H×H イル×メル   作:@れんか

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ゾルディック家編
28話 ゾルディック家×家族


 

 

「ここにキルアが……」

ゴンは目の前に聳え立つ巨大な門を見上げる。

 

「別名、黄泉への扉って呼ばれる門だよ。私たちは試しの門って呼んでる」

「試しの門?」

「そう。キルアに会いたければ、この門を自力で開けないといけない」

「えっ?この門を自力で!?」

 

「おいおいそりゃ無理ってもんだ。あんな巨大な扉どうやって開けるんだよっ」

レオリオは門を指さした。

 

「この門さえ開けられない者は会う資格はないということ。試しの門以外から侵入した場合、ミケっていう魔獣に食い殺されてしまうの」

「友達を試すなんて変だよ!!俺は塀をよじ登ってでも中へ入る!!」

 

もう!本当に頑固なんだから!

「いい?今のゴンでは簡単にミケの餌になっておしまい」

「じゃぁどうすればいいのさ!」

「だから、修行するんだよ」

「修行?」

 

 

メルは守衛室を見た。

私とイルミの姿を見たゼブロさんは慌てて飛び出してきた。

 

「イルミ坊ちゃんにメルお嬢さん!!どうしたんですかこんなところで!」

はぁはぁと息を切らしてながらやって来た。

 

「ゼブロさん久しぶりです。紹介します、私の友人のクラピカとレオリオ、そして弟子のゴンです」

「えぇ!?メルお嬢さんの友人に弟子!?」

「キルアに会いに来たのだけど、まずは門を開けてもらわないとね。そこで、ゼブロさんの事務所で少し修行させてもらえますか?」

「それは構いませんが……」

「ありがとうございます!」

 

メルはぱあっと顔を明るくさせる。

そしてある建物の中へと入る。

部屋は主に木で作られており、部屋に置かれている家具は20kg以上のモノばかりだ。

つまりこの部屋で生活することで飛躍的に体づくりをすることができるのだ。

 

本当は手っ取り早く念能力を教えたいけど、まずは体を作る所から始めないと修行中に怪我をしかねない。

ここで最低ラインは超えてもらうよ、ゴン。

 

「あの…」

ゼブロさんは申し訳なさそうに話しかけてくる。

 

「メルお嬢さんの弟子であるゴン君がここで修行をするという事は、メルお嬢さんやイルミ坊ちゃんもここにお泊りになるということですか?」

 

「私は泊まるつもりだよ。あ、イルミは先に家に帰っててもいいよ。ゴンと一緒にすぐに追いつくから」

「だっ、だめです!!メルお嬢さんがこんな所で寝泊まりをするなんて!!ルイス家の方をこんな使用人の住まいで寝泊まりさせることはできません!!」

 

イルミは首をかしげる。

「メル、どうするの?」

 

ここはもう頼み込むしかない!!

「お願いします!!」

メルは深々と頭を下げた。

「できれば寝食をゴン達と共にしたい。今は少しでも時間を無駄にしたくないの!」

 

せっかく兄様達が作ってくれた時間。

有効に使わないと!!

 

「あっ、頭をお上げください!!分かりました!どうぞ好きに使ってください。でも、何か不便があったら遠慮なく申し付けてくださいね!!」

「ありがとうございます」

 

「話はまとまったみたいだから、じゃぁ俺先に家に帰っとくよ?試しの門が開いたら迎えに来るからまた連絡してね。それまでのんびりさせてもらうとするよ」

「分かった」

 

そう言ってイルミはスタスタと歩き欠伸をしながら片手で軽々と5の扉を開いて出て行った。

その光景を見てゴン達は唖然とするのだった。

 

「さぁゴン、クラピカ、レオリオ!始めるよ!」

 

その日から修行は始まった。

 

 

「かぁ~、メルって結構スパルタなんだな~!!」

レオリオは力尽きて布団に倒れこむ。

クラピカも同様に布団に腰を下ろした。

 

「だが、教え方はとても効率が良いものだった。彼女のメニューは厳しいが教え方は実に的を射ている。これなら短期間でパワーアップを図れそうだ」

 

隣の布団では力尽きたゴンがいびきをかいていた。

すると扉が開き風呂から上がったメルがやって来た。

 

「皆お疲れ様~、明日は朝早くからするからもう休んでね~」

そう言いながら平然と布団に潜り込むメル。

 

「っておおおいい!!お前まさかここで寝る気か!?」

レオリオはメルの布団をはぎ取った。

 

「え~?そのつもりだけど。私ももう眠たいから布団返してよレオリオ。というか何でまだそんな元気があるの?明日はもっと練習量上げないとだねぇ」

目をこすりながらメルは欠伸をする。

 

するとすぐにゼブロさんがやって来た。

「メルお嬢さあああん!!貴方の部屋はこっちです!!!」

「え~?」

そう言いながらメルはゼブロに連れて行かれるのであった。

 

 

レオリオは「何なんだあれは」とボソッと呟く。

「フッ。いいからもう寝るぞ」

クラピカは笑いながら布団にもぐる。

 

それから1週間が経過した。

その日の朝メルはゼブロの部屋にある黒電話で執事室へ電話を入れる。

「はい、執事室」

 

あ、この声。ゴトーだ!

「お久しぶりです。メルです。イルミに、今から門を開けるって伝えてもらえますか?」

「メル様お久しぶりです。イルミ様から話は伺っております。かしこまりました」

 

よし!電話連絡も入れたし、さっそく試しの門を開けちゃうよ!

 

ゴン、クラピカ、レオリオは試しの門の前に並び一誠に力を込めた。

「皆、呼吸を合わせてね。いくよ?1、2の3!!」

 

メルの掛け声とともに、ズズズウウン!!と音を立てて1の扉は開いたのだ。

「やったああ!!」

ゴンは目を輝かせて飛び上がる様に喜んでいた。

私が教えたことをこなして、それが達成できた時、こんなにも嬉しいモノなんだ。

メルもゴンと一緒になってはしゃぐ様に喜んだ。

 

「仮にも師匠ならこんなことくらいでいちいち喜んでたらきりがないよ?」

気付くとイルミがやって来ていた。

「や。思ったより時間がかかったね」

 

イルミは白いシャツに黒のズボンを履いており、髪を高く括っている。

始めてイルミを見る人間であれば美しい女性だと間違われても可笑しくない。

 

「イルミ!お迎えありがとう。キルアは屋敷のどこにいるの?」

「んー、今は独房にいるんだけど、メルはともかくその三人を屋敷の中に入れるのはだめなんだってさ」

「へっ!?そうなの!?」

 

今まで普通に出入りしていたから入れるものとばかり思っていた……。

せっかくここまで来たのに……

でもゾルディック家のことだから私が好き勝手にすることはできない。

 

すると森の奥から気配が二つ現れる。

1人は紫のドレスを着た肌の白い女であった。顔には包帯を巻いており赤く点滅する機械を装着している。

もう1人は着物を着た子供だ。

 

「お久しぶりね、メルちゃん」

「キキョウさん!カルト君!お久しぶりです!」

 

メルは深々とお辞儀をする。

「キルアに会いに来たようだけど、イルミが言った通り、今は会えないの。せっかく来てもらったのにごめんなさいね」

「いえ、仕方のないことですから……」

 

するとキキョウはメルの頬に手を添える。

ひんやりとしたキキョウの手はどこか心地よさを感じる。

 

「そんな悲しそうな顔をしないで?貴方ならいつでも歓迎よ?そうだ、これから一緒にお茶でもどうかしら?ねぇ?カルトちゃん」

「はい、僕もメル姉様と久しぶりにお話がしたいです」

 

カルト君は私を慕って姉様と呼んでくれている。

その姿があまりにも可愛くてついよしよしと頭を撫でた。

 

「キキョウさん、カルト君。お誘いは嬉しいのですが……私今この子の師匠をしてるんです」

そう言ってメルはゴンの肩に手を添える。

「ゴンが屋敷に入れないのなら私は行けません」

「まぁ!メルちゃんが師匠?」

「はい。どうしても、駄目でしょうか?キキョウさん、私この子にキルアを会わせてあげたいんです!」

「……貴方の頼みは聞き入れてあげたいけれど……、キルアは今とても大事な時期なの。友達なんて必要ないモノに時間を取られる訳にはいきませんわ」

 

その言葉はメルの表情を曇らせる。

これ以上ごねても仕方がないか。

キルアが独房から出てきてくれるしか会える方法は現状ない。

 

すると、突然キキョウが悲鳴を上げた。

「ああぁぁぁ‼なんてこと!?お父様ったら勝手に……せっかくキルが戻ってきたのにっ‼」

 

何か起こったのか?

 

「メルちゃん、私急用ができてしまったの。申し訳ないけど失礼させてもらうわね。また時間があったらいつでもいらっしゃい。いくわよ、カルトちゃん!!」

そう言って足早にキキョウはメル達の前から姿を消した。

 

「何が起こったんだろう?」

一同頭に「?」を浮かべる。

 

するとイルミが説明してくれた。

「んー、どうやら爺ちゃんがキルアを独房から出したみたいだね。キルが独房から出たなら待ってたら会えると思うよ?この先にある執事の館にでも行って待つ?」

「いいの!?」

「うん。ダメだって言われたのは屋敷内だからね。執事館については何も聞いてないから」

「イルミありがとう~」

「はいはい」

 

イルミはポンポンとメルの頭に手を置く。

「こんな頼りない師匠でゴンはいいの?ゴンにも師匠を選ぶ権利はあるんだよ」

「ちょっとイルミ!そんなこと言わないでよ!!」

メルはぽかぽかと硬い胸を叩く。

 

「うん、俺はメルがいいんだ!!他の誰かじゃなくて、メルじゃなきゃダメなんだ!」

 

その言葉はメルの感情を高ぶらせるには十分だった。

「ゴン……、もう私の技の全部を伝授するよ。なんなら秘術でも奥義でももう全部教えちゃう」

 

するとイルミの針の持ち手の丸くなっている部分がスコーンと飛んできた。

「いたたっ」

「コラ。ルイス家以外口外してはいけない技とか色々あるでしょ?それに、その時のゴンに必要でかつ、扱える技じゃないと教えたところで無駄になるからね?さらに言うと、秘術や奥義系なんかは術者にかなり負担がかかるものばかりなんだから簡単に教えちゃダメ。戦闘中にそれ頼りに発動させて相手は仕留めたけど自分も死んじゃいました、じゃ元も子もないからね」

 

「分かってるよー」

メルは針が当たった頬をすりすりとさする。

 

「本当に分かってるの?……俺ならメルが師匠だなんて嫌だけどね。こっちの方が見ててハラハラするし」

「ム!私もイルミが弟子なんて嫌だよ!教えたら全て一発でこなしちゃう弟子とか師匠の存在価値0になりそうだもん!それに比べてゴンはまっすぐで全部真剣に受け止めてくれるし、まだ体ができていないからそれなりに時間はかかると思うけどやりがいあるし、ゴンが弟子でよかったよ」

フン!と言い返すメルを見てイルミはため息をつく。

 

ゴンは二人の会話を聞いていて口を開いた。

「ねぇ、メルの師匠はイルミなの?」

「確か最後のトーナメント戦の時にちらっとそんな話が出ていたな」

レオリオは記憶をたどる。

 

 

「そうだよ?メルは俺の弟子。と言っても、メルの師匠は沢山いるからね。俺はそのうちの1人だっただけ」

「子供の時は年も近いイルミによく教えてもらってたんだ。」

「全く手がかかる弟子だったよ」

「一言余計だよ!」

 

「そうだったんだ。なんだか二人とも凄く仲がいい様に思えたからてっきり付き合っているのかと思ったよ。でも師匠と弟子の関係なんだね!だからそんなに息がぴったりなんだ!!」

なるほどね謎が解けた!という様なすがすがしい顔でゴンはとんでもないことを言う。

 

メルは明らかに動揺して少し顔を赤らめる。

その反応だけでクラピカとレオリオは察した。

 

メル、なんて分かりやすいんだ。

 

しばらく歩くと、森の中にひっそりと佇む館が見えてきた。

館の前には大勢のゾルディック家の執事がお出迎えをしてくれている。

メルとイルミの姿を見るなり深々と頭を下げ「お帰りなさいませ、イルミ様、いらっしゃいませメル様」と声をそろえるのであった。

 

「メル様、お久しぶりです」

目の前にやって来たのは眼鏡をかけた男、ゴトーだ。

「久しぶり。少しここでキルアを待たせてもらうね?」

「はい、畏まりました」

「ありがとう」

にっこりと微笑むメルを見て、ゴトーも笑顔を見せる。

 

館の中へ入ると、待合室へと案内された。

「こちらでお待ちください。キルア様はこちらへ既に向かっております」

 

メル達はソファに腰を下ろす。

するとゴトーは、時間つぶしにある遊びを持ち掛けてきた。

「もうイルミ様やメル様には通用しませんが、ゴン様達に付き合ってもらいましょう」

そう言って、ゴトーはコインを取り出す。

 

あ、ゴトー。コイン投げをするつもりだなぁ。

あれ初めて見た時は驚いたなぁ。

 

「メル様達はもう見飽きておりますでしょう。別の部屋を用意してありますのでそちらでどうぞごゆっくり寛いで下さい」

「分かった。じゃぁそうさせてもらうね」

メルとイルミは執事たちに案内されて他の部屋へと移動した。

 

残されたゴン達は何が始まるのかとゴトーを見ていると、突然人が変わったかのように眉間にしわを寄せて血管を怒張させる。

「俺はキルア様を幼い頃から知っている。僭越ながら親にも似た感情を持っている。正直キルア様を連れて行こうとするお前たちが許せねぇ!!」

あまりの迫力に3人は息を飲んだ。

 

「奥様は消え入りそうな声だった。断腸の思いで送り出すのだろう。ルイス家のメル様まで連れている所を見てなんて図々しいガキか、と思ったよ。あの方はお前達が軽々しく話が出来る様な方じゃねぇ。もし、勝負で俺に負けたらキルア様とメル様には遠くに行った為もう会えないと伝えさせてもらう。お前たちに拒否権はねぇ!!馬鹿みたいに返事だけしておけばいい」

 

「-っ」

 

そしてゴトーは素早くコインを投げる。

一人、また一人と脱落していき最後はゴンのみ。

ゴンはなんとかゴトーのコインを追って見事言い当てた。

 

 

ゴン達がゴトーのコイン投げに付き合っている頃、案内された部屋に入るとそこにはキルアがいた。

「え!?キル!?」

「あれ?メル!?なんだ、ゴトーのやつ。もうメル達来てるじゃんー!」

そう言ってキルアはチョコロボ君を食べながらリュックを背負う。

 

メルはキルアを見るなりぎゅっと抱きしめる。

「キルアごめんね。キルアは人殺しなんてしたくなかったんだね。なのに私いっぱい色んな暗技なんか教えちゃって……」

「なっ、何言ってんだよ!俺メルがいてくれたからなんとかやっていけてたんだぜ?それにメルが教えてくれた技は知ってても損はないし今でも役に立つことばかりだし…、だからその……あ~!もう!!」

キルアは泣きそうなメルの顔を両手でつかむ。

 

「メルに俺は助けられたの!だからお前がそんな顔するな!!」

「……うぅ、キルア~!」

メルはうわーんとキルアに泣きついた。

 

「結局泣くのかよ!!」

キルアは呆れたように笑いながらメルを見た。

 

「次、イルミの番だよ」

メルがそう言うと、ずっと静かに見ていたイルミはゆっくりとキルアの目の前までやってくる。

「キルア、俺があの時言ったことは全て本当だよ。今でも友達なんて正直必要ないと思ってるし暗殺者には邪魔になる存在だと思っている」

 

ちょっとイルミ謝る気あるの?

 

「あぁ、知ってるさ。兄貴が本気だったってことは直ぐに分かったよ」

「でもお前を傷つけたかった訳じゃないんだ。お前がそれで傷ついたというなら謝るよ、ごめん」

まさかあのイルミの口から謝罪の言葉が出てくるなんて思いもしなかったキルアは手に持っていたチョコロボ君を落とした。

「べっ、別に謝ってほしい訳じゃねぇし」

 

「メル、これでいいの?」

「うん。これで丸く解決だね!」

メルはにこにことしながらイルミを見る。

 

なんて楽天的な性格。

先が思いやられるよ。

イルミは腕を組んでメルを見ていた。

 

メル達3人は待合室へと戻ると、部屋からは拍手する音が聞こえていた。

「もしかしてゴトーに勝ったの?」

扉から顔を覗かせるとゴンは目を輝かせる。

「メル!キルア!!」

「ゴン!よく来たな!!」

二人はお互い走ってきゃっきゃっとはしゃいでいた。

 

「よし!それじゃぁ早くこの家出ようぜ?お袋が煩くてさぁ」

キルアはうんざりした顔をする。

 

「じゃぁ俺はここでお別れだね。次の仕事の準備があるから」

そっかぁ、イルミとはここでお別れか。

そう思うと急に寂しさを感じた。

次会うのはいつになるんだろうか。また4、5年も会えないのは嫌だなぁ。

 

「分かった。イルミ、ありがとう。私またイルミに会えて嬉しかったよ」

「……メル、携帯出して?」

「へ?」

「早く」

 

メルは鞄の中から白い携帯を取り出してイルミに渡す。

ピピピと何か打ち込んでいた。

「俺の番号登録しておいたから定期的に連絡をよこすように。いいね?」

「!」

「返事は?」

「う、うん!」

メルは嬉しすぎて喜びを隠せない。

口元は緩み満面の笑みをみせていた。

 

その様子を見てクラピカもレオリオも心の中で突っ込むのであった。

何でお前たちは付き合っていないんだよ!!と。

 

そしてメル達はククルーマウンテンをあとにした。

 






ゾルディック家編はこの28話で全て書ききってしまいました。
ゾルディック家大好きなのでスラスラと書いてしまいいつもよりも文字数が多いです。
ここまで読むの疲れ様でした。

メルとイルミはようやく番号を交換できました。
道のりはまだまだ長いようです。

次は天空闘技場編へ突入です!
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