H×H イル×メル   作:@れんか

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21話 メル×自我を持つ念能力

 

この辺りでいいか。

メルはヒソカに向けて殺気を放つと同時にぶわっとメルを中心に木の葉が舞い散った。

 

それからしばらくすると簡単に目的は達成された。

低い声で喉を鳴らしながら奇術師は現れる。

 

「君の方から僕を誘ってくれるなんて嬉しいじゃないか♡」

「少し用があったからね」

そう言いながらメルは近くにあった木を切り倒してその上に座る。

 

「釘を刺しておこうと思って」

「一体何のことだい?」

「キルアに何かしたら、私許さないよ」

 

メルの瞳は酷く冷酷で、鋭く研ぎ澄まされた殺気を孕んでいる。

ヒソカは少し目を見張りニヤリと口角を上げる。

 

「キルアのこと、玩具にしようとしているのは分かってるよ。昨日の、ヒソカがキルアを見る目は明らかに獲物を見据えた目だった。キルアは私にとって弟みたいな存在なの。手を出したら友達でも容赦はしないよ」

 

ヒソカは予想外な展開に酷く喜んでいた。

どの時期にどのシチュエーションで誰を殺せば一番楽しめるのか、頭の中で想像を膨らませるだけで快感が達してしまいそうだった。

 

すると近くの茂みに誰かの気配を感じた。

それはヒソカも気付いており、笑いながらそちらを見る。

「楽しい時間に水を差さないでおくれよ。さぁ、出てきなよ。いるんだろう?……来ないならこっちから行こうか」

 

そういって茂みに向かって歩き出すヒソカ。

すると男が茂みから姿を現した。

 

メルはその男を見てぽかんと口が開く。

なんとその男はメルのターゲットであるゴズだったのだ。

 

ゴズは手に持っていた槍をブンッと振り回した。

空気を斬る音がその場に響く。

 

「手合わせ願おう」

「死ぬよ♡」

 

ヒソカが忠告したにも関わらずゴズは勇敢にも戦いを挑んだのだ。

ヒソカは綺麗にゴズの槍を交わしていく。

一度も手を出さずにひたすら避け続ける奇術師に、ゴズは怒りを込めながら「なぜ攻撃してこないっ」と声色を震わせる。

 

「このまま避けていれば君は勝手に死ぬからね」

「!」

「その夥しい数の好血蝶が君の傷の深さを物語っている。既に誰かに致命傷を負わされているんだろう。最後まで戦士たろうとするその心意気は分かるけどね」

「貴様っ。そこまでっ…、そこまで理解していながらそれでも私とは戦ってくれぬというのかっ!!」

「うん…、死人に興味はないんだ。君はもう死んでいるよ。目が」

 

そういってヒソカはゆっくりとメルが座る倒木に腰を下ろす。

「ばいばい」

 

ゴズは最後の力を振り絞ってヒソカを切り倒そうと足を踏み出したその時、見覚えのある針がゴズの喉元に付き刺さる。

 

あの針は…イルミの……!

 

すると次々に針が突き刺さり、ゴズは鈍い音を立てながら後ろへ倒れる。

「ごめんごめん、油断して逃がしちゃったよ」

ヒソカとメルの後ろからイルミの声が聞こえてくる。

 

振り向くと針を構えるギタラクルの姿があった。

「嘘ばっかり、どうせこいつに死にゆく私の最後の願いをとか泣きつかれたんだろう」

「だってさぁ、可哀そうだったから。どうせ本当に死ぬんだし」

「どうでもいい相手に情けをかけるのはやめなよ」

フッとヒソカは笑った。

 

「ヒソカだってたまにあるだろう?相手にとどめを刺さずに帰っちゃったり」

「僕はちゃんと相手を選ぶよ。どうでもいいやつに興味はない。今殺しちゃ勿体ない相手だけ生かすわけ♡」

「ふうん。あ、そうだ。はい、メル」

 

そういってギタラクルはメルにゴズのプレートを渡した。

「これでメルも合格だね」

「あ、ありがとう。イル……ギタラクルはもうプレート集まったの?」

「まぁね。誰かさんが受験者を狩っていくから探すのに苦労したけど」

「ご、ごめん」

 

 

「で、何で二人一緒にいる訳?」

「あぁ♡メルが誘ってくれたんだよね」

「メルが?」

ギタラクルは目を細めてメルを見る。

 

この目は!

何で危険に自分から突っ込むんだと言っている……!!

でも今回はちゃんと理由があるんだからね!

 

「ヒソカがキルアのこと狩ろうとしたからだよ。私は忠告しに来たの。キルアに手を出したら許さないって」

「ヒソカがキルを狩ろうと?」

ブワッとギタラクルを中心に殺気が放たれた。

近くにいた鳥やリスなどの小動物たちは危険を感じてバッとその場を避ける様に離れていく。

 

この殺気……、さすがに痛い。

イルミ、本気だ。

メルは生唾を飲み込んだ。

自分に向けられた殺気ではないが、肌が粟立ち冷や汗がつたえ落ちた。

 

ヒソカはそのイルミを見ても動じることなく、この上なく嬉しそうな笑顔を見せていた。

 

ヒソカは本物の戦闘狂だ。

この状況でよくあんな笑顔を出せるな。

メルはヒソカを見て顔をしかめる。

 

「イルミ、落ちついて。狩ろうとしたと言っても、嫌な目でキルアを見ただけ。キル自体に手を出そうとした訳じゃないよ。そうなる前に忠告してただけなんだ」

「あ、そうなんだ。何かした訳じゃないんだね。それを早くいってよね」

 

イルミはいつもの調子に戻りヒソカを見る。

「ククク、全く君は相変わらずいい殺気を出すね♡」

「そう?」

 

メルは二人を見てため息をついた。

今度から言葉選びには気を付けないとね。

こんな所で二人が戦闘し始めたら流石に試験どころじゃなくなっちゃうからね。

 

そんな3人の様子を茂みの中からある少年が体を震わせながら見ていた。

ゴンは野生で育った為気配を消すことを自己流で身に着けており、それはまさしく絶の達人と呼べる域であったのだ。

経験を積んでいるこの3名の誰も、この場にゴンがいることに気付いてはいなかった。

 

なんだあの殺気は……

早くこの場から立ち去れって全身が言っている感覚だった。

メルはなんであの中にいるんだろう。

キルアとは一体どういう関係なんだろう。

 

ゴンは一息つき、精神を落ち着けて茂みの中に姿を隠し続けるのであった。

 

 

「もう全員合格圏内だけど二人ともこの後どうするの?」

ギタラクルはカタカタと言わせながらクリンと首をかしげる。

 

ヒソカがプレートを付けているという事はゴンはヒソカの元へこれから来る可能性が高い。

「私はヒソカのことが信じられないからしばらくヒソカを見張っておくよ」

「なるほどね。キルアのこと任せたよ」

「うん」

 

「僕はもう少し受験者狩りを楽しみたいなァ♡」

「あっそ」

「聞いておいて酷いじゃないか♡」

 

流石にヒソカはもうメルとキルに手は出さないだろう。

あれだけ釘を刺したんだ。

次は殺すと伝わっただろう。

それに今ここで戦いを強いられるのはヒソカも望むところではない筈。

ま、この試験中はもうメル達は安全かな。

 

「俺は試験終了するまで寝るよ。試験終わったら起こしてねー」

そう言ってギタラクルは地面に穴を掘り潜っていってしまった。

 

つ、土の中で寝るのね。

まぁ、安全と言えるけど考えもしなかったな。

メルは苦笑いをしながらこんもりと重ねられた土を見た。

 

 

「僕、君に受験者を狩られて少し滾っているんだよね。その責任はとってもらいたいんだけどな♡」

「私と戦闘したらイルミが許さないと思うけど」

「君と戦うんじゃない。僕が戦う為の手伝いをしておくれよ♡僕たち、友達なんだからこれくらい利いてくれてもいいだろう?」

「うっ……、はいはい。分かったよ。受験者を見つけ出してヒソカにぶつければいいんでしょ?」

「そう♡話が早くて助かるよ♡」

 

メルはため息をつきながら「じゃぁ探してくるから」と言い残してその場から離れた。

メルは辺りに誰もいないことを確認し、気まぐれな皇帝(カプリスエンペラー)を発動させた。

すると白い光を放つと同時に地面に円形の術式が浮かび上がる。

 

発動させると脳内に機械の音が聞こえてくるのだ。

『マスター。今日はなんの能力をご所望でしょうか?』

この念能力は何故か自我を持っており、私はそれに名前をつけている。

 

カプリスエンペラーでは長いから通称カプ。

 

カプ、今日は人を見つけ出せる能力を創りたいの。

『その程度の能力なら条件は、マスターのオーラの3割を頂ければ可能です』

分かった。それでいいわ。

『了解しました』

カプのその声の後すぐにごっそりと必要な分だけのオーラが吸い取られた。

『…………創造完了。能力名“探索者(ファインダー)”。能力名を口に出すと周囲にいる人間を探知できます。能力を終了する時は戻れと唱えれば自動的に消えます』

了解。

 

「”探索者(ファインダー)”発動」

そう呟くと、障害物に隠れている人間が透けて見えるようになった。

 

なかなか便利な能力だな。

『恐れ入ります』

カプ、目立つからもう下がっていいよ。

『……』

どうしたの?

『最近マスターが私を呼んでくれないので少し拗ねているのです』

 

……あなた本当に念能力よね?

 

『もちろんです。私はマスターのお役に立つために生まれた能力です。もっと使ってください』

カプのことはいつも頼りにしているよ。

 

『最近私より神の略奪者(テオスプランダラ)の方が使用回数が多いのですが』

ま、まぁ神の略奪者(テオスプランダラ)は暗殺向きだからね。

『マスター……』

そう落ち込まないでよ。貴方がいるから安心して仕事ができるんだから。

 

『マスター!』

声色が高くなりどうやら喜んでいる様だ。

 

じゃぁまた呼ぶからその時はよろしくね。

『もちろんですマスター!』

 

すると術式は消えてカプの声も聞こえなくなる。

自分でも思うけど本当に変わった能力だ。

念能力なのに自我を持ち、他の念能力に嫉妬するなんて。

それに自分の意志で念を終了させることができない。

カプがシャットダウンすると自ら思わない限り終了することができないのだ。

そこが少し厄介な所ではある。

 

もう少しカプを使ってあげないとまた拗ねてしまいそうだ。

 

メルは隠れている受験者の元へ降り立ち、早速追いかけまわした。

その先にはヤル気満々のヒソカが待ち構えている。

受験者の絶望した顔はあまり気持ちの良いものではなかった。

 

ヒソカの持つトランプがスパッと受験者を斬りつけて地面に倒れる。

「ククク、さすがメル♡次も頼むよ」

「はいはい」

 

あまりにもこの受験者が可愛そうなのでメルは簡単に止血をしてあげる。

もう少しで試験も終了するし、それまで命が持つように手当を施した。

 

そして3人目の受験者を追い込んだ時であった。

ヒソカと私に囲まれた受験者は、ヒソカに抵抗しようするもあっけなくやられて地面に倒れた。

するとその瞬間、茂みの中から釣竿が見えてその針は器用にヒソカのプレートを引っかけたのだ。

 

突然のことにメルもヒソカも唖然としてその方向を見つめると、44番のプレートを手にしたゴンが立っていたのだ。

 

いつからそこに!?

全く気が付かなかったんだけど!?

メルは驚いて開いた口が塞がらなかった。

 

「ゴン……」

メルがそう呟くと、ゴンは急いでその場から姿を眩ませた。

「まっ、待ってゴン!」

私が追いかけようとするよりも先にヒソカがゴンの後を追いかけた。

「ヒソカ!!待って!!」

 

まさかゴンをヤる気!?

「ヒソカ!!」

メルは叫びながらヒソカの後を追った。

 

―っ、なんて速さなの。

私が追いつけないなんて……!!

早くしないとゴンがっ、ゴンが殺されてしまう!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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