成績も良かったあの優等生が一番なるはずがないと思っていたものになりえてしまったとなれば少しがっかりである。まぁ、どっちかと言えば嬉しさの方が高いんですけどね!
「おぉ、ちーがここで珍しくムキになってると思えば、向坂じゃん。おっすおっす~」
「鈴も来てたのか、まぁ川知がいたんだし当然か」
「おー、相変わらずこの私をちーの付け合わせの如く言ってくれるね。ま、似たようなもんか」
そして、コイツが紗々由鈴。川知と同じく、コイツとも幼馴染みで俺の悪友兼川知の親友。うん、というか鈴には今まで俺と川知の仲を繋ぎ止めててくれた恩があるから、気軽にコイツ呼ばわりするのも止めたほうがいいとは思っているんだが。
「ほらほら、ちーも照れてないでちゃんと向坂と話してこーい」
「べべべ別にッ、照れてなんかないっ!」
このように昔から何かと茶々を入れてくる奴なので、やっぱりコイツ呼ばわりでも大丈夫だと思う。
「はいはい、もう分かってるからさっさと行く~」
「ちょ、ちょっと鈴。待って、まだ心の準備が・・・・・・!?」
何か鈴と二人でワチャワチャし始めたと思ったら、鈴に背中を思いっきり押されて俺のすぐ正面まで川知がやってきた。と次の瞬間、急に押されたものだから、川知はバランスを崩して倒れそうになる。マジか、間に合えッ!
「おい、鈴、ちょっと強く押しすぎだろ。大丈夫か、川知」
「あはは~、ごめんごめん・・・・・・って、おおっ?」
「・・・・・・!?」
間一髪、川知を正面から抱きかかえる感じになってしまったが、何とか支えることに成功した。お、思わず手を出しちまったけど・・・・・・これくらいなら大丈夫、だよな?
「す、すまん。嫌だったろ、離すぞ」
「その、ありが・・・・・・って、違う!いいい、いきなり何するのよ、アンタ!?」
「悪かったよ、咄嗟の事で上手く判断できなかったんだよ」
「・・・・・・っ」
俺と川知の間に何とも微妙な空気が流れる。え、これ何てラブコメ?いやいやいや、待て待て待て。そうじゃないだろ、落ち着け俺。そう、落ち着いて素数を数えるんだ・・・・・・素数ってなんだっけ。
「おや、龍さんも来てたのか。おっすおっす~」
「あぁ、確か紗々由さん、だったか。ちょいとこれ目当てで探りに来た感じだ」
「鈴でいいよー。おおっ、最近出たばかりのガンプラじゃん!いいの買ったねー」
「この目的がなければ態々尚紀の奴と来る気はない」
「ありゃ、尚紀くんもいるんだね。その割に姿が見えないけどもしかして、エロエロかい?」
「あぁ、エロエロだ」
一方で此方の雰囲気に呆れた二人は後ろで取り留めもない会話を繰り広げていた。というか、尚紀の向かったコーナーを『エロエロ』というワードで表現する鈴も鈴だが、その四文字を聞いて直ぐに対応できている龍さんも流石というべきか。残念だったな、尚紀よ。お前のイメージはすでに学校中に『妖怪・エロエロ』で通っているようだぞ。
「まぁ、何事もなかったからいいんだけどよ」
「わ、私も、さっきはその、ごめん・・・・・・」
「気にすんな、こっちこそ悪かった。時間あったら、互いな好きなもん話し合おうぜ」
「っ・・・・・・バ、馬鹿じゃないの、誰がアンタなんかと!?」
「それも駄目なのかよ・・・・・・わーった、わーった。んじゃ、またな」
「ちょっ、待っ・・・・・・へ、へぇ~、もう帰るの?じゃあ、帰れば?せいせいするしっ!」
相変わらず、俺に対してツンケンしてはいるが、気のせいかいつもより少しだけ機嫌がいいような気がする。さっきだってなんかすごい素直に謝ってくれたし・・・・・・もしかして、今がチャンスなのでは、と思った矢先にその場に居合わせなくてもいい奴が戻ってきた。
「て、てめぇら・・・・・・俺様を置いてどこに行ったかと思ったらそんなところで二人ともペアでいい雰囲気になりやがってぇ~!ゆ、許さんばい!」
「「「「・・・・・・」」」」
待ちやがれ、妖怪エロエロ。いつ、誰が、何処で、誰とそんな雰囲気になっていた。お前さんの得意な拡大解釈の妄想で自身の不在時の状況を補完して、勝手に勘違いをするんじゃあない。だが、まぁここは取り合えず。
「よし、全員奴から逃げるぞ」
「うはは、にーげろー!!」
「戦略的撤退しかないよな、行くぞ川知」
「う、うんっ・・・・・・!」
「逃げるなら最初から、イチャつくんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ(↑)!!」
妬み嫉みを大声で撒き散らしながら、俺達を追ってくる尚紀。その姿は一部の人から見れば、人ならざる者にみえたかもしれない。それぐらいにおどろおどろしい怨念を放っていた。
「いやはや、やはり日々の運動は大事だな。こうして奴に追いつかれることもない」
「だな、陸上部員だった頃の習慣が残ってて助かった」
「良かったね、ちー。一歩どころか数十歩くらい前進出来たじゃん」
「もぅ、余計なお世話っ・・・・・・!」
後方を走る奴を後ろ目に見ながら、走り続ける某団長の曲が脳内で勝手に再生された。何だ、何もないように見えて結構楽しいじゃんか、この青春。であればこそ、何としても俺達の活動の拠点とも呼べる「パソコン部」は廃部にさせるわけにはいかないな。特にアイデアがあるわけではないにしろ。
それから数日後の放課後の事。龍からいきなりパソコン部の不定期開催ミーティングがあるとの通達を受けた俺は、そのままコンピュータルームへ足を運んだのだった。見たところ全員が参加しているように見えたが・・・・・・。
「あれ、尚紀の奴は?」
「教室の机に『旅に出ます、探さないでください』との書置きがあった。まぁ、本人の要望通り探さなくてもいいのだろう」
「それ、構ってちゃんの基本戦術と思われ」
「尚紀君は旅立ったんだね、レベル上げして帰ってくるのはいつかな?」
「そういう意味じゃないと思うよ・・・・・・?」
「フィールド出てすぐのところで死んでそうだな、スライムにやられて」
男子共が揃いに揃って酷い事を言う。まぁ、奴がいないことで慧巳さんがいつもより安心してミーティングに臨むことができるな。うん、いいことだ。
「――それでは・・・・・・全員が集まったと言う事でこれより第15回円卓会議を始める!各自、好きなところに着席しろ。全員参加が基本だからな、参加だけでもしろ。」
「わー、ぱちぱち~、ひゅ~ひゅ~」
「ああ、痛いのハジマタ。厨二病、乙。てゆーか、この会議自体そんな何回もやったん?今回で初めてな気がして仕方が無いのだが」
「ええい、厨二病言うな!こうでもしないと進行できないからわざとそうやってるんだよ」
「待て、何故部長でも副部長でもないただの部員のお前が仕切る?」
「別にいいじゃないかよ、せっかくこの俺が久しぶりにノリノリで進行しているというのに」
「何様のつもりだ。ここから先は俺が進める、お前は適当に補佐でもしてろ」
その後、適当に開催した不定期開催型の円卓会議(部活動会議)は俺の厨二病全開オーラで始まるも虚しく部長の龍に座を外された。まぁ、いいけどね。
「今回開いたのはお前等全員が知ってる通り、ここの部員数の不足による部活動存続の危機に立たされている。そこで、だ。全員、これを見てくれ」
龍が部屋に無数に置かれてあったPCの一つを立ち上げ、そのデスクトップ上のアイコンの内の一つをダブルクリックをして開いて見せた。すると、内臓カメラ等全く使用されていないはずのPCがここじゃない何処かの外の風景を写していた。
「おお、何ぞこれ?み、見た事が無いプログラム使われとる罠」
「・・・・・・」
「通称「近代PCプログラム」。正式名称『SK057 2nd EDITON ver1.50』。俺達が日頃よく使っているアプリ『DG297 3rd EDITON ver4.11』を改良したものと思ってもらえばいい。詳しく説明すると、このソフトをインストールしたPCにはここの部員の携帯限定で複数のアカウント間でのデータ共有が出来るようになっている」
「例えば、お前等が外出先で持っていった携帯の画面で見えている風景や景色をそっくりそのまま『仮想現実』に取り入れて表示させる事が出来る。なお、データ収集範囲の限界値は今のところ東北地方全域になっている。だが、いずれはバージョンアップを試みて、せめてもの日本列島全域。いや、世界全域での通信が出来るようにするつもりだ。ちなみにこれは今、幽霊部員の直樹がポケコンで見ている風景だ」
成程、急に緊急で不定期ミーティング開催するっていうから何かと思えば、ずいぶんと大掛かりなモノを用意していたもんだ。しかし、何故初期版なのに2ndEDITONでver1.50なのか。まぁ、恐らく龍さんが開発中にあらゆる手を尽くした改善の証拠、とでも受け取っておけばいいんだろうけど。親友を意図をみなまで言わせんでも汲み取れるのが俺の長所でもあるしな。
「つ、つまり、部屋から一歩も出なくともその外出される方さえいれば外に出なくともまるで外に言ったかのようなリアルな感覚でパソコン前に居座る事が出来るんですな。うは、何ぞこの神機能?作ったの、まさかの部長氏?」
「いや、正確に言うならこれはほとんど俺の兄貴・・・・・・前部長が作り上げた。俺はあくまで大まかなプログラミングだけだ」
前部長。名前は「篠崎恭介」。龍の実の兄で2年前のパソコン部の急成長はまさしく彼の所業の成果といっても過言ではない。パソコン部のエース・オブ・エース、プログラマー界の赤き彗星・・・・・・等と言った幾つもの異名を持ち、ネットの中で神と持ち上げられた人物。その人物が弟との共同作業と努力の果てに作り上げたオリジナルプログラム。うん、本当に凄い代物だわ。
「あぁ、それと一つ補足情報だ。データ共有の際に問題となる個人情報関連については安心しろ。位置情報等についてはこのアプリを起動している時にしか取得させないようにしてある。当然ではあるが、こいつはまだアプリ稼働の初期段階だ。故に、ここに所属する部員全員の携帯を試験機として使わせてもらうことにしようと思う。インストールとアカウント作成を忘れるなよ」
「ま、最近はよう分からん怪しいアプリもこぞって増えてきているが・・・・・・龍さんの作ったものなら信じてみてもいいな、俺は」
「私としても異論はないかな、きちっと管理されてることさえ分かれば特に気にしないから」
「私も大丈夫だよ、それに龍君の作ったものがどんなものか気になるし」
女性陣のお二人からも賛同が得られたようだし、修二と康平が特に何も突っ込まずに相槌を打っているあたり反対というわけではないようだ。流石はパソコン部の次世代のエース・オブ・エースと称されるだけはある。まぁ、斯く言う俺もWord、Excel、PowerPointを使った資料なら作れなくもないけど、プログラミングは難しいかなぁ。
「ほうほう。これはハッカーであるこの漏れさえ滾らせる程の素晴らしい神機能だ罠。で、大体の内容は分かったけど、これは一体どうするん?資金稼ぎに世間様にでも売り出すつもりなん?」
「いや、違う」
「じゃあ、資金稼ぎが目的じゃないならどうするんだよ?どうせ俺達三流のパソコン部が持ってても仕方が無いんじゃねぇの?」
「フ・・・・・・本気を出したときは流石に三流等というレベルではなくなるぞ、ここの部員は。俺の酔眼をあまりなめてくれるなよ」
「パソコン部らしい活動がなかったからそれに利用する、とか?」
「惜しいな、確かに我が部にはパソコン部として名をあげられるものが何もないのは事実だ。それも追々考えているが、一番の目的は近日中に行われる行事に関係している」
うーん、今日は物凄く勿体ぶった言い方をするな。ということはこれを発表するにあたり、凄くテンションが上がってらっしゃるようだ。確かに自分の作ったものがたった少数の人の前だったとしても感慨深くならずにはいられないよな。俺も書いてる小説をクラスメイトに見せて評価してもらってるときとかそんな感じだもの。
「これの使用目的、正しくは――」
不意に龍は言葉を切り、しばらく間を置いてからニヤリと不気味な笑みを浮かべて、正面のホワイトボードにマジックで素早く文字を書き入れ、こう宣言した。
「――これを使って来週の部活動紹介でPRとして使い、2年前のパソコン部の急成長を再現・・・・・・いや、それだけでは生ぬるいか。これを使いつつアレンジを加えて、2年前以上の急成長をさせ、兄貴を越えてみせる」
Shift2 To be continued...
Next Shift...
「突如一変したこれまでとは違う色のある日常」
「でもそれは同時に楽しみの始まりでもあって掛け替えのないものだったかもしれない」
「さらに騒がしい日常が静かに始まりを告げた」
「パソコンある日常、次回第三話『この一歩から実現へ』」
「無駄でもいい。俺達が前に進み続ける限り、道は続く・・・・・・!」
気付いた方もいると思いますが、やたらと鉄血のオルフェンズネタが多いでしょう?今、作者が滅茶苦茶鉄オルと異世界オルガシリーズにハマっているからなんです。
このサイトには異世界オルガのノベライズ結構ありますね。これを機に知った方は試しに其方も読んでみては如何でしょうか。お薦めはインフィニット・オルフェンズです。
ニコニコで動画版も見てみればより楽しめるかと。その先に俺はいるぞォ……!
https://www.nicovideo.jp/watch/sm33483643