H×H イル×メル   作:@れんか

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20話 特別×念能力

 

 

東の空は徐々に白み、輝いていた星々を消し去っていく頃、メル達は洞窟の中にいた。

 

「流石に少し疲れたぜ」

そう言いながらキルアは大きな欠伸をした。

「少し休もうか。出入口が一つしかないここなら安全だと思うし」

「まぁ、俺たちだったらどこで寝たって問題ねぇけど用心するにはこしたことねぇからな」

「うんうん、じゃぁ私もそろそろ寝るね~」

二人は冷たい地面に横になり体を休めた。

 

 

二人が休憩をしている頃、ヒソカはあることに気付く。

 

受験者に全く出会わない。

初日はあんなに戦闘が行われて気配が幾つも感じ取れたのに一夜明けると全くと言っていいほど感じ取れないのだ。

 

夜中に戦闘が行われた感じもしていない。

この試験を受けに来た受験者なら、初日の様に派手に戦いが行われるはず。

そんな戦いが起きていれば気付くけど、全く何も起きていない。

いや、起きていたとしてもそれを感じ取れない程一瞬で受験者を片付けた者がいるということを示唆している。

そんなことができるのは二人しかいない。

イルミは無駄なことはしない性格だし、こんなことするとは考えられない。

残るは……

「メルか」

ヒソカは一人笑うのであった。

 

 

メル達が眠りについて4時間が経った頃、洞窟に足音が響いた。

二人はすぐに目を覚まし、顔を見合わせた。

 

洞窟の岩陰に身を隠し侵入者の姿を見ると、頭にターバンを巻いた男が警戒しながら歩いていた。

男の体からは何匹か蛇が顔を覗かせている。

 

蛇使いか。

それも猛毒を持った個体だ。

幸い私もキルアも、毒の耐性はあるから噛まれても大丈夫だけど……

問題は蛇の数だ。

一体あの服の下に何匹連れているんだろう。

逃げ道は一か所だけだからあの男は倒さなければならない。

一体ずつ蛇を処理しても良いのだけど流石に骨が折れそうだな。

こういう時に便利なのが私の能力だ。

 

私は男の前に姿を現した。

すると何百という蛇も主の危機を悟って服の中から飛び出してくる。

私は“神の略奪者”テオスプランダラを発動させた。

 

手には白い念刀がその形を成し実体化した。

「あなた、名前は?」

「俺はバーボン。お前は受験番号450番のメルだな?」

「私のことを知っているのね」

「要注意人物として把握している。だが、この洞窟という逃げ道がなく限られた空間の中でなら俺のこの蛇たちが有利!!残念だったな。既にお前は詰んでいるのだ。仮に俺を倒した所でこの蛇達はお前を絶対にここから逃がしはしない」

「そうだと思ったよ」

「なに?」

 

メルは足にオーラを集約させ滑る様にバーボンとの距離を詰める。

その際飛び掛かってくる蛇達の頭部を全て切り裂いた。

あまりのことにバーボンは「まっ、待て!!」と叫ぶもメルは止まらない。

 

そして、バーボンは怖気づき尻餅をついた。

メルはバーボンの頬に刃先を少し当てると簡単にバーボンの柔らかい皮膚から赤い液体が流れた。

ゆっくりと頬から流れ落ちた液体は刀に染み込んでいく。

 

これで条件は揃った。

「あなたのモノを一つもらうわ」

「モっ、モノ!?一体なにを……」

「あなたの蛇を所有する力をもらう」

 

メルがそう言うと、バーボンは頭に「?」を浮かべていた。

「もうこの蛇はあなたのモノじゃないよ」

「おっ、お前さっきから何を言って……」

「おいで」

 

メルがそう言うとさっきまでバーボンにくっついていた蛇はメルにすり寄ってきたのだ。

「そっ、そんな!?」

「いい子だね。全員森に帰っていいよ」

そう言うと、蛇は列を成して次々と洞窟の外へと出て行ってしまった。

 

「キルア、もう出てきてもいいよ」

ひょこっと顔を出すキルアは目の前で起きていた事を全て見ていた。

 

キルアは、念能力は知らないけど昔から私の能力は知っている。

だから私のことを“特別”と思っている。

私としては念能力について教えてあげてもいいのだけど、イルミの教育方針に勝手に手を加える訳にはいかない。

 

「メルってほんととんでもねぇ技使うよな。一体どうなってんだか」

「説明してもいいのだけどイルミに教えてもらうのが一番だよ。私をここまで育てたのはイルミだし」

「うっ、……ま、まぁ追々でいいかな」

 

キルアはこの通り、イルミの事を避けている。

二人の間に一体何があったのか。

気になるけど、簡単には聞けない。

 

洞窟を抜けると、太陽はもう少しで真上まで登る所だった。

「じゃぁブラブラ歩きながら残りの受験者をまた狩っていこうか」

「おう!」

 

 

ゴンやクラピカやレオリオ達とは合わないけど3人とも大丈夫かな?

私たちが受験者を狩っていくことで3人もプレートを手に入れにくくなっている筈なんだよね。

 

「ゴン達にも合流したいね」

「そうだな!よし!あいつら探すか!」

「うん!でもどうやって探そうか」

 

「あ、俺ゴンのターゲット知ってる」

「ならその人の近くにいれば自然とゴンに会えるって訳ね。でもその人をどうやって探す?」

「それは大丈夫。あいつのターゲット、ヒソカなんだ」

「え!?」

「ヒソカならすぐに見つけられるだろ?殺気出してたら昨日みたいに勝手にやってくるんだから」

 

それはそうかもしれないけど……

多分私たちが受験者を狩っていってることはヒソカなら気付いてる。

逆恨みされそうで会うのが少し怖いんだけどな。

でも、ゴン達が不合格になるのは嫌だし。

 

それに、ヒソカは間違えなく滾っている筈。

そんなヒソカの前に、あんなに怯えてたキルアを連れて行くのは気が引ける。

ここからは別行動をした方がいいかもしれないね。

 

「いい作戦だけど、私一人で行くよ。ヒソカと少し話することあるし、キルアは船の近くで待っててよ」

「船の近くで?」

「今日は二日目だし、プレートを手に入れた受験者は船の近くで待機していると思う。その受験者を狙って船の近くにまだプレートを集めきれていない受験者もいる筈。クラピカやレオリオなら頭が良いからそっちに行ってる可能性が高い」

「なるほど。確かに、レオリオはともかくクラピカならそう考えそうだ。分かった、俺は船の近くで二人を探してみるよ」

「うん!なら一旦解散だね。ゴンと合流できたら船の近くに行くから後で落ち合おう」

「了解。……メル、気を付けていけよ」

「ありがとうキルア。じゃぁまた後で」

 

森の奥深くへと入っていくメルの後ろ姿をキルアは心配そうに見つめ、自身も目的の場所へと移動するのであった。

 

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