メルは大きく深呼吸した。
何だか外に出るのは久しぶりだ。
外にはこのトリックタワーの支配者リッポーが待っていた。
「諸君、第三次試験合格おめでとう。残る試験は第四次試験と最終試験のみ。第四次試験はあの、ゼビル島にて行われる」
そういってヒッポーは後ろに見えている島を指さす。
「早速だが諸君にはこのくじを引いてもらう。狩る者と、狩られる者。この中には24枚のナンバーカード。即ち、今残っている諸君らの受験番号が入っている。それではタワーと脱出した順にくじを引いてもらう」
狩る者と狩られる者か……
つまり今から引くナンバーカードの相手を狩るという意味かな?
メルは挙手をする。
「あの、3人同時に脱出したのですが」
「その場合、ナンバープレートの早い順から引いてもらおう」
「じゃぁ僕からだね♡」
全員が息をのんで三人に注目した。
異質な3名が固まっていたからだ。
人殺しを平気で行う危ない受験者ヒソカに見るからに怪しすぎる見た目のギタラクル。それに謎の美少女
妙な組み合わせの3人を見て驚いたのはキルアもであった。
メルのやつあのヤバそうな2人とクリアしたっていうのか!?
お前ってばつくづくついているのかついてないのか……。
キルアは「はぁ」とため息をついてメルを見守っていた。
メルの順番になり、引いた番号は371。
まだ受験者達はこの趣旨に気付いていない者も多く、胸にナンバープレートを張り付けていた。
メルは直ぐに相手を確認した。
371…・・、いた。
額に黄色いバンドを巻いた格闘家らしき男だった。
この試験の趣旨に薄々感づき始めた者たちはプレートを鞄の中へと隠す者が増えてきた頃、メル、ギタラクル、ヒソカは気づきながらもプレートを外そうとはしなかった。
プレートをしていても自分が負けるはずがないという絶対的自信があったからだ。
もし負けるとすればこの3名のうち誰かのターゲットになった場合のみ。
「ギタラクル、ヒソカ、何番を引いたの?」
すると二人ともプレートを簡単に見せてくれる。
その番号を見てメルはほっと胸をなでおろす。
「メルは何番を引いたの?」
「371番だよ」
「あぁ、あの男ね」
ギタラクルは番号を聞いただけで誰か分かったようだ。
「まさか全員の番号と顔を一致させてるの?」
「まぁね。情報収集に抜かりはないよ。371番は格闘家ゴズっていう人だよ。まぁメルなら余裕だと思うから安心しなよ」
メルは驚いていた。
さすがイルミ……。
初め400人以上人数がいたのによく覚えられたな……。
「それぞれのターゲットがその番号だ。今、諸君が何番のカードを引いたかはこの箱のメモリーにすべて記憶されている。したがってもう、そのカードは各自自由に破棄して貰って結構だ。奪うのはターゲットのナンバープレートだ。もちろん、プレートを奪う手段は何でもあり。まず命を奪ってからゆっくり奪っても構わない。いいか諸君、自分のターゲットとなるナンバープレートは3点。自分自身のナンバープレートも3点。それ以外のナンバープレートは1点。最終試験に進むのに必要な点数は6点。ゼビル島での滞在期間中に6点分のナンバープレートを集めること。それが第四次ハンター試験合格のクリア条件だ」
やはりこのカードにかかれたナンバーがターゲット。
それ以外で3人倒してプレートを奪うっていうのもありなんだね。
殺しがオッケーならこの二人は間違いなく殺して奪うんだろうなぁ。
ヒソカなんてさっきから楽しみなのか殺気が出てるし、あまり一緒にいたくないな。
「船を用意してある。全員この船に乗ると言い」
中型船に受験者たちは重い足取りで乗り込んでいく。
どうやらゼビル島に着くまでに2時間程かかるようだ。
メルは自然にヒソカから離れて一人で海を眺めていた。
するといつの間にかキルアが横へやって来ていた。
「メル、お前……何番だったんだ?」
少し不安そうな顔のキルア。
メルはキルアの頭に手を置いて「大丈夫、私のターゲットはキルアじゃないよ」といった。
すると安心したのか緊張していた顔が和らいでいく。
「俺、199番だったんだ。メルは?」
「私は371番のゴズって人だよ。どうやら格闘家みたい」
「なっ、何で名前まで把握してんだよ」
「フフ。受験者達の顔とナンバーを全て把握してる人がいてね。その人から教えてもらったの」
「なっ!?そんな奴がいるのか!?化け物かよ!!」
「ほんとにね!」
「メルは今回の試験一人で行くのか?よかったら俺と一緒に行動しない?一人で行くのもつまらないし」
「キルアとならいいよ!私もそっちの方が楽しく過ごせそうだし」
「よし!決まりな!」
キルアは嬉しそうにガッツポーズをする。
その姿が可愛くてつい抱きしめてしまう。
「おっ、おいメル。俺は人形じゃねぇぞ!」
「ごめんごめん、つい可愛くって」
「~っ!」
その様子をギタラクルは遠目で眺めていた。
「あらら♡メルは今回はキルアと一緒に行動するみたいだね♡」
「そうみたいだね」
「取られて嫉妬しているのかい?さっきから顔、すごいけど♡」
「ん?別に」
そういってギタラクルはぷいっと顔をそむける。
船は順調に進み、あっという間に2時間は経過していた。
船を降りる順番はタワーを合格した順番であった。
メルは先に船を降りて、絶で気配を消して森の中へと溶け込みキルアが出てくるのを待った。
「キル、こっち」
茂みの中からメルの声が聞こえてビクッと肩を跳ね上げるキルア。
「ビックリした~!ったく気配を消すのうまいよなメルって」
「誉めてくれてありがとう。さ、行こうか」
二人は森の奥へと姿を消していくのであった。
書いててキルアが可愛くて仕方がありません。
こんな弟が欲しかったな。
次はついに第四次試験開始します。
メルはキルアと行動を共にしますがイルミももちろん関わってくる展開にします♪