「探すったってどうしようか。ただ闇雲に歩いているだけじゃ時間の無駄だしなぁ」
キルアは腕を組みながら「う~ん」と考える。
メルにはゴズを探す方法はあったのだ。
それは自身の念能力を使えば容易いのだが、まだ念に目覚めていないキルアの近くで発動させてしまえば何かの拍子に精孔を開いてしまうかもしれない。
そのリスクを恐れてメルは手を出しあぐねていた。
ヒソカにはうまく具現化系だと思われていると思うけど、私は特質系だ。
能力は3つ程ありトリックタワーで使ったのは、“
念の刀を出現させて、その刀で対象者を斬り血液を吸わせることで対象者のモノならば何でも奪うことができるという能力だ。
つまり一太刀でも入れれば、対象者の能力や感覚から、心の臓まで好きに奪うことができるのだ。
まぁ発動条件は4つ程あるけど、正直仕事ではかなり便利な能力で重宝している。
あの時はヒソカがいたから本当の能力自体は使わなかったけどね。
そしてもう一つが“
望む能力を何でも作り出すことができる能力だ。
この能力を使えば自分の思った能力を想像するだけで作り出すことができるのだ。
私が女の身でありながらルイス家でエル兄様に並んで代表されている理由がこの絶対的能力のおかげだ。
ゴズという人間を簡単に見つけ出すことができる能力を作れば今の現状は簡単に解決される。
ただ、これを発動させると私を中心に広範囲に術式が地面に展開されてしまう。
その術式の上にいる者のオーラを私の意志とは関係なく勝手に吸い取ってしまうのだ。
つまり、キルアは完全にアウト。
キルアを危険に晒すそんな念能力は使えないしなぁ。
「まぁ、どうにかなるでしょ!」
「ったく、相変わらず楽観的だよな~」
そんな会話をしながら先を進んでいくと、色んな方角から血の匂いや殺気がしていた。
受験者同士がぶつかっているんだね。
とりあえず匂いのする方へ行こう。
ゴズにもターゲットがいるから、もしかしたら戦闘中かもしれないしね。
木陰に隠れながら様子を伺う。
そこには矢で撃たれた受験者の姿があった。
恐らくもうプレートは奪われた後だ。
男の周りには多くの吸血蝶が集まっておりその男の傷の深さを現していた。
この試験思ったより多くの受験者が死ぬんじゃないかな。
ヒソカやイルミだけじゃなくても、相手を殺してプレートを奪うのが一番手っ取り早い。
ハンター試験って、想像していたより過酷な試験なんだ。
メルは静かに目を閉じ黙祷を捧げる。
「メル、向こうからも血の匂いがするぜ。あっちはまだ戦闘中っぽい」
「行ってみよう」
キルアの言う通り別の場所では受験者同士の激しい戦闘が行われていた。
だが二人ともメルのターゲットではない。
派手に火薬なんか使ってるから他の受験者達も様子を伺いに来ている筈。
ふと意識を周囲へ向けた。
「やっぱり……、私たちの他にも4人もこの近くにいる」
しかもそのうちの一人はヒソカだ。
あまり会いたくなかったのだけど……
恐らくヒソカも私達が近くにいることに気付いている。
その証拠にさっきから私達の方向に殺気を飛ばしまくってる。
“気付いているよ♡”とでも言っている様だ。
あまりにもしつこいのでメルも冷たい殺気を返す。
“いい加減にして”
そんな意味を込めると伝わったのかぴたりと殺気を送るのがやんだ。
キルアはキョロキョロと辺りを見渡している。
ヒソカの殺気に当てられてかなり警戒している。
「大丈夫だよキルア。何かあったらちゃんと守ってあげる」
そういってキルアの頭にポンと手を置くとメルのすぐ後ろから「ククク」と喉を鳴らす声が聞こえた。
キルアはビクッと肩を上げて後ずさりする。
キルアが逃げ腰なのも無理はない。
ヒソカは獲物を見る目で愉しそうに笑っているからだ。
メルはキルアの前に立ってヒソカに向き合う。
「さっきから何?邪魔しないでほしいのだけど」
「邪魔なんてしていないよ♡君たちが近くにいるものだからつい、ね」
「つい、であんなに殺気とばされちゃ迷惑なんだけど。ヒソカのせいで集まってた残り三人が逃げてしまったわ」
「ククク。ごめんごめん♡」
そんな会話をしていると、受験者二人の戦いもいつの間にか終わっておりその場所には私達だけになってしまっていた。
「キルア行こう」
メルはキルアの手を握りその場から離れようとする。
その後ろをヒソカはついて来るのだった。
「もー!ついて来ないでよー!」
メルは次第に駆け足になっていた。
だがヒソカは笑いながら追いかけてくるのだ。
「いいじゃないか☆」
「よくなーい!!ヒソカといると受験者と会えないじゃない!キルア、ちょっと本気だすね」
そういってメルはキルアを抱きしめて足にオーラを集中させる。
オーラを使用したことで飛躍的に速くなるメルを見てヒソカは目を見張り更に笑うのであった。
「僕、鬼ごっこは大好きなんだ♡」
ヒソカも本気で追いかけようとした時だ。
ギタラクルがヒソカの目の前に降り立った。
「何してるのヒソカ」
「んー?♡鬼ごっこ」
「なに?刺されたいの?」
手には鋭利に尖った針が握られている。それも禍々しい色の針だ。
「ククク、つい楽しくってね♡」
「まったく。ヒソカってもの分かり悪いの?何度同じこと言わせるのさ。いい加減にしないともう協力関係切っちゃうけど」
「それは困るね」
「なら二人に手を出すな」
「はいはい♡」
ギタラクルは呆れた顔でヒソカを見るのだった。
無事に逃げ切ったメルは、ヒソカの気配を感じない場所まで移動するとキルアを下ろした。
「もう大丈夫みたい」
キルアは少し顔がこわばっている。
私のキルアをこんなに怯えさせるなんて!!
ヒソカ許せない!!
どうにかして仕返してやりたいな。
数分後、メルはにやっと不敵な笑みを見せるのだった。
もう辺りはすっかり暗くなり1日が終わりに近づいていた。
そんな中、メルとキルアは闇に乗じて移動を繰り返し、受験者達が夜をしのぐであろう場所を割り出して見つけた受験者達を次々と手刀で眠らせていく。
「メル、もうこれでプレート4枚目だぜ?合格は確実だけどまだするのか?」
「ヒソカに仕返しだよ」
「これが仕返しになるのか?」
キルアは眉を潜ませる。
「ヒソカには効果抜群だよ。ヒソカはこの試験にも戦闘を求めている。でも私たちが受験者達を全員眠らせてしまえばヒソカはその欲を満たせないでしょ?これ以上にヒソカが苦しむことはないよ」
「なるほどな。確かにあいつ、戦闘狂だし。そんな奴が戦いたくても戦う相手がいなけりゃ相当ストレスになる筈だ。メルってばよくこんなこと思いつくよなー」
「フフ、見てなさいヒソカ!!」
そしてメル達は一晩で13個ものプレートを奪い取ったのであった。
3話 兄×兄にメルの兄エルとラルの挿絵を挿入追加しています。
よければご覧ください♪