H×H イル×メル   作:@れんか

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22話 敗北×屈辱

 

息を切らしながらヒソカに追いつくと、そこには地面に倒れたゴンをヒソカが見下ろしていた。

「ゴン!!」

駆け寄るとすぐ近くに、肌の焼けた男も倒れている。

 

一体なにが…!?

 

「ヒソカ、これは一体どういうこと?」

「やぁメル。少し遅かったね。ゴンはこの男の毒にかかって動けないだけさ。僕はね、ゴンを称賛しているんだよ。野生の獣並みの気配の消し方。それに、タイミングも完璧。僕が攻撃をする時の殺気に自分の殺気を紛れ込ませた。実に見事だった」

 

そう言って自分のプレートをゴンの目の前に投げた。

「この毒は筋弛緩系の毒だそうだよ。まぁ、ゴンなら数時間で動けるようになるだろう」

 

筋弛緩系か。

メルはホッと一息つく。

とりあえずすぐに命に係わる様な毒ではない。

大量に撃ち込まれると流石に命に関わるがゴンの様子ではそれは大丈夫そうだ。

 

「待てよ。……プレートを、取り返しに、来たんじゃ、ないのか」

筋肉が緩んでゴンは話すのも辛そうだ。

 

「うん。誉めに来ただけ。この男は僕のターゲットだったからね。だからそれはもういらない」

「俺もいらない」

「そう言うなよ。それは貸しだ。いつか返してくれればいい」

 

するとゴンは足を震わせながら立ち上がって見せたのだ。

筋弛緩剤を打たれたのに立ち上がれるなんて……

メルは目を大きく見開いた。

 

「借りなんてまっぴらだ。今、返す」

そう言って44番のプレートを差し出そうとした。

 

ヒソカは笑いながらゴンに近づいていく。

「断る。…今の君は僕に生かされている。君がもっと倒し甲斐のある使い手に育つまで、君はずっと僕に生かされている」

そう言うとヒソカは思いっきりゴンの頬を殴りつける。

ゴンの小さな体は簡単に数メートル程吹き飛んだ。

 

「今みたいに僕の顔に一発ぶち込むことができたら受け取ろう。それまでそのプレートは君に預ける」

そう言って笑いながらヒソカは森の奥へと消えていった。

 

 

メルは吹き飛んだゴンの元へとゆっくりと歩く。

なんて声をかければいいのだろうか。

ゴンからすると、屈辱だっただろう。

倒したい敵に情けをかけられ、それにより生かされているという現実はかなり悔しいだろう。

でも、ゴン。

これはゴンにとっていい経験になるよ。

自分の弱さを痛感することができたんだ。

後は強くなるだけだ。

その一歩を、ゴンなら踏み出せる。

 

 

メルはゴンの腫れた頬に触れた。

「ゴンはきっと強くなれる。ヒソカの顔に一発キメてやろう。私は協力するよ」

ゴンは悔しさか、それとも痛みからか大きな目に涙を貯めている。

 

「まずはその怪我を何とかしないとね」

メルは第三の念能力を発動させた。

私の念能力は主に3つ。

神の略奪者(テオスプランダラ)気まぐれな皇帝(カプリスエンペラー)、そして、最後の一つは、回復系の念能力。

高貴なる者の義務(ノブレスオブリージュ)

 

発動条件は対象者に触れること。

メルが触れた、ゴンの腫れあがった頬はみるみるうちに赤みが引いていく。

そして痺れもいつの間にかなくなっていく。

 

「メル、君は一体何者なの?」

「ん?言ったでしょ?私はルイス家。暗殺者であり、統率者でもある一族。ゴン、強くなりたい?」

そう聞くと、ゴンは黙って頷く。

 

「この試験が終わったら私が強くしてあげる。一応ヒソカとは友達だけど、気に入らない所が多くてね。ヒソカをぎゃふんと言わせてやろうよ」

ゴンは「うん!!」と力強く頷くのであった。

 

 

 

探索者(ファインダー)”でキルアを見つけて私は無事に合流を果たし、この能力を終了させた。

キルアは目的通りクラピカとレオリオを見つけ出して行動を共にしていたようだ。

 

キルア達はゴンの様子がおかしいことにすぐに気づく。

「何かあったのか?」

 

メルはちらっとゴンに視線を移す。

ゴンは一息ついて笑顔を見せた。

 

「実は……」

 

ゴンは今さっき起きたことをキルア達に話した。

「まじか!?お前ヒソカからプレートを取ったのか!?」

「まぁ、ぶん殴られたけどね。このプレートは絶対強くなってヒソカに返すんだっ…!!」

力強く言い切るゴンを見てメルは口角を上げて微笑んだ。

 

ゴンは素直な子だ。

教え甲斐がある。

ゴンは元々才能に溢れてるし、適切に教えれば必ず成果を出してくれる筈。

どれだけ強くなるだろうか。

これからの成長が本当に楽しみだ。

 

「そういえば、全員プレートは手に入れたの?」

メルはクラピカとレオリオに問う。

「なんとかな。受験者に出会わなくて少し困ったぞ。お前たちが原因だとは思いもしなかったが」

「あはは……、ごめんごめん」

メルはキルアと目を見合わせて口元を引きつらせながら笑う。

 

「そろそろ試験も終了するな。まっ、第四次試験無事に合格だな!」

レオリオは背伸びをしながら喜んでいた。

 

「あ!」

メルはあることを思い出す。

イルミを起こさないと!!

 

「ごめん。皆はここにいて?やり残したこと思い出しちゃった」

「俺も協力するぜ?」

キルアは気を利かせて言ってくれるが正直一人の方が動きやすい。

 

「大丈夫、キルアもここにいて?すぐ戻るから」

そう言ってメルは足早にイルミが眠る場所へと向かった。

 

その場所にはまだ土がこんもりと積まれている。

「そろそろ起きて!もう試験終わっちゃうよ!」

そう言いながら土を掘り返す。

 

するとガバっと土煙を立てながらイルミは出てきた。

「んー、よく寝た」

 

「おはよう。そろそろ行くよ?」

服についた土埃を払いながらメル達は船が待つ、海岸へと歩むのであった。

 

 

「ただいまをもちまして、第四次試験は終了となります。受験者の皆様は速やかスタート地点までお戻りください。ただいまより一時間を猶予時間と致します。それまでに戻られない場合はすべて不合格とみなしますのでご注意ください。なお、スタート地点到着後のプレート交換は無効です。確認され次第無効となりますのでご注意ください」

 

 

島全体に響き渡るアナウンスを聞き、メル達は船へと乗り込んだ。

「では到着した人からプレートを確認します。…44番ヒソカさん。53番ポックルさん。99番キルアさん。404番クラピカさん。403番レオリオさん。405番ゴンさん。301番ギタラクルさん。450番メルさん。191番ボドロさん。291番ハンゾーさん。以上10名の方が合格者で~す!」

 

その映像を飛行船内で見ていたネテロ会長は高らかに笑っていた。

「10人中7名がルーキーか!豊作豊作♪」

 

ネテロを含め、今回のハンター試験の試験監督を務めた者たちはひとつのテーブルを囲い食事をしている所だった。

「こんなことって前にもあったんですか?」

巨大な肉を食べながらブラハはネテロに尋ねる。

 

「うん。大概前触れが合って10年くらいルーキーの合格者が1人も出ない時が続く。そして突然ワッと有望な若者が集まりよる。わしが会長になってこれで4度目かのぅ」

ネテロは楽しそうに笑うのであった。

 

 

 

 

 

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